試乗記
アルファ ロメオ待望のコンパクトSUV「ジュニア」に乗った! 48Vマイルドハイブリッド「イブリダ」の印象は?
2025年7月1日 08:00
ステランティスのグローバルプラットフォーム「CMP」搭載モデル
アルファ ロメオからBセグメントのコンパクトSUVがリリースされた。その名も「ジュニア」。BEV(バッテリ電気自動車)とマイルドハイブリッドが設定されている。ホイールベースは2560mm。フィアット「600 Hybrid」と共通でステランティスグループがグローバルで展開するCMPプラットフォームを使う。ちなみにパワートレーンも共通で1.2リッター3気筒ターボと16kWのモーターを内蔵したデュアルクラッチ6速トランスミッションの48Vマイルドハイブリッドも共通だ。
ではボディが違うだけかといえばそうではない。ブランドはそれぞれ目指すものが違う。同じパーツを使っても全く違うクルマに仕上がることをフィアットとアルファ ロメオは証明していた。
ボディサイズはBセグだけにコンパクト。4195×1780×1585mm(全長×全幅×全高)は最新のラインアップではアルファ ロメオ最小のモデルになる。駆動方式はFFのみだ。
エクステリアはかなり挑戦的。高いボンネットと特徴的なフロントグリル。テールエンドは垂直に断ち切ったようなコーダトロンカ(アルファ ロメオのレーシングクーペで採用された)のモチーフが採用されて、ユニークで独創的。試乗中も注目されたことが多く、多様なクルマが走る東京では珍しい。
インテリアもスペースよりもドライビングの高揚感を重視したドライバーを中心とした2眼のメーターレイアウト、エアアウトレットにもLEDライトを置くなど暗いところでもアルファ ロメオらしい演出は行き届いている。
走りはしっかりアルファ ロメオ
シートを合わせてスタータースイッチを押すと、フィアット・600 Hybridとは違ったエキゾーストノートが響く。3気筒エンジンでもそれなりに重みがあるところもアルファ ロメオらしい。出力はシステム出力で145PS。48Vマイルドハイブリッドも効果的だが、フィアットではスタートして速度が上がるまでEV走行が可能だったように記憶するが、アルファ ロメオではエンジン始動のタイミングが早いようだ。
ドライブモードはDynamicとNatural、Advanced Efficiencyの3種類が選択できる。平たく言えばそれぞれスポーツとノーマル、エコとなり、どのモードで走っても違和感がなく自然に走れる。例えばDynamicはアクセルの感度がよくなり、グンと前に出るが過敏ではなく日常的に使っても不自然ではないし、Advanced Efficiencyも極端な出力制御に入ることがなく、自然に燃費向上できドライバビリティは変わらないのにそれぞれのモードでスポーティさを感じさせるのはさすがである。
そもそも1.2リッターターボは小排気量の割にはフラットトルクでどこから踏んでもパワーバンドに乗るような柔軟性を持っているが車種によって引き出しが違うのか、アルファ ロメオらしいとがった感触を持たせているのが面白い。
フィアット・600 Hybridでは穏やかでトルク感のあるおおらかな走りだったのに対しアルファ ロメオはドライバーを刺激するメリハリ感を出している。同じパワートレーンとは思えないほどだ。
一方6速DCTはフィアット・600 Hybridでは滑らかな変速でトルコンのように使えたが、アルファ ロメオはまだ新品ということもありキャリブレーションができていないのか、低速での変速にギクシャクしたところが残っていた。速度が乗ると気にならないが減速途中でギヤ選択を迷うことがしばしばだった。こういう機械的なところもスポーツカーメーカー、アルファ ロメオの「らしさ」を感じるといったらひいき目過ぎるだろうか。
装着タイヤはグッドイヤーの「EfficientGrip Performance 2」でサイズは215/55R18。ベースグレードのCoreでは17インチだがPremiumで18インチになり、試乗車はこちらを履いていた。
サスペンションはスポーツSUVらしく固められており路面からのあたりは強めだがビシッとした乗り心地となっている。荒れた舗装でもリアサスペンションがバタつかず、ショックアブソーバーの減衰力設定も適しており、チューニングも巧みだった。
ステアリング系もキビキビとした正確さがあり、フィアットのおおらかさとは別ものに仕上がっている。応答性がシャープでコーナーでのロールもよく抑えられている。背の高いSUVらしからぬコーナリング姿勢だった。
フロントはストラット、リアはトーションビームというスタンダードなサスペンション形式だがここまで性格が変えられるのかと思った。
フィアットのゆったりした味付けも好きだがアルファ ロメオは常に心地よいドライビングを求めるドライバーにはもってこいだ。
運転席に戻ろう。ドライビングポジションはアルファ ロメオらしく腕が伸びる伝統的なスタイルだが、それでもテレスコなどで姿勢は合わせやすくなった。大きく感じるシートも1クラス上のクルマのハンドルを握っているようだ。
高いボンネットはクルマが大きく感じ、直前視界はそれほどよくない。また大径タイヤで小まわりはあまり得意でなさそうだ。
室内のセンターコンソールもドライバー本位で小物置き場は限られているが、操作系の配置は分かりやすく、すぐに手が届くところにあるべきものがある。
リアシートも統一感のあるデザインにこだわっているのはアルファ ロメオの面目躍如といったところだ。
さて価格。必要なものを標準装備したベースグレードのCoreで420万円。上級のPremiumで468万円、そしてローンチエディションで装備満載のSpecialeは533万円の値が付けられている。
遅れてやってくるElettricaはBEVの特性で重心高が低くなるはずで、さらにコーナリングに磨きがかけられるに違いない。アルファ ロメオの作るBEVにも注目だ。









































