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SUPER GT第2戦富士「FUJI GT 500km RACE」GT500クラス決勝リポート

ポールポジションからスタートした12号車 カルソニックIMPUL GT-Rが優勝

2014年5月4日開催

 5月4日、富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で2014 AUTOBACS SUPER GT 第2戦「FUJI GT 500km RACE」の決勝レースが開催された。GT500クラスは、ポールポジションからスタートした12号車 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が、途中で順位を落とすも終盤にトップに返り咲き優勝した。

サバイバルレースを制し優勝した12号車 カルソニックIMPUL GT-R

 SUPER GT 第2戦「FUJI GT 500km RACE」は予選、決勝と快晴に恵まれ、ゴールデンウィーク中の開催もあり2日間で9万人近い観衆が集まった。予選では1位から3位をニッサンGT-Rが独占。中段の4位、5位、7位から10位をレクサスRC F、ホンダNSX CONCEPT-GTは11位から15位と後方に沈み、メーカーごとの好不調が明確となった。

 とは言え、第2戦「FUJI GT 500km RACE」は通常の300kmよりはるかに長い500km、110周の長丁場。路面温度も36℃と高くサバイバルレースとなる可能性は高い。加えて今シーズンのGT500クラスは全車ニューマシンとなり、メカニカルトラブルや電気系のトラブルが発生するリスクも潜んでいるので、最後まで走り切れば後方からのスタートでも上位フィニッシュが期待できる。

序盤にアクシデントが発生、2度のセーフティカー導入

 スタートで飛び出したのはポールスタートの12号車 カルソニックIMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)。予選2位の46号車 S Road MOLA GT-R(本山哲)、予選3位の23号車 MOTUL AUTECH GT-R(ロニー・クインタレッリ)がそれぞれポジションをキープ。中段はレクサス勢、10位の6号車 ENEOS SUSTINA RC F(大嶋和也)の後方にホンダ勢が続く展開となった。

スタートは12号車、46号車、23号車とGT-Rが予選順位をキープした
10位の6号車の後方にホンダ勢が5台つながった

 2周を終えたところで17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大)がマシントラブルで早々にピットイン。リタイヤ1号となった。トップの12号車 カルソニックIMPUL GT-Rは毎周後続を引き離し、4周目には2位の46号車 S Road MOLA GT-Rとのギャップを3秒とした。

12号車が序盤から後方を引き離した

 ここでGT300クラスの88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(青木孝行)がストレートエンドでコントロールを失い、スタンド側のガードレールに激しくクラッシュ。前部を失うほど大破しセーフティカーが導入された。ドライバーは自力でマシンを降り事なきを得たが、ストレートに破片が散乱したためコース整備を行い10周目からリスタートとなった。

88号車がクラッシュ。前部を失った
セーフティーカーが導入された
リスタートも12号車、46号車、23号車がトップ3
6位の24号車 D'station ADVAN GT-Rの後方にトヨタ勢

 3秒のリードを失った12号車 カルソニックIMPUL GT-Rだったが、リスタート後も快調なペースで後続を引き離し、18周目には2位の46号車 S Road MOLA GT-Rとのギャップを6秒とした。ところが19周目のストレートエンドで2位の46号車 S Road MOLA GT-Rがエンジン付近から煙りを出しスローダウン。1コーナーを抜けコカ・コーラコーナーへ向かうところでマシンを止めドライバーはすぐに脱出するが、マシンは激しく炎上。再びセーフティーカーが導入された。

46号車のボンネットからスモーク
エンジンから出火しフェンダーから炎が出る
コースを外れグリーンへ
本山選手はマシンから無事脱出
直後に激しく燃え上がる
マーシャルが消火し全焼は免れた
フロント部分を損傷した

 隊列が整った21周目にピットレーンオープンとなり、10位の18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴)以下ホンダ勢が早めのルーティーンピットを行った。SUPER GTのレギューションでは1人のドライバーが走れる最大周回数は規定周回数の2/3。110周の2/3は73周となる。この時点で残り周回数は89周なので、通常の1ピット2スティントのレースではルーティーンのピットインは行えないが、今回は2ピット3スティントなので1回の給油で45周を走れるマシンはピットインが可能となる。

 18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTはセーフティカー導入前にトップとの差が29秒。リスタート後の差も29秒なので、ルーティーンのピットインをタイムロスなしで消化できたことなる。

 実際にはトップから9位までのニッサン勢、レクサス勢が1台もピットインしていないので優勝争いへの影響はなし。リスタート後は12号車 カルソニックIMPUL GT-Rを先頭に、23号車 MOTUL AUTECH GT-R、36号車 PETRONAS TOM'S RC F(ジェームス・ロシター)、1号車 ZENT CERUMO RC F(平手晃平)、24号車 D'station ADVAN GT-R(ミハエル・クルム)が続いた。

12号車がピット作業で遅れトップの座を明け渡す

 上位陣は23号車 MOTUL AUTECH GT-Rと24号車 D'station ADVAN GT-Rが35周目にピットイン。その後36号車 PETRONAS TOM'S RC F、1号車 ZENT CERUMO RC Fもピットインし、最後にトップをキープし続けた12号車 カルソニックIMPUL GT-Rが42周目にピットインを行った。

 12号車 カルソニックIMPUL GT-Rはタイヤ交換に手間取り15秒ほどタイムロス。コースに復帰すると23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生)に先行され、ストレートエンドで1号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路)、コカ・コーラコーナーの進入で36号車 PETRONAS TOM'S RC F(平川亮)に立て続けに抜かれ順位を落とした。

 36号車 PETRONAS TOM'S RC Fは、12号車 カルソニックIMPUL GT-Rを抜いた直後にGT300クラスの11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸)と接触しスピン、コースアウト。すぐにコースに戻るがスローパンクチャーが発生、2周後の1コーナーでコースアウトし緊急ピットインを強いられた。さらに接触したことによりドライブスルーのペナルティが課せられ、優勝争いから脱落した。

 全車1回目のルーティーンピットを終えた45周目の順位は、18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(ジャン・カール・ベルネ)がセーフティカー中のピットインで得たアドバンテージで1位。2位は23号車 MOTUL AUTECH GT-R、3位は1号車 ZENT CERUMO RC F。ピット作業で遅れた12号車 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信)が4位。5位に24号車 D'station ADVAN GT-R(佐々木大樹)、6位に6号車 ENEOS SUSTINA RC F(国本雄資)が続き、36号車 PETRONAS TOM'S RC Fは事実上の最後尾となる10位まで後退した。

ホンダ勢は不調に加えトラブル多発

 ホンダ勢では、18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTがトップで孤軍奮闘するも、2周目にリタイヤした17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTを皮切りに、8号車 ARTA NSX CONCEPT-GTは41周目にマシントラブルでコース上で止まりリタイヤ、100号車 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTも42周目にマシントラブルでリタイヤ、10周目からトラブルで4回ピットインした32号車 Epson NSX CONCEPT-GTは6周遅れでコースに留まっていたが、この後56周目にリタイヤとなった。

 生き残った18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTも、ラップタイムが他の上位陣より2秒以上遅く、47周目に23号車 MOTUL AUTECH GT-Rに抜かれ2位に後退。50周目には4位、56周目には7位、58周目には8位とズルズルと順位を落とし、その後マシントラブルで10分以上ピットに留まるなどして、チェッカーまで走り切るも15周遅れの10位に終わった。完走はこの1台、ホンダ勢には厳しい週末となった。

トップ快走の23号車に突然のトラブル

 トップに立った23号車 MOTUL AUTECH GT-Rは、2位以下のマシンとの差を広げ快走を続けた。唯一トップと互角のラップタイムで走行をしていたのは、4位に後退した12号車 カルソニックIMPUL GT-R。12号車 カルソニックIMPUL GT-Rは50周目に1号車 ZENT CERUMO RC F、18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTを立て続けに抜き2位に浮上。10秒前を行く23号車 MOTUL AUTECH GT-Rに追従した。

18号車を抜きトップに立った23号車
3位の1号車を12号車が攻め立てた

 トップとの差を縮めたい12号車 カルソニックIMPUL GT-Rだったが、57周目のダンロップコーナー進入で86号車 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3(山西康司)のインに入ろうとして接触、スピンすることもなく走行を続けたが左フロントにダメージを追ってしまい、3秒ほどトップとの差も広がった。

12号車は2位に浮上した後、接触により左前部にダメージを負った

 2回目のルーティーンのピットインが近づいた69周目。トップ快走の23号車 MOTUL AUTECH GT-Rがヘアピンからダンロップコーナーへ向かう300Rでマシントラブルによりストップ。その後、マシンをゆっくり走らせピットまで戻り、ステアリングを交換してコース復帰を果たすが周回遅れとなってしまった。これでミシュランタイヤは炎上した46号車 S Road MOLA GT-Rに加え、トラブルで18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT、23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが脱落しブリヂストンタイヤにトップの座を譲ってしまった。

23号車は突然トラブルでストップ。スロー走行でピットに戻るが周回遅れとなった

 70周を過ぎると上位陣が2回目のピットインを開始。トップに返り咲いた12号車 カルソニックIMPUL GT-Rは80周目にピットイン。トップの座を譲ることなくコースに復帰した。全車ピットインを済ませた段階で、2位は1号車 ZENT CERUMO RC F(平手晃平)、3位は6号車 ENEOS SUSTINA RC F(大嶋和也)、4位は39号車 DENSO KOBELCO SARD RC F(石浦宏明)、5位は24号車 D'station ADVAN GT-R(ミハエル・クルム)。

 12号車 カルソニックIMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)は27秒のマージンを持って最終スティントに入り、一時的に15秒までその差を縮められたが最後は20秒以上の差で突き放し、波乱のレースを制した。

 2位は1号車 ZENT CERUMO RC F、3位は6号車 ENEOS SUSTINA RC F。2度目のピットインで順位を落とした24号車 D'station ADVAN GT-Rが94周目に順位を回復し4位を獲得。トップ3のブリヂストンタイヤに続く4位をヨコハマタイヤが獲得した。完走は10台、リタイヤ5台のサバイバルレースとなった。

24号車は4位。トップ3を独占したブリヂストンタイヤの次はヨコハマタイヤとなった

GT500クラス最終順位

順位号車車両ドライバー
1位12カルソニックIMPUL GT-R安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
2位1ZENT CERUMO RC F立川祐路/平手晃平
3位6ENEOS SUSTINA RC F大嶋和也/国本雄資
4位24D'station ADVAN GT-Rミハエル・クルム/佐々木大樹
5位37KeePer TOM'S RC F伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ
6位39DENSO KOBELCO SARD RC F石浦宏明/オリバー・ジャービス
7位19WedsSport ADVAN RC F脇阪寿一/関口雄飛
8位23MOTUL AUTECH GT-R松田次生/ロニー・クインタレッリ
9位36PETRONAS TOM'S RC Fジェームス・ロシター/平川亮
10位18ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT山本尚貴/ジャン・カール・ベルネ
2位の1号車 ZENT CERUMO RC F
3位は確実に順位を上げた6号車 ENEOS SUSTINA RC F

 シリーズ第3戦は九州オートポリスで5月31日、6月1日に開催される。一昨年、昨年と大雨の影響を受けたオートポリスだが、今年は開催時期を9月末から5月末に変更した。天候に恵まれ、好レースが開催されることを期待したい。

レース後の記者会見に臨んだGT500クラス優勝の安田裕信選手(写真左)とジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(写真右)

(奥川浩彦/Photo:奥川浩彦/Photo:安田 剛)