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写真で見る 日産自動車「はたらくクルマ」
高規格救急車の「パラメディック」からNV350 キャラバンのマルチベッド仕様までイッキに紹介
2020年11月9日 12:40
- 2020年11月2日 開催
日産自動車は2019年より「はたらくクルマ」と題して、日産が発売してるクルマの中から法人向け、行政向けなど、人が暮らしていく上で人の役に立つために作られたクルマを集めたイベントを開催している。
2年目になる今回は新型コロナウイルス感染症の流行により開催中止の可能性もあったが、生活および経済活動を行なう上で一定の余裕が出ていたことから、取材者の人数制限および、イベントを午前と午後に分けて密にならないようにするなど各種の感染予防対策を取った上、11月2日に開催された。
「はたらくクルマ2」と名付けられた今回の開催。会場は神奈川県横須賀市にある日産追浜事業所内「グランドライブ」。今年の特徴はコロナ禍や近年続いている災害などで使用される「はたらくクルマ」を集めたものであることだった。
実車見学の前に日産自動車 日本フリート事業本部副本部長 兼)フリート変革部部長 兼)日本LCV本部副部長の春山美樹氏があいさつを行なった。
春山氏は商用車の商品企画にも携わってきた経歴があるとのことで、「商用車(はたらくクルマ)の企画はものすごく楽しいんですね。お客さまになっていただくのはプロフェッショナルの方なので、それぞれで求めるものがはっきりしています。そういった要望に対してキチンとお応えするクルマを作れば、それにちゃんと応えていただけるのです。このことは企画をする人間としてものすごくやりがいを感じることです」と語った。
そして「はたらくクルマというと以前は価格が安く装備もシンプルなクルマを求める風潮でしたが、はたらくクルマは距離を走るクルマでもあることから、現在は“安全性”の高さが重視されています。また、仕事に就く人の年齢も幅広くなっているので、使いやすいクルマであることも求められています。こうしたことから、クルマの企画を行なうには難題も増えていますが、実はそういった状況は企画側として“より面白くなっている”ともいえます」と付け加えた。
パラメディック 電動ストレッチャーシステム搭載車
さて、ここからは当日展示されていたはたらくクルマを順に紹介していこう。まずは日産製の救急車「パラメディック」から。
パラメディックは救急救命活動がしやすい広い患者室を持ちつつ、路地などでも行動しやすいよう最小回転半径6.0mを実現。加えてアラウンドビューモニターも装備しているので、より取り回ししやすくなっている。
さらに、今年度からは世界的にも救急車への導入が増えている電動ストレッチャーシステムが設定された。これは体重が約200kgの人まで対応する能力があるという。
救急救命士が乗り込んでいても、けが人や患者を救急車の中に運び込めないことには本来の対処もできないだけに、大柄な患者であってもスムーズに運び込める電動ストレッチャーシステムは非常に有効な装備であるとのことだった。
NV350 キャラバン マルチベッド
アウトドアレジャー向けのマルチベッド仕様だが、高さ調節が可能なテーブルとベンチシートの装備はそのまま仕事用スペースとして使うことができる。そういった点から「今どきのはたらくクルマ」として展示されていたのが、オーテックジャパンの「NV350 キャラバン マルチベッド」だ。
対面式のシートレイアウトなら車内で少人数の打ち合わせも可能。そして片側シートを収納して、会議室などで使うような長テーブルを置くと、数名で使える広い作業場所を作ることができるなど、テレワークやワーケーションでも便利に使えるのだ。なお、走行中の利用は不可だ。
日産ルークス 送迎タイプ
福祉施設などの送迎ではNV350 キャラバンも使用されるが、車体が大柄なので地域によっては道路事情にそぐわないこともある。また、ドライバーを務める職員さんによっては車体の大きさから運転に対して苦手意識を持つこともある。
そんなニーズに対して用意されたのが、軽自動車「ルークス」をベースにした送迎車。運転手の技量面、精神的な負担を減らすことは安全な運行を実現することに大きく影響するので、こういったダウンサイジングは増えていくのではないだろうか。
乗り降りする左側のスライドドア部には、足腰が弱った高齢者にとっての使いやすさを考えた乗降用グリップを装備。また、前席の背面には掴まりやすいグリップを新設することで、乗車中の体のホールドがしやすいようにしている。
なお、高齢者ではシルバーカーを愛用している方も多いので、リアのラゲッジスペースにはシルバーカーを搭載するためのネットを追加している。搭載時にシルバーカーの接触からバンパーを保護するカバーも用意されている。
NV200 バネット チェアキャブ
NV200 バネットをベースにした車いす搭載仕様車。後部にワイド幅で重量もある電動車いすにも対応するスロープを設けていて、手押しでの乗り込みのほか、電動ウインチによる巻き上げで乗り込むこともできる作りなので、介助する人の負担が軽減されるところも特徴。
ミニバンとしてはコンパクトな車体ながら、車いすが縦に2台乗り込める仕様で、2名の介助人がそれぞれの車いすの横に座ることができる。前席とあわせて6名の乗車が可能だ。なお、車いすの代わりにストレッチャーを乗せることもできるし、オプションとして助手席を電動スライドアップ仕様へすることもできるなど、福祉車として多機能な作りになっている。
セレナ タクシー(八洲自動車)
新型コロナウイルス感染症に対して、主に飛沫による感染を防ぐための対策が施されたタクシー。運転席と客席の間をクリアシートを使う隔壁で分けている。八洲自動車というタクシー会社の車両で、普段は業務に就いている。
リーフ 青色防犯パトロールカー(練馬区所有車)
練馬区が導入しているリーフの地域防犯用の安全・安心パトロールカー。現在7台あるとのこと。なお、練馬区は日産と「災害時における電気自動車からの電力供給に関する協定」を結んでいる。これは災害発生時に練馬区内の販社が持つ試乗車を無償で借りられることと、EV用急速充電スタンドの優先利用という内容。災害による停電発生時には、リーフを電源とした電力サポートが行なえるような装備も揃えている。
NISSAN GT-R トミカ50周年記念仕様 designed by NISSAN
最後に紹介するのは「子どもの夢のためにはたらくクルマ」ということで用意されたGT-R。赤と黒のデザインは、ミニカーのトミカが50周年を迎えたことから、日産、トヨタ自動車、本田技研工業の3社協力のもと行なった「トミカ50周年自動車メーカーコラボプロジェクト」で採用されたものを実車で再現した特別仕様。
このデザインコンペには日産に所属するデザイン部署の従業員の多数が参加。作品はデザイン部署をはじめ他部署の従業員が利用する通路に張り出され、社員による投票が行なわれた。そして選ばれたのがグローバルデザイン本部アドバンスドデザイン部に所属する長谷川聖氏の作品。
デザインの元になったのは、1970年代後半~1980年代にかけてレースシーンで活躍したシルエットフォーミュラの「トミカスカイラインターボ」。長谷川氏のコメントには「GT-Rの名前を冠されなかったスカラインR30シルエットと、スカイラインの名を冠さなかったR35 GT-Rをこのトミカカラーリングで一緒にすることができたことには強い想いを持っています」とある。そして「トミカ50年の歴史、80年代の熱狂、そして現代の技術。半世紀に渡る多くの人の想いをこのトミカから感じていただけたら本望です」と結んでいた。