試乗記
ニスモが最新の純正サスペンションでリフレッシュした「R35 GT-R CLUBMAN RACE SPEC」初試乗 別物の走りに驚愕!
ワークスチューニング試乗会【NISMO(ニスモ)編】
2026年1月3日 08:00
2013年モデルのGT-Rが別物の走りに
ニスモの大森ファクトリーが手がける「CRS(CLUBMAN RACE SPEC:クラブマン・レース・スペック)」とは、歴代GT-Rをベースに、ハイスペックなサスペンションや強化パーツを装着し、高いコーナリング性能と優れたステア応答性を持ちつつ、サーキットへ自走で行って楽しんで帰れることをコンセプトにした仕様のこと。
今回の試乗車は、2013年モデルのGT-R(R35)をベースにしたCRSで、注目すべきは最終仕様の日産純正サスペンションの主要部品をキット化した「T-specサスペンションバージョンアップキット」を装着している点だ。
ニスモは、R32~R34の第2世代のスカイラインGT-R向けの生産終了になった純正部品を復刻する活動を2016年から行なっている。一度製造が終わったパーツを復刻するのはものすごく難しいが、その経験を活かし、生産終了を迎えたR35もこれからヘリテージ領域に入ってくるクルマであることから、パーツの製造を廃止することはやめて、継続していこうと活動している。
ただし、2007年に発売されたクルマなので部品のバリエーションが多く、すべてのモデルイヤーの部品を継続供給し続けるのは非常に難しい。そこで、サスペンションに関しては、最新モデルの製品をバージョンアップという形で設定して、将来的にはヘリテージパーツとなり、補修部品として古い年式のモデルにも用意できるような形でプロジェクトを進めていく予定という。
その第1弾として用意したのが、GT-Rの最終仕様の日産純正サスペンション主要部品を使用し、2方向の性能深化を体感できるキットで、“グランツーリスモ(洗練)”を追求したのが「T-specサスペンションバージョンアップキット」、“レーシングテクノロジー(速さ)”を追求したのが、「NISMOサスペンションバージョンアップキット」となる。
ベースモデルの年式によってキットの内容と価格が異なり、2007年~2009年モデルは「KIT A」で140万8000円。2010年~2013年モデルは「KIT B」で147万4000円。2014年~2015年モデルは「KIT C」で121万円。2017年~2022年モデルは「KIT D」で105万6000円。今回の試乗車は2013年モデルなので、KIT Bが装着されている。
そのほかにも、軽量化とダウンフォース増加の両立を図り、GT500空力エンジニアが設計し、日産GT-Rのデザインチーム監修による、最新の空力解析を駆使して開発されたエアロパーツが装着されている。
ベース車は2013年モデルと10年以上前のGT-Rだが、その走りは見違えていた。引き締まった中にもしなやかさがある乗り味になり、路面追従性が格段に向上し、より軽快でスムーズなハンドリングを楽しめるようになっている。
最新モデルに比べるとボディ剛性やタイヤも違うので、さすがに本物のT-specと同じといわないまでも、近いフィーリングは味わえる。乗りやすく快適にGT-Rの性能を楽しめるようになっている。その感覚はコースでももちろん、一般道に条件の近いモビリティリゾートもてぎの構内路を走ってもよく分かった。
当時のGT-Rは凹凸や起伏のある路面だとガツガツして路面からタイヤが離れている時間がそれなりにあったように記憶していることを思うと、この足まわりは別物で、普通に乗れて衝撃も小さい。コンフォートモードにしなくても、標準モードでもT-specっぽい雰囲気がある。コンセプトどおり、サーキットでのスポーツ走行と公道走行の両立を図り、サーキット走行を1日楽しみ、自走で帰宅できるクルマに仕上がっていた。
この仕様にするには、ベースモデルの年式によって若干異なるが、ショックアブソーバーだけではなくリンクなども換えなければならないので、それなりの出費にはなる。とはいえ、しなやかな乗り心地というほどではないにせよここまでできるなら、現在年式の古いGT-Rに乗っている人や、これから中古のGT-Rを買おうという人には朗報といえるアイテムだろう。
S1仕様のエンジンもパワー感は十分すぎるほどで、中間トルクも厚く、上までよく伸びる。そのよさをいかにも高純度チタン素材らしく、エンジンを回すほどに軽快さを増していくスポーツチタンマフラーがさらに引き立てている。
GT-R特有のいかにもなスゴさを、T-specならではの乗り心地とともに味わえるのが、この仕様の偉いところ。2013年モデルでもここまでできると知ったら、自分もそうしたいというオーナーは少なくないんじゃないかと思う。
e-POWER 4WDの走りを極めたオーラ
続いては、NISMO tuned e-POWER 4WDに、ニスモパーツをふんだんに装着した1台。ニスモ専用リアモーター出力とトルクの向上に加え、さらにスポーティにチューニングしたスポーツリセッティングTYPE-2で、前後モーターの緻密なトルク配分制御や回生特性の変更を行なっているのが特徴だ。さらにエアロパーツを装着したことでダウンフォースの増加によるハンドリング性能の向上も期待できる。
いざ走ってみると、これがまた実に楽しいのだ。この規模のコースにも合っている。VCM(ビークル・コントロール・モジュール)のチューニングにより、リニアで力強い加速とスムーズな回生とともにトラクションが自在にコントロールでき、クルマの動きがつかみやすくて先が読める。だから安心して攻めていける。
ドライブモードによってハンドリングがだいぶ変わり、やはりNISMOモードが楽しい。Bレンジを選択するとより回生力が強まり、アクセルワークでラインの修正がしやすく、ワインディングを攻めるイメージで走るとより楽しさが増す。小さな舵角でグイグイ曲がって、そのままスムーズにアンダー知らずで立ち上がっていける。
開発スタッフによると、VCMにより低速域でのツキがよくなっているのでリアに素早く荷重がかかりタイヤが地面をかくので、より鋭くターンインできるようになっているのではないかとのことだった。それがNISMOモードだとより顕著だ。
シートがまたよくできていて、それほどきつく締め付けないのにしっかり身体を支えてくれる。しかも電動できめ細かくリクライニングも調整できるのも助かる。赤を駆使したデコレーションもいい。
これぐらいのコースだと、ド派手ではないにせよいかにも効きそうなエアロパーツの効果は微妙なところだそうだが、好印象だったハンドリングにいくばくかは貢献していることに違いない。
ノートオーラNISMOの素性のよさと、ニスモのチューニングによりハンドリングマシンぶりがより引き上げられていて、さらに見直した次第である。
エクストレイルNISMOをよりニスモらしく
「情熱体験をもたらすグランドツーリングSUV」をコンセプトに開発されたというエクストレイルNISMOは、南コースではなくモビリティリゾートもてぎの構内路で試乗してみた。
走りに関しては手が加えられていないが、ニスモの最新ラインアップのアクセサリーがふんだんに装着された仕様となっている。
最新のエクストレイルには、ニスモ仕様が設定されたのも快挙だと思うが、それをよりニスモらしくスポーティに演出するとともに、SUVとしての力強さをも両立したデザインは、アグレッシブさも際立たっていて、なかなか魅力的だ。

































