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トヨタ、ジュリー・ハンプ氏が麻薬取締法違反で逮捕された件に関する記者会見

豊田章男社長「かけがえのない大切な仲間」

2015年6月19日開催

 トヨタ自動車の豊田章男社長は6月19日、同社のジュリー・ハンプ常務役員が麻薬取締法違反で逮捕された件に関する記者会見を行った。

 会見で登壇した豊田社長は「弊社の常務役員の件で、世間をお騒がせすることになり誠に申し訳なく思っております」と陳謝した。

「私にとっても、トヨタにとっても、ジュリー・ハンプ氏はかけがえのない大切な仲間です。今の私たちにできることは、仲間を信じて当局の捜査に全面的に協力することだと思っております。そして、今後の捜査を通じて、ジュリー・ハンプ氏に”法を犯す意志がなかった”ことが明らかにされることを信じています」。

「現時点で、私どもが把握している事実は限られておりますが、まずは、私自身が皆様の前で、自分自身の言葉で、ご説明することが大切だと思い、このような場を設けさせてもらいました」と述べた。

 記者からの質問に対して、豊田社長は「事件について耳に入ったのは昨日(18日)の13時、“警察から連絡があった”と人事担当役員から連絡が入った。私がその場でとった最初のアクションは“まず事実を把握しなければならない”ということでした」。

 続けて、「私の直属の部下も従業員も、いわば私にとっては子供のような存在、子供を守るのは親の責任、迷惑をかければ謝るのも親の責任だと思っている。ハンプ氏は、信頼するかけがえのない仲間だと“どうすれば、ハンプ氏の支えになるのか?”ということを、我々がとるべき最初のアクションと捉えている」との考えを示した。

 加えて、「ハンプ氏が日本に住むということは、真のグローバル企業としての第一歩だったと思っている。これまで、日本人の役員が海外の拠点に常駐することはあったが、ハンプ氏のように日本国籍でない役員が日本に常駐するというのは初めてのケースで、そういう意味ではハンプ氏をサポートする準備が会社として不足していたのは反省している」と述べた。

 また、ハンプ氏を女性役員として登用した理由について質問されると、豊田社長は「ひと言で言うと人柄だと思います」と回答。続けて、「国籍や性別に関係なく適材適所が大切だと考えた4月からの新体制は、現場を任せられる人であることが重要なポイントだった。ハンプ氏は、担当する部署のメンバーと“10分ミーティング”と称して全員と語る時間を実施し、英語が分からない社員に対しては、ゆっくりとコミュニケーションを図っていた。私が企業スポーツの応援に行くときには、ハンプ氏が他の従業員と一緒に応援していたり、日本に溶け込もうという努力を、私が見た中でも人一倍努力をされている方だなと思った」と、ハンプ氏の印象を語り、登用の理由としては「部下とのコミュニケーションを大切にしていた点」「日本のトヨタに慣れようと努力をしていた点」などを挙げた。

 豊田社長は「私からは、チーフコミュニケーションオフィサーという役割を任命していたが、私がニュースリリースを配信するとき、この表現がお客様にどのように理解されるのか、海外ではどのように捉えられるのかアドバイスを受けていた。一字一句にこだわって確認するようなところは、コミュニケーションオフィサーとしての当事者意識も相当あったはず」との認識を示した。

会見に登壇した早川茂取締役・執行役員、豊田章男社長

 会見では、今後の役員体制に対する方針や業務への影響などの質問が続いたが、豊田社長は「今の私どもにできることは、仲間を信じて、当局の捜査に全面的に協力することだと思っている」とのスタンスで、明確な回答を控えた。

(編集部:椿山和雄)