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トヨタ、世界初の発進用ギヤを採用した無段変速機「Direct Shift-CVT」を開発
TNGA新パワートレーンとして新型2.0リッターハイブリッド(THS II)など発表
2018年2月26日 14:55
- 2018年2月26日 発表
トヨタ自動車は2月26日、乗用車用として世界初となる発進用ギヤを採用した新型CVT(無段変速機)「Direct Shift-CVT」のほか、TNGA(Toyota New Global Architecture)による新型パワートレーンを発表した。
新型CVTは、新たに発進用ギヤを採用することで従来のCVTに対して低速域の伝達効率を大幅に改善。アクセル操作に応じたダイレクトでスムースな走りとともに、現行比+6%の燃費性能を実現するという。
同社は新型CVTと合わせて、TNGA新型パワートレーンとして新型6速MT(マニュアルトランスミッション)、新型2.0リッターエンジン、2.0リッターハイブリッドシステム、4WDシステムを発表。
今回発表した新しいパワートレーンは、今春以降、搭載車種をグローバルで拡大。5年後の2023年には、TNGAパワートレーン搭載車を約80%以上に拡大(日本・米国・欧州・中国が対象)、CO2排出量で18%以上削減を目指す。
新型CVT(無段変速機)「Direct Shift-CVT」
新型CVT「Direct Shift-CVT」は、トランスミッションの基本性能「伝達効率の向上」「エンジン高効率領域の活用」「高応答変速」を強化するため、「機械損失低減」「ワイドレンジ化」「変速追従性向上」の取り組みにより、ダイレクトでスムースな走りと現行比+6%の優れた燃費性能を実現。
「機械損失低減」では、ベルト効率の悪いロー側使用時の伝達効率を向上させるため、乗用車用CVTに世界で初めて発進用のギヤを採用。発進時はギヤ駆動とすることで、力強い加速を実現するとともに、アクセル操作に対して一瞬遅れるようなもたつき感を改善、スムースで気持ちの良い発進性能を実現。ギヤとベルトの切り替えには、AT技術で培った高応答の変速制御技術を使用する。
「ワイドレンジ化」では、発進用ギヤの採用に合わせて、ベルトをハイ側に設定。より効率よくベルトを使用するとともにワイドレンジ化し、2.0リッタークラストップの変速比幅7.5を実現。
「変速追従性向上」では、発進用ギヤの採用により、入力負荷が軽減されたことで、ベルトおよびプーリー部の小型化を実現。ベルトを狭角化するとともにプーリーを小径化し、変速速度を20%向上させた。これにより、ドライバーはパワフルでリズミカルな加速を感じることができるという。
新型6速MT(マニュアルトランスミッション)
新型6速MT(マニュアルトランスミッション)は、世界トップレベルの軽量・コンパクトなMTに、リバース専用シンクロの実現。MT操作を制御でサポートし、ドライバーの負担を更に軽減する。
新型直列4気筒 2.0リッター直噴エンジン「Dynamic Force Engine(2.0L)」
新型直列4気筒 2.0リッター直噴エンジン「Dynamic Force Engine(2.0L)」は、「2.5L Dynamic Force Engine」の熟成を進めて「Direct Shift-CVT」との組合せで、競合過給エンジンと互角以上の動力性能と、これらを凌駕する燃費を実現するという。
今後、2.0L Dynamic Force Engineはトヨタの中核エンジンとして展開される。
2.0リッタートヨタハイブリッドシステム(THSⅡ)
2.0リッタートヨタハイブリッドシステム(THSⅡ)は、新型「カムリ」に採用されたHVシステムの小型・軽量・低損失化技術を、2.0リッターエンジン用HVシステムへ継承したもの。
新型4WDシステム「Dynamic Torque Vectoring AWD」/「E-Four」
新型4WDシステム「Dynamic Torque Vectoring AWD」/「E-Four」は、さらなる燃費向上と、4WDでの高い操縦安定性、走破性を目指し、エンジン車とハイブリッド車に採用する2種類の4WDシステムを開発した。
なお、同社ではTNGAによる新型パワートレーンについて、2021年までにエンジンは9機種・17バリエーション、トランスミッションは4機種・10バリエーション、ハイブリッドシステムは6機種・10バリエーションの投入予定。
これら新パワートレーンは、従来型のエンジン車の環境性能、走行性能の向上に寄与するのはもちろんのこと、その基礎となる技術の一部は、今後普及を続けていくHV(ハイブリッド車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)といった電動車においても、性能向上に反映されるとしている。