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自工会、2014年度の自動車国内需要見通しを475万台 対前年度比84.4%と発表
3月度定例記者会見より。次期会長にはホンダの池史彦氏が内定
(2014/3/20 16:23)
自工会(日本自動車工業会)は3月20日、3月度の定例記者会見を開催。2013年度の自動車国内需要(一部推定を含む)と、2014年度の需要見通しについて発表した。また、会見に先立って行われた理事会で、2年間の任期で2012年5月から会長を務めてきた豊田章男氏に代わり、本田技研工業の代表取締役会長であり、自工会副会長も務めている池史彦氏が次期会長に内定したことも明らかにした。池氏は5月15日の理事会で正式に会長に選任される予定となっている。
2014年度の自動車国内需要は475万台 対前年度比84.4%の見通し
2013年度の4輪車総需要は563万台で、対前年度比108.1%。同2輪車は47万3000台で、対前年度比106.1%と発表された。4輪車の内訳では、登録車が340万台・対前年度比105.0%、軽4輪車が223万台・前年度比113.0%となっており、好調といわれている軽自動車は、2012年の対前年度比123.0%と2年連続で2桁増という結果を見せ、人気を裏付けている。
4輪車総需要の結果について自工会は、「年度前半は、経済対策や景気の緩やかな回復による下支えがあったものの、前年度に終了した補助金効果の剥落により、前年水準を下回った。年度後半は景気の回復に加え、新型車投入・モデルチェンジ効果や、消費税率の引き上げを控えた駆け込み需要により、市場は前年度を大きく上回り、通年でも前年度を上回ると見込まれる」と分析している。
また、2014年度については、4輪車総需要は475万台で、対前年度比84.4%と大幅な需要減を予想。同2輪車は46万9000台で、対前年度比99.2%としている。4輪車の内訳では、登録車が294万台・対前年度比86.5%、軽4輪車が181万台・前年度比81.2%。
この予想理由は「世界経済の緩やかな回復を背景とする輸出の増加や、企業収益の改善等による設備投資の増加、経済対策による公共投資が景気を下支えするものの、消費税率引き上げによる消費者マインドの低下が懸念される。また、2013年度の後半に発生した駆け込み需要の反動減も予想される」としている。
自動車が“愛車”と呼ばれ続けるよう切磋琢磨を続けたい
5月の総会で退任することになった自工会の豊田章男会長は、これまで2年間の支援に対して関係各位に感謝の言葉を述べたほか、志賀前会長から申し送られた車体課税の問題、また、クルマやバイクのファン作り、市場の活性化といった自動車産業を取り巻く課題について、ある程度ながら前に進む成果を挙げられたと自己評価している。
記者との質疑応答では、2014年の需要見通しが大きくマイナスになることを受け、自動車業界としてどのように対策していくのかという質問に対し、豊田会長は「何年か前の消費税アップのときには自動車の販売が100万台ほど落ち込みました。そこからは日本国内の需要は落ち込んだままですが、私たちはずっと消費税のアップに対して車体課税の見直し、世界基準に合わせるよう要望してきました。しかし、同時に税体系の変化やデフレ脱却を目指す動きは、日本に軸足を置くメーカーとして、この国の将来に対して責務があると考えています。競争力の部分を、単純に原価やコストだけで判断せず、月曜になれば全員が遅れることなく職場に集まり、勤勉に働いてチームワークを発揮するといった部分が日本にはあると思います。そんな日本のもの作りを守るための競争力がどんなものであるのかを、みなさまのアドバイスを受けながらこれからも考えていきたい」と語った。
また、リーマンショック以降、東日本大震災なども発生したなかでどのタイミングが最も大変だったのかという質問に対しては、「いつが厳しかったかという質問ですが、全部厳しいというのが感想です。昨年はおかげさまで私が社長になってから初めて平穏無事な年になりましたが、これはいろいろな意味で“追い風参考記録”だと思っています。私たちが求めているのは“競争力を持った持続的な成長”で、これから持続的に成長するためにどんな競争力を身につけられるかの結果で将来的に評価されることになります。まだ過去を振り返っているゆとりはありません」と回答。クルマファン、バイクファンを増やす活動については、「工業製品のなかで、Loveの愛が使われるもの、“愛車”と表現されるようなジャンルは自動車ぐらいだと思っています。これからも、自動車に愛着を持って、愛車と呼ばれるようなものであり続けるために各社が切磋琢磨を続け、ブランド価値を持った商品を出していくことが自動車業界の未来につながると思います」とコメントしている。
このほか、国会を通過したばかりの新年度予算については、名尾副会長が「昨年度と本年度の補正予算、来年度予算といった予算案がシームレスに続いていくことが経済活動には大切で、これまではねじれ国会のなかで予算案が年度をまたぐようなこともありましたが、今年は年度内にスムーズに成立し、予算執行も順調に進んでいくということは日本経済全体にとってよいこと」と回答している。