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ダッソー、6月2日~3日に「3DEXPERIENCE FORUM JAPAN 2014」を開催

新ブランド「BIOVIA」「3DXCITE」などについて解説

5月20日に発表されたダッソー・システムズの新ブランド「3DXCITE」の製品デモ。タブレット端末を使った直感的なUIも実装している
2014年6月2日~3日開催

参加無料(事前登録制)

 ダッソー・システムズは6月2日~3日、東京・恵比寿のウェスティンホテル東京で年次イベント「3DEXPERIENCE FORUM JAPAN 2014」を開催している。

 このフォーラムは企業の経営陣や製品企画、研究開発部門などの担当者に向けて例年この時期に行われており、参加には同社Webサイト内のフォーラムから事前登録が必要となっている。開催初日となる6月2日には、フォーラム開催に合わせて来日した仏ダッソー・システムズ 社長兼最高経営責任者のベルナール・シャーレス氏などによる記者説明会が実施された。

仏ダッソー・システムズ 社長兼最高経営責任者のベルナール・シャーレス氏

 記者説明会でベルナール・シャーレス氏は、ダッソー・システムズが2013年からの1年で1万9000社におよぶ新規ユーザーを獲得。製品やソリューションサービスなどの開発に同社の製品を活用していると説明。世界の140カ国でビジネスを展開しており、今後もパートナーネットワークの拡張を続けていくと意気込みを語っている。また、同社は毎年開発に対して大きな投資を続けているほか、2012年からは毎月1社のペースで買収を行っており、企業の持続的成長に対する市場調査において、全業種部門で5位、ソフトウェア・サービス部門では1位に選ばれたことを紹介。「持続可能な開発は我々のためだけでなく、ユーザーに対するソリューション提供時にも、それぞれのお客様が持続可能な開発が行えるようになっている」と語っている。

 製品開発の歴史については、1981年から3D-CADの開発をスタートし、1995年には世界で初めて物理的なプロトタイプを作ることなく開発された飛行機であるボーイング777が市場デビュー。「これ以来、我々の“デジタルモックアップ”がすべての業界の変革にとって重要な意味を持つと示し続けてきた」としている。さらに2001年には「3D製品ライフサイクル管理」に発展し、2012年からは3Dモデリングなどのアプリケーション群で構成する製造業向けの開発プラットフォーム「3Dエクスペリエンス・プラットフォーム」を発表してきている。

ダッソー・システムズは世界に43個所の開発ラボを持ち、すでにある4つのクラウド拠点に加え、2014年中には3つのクラウドセンターを追加する
3DによるCADの製品開発から、物理的なモックアップが不要な「3D DMU」、製品ライフサイクルを管理する「3D PLM」と続き、2012年からはアプリケーションを統合させた「3Dエクスペリエンス」として市場に提供している

 同社の製品で中核となっている3Dエクスペリエンス・プラットフォームについては、仏ダッソー・システムズ エグゼクティブ・バイス・プレジデントのモニカ・メンギニ氏から解説された。メンギニ氏は「ダッソー・システムズの“4段階目”となる2012年に始めた3Dエクスペリエンスは、3Dでソフトウェアにできることに合わせ、ユーザーを巻き込むことができるシステムです。現代では、ユーザーは単に製品を買うのではなく、その製品にあるエクスペリエンス(経験、体験)を買うのです。“次の製品を作る”というのではなく、“次のエクスペリエンスを作る”というように考え方を変えた例示では、電気自動車のテスラであり、iPhoneも電話だから買うのではなく、ビデオや写真、iTunesのサービスなどがあるからiPhoneを買うのです。これを我々は“経験経済”といっています」と解説。そんな現代の製品開発に対応し、“エクスペリエンスをデザインする”プラットフォームとして3Dエクスペリエンス・プラットフォームを生み出したと語っている。

 また、3Dエクスペリエンス・プラットフォームをさらに強化する新しいアプリケーションとして、今年になって買収を完了したRTT(Realtime Technology AG)を「3DXCITE」、アクセルリスを「BIOVIA」という新ブランドに生まれ変わらせたことを説明。ビデオ映像を使い、3DXCITEがこれまで同社が培ってきた3D-CADのデータを効果的に視覚化し、自動車業界を中心にして製品開発からマーケティングまで幅広く活用できることを説明。BIOVIAは医療分野で使われることがメインとなる製品だが、ビデオのなかでは分子構造のモデリングが材料・素材の開発でも大きな力を発揮することを紹介し、例として自動車用タイヤが取りあげられているなど、自動車業界での製品開発に利用される可能性が大きいことをアピールしている。

仏ダッソー・システムズ エグゼクティブ・バイス・プレジデント モニカ・メンギニ氏
3Dエクスペリエンス・プラットフォームは自動車や航空機など12の業種に展開。同社のさまざまなアプリケーションを自在に連動させて開発に利用できる“エクスペリエンスをデザインする”製品となっている
現代では、消費者はただ製品を見るのではなく、そこにあるエクスペリエンスを判断材料にしていると解説
解説ビデオでは、製品の開発から生産、在庫管理など幅広い分野に3Dエクスペリエンス・プラットフォームが使われていることを紹介
ダッソー・システムズ 日本法人 代表取締役社長の鍜治屋清二氏は、この6月2日に日本のダッソー・システムズが設立20周年を迎えたこと、今年から本社の権限が委譲され、地域に合わせたビジネスが展開できるようになったことなどが説明された

3Dデータをさまざまな視点でチェックできる「3DXCITE」

展示会場の様子。ダッソー・システムズとプラチナ・スポンサーである「アルゴグラフィックス」のブースを中心に、四方に3Dデータを活用したさまざまな企業の展示が行われている

 このフォーラムでは、ダッソー・システムズのほか同社製品を導入しているさまざまなジャンルの企業から担当者などが出席して講演を行ったほか、実際の製品や導入事例などを展示会場で紹介している。このなかから、自動車関連で特徴的な展示について紹介する。

 5月に発表されたばかりの新ブランドである3DXCITEは、3D-CADのデータを視点や光源の位置を変更したり、車両に対する空気力学の影響の視覚化などに対応するアプリケーションの総称。すでに海外の一部メーカーでは販売店におけるユーザーへのプレゼンテーションに活用しており、今後は同社の3D-CAD「CATIA」との連携をさらに強化して3Dエクスペリエンス・プラットフォームの魅力を高めていくと説明された。

5月20日に発表されたダッソー・システムズの新ブランド「3DXCITE」の製品デモ。タブレット端末を使った直感的なUIも実装している
高精度非接触三次元測定システム「CM3」

 アルゴグラフィックスのブースで紹介されていた高精度非接触三次元測定システム「CM3」。ニコン インストルメンツカンパニーの多関節形三次元測定機「MCAx」と三井造船システム技研の3D制御・評価ソフト「Metrolog X4V5」を組み合わせ、計測した3DデータをCADデータに変換。ダッソー・システムズのCATIA V5と連携し、CADデータとの比較なども可能となっている。

アームの先に装着するハンドヘルドスキャナーで物体の形状をデータ化。自動車の開発・生産現場に広く普及しているCATIAと連動して、CADデータから製品化したものの比較や古い製品をCADモデル化するリバースモデリングなどに活用できる
アルゴグラフィックスのブース内で行われていたCATIAのビジュアライゼーションの解説
大塚商会のブースでも3Dスキャナーについて紹介
医療分野における3Dシミュレーション・モデリングにもダッソー・システムズの技術が使われている
3DXCITEのイメージムービー
BIOVIAのイメージムービー

(編集部:佐久間 秀)