試乗記
新型「デリカミニ」初試乗 よりタフになったボディと足まわりで走りはどう進化した?
2025年12月8日 07:07
- 2025年10月29日 発売
- 196万4600円~290万7300円
全高の高いスーパーハイト系ワゴンの中でもオフロードに強い三菱自動車らしい存在感を持った人気車種「デリカミニ」がフルモデルチェンジした。
デザインはデリカミニを印象付ける丸形ヘッドライトはそのままに、LEDのポジションランプの上部を削ったことでさらにキリリとした目つきになったのが特徴。またアンダーガードを連想させる大型スキッドプレートでオフロード感が強調されている。
試乗したのはターボエンジンで4WDのT Premium DELIMARU Package。最初の印象は静かになったこと、走りが滑らかだったことだ。軽の進化は素晴らしい。パッケージングの巧みさから始まり、今は軽では限界と思われていた走行性能のアップにも目を見張るものがある。
エンジン、CVTトランスミッションは従来型からのキャリーオーバーだが、CVTの変速スケジュールの変更、エンジンのマップを変えることで発進力が高くなっている。アクセル開度の小さいところからエンジン回転が上がるように変更され、力強い加速力を持っていた。従来モデルからマイルドハイブリッドが外されており、微低速からの発進力はちょっと感触が異なるが違和感のない加速力だ。
また静粛性のよさも新型のセールスポイント。軽は高回転まで回すのが宿命だが加速中でもワンランク上がった滑らかなエンジンノイズ、ロードノイズもよく抑えられている。これはフロントウィンドウに使われた遮音ガラスと、ドアおよびリアの遮音材の効果が大きい。
プラットフォームは従来型と共通だが、サスペンションブッシュも含めた前後の剛性向上が図られ、ナックルアームもアルミ化された。さらにショックアブソーバーには評価の高いカヤバ・プロスムースを採用することで、荒れた路面でのバネ上の動きが抑えられているのが特徴。プロスムースはフリクションに注目した技術で、徐々に採用機種が増えており軽では初採用だ。実際に乗り心地は滑らかで軽とは思えない仕上がりになっていた。
視界についても改良がある。ルーフを前方まで伸ばしAピラーを立たせたことで斜め前方の死角が少なくなった。またダッシュボードがフラットな造形になりスッキリした視界になったことも大きい。
インテリアもシンプルな美しさだ。Google搭載のインフォテイメントは整理され分かりやすくすぐに操作できる。また実用的な物入が各所に設けられているので軽でもそれほど狭さを感じない。
広い室内とクッションストロークを確保した前後席はゆったり座れ、ルーフセンターにはベンチレーションがある。一見エアコンのようだが実はサーキュレーション。しかし空気の循環で想像以上に効果がある。ちなみに後席は320mmのスライドが可能で、最後端にすると足下は限りなく広くなる。それでもラゲッジルームは手荷物など入るスペースが確保されている。
もっともオフロードの血筋を感じさせるのは、ダッシュボード中央に新設されたダイヤル式で切り替える5つのドライブモードだ。パワー/エコ/ノーマル/グラベル/スノーから選べる。従来もデリカミニらしいドライブモードが設けられていたが、三菱4WDのアイデンティティを感じさせ路面に合わせたパワートレーンの駆動力特性が選択できる。
グラベルではトラクション重視となり、スノーでは少し発進力がいなされているようだが4WDならでは素直な設定になっている。ノーマルモードでは前輪中心で引っ張るようになるが普段使いにはこれで不足はない。
試乗車のタイヤは、ダンロップ・エナセーブでサイズは165/60R15(FFは155/65R14)。電動パワーステアリング(EPS)が小型化されたが操舵力は軽く感じ、取りまわしが上がった。さらにステアリング剛性の向上もあり、ステアリングレスポンスも向上した。
操舵感の向上はコーナリングも軽やかで、ハイトワゴンにあっても姿勢安定性が高くなっている。最低地高はFFより10mm高い160mm。10mmの地上高差は走破性の点では意外と大きい。
また、なにかと便利なアラウンドヴューだが、新型の“DERIMARU”パッケージには仮想映像で床下を見える化したアンダーフロアビューも備わり、オフならずとも市街地でも使いやすい。こちらは移動物(小動物など)検知システムも備わる。
デザインの質感、インテリアの質感、走りの質感、軽自動車の枠を超えた個性派がデリカミニ。どこでも連れて行きたくなる。























