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自工会、東京モーターショー2015の開催概要を発表、今秋には「東京モーターフェス」を開催

自らも30年ぶりに2輪車に乗り始めた池会長、8月に2輪車向けのイベント「浜松バイクまつり」を開催

会見の望む日本自動車工業会 会長の池史彦氏(左)と副会長・専務理事の永塚誠一氏(右)
2014年7月15日開催

 日本自動車工業会(自工会)は7月15日、7月度の定例会見を開催した。会長の池史彦氏(本田技研工業 代表取締役会長)が自動車市場の現況を説明したほか、2015年に開催予定の「第44回 東京モーターショー2015」の開催概要と今秋のイベント、8月に静岡県浜松市で開催される2輪車向けのイベントなどについて発表を行った。

4輪車総販売台数は6月度は前年同期比プラスだが……

「4月以降、店頭での受注は依然として厳しい状況が続いている」と自工会会長の池史彦氏

 会見では池氏が直近の販売状況を説明し、「4月から6月にかけての4輪車総販売台数は対前年同期比で98.1%、6月単月では100.4%、3カ月ぶりのプラス」と数値では回復傾向を見せるものの、「4月以降、店頭での受注は依然として厳しい状況が続いている」とした。これは自動車は購入契約から登録、納車までタイムラグがあることや、3月までに契約したものが納期の順番待ちで6月にずれ込んだものも含まれるためだ。

 この厳しい販売店の店頭状況について、「来店率であるとか受注状況は明らかに影響が出ていて、そこに対して各社がインセンティブや特別装備車でどうにか支えているという状況」と説明した。4輪車総販売台数の数値はバスやトラックも含んでいるため、「地域的にも温度差があり、地方は軽自動車の需要が大きく、軽自動車の落ち込みが激しい」と、特に軽自動車の販売状況が思わしくないことを匂わせた。しかし、現時点では3月に発表した「自動車2014年度の自動車国内需要見通し」の修正を行う考えはないとし、引き続き7月~9月期の動向を見守っていく考えを示した。

 なお、閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2014 および 日本再興戦略会議 改訂2014」について触れ、「法人実効税率が20%台への引き下げ」が盛り込まれていることから高く評価しているとした。

次回の東京モーターショーは2015年10月29日~11月8日に開催、今秋にイベントも

 会見では、2015年に開かれる東京モーターショーの開催概要も発表された。

 今回のトピックは、開催時期を前回の2013年よりも3週間前倒しし、前回、前々回のようなロサンゼルスや広州モーターショーとスケジュールのバッティングを解消したことを強調した。ただし、入場者数については、東京ビッグサイトの会場面積の関係から入場者の限界があるとしながらも、会期を前回よりも1日多い11日として入場者を増やしたいとの考えを示した。

 前回も出展を見送っているアメリカ“ビックスリー”などの勧誘については、「これから募集をかけるので」と方針を明らかにしなかったが、個人的な意見として「ぜひきていただきたい」と述べて持論を展開。「日本の市場が閉鎖的であると言われるが、たとえばドイツメーカーは積極的でシェアを伸ばしている。ドイツ単独で見てみると、金額的にも台数的にも完全に輸入超過。まず(東京)モーターショーを一緒に盛り上げたいというのが率直で個人的な希望」と、アメリカ勢にもラブコールを送った。

 また、今年は東京モーターショーを開催しない年ということで、今秋に東京 お台場でイベント「東京モーターフェス」を行うことも発表された。開催時期は10月11日~13日の3連休で、クルマファン、バイクファンの裾野を拡大するためのイベントになるとしており、詳細は後日発表とのこと。

2輪車向けのイベントを8月に開催

 また、8月21日に開催される2輪車のイベント「浜松バイクまつり ~バイクの日スマイル・オン2014~」の開催も発表。さらに8月22日には浜松で政府、自治体、2輪車関連団体主催による「第2回 BIKE LOVE FORUM」を開催することも発表、5月に発表した「二輪車産業政策ロードマップ」の実行施策に基づいた取り組み状況を紹介するとした。

 自身も30年ぶりに2輪車に乗り始めたという池氏は、このイベントにも参加予定。「(自工会の)持ち回りの幹事の3社のうち、2輪車を持ってるのはうち(ホンダ)だけ。自工会会長の任期中は特に力を入れたい」「BIKE LOVE FORUMは意見交換する絶好の場。みんなで意見を持ち寄って盛り上げていく」と意気込みを語るとともに、「自分で30年ぶりに乗ると気持ちがよいもの。でも世の中の理解が得られない。特に家内を説得するのが大変。2輪は危ないとか、マナーがわるいとか、そうではないと理解を広げるのが私の会長としての役目ではないか」と、2輪車に対する理解を深める活動をしていく姿勢を示した。

燃料電池から人手不足、リコールまでコメント

 そのほか会見では、燃料電池から人手不足、脱法ハーブに至るまでさまざまな質問が上がった。

 燃料電池の普及については「水素そのものは有望で、燃料電池車の将来性は高いが、課題が多い。導入時にはある程度のインセンティブに頼らざるを得ないが、将来的にメーカーの責任として(インセンティブに)頼らないことを目指す」とコメント。

 また、工場の期間従業員不足については、「生産性を上げるしかないが、前工程は自動化できるが最終組立は人手に頼らざるを得ない」と決め手となる解決策がないとの考えを示すとともに、「自動車の全体需要が伸びるわけでもないので、その兼ね合いで労働力を確保していく」とし、社員数を簡単に増やせない事情に理解を求めた。

 一方、部品の標準化を目指す自工会内に設置した標準化検討委員会については、「報道の仕方に誤解があったようで、鉄板の厚さをみんなで一緒にしようということではない」とまずコメント。「標準化は進めるべきで、仮に海外メーカー主導で標準化が進んだ場合でも、参加して“ガラパゴス”になることを避ける」などと委員会の役割を説明し、自工会には今までになかった「経営的な判断」を含めた標準化を検討する窓口として設定したと説明を行った。

(正田拓也)