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トヨタ、通常モデルは約25%、ハイブリッドモデルは約15%燃費を向上

「もっといいクルマづくり」の取り組み状況

2015年3月26日発表

 トヨタ自動車は、2011年3月に策定した「トヨタグローバルビジョン」に基づき、「持続的に成長し続ける企業」を目指して、「もっといいクルマづくり」に向けた取り組みを進めている。

 その最新状況を3月26日に発表した。豊田章男社長の「2015年は、TNGA(Toyota New Global Architecture、以下TNGA)を導入した新型車の市場投入など、これまでの『意志ある踊り場』での取り組みを踏まえ、持続的成長に向けて、着実かつ大胆に歩みを進める年にしたい。本年3月に発表した新しいマネジメント体制のもと、人材育成を含めた真の競争力を向上していくことが重要であり、『年輪』を刻むように持続的に成長する企業を目指したい」とのコメントとともに発表された現状は、通常モデルの燃費25%向上やハイブリッドモデルで燃費15%向上など具体的成果に触れられている。以下に、TNGAの取り組み状況を全掲載する。

 なと、豊田章男社長は3月29日13時から個人投資家向けIRイベント「TOYOTA Investors Meeting 2015」を公式Webやニコニコ生放送で生中継する。

豊田章男社長も登場する個人投資家向けIRイベントを3月29日13時からWeb中継

http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150320_693854.html


1.TNGAの取り組み状況

 トヨタが更に持続的成長を続け、「もっといいクルマづくり」を継続していくため、TNGAではパワートレーンユニットとプラットフォームを刷新し、一体的に新開発することにより、クルマの基本性能や商品力を飛躍的に向上させていく。その上で、グルーピング開発による部品・ユニットの賢い共用化をすすめる(従来に比べ20%以上の開発リソーセスを削減見込)。更に仕入先と協力して原価低減も推進することで得られたリソーセスも含めて、先行技術開発や商品力強化に再投資していく。

1.「新パワートレーンユニット」

 クルマの中核となるパワートレーンユニットでは、低重心化、軽量・コンパクト化、統一設計によるモジュール化など、クルマの基本骨格を決める要素をプラットフォームとパワートレーンユニット間で連携しながら新開発することで高性能・低燃費を追求するとともに、もっとかっこいいクルマ、より卓越したハンドリングにも貢献。エンジンの熱効率やトランスミッションの伝達効率を向上させることで、パワートレーンシステム全体(エンジン・トランスミッション)で燃費は約25%、動力性能は約15%以上向上。

 またハイブリッドシステム(エンジンを含むシステム全体)では、駆動ユニットの配置見直しやモーター・インバーター・電池の小型化、高効率化を図ることで燃費の15%以上向上を見込んでいる。トヨタは新パワートレーンユニットを2015年に導入開始し、ハイブリッドシステム、トランスミッション、エンジンを順次刷新していく。

2.「新プラットフォーム」

 新プラットフォームは、アンダーボディやサスペンションを刷新・新開発するとともに、パワートレーンユニットを低重心・低配置化することで、クラストップレベルの低重心高を実現。低く構えた、かっこいいデザイン、気持ち良いハンドリング、質感の高い乗り心地、安全・安心をお届けする衝突安全性能などに貢献。骨格構造の見直しなどにより、ボディ剛性の向上(従来比30~65%向上)を図るとともに、ボディ接合にレーザー溶接技術を採用することなどでボディ剛性を更に高めていく。トヨタは新プラットフォームを2015年中に発表予定のFF系ミディアム車から導入、FF系のコンパクト車・ラージ車、FR系の車種にも、それぞれに対応する新プラットフォームを順次展開し2020年頃には全世界の販売台数の内、約半数に導入される見込みである。

2.生産分野での取り組み状況

 生産分野では、「意志ある踊り場」とする中で、あえて新工場の新設を凍結し、既存工場の能力を最大限有効活用する取り組みを進めているほか、モデル切替時の設備投資額の低減を推進。また、工場投資の画期的な投資低減策の策定、環境・安全面でのさらなる取り組みなど、より競争力を高めた「もっといい工場づくり」に徹底して取り組んでいる。

 加えて、「もっといいクルマづくり」のもと、商品力向上に向けてデザインや機能の実現性を従来以上に可能とする生産技術開発の取り組みも積極的に進めている。あわせて人材育成のための取り組みも更に推進するなど「持続的成長」に向けた新たなステージへの準備が着実に進められている。

1.「既存工場・設備の使い切り」

 2013年以降、ラインの汎用性を高め、複数工場で同一車種を生産するリンク生産を進めるとともに、機械の故障や保全作業で生産を休止させる時間を極力無くすことなどに取り組み、各工場のわずかな余剰能力の徹底的な使い切りを行い、稼働率はグローバル全体で2009年の約70%から90%を超えるまでに向上。

2.「モデル切替時の設備投資の低減」

 2015年には車両モデル切替時の設備投資額を2008年比約50%低減することを目標に取り組みを推進。ユニットも同様の取り組みを進めている。

 また、今後、新しくTNGAプラットフォーム・ユニットを立上げる際には、一時的に設備投資額が増加するものの、これまでの投資低減努力が大きく寄与するため、2008年時の投資レベルを下回る見込みである。また、TNGAの賢い共用化により、同一ライン内に複数のプラットフォームやユニットを追加で混流させることが可能となるため、需要変動へのよりフレキシブルな対応や、大幅な投資低減が可能となる。

3.「従来以上に競争力のある工場づくりに向けた取り組み」

 現在の「意志ある踊り場」で取り組んでいる「もっといい工場づくり」および生産技術分野での「もっといいクルマづくり」で蓄積してきた考え方や技術を結集し、従来にない風景を持つ、持続的成長が可能な競争力のある工場をつくりたいと考えている。

 工場の初期投資については、2008年当時と比較して約40%低減できる目処がつきつつあり、主な低減の内容としては、工場の天井から吊る、床面を掘るなどして設置していた大型設備を床に直置き可能なコンパクトな設備に切り替えたり、塗装ブースの設備を小型化するなどの、「シンプル・スリム」な生産ラインへの取り組みがあげられる。

 また、約40%の投資低減を原資に、エネルギーマネジメントを含め、環境にやさしい工場づくりを進めることで、CO2排出量も2008年比55%程度削減できる見込み。

 このような取り組みを重ね、従来の「量を求める」工場から「競争力のある」工場づくりを目指す。

4.「生産技術分野発の『もっといいクルマづくり』の推進」

 「意志ある踊り場」で取り組んできた投資低減で得られた原資をもとに、成形技術の進化による高意匠の実現や、より高い溶接技術によってボディ剛性を向上させるなど、生産技術分野における「もっといいクルマづくり」のための商品力向上に取り組んでいる(一部の技術は既に量産車に搭載済み)。

(編集部:谷川 潔)