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トヨタ、第3四半期の決算を発表。通年の純利益見込みを2兆2700億円に上方修正
愛知製鋼の事故については「全社を挙げて一丸となって対応し、2月15日に稼働を再開することを決定」
(2016/2/5 20:10)
- 2016年2月5日発表
トヨタ自動車は2月5日、2016年3月期 第3四半期(2015年10月~12月)の決算を発表した。第3四半期の連結販売台数は221万5000台となり、前年同期比で4万8000台減となったものの、4月から12月期までの9カ月累計では売上、営業利益、純利益とも前年同期を上回った。その結果、通年の業績見込みは純利益で200億円の上方修正をする2兆2700億円と発表した。なお、この見通しには愛知製鋼の事故による工場稼働停止の影響は盛り込まれていない。
四半期では台数は減少するが売上高や純利益はプラス
販売台数では、北米で販売を伸ばしたものの、原油安、通貨安で中近東、中南米の市場低迷、競合激化の影響を受けたアジアなどで販売減少により販売台数を減少。前年同四半期比に比べ、4万8000台減少の221万5000台となり、9カ月累計では前年同期比24万7000台減少の649万3000台となった。
第3四半期の連結決算については、売上高7兆3398億円、営業利益7222億円、税引前利益7777億円、当期純利益6279億円となり、売上高、純利益はプラスとなったものの、営業利益が前年同期比で406億円の減少。理由としては、各地で進めた原価改善の努力が増益要因となったものの、販売台数の減少、研究開発費などの増加により減益となった。
地域別に見ると、日本国内はシエンタ、アルファード、ヴェルファイアなどの新型車が販売を牽引するも、低迷する軽自動車市場の影響を受けて台数はマイナスとなる49万3000台(前年同期比5000台減)。営業利益は、原価改善が進んだが、研究開発費や減価償却費の増加で3927億円(同320億円減)。
北米については、RAV4、レクサス NX、4ランナーなどSUVが市場を牽引して台数ではプラスだが、比較的小型のクルマで販売費用がかさんだことで営業利益ではマイナス。欧州ではフランスなどの西欧諸国でオーリス、ヤリスなどが販売を伸ばすものの、市場低迷が続くロシアでの販売減少の影響もあり、台数、利益ともに減少した。
また、アジアは市場低迷のインドネシアや、競合激化のタイで販売台数が減少した。ただし営業利益は、現地通貨安による輸出採算の改善や、原価改善の進展により増加した。この地域では新興国向けのIMVシリーズのコスト競争力を高めながら、グローバルでの効率的な生産・供給体制を強化するという。
その他の地域については、カムリなどが堅調に推移するオセアニアで販売が増加したものの、中南米、中近東では減少し、台数、利益とも減少となった。
通年の純利益をプラス修正、ただし工場稼働停止の影響は盛り込まず
通期見通しの説明の前に、愛知製鋼の爆発事故による部品供給の問題で、トヨタの国内工場の稼働停止についての影響が盛り込まれていないことが説明された。
工場は2月8日から停止して2月15日から稼働再開するが、現時点ではその影響を見積もることができないため。単に停止期間中の生産遅れのほか、部品を急いで輸送する追加コストや、遅れた分をどれだけ取り返せるかということも含め、これから精査するという。
連結販売台数見通しは、前回公表から北米で2万台増、中南米、中近東でそれぞれ1万台減という修正がなされ、その結果、通年の連結販売台数は前回公表と同じ875万台に据え置かれた。
通年の連結決算の見通しについては、売上高2兆7500億円、営業利益2800億円、税引き前利益2980億円は前回公表から修正なし。当期純利益のみ変更となり、持分法投資損益の見直しで200億円の上方修正となる2兆2700億円となった。
営業利益の増減要因については、為替変動、原価改善の努力でプラスになるものの、営業面、諸経費の増加によりプラス分を吸収して修正なしとした。また、研究開発費・設備投資・減価償却費は前回公表より設備投資で200億円の増加。これはTNGA関連投資を一部前倒しで進めているため。
工場稼働停止の影響はまだわからない
決算発表では、工場稼働停止についての質問も相次いだ。早川氏は「代替生産を引き受けていただいた鉄鋼メーカーの皆様のご支援に心から感謝。仕入先、販売店をはじめ多くの方々にご理解、ご協力いただいていることに重ねて感謝申し上げる。現在、国内工場の稼働の再開に向けて、全社を挙げて一丸となって対応を続けている」と述べ、今後の予定については「2月15日に稼働を再開することを決定した。残業も計画されていたレベルで行なう、通常の稼働になる予定。休日出勤等も予定どおり実施していく予定」と説明した。
これまでの状況としては「1月8日に事故が起きて以降、愛知鉄鋼内の代替ライン、他のメーカーへの生産委託など、あらゆる手を尽くして生産に影響が出ないように取り組んできたが、部品供給の状況から稼働を一時停止する」と説明。さらに「在庫を持つよりも、非常時にラインを止めて、その原因追求をして問題解決を図ることがお客様の安心安全はもとより、長期的な競争力の向上につながるというのが、われわれのトヨタ生産方式の基本的な考え方」と話し、理解を求めた。
一方で、今回の件で影響が出る他の仕入先に対して「現時点ではまだ決めていないが、必要な支援については検討していきたいと思っている。仕入先には損害、または特別な費用が発生する場合には、保証を検討する旨をお伝えしている」と述べた。
また、大竹氏は「年度内の国内生産の減少という影響が出てくるかと思っている。ただ、海外生産事業体の稼働は通常どおりで、海外生産の影響はないと考えてもらいたい」と影響が全体に及ぶものではないとし、影響を精査したタイミングであらためて今回の影響を発表する考えを示した。