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三菱自動車、相川社長「未来に向けた道筋ができた」

中尾副社長「子会社の責任で不正が発生したとは思っていない」

2016年5月18日 発表

三菱自動車工業株式会社 代表取締役社長兼COO 相川哲郎氏

 三菱自動車工業は5月18日、燃費不正問題に関わる社内調査の結果を国土交通省へ報告。同日開催された記者会見では、相川哲郎代表取締役社長兼COO、中尾龍吾代表取締役副社長が、6月24日の定時株主総会をもって辞任することが発表された。

 一方、取締役会長兼CEOの益子修氏は、年内に開催される臨時株主総会で成立する新体制が整うまで報酬の全額を自主返納するとともに、現職にとどまり課題の解決に取り組む考えを示した。

 益子氏が挙げた具体的な課題として、「会社を代表して再発防止に向けた体制づくりを行なうこと」「水島工場での軽自動車の生産継続、岡山県にある部品メーカーの存続にむけて最大限の努力をすること」「外部調査委員会の調査結果を受けて適切な処置と新体制へ引き継ぐ事項を確認すること」「日産自動車の資本参加実現にむけて手続き交渉を行なうこと」「日産自動車との提携によるシナジー効果の見極めを早急に行なうこと」などを挙げた。

 今回、辞任を決断したことについて、相川社長は「(先週の)日産自動車との資本業務提携の記者会見があった12日に決断しました」、「三菱自動車の永続的な未来に向けた道筋ができたと思ったこと、開発部門の改革には外の血が必要だと考えていたが、資本業務提携により日産自動車から開発のトップになってくれる方が来ていただけるということで、安心して後を任せられることから辞任を決断した」などと話した。

 また、中尾氏は「開発のトップとして、こういう事態を招いたことに対する管理監督する責任を取る必要があると感じていた。相川社長には第1回の記者会見が終わった後で辞任の意向は示した」と話した。

三菱自動車工業株式会社 代表取締役副社長 中尾龍吾氏

 今回、同社が国土交通省に報告した不正発生の原因については、三菱自動車の性能実験部部長および性能実験部管理職が、燃費目標達成の難しさを認識していたにも拘わらず、燃費目標達成業務を子会社の三菱自動車エンジニアリングに丸投げの状態で、子会社管理職からの相談、報告があった場合しか対応していなかったとした。

 さらに、子会社からの報告内容の検証をすることもなく最終設計品質確認会議等で報告しており業務責任を果たしていなかったとした。また、プロダクト・エクゼクティブおよび開発プロジェクト・マネージャーも、走行抵抗の詳しい確認をせず、燃費値の測定結果報告を受けることに終始していたなどと報告している。

 会場の記者から「会見全体の印象として子会社に責任を押し付けている印象があるが?」との質問に、中尾氏は「今回の原因にも書いておりますが、三菱自動車の性能実験の管理職が子会社の業務を検証する必要があり、業務責任を果たしていないと明確に書いている。必ずしも子会社の責任にしているわけでなく、三菱自動車の本体が責任があると明記しているので、そこはご理解いただきたい」と解答。

 加えて「会社自体も日産自動車との合弁プロジェクトで気負いがあり、部長職とかも下に対してプレッシャーあったことは否定できない。必ずしも子会社の責任で不正が発生したとは思っていない」との考えを示した。

 また、調査報告では国交省に提出する走行抵抗値について、燃費をよくするための不正なデータ操作を認めている軽自動車4車種「eKワゴン」「eKスペース」「デイズ」「デイズ ルークス」の調査状況を示すとともに、軽自動車4車種以外の現行販売車の調査結果については、走行抵抗値の測定について法令に定められた方法で測定していないことを認めたものの、燃費をよくするための不正なデータ操作は行なわれていないとした。

 中尾氏は「RVRについては試験車の実測を行なわず、同じプラットフォームのギャランフォルティスのデータを元に机上計算を行なった。これは燃費をよくしようとする不正ではなく、時間や実験を短く済ませようとするものが根底にあると考えている。(改めて測定した)正規の方法でとったデータでも諸元値に対して余裕を持っており、燃費を意識した不正でないとは思っている。軽自動車の4車種の不正と、パジェロやRVRはそういった意味で違っていると我々は判断している」などと説明した。

記者会見に三菱自動車工業株式会社 取締役会長兼CEOの益子修氏らが出席

(編集部:椿山和雄)