試乗レポート

ハーレーダビッドソン「パン アメリカ 1250」「パン アメリカ 1250 スペシャル」に試乗 足つきの不安を感じさせない「スペシャル」に感動

2021年6月30日 開催

パン アメリカ 1250 スペシャル

 ハーレーダビッドソン ジャパンは、ハーレー初のアドベンチャーツーリングモデル「パン アメリカ 1250」「パン アメリカ 1250 スペシャル」の日本モデルをデビューさせる。6月29日から報道関係者に向けた試乗会が開催されており、記者も参加することができたので、その様子をお伝えしたい。

 同試乗会では、パン アメリカ 1250とパン アメリカ 1250 スペシャルの2タイプを乗り比べることができた。結論から先に述べておくと、アダプティブライドハイト機能などを搭載する「パン アメリカ 1250 スペシャル」の仕上がりに感動した。

パン アメリカ 1250 スペシャルへのパニアケース装着例

 はじめに記者の運転技量を説明しておくと、大型免許は取得したものの季節のいい時期にレンタルバイクでツーリングを楽しむ程度のペーパーライダーである。身体情報も示しておくと身長169cmで、股下77cm。アドベンチャータイプのバイクに乗るのは初めてで、ハーレーダビッドソンのバイクに乗るのも初めてだ。

 これまでに、大型モデルではドゥカティ「ディアベル」やホンダ「ゴールドウィング」といったシート高が低めの車両に乗る機会はあっても、シート高の高いアドベンチャータイプは初体験。この試乗会に参加するにあたり一番の関心事は、はたしてこのバイクにまたがってきちんと運転することができるのか? という部分。立ちごけが一番の恐怖であった。

 ハーレーダビッドソンでは、こうしたユーザーの不安を解消するためか、パン アメリカ 1250 スペシャルには、専用機能として「アダプティブライドハイト(ARH)」が装備された。パン アメリカ 1250のシート高890mm(無負荷状態)に対して、パン アメリカ 1250 スペシャルではシート高が830mm~873mmで自動的に高さが調整される。静止・停車中にシート高を低くし、走行中は最適な車高の間で自動的に切り替えを提供する業界初の新技術という。

標準モデルのパン アメリカ 1250。パン アメリカ 1250 スペシャルに対して、キャストホイール(オプションでスポークホイールに変更可能)やタンクに立体的なバッヂが装着される

 同じくパン アメリカ 1250 スペシャル専用機能として採用された「電子調整式サスペンションシステム」とARHを組み合わせることで、ライダー、同乗者、荷物の重量を感知・自動調整して最適な車高を決定。これにより、アドベンチャーバイクに起こりがちな“停車時の足つきのわるさ”を改善させたという。

パン アメリカ 1250 スペシャル専用装備として自動的に車高を調整する「アダプティブライドハイト(ARH)」と「電子調整式サスペンションシステム」が装備される

 そのほかにもパン アメリカ 1250 スペシャルについては、ライダー自身で選択可能な5つのサブモードも用意され、シーンや好みに応じた車高調整も可能という。

 実際にパン アメリカ 1250 スペシャルの試乗タイムでは、坂道で一時停止して再び発進する場面など、バランスを崩しそうなシーンにおいても、足つきがいいので非常に安心感が高い。アドベンチャーモデルに乗りなれた人であれば不安はないのかもしれないが、標準モデルのパン アメリカ 1250では、自分が思っている以上に足を伸ばさないと足が届かなくドキッとさせられる場面があり、記者にとっては大きな安心感を感じられた。

 車両重量については、パン アメリカ 1250で245kg、パン アメリカ 1250 スペシャルで258kg。小型軽量モデルと違って大型モデルなので、バランスを崩さないように慎重に取り扱わなければならないが、重心点が低い位置にあるのだろうか、Uターン時などの低速域での取りまわしに関して安心感を感じた。

パン アメリカ 1250 スペシャル

 アドベンチャーモデルに初めて乗る記者にとっては、走り出す前後の不安が大きかったのだが(試乗会の前の晩はあまり寝れなかった)、ひとたび走り出してしまえば大型バイクは非常に安定感のある乗り物であるというのはこれまでも経験済みで、このモデルでも同様。ブレーキやクラッチなど操作系で不満を感じる部分はなく、コーナーリングにおいても特別な体の動きを求められることもなく、コーナー手前でしっかり減速してゆったりとコーナーリングすれば怖い思いはしない。

 さらに、電子調整式サスペンションシステムを搭載するパン アメリカ 1250 スペシャルに関して言えば、まるでカーペットの上を走っているかのようなこれまでに経験したことがない乗り心地に感動したことを付け加えておく。

 エンジンは、最高出力112kW(152PS)/8750rpm、最大トルク128Nm/6750rpmを発生する新開発の水冷Vツインの1250ccエンジン「Revolution Max 1250」を搭載。発進時や低速域で扱いやすいトルクがあることや高回転までまわせるエンジンであることを確認することができた。

「Revolution Max 1250」を搭載。写真はパン アメリカ 1250 スペシャル

 ハーレーダビッドソンのバイクを初体験したという部分では、エンジンのキャラクターはそのバイクブランドを選ぶ決め手の1つとなると思っているのだが、今回の試乗においては、クルージング時に感じられた静かな鼓動感による気持ちのよさが印象に残った。

クルージング時の静かな鼓動感が心地いい

 価格は、パン アメリカ 1250が231万円、パン アメリカ 1250 スペシャルが268万円。記者の視点からすると、この価格差を考えてもパン アメリカ 1250 スペシャルのほうを選ぶ価値があると思った。

 全国のハーレーダビッドソン正規ディーラーでは、実際に試乗することができる「Pan America デビューフェア」を7月17日~8月1日に開催。数量限定非売品の特製アイスタオルの進呈なども企画されているので、このモデルが気になっている人であれば、実際に試乗してその感覚を確かめてほしい。

パン アメリカ 1250 スペシャル
パン アメリカ 1250
編集部:椿山和雄