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写真で見る 日産「キャラバン」(2021年マイチェン・ガソリンモデル)
2021年10月20日 14:00
- 2021年10月20日 発売
仕事での使用はもちろんのこと、アウトドア趣味などを持つ個人ユーザーにも人気が高い日産自動車の小型キャブオーバーバン「キャラバン」。このモデルのガソリン車に対するマイナーチェンジが10月20日に発表された。また、今回からガソリン車の車名を「NV350キャラバン」から「キャラバン」へ変更しているのもトピックの1つだ。
エンジンは2.0リッターと2.5リッター(ともにガソリン)、2WD、4WD、ロングボディ、スーパーロングボディ(ワイドも設定)、ワゴン、マイクロバスなどあるが、今回からMT車が廃止された。グレード展開は4タイプ。もっとも上級な「GRANDプレミアムGX」から以下、「プレミアムGX」「EX」「DX」となっている。価格は241万2300円~409万7500円で、発表と同日の10月20日より発売開始となった。なお、今回のマイナーチェンジにディーゼル車は含まれてない。
装備の充実と質感を高めたデザイン変更で魅力を向上
今回のマイナーチェンジは変更個所が多いのでそれらを順に紹介していこう。まずはエクステリアだ。キャラバンは個人ユーザーの使用も強く意識して高級グレードを設定しているが、本質は「壊れない、頑丈」「頼もしい、信頼できる」という商用車に本筋に沿ったものという。それらを表現するためエクステリアではフロントグリルとバンパーが刷新されている。フロントグリルは「インターロックグリル」と呼ぶデザインで、これはエンジンを抱え込むような造形によって信頼と頑丈さを表現している。グリルの通気部分は左右をラダー形状で結んでいて、規則的に四角の肉抜きが施されている。また、グリル中央には新ブランドロゴのエンブレムが1段奥まった造形の中にセットされる。このように凝ったデザインのグリルは、メッキ加飾&艶ありのブラックの仕上げと合わせてキャラバンの顔つきを上質さを持って引き締めている。
ボディカラーには標準色のほかに特別塗料色として4色を設定。これらは細かい擦り傷が付くことを低減する特殊高弾性樹脂を配合したスクラッチシールドとなっている。キャラバンのように大柄でルーフ高のあるクルマの洗車では手洗いではなく洗車機を使うことが多いので、こうした特殊な塗料もクルマの使い勝手のよさを高めるものと言えるだろう。
小型キャブオーバーバンにスポーティなD形状ステアリングを採用
インテリアも質感を高めたものになっている。従来は黒とグレーの2色を使っていたインパネまわりを黒一色に変更。ステアリングはスポーツカーに使用するようなD型形状ステアリングを採用している。従来よりキャラバンのメーターフードは2眼メーターに合わせたスポーティな形状だったが、D形状ステアリングが合わさることでステアリングまわりは小型キャブオーバーバンとは思えないスポーティな印象になっている。なお、メーターは5インチTFTディスプレイ付きの新型ファインビジョンメーターとなった。
先進安全装備も拡充してサポカーS・ワイドに対応する装備となった。内容は以下のとおり。インテリジェント エマージェンシーブレーキは対車両だけでなく対歩行者にも対応。さらに車線逸脱警報(LDW)、踏み間違い衝突防止アシスト、ハイビームアシスト、標識検知機能、インテリジェントDA(ふらつき警報)、インテリジェントアラウンドビューモニター、インテリジェントスマートルームミラー(EXグレード以上に装備)、そして5インチのカラーTFTメーターというものだ。
シートは抗菌化表皮を使用したものを全車に標準装備。また、シート構造は人の自然な姿勢である中立姿勢が保てる機能を持ち、長時間座っていても疲れにくい「スパイナルサポート機能付きシート」となった。
なお、シートクッションには振動吸収用のスラブウレタンを追加した「振動吸収構造」を採用している。キャラバンはもともと小型キャブオーバーバンでは乗り心地がいいクルマだったが、このシートの採用によりさらに乗用車的な乗り味になっている。
さらに寒冷地オプションとして運転席、助手席にシートヒーター(座面、背面)が設定されたところもライバル車にはないキャラバンの特徴だ。
パワートレーンにも変更がある。エンジン(2.0リッターモデル)では燃費性能の向上が図られた。また、排気規制は平成30年排出ガス規制、燃費表示はWLTC対応となった。
トランスミッションは従来型ではフルレンジ電子制御5速ATだったところ、マニュアルモード付きフルレンジ電子制御7速ATへと変更。5速から7速への多段化はギヤ比を広く取りつつ1つのギヤがカバーする回転域を広げられるメリットがある。これによりスムーズな加速感が得られるだけでなく、ハイギヤ化されたことで高速道路の巡航時にエンジン回転の上昇が抑えられるので、走行時の静粛性も向上。なお、このATは新しいロックアップ機構を採用することでロックアップが入る領域を大幅に拡大。それにより流体クラッチ的な滑りによる伝達ロスが軽減され、燃費の向上につながっている。
個人ユーザー向けの最上級グレード「GRANDプレミアムGX」を設定
今回からバン・ロングボディに新グレード「GRANDプレミアムGX」が設定された。このGRANDプレミアムGXは、キャラバンを趣味のパートナーや日常の移動手段として使用する個人ユーザー、そして仕事とプライベートの両方でキャラバンを使用する「一人親方」に向けに内外装の質感を高めた最上級グレード。
外装ではフロントグリルやサイドミラー、リアフィニッシャーのメッキ加飾をクロームメッキからダーククロームメッキとしている。また、リアコンビネーションランプはLED仕様だ(プレミアムGXも同様)。
インテリアは「高級ホテルのラウンジのような高級感をイメージさせる」というコンセプトによる仕上げで、カラーは落ち着いたブラックが基調。エアコン吹き出し口まわりはカッパーカラーの加飾リングがつく。特徴的な装備であるD型形状のステアリングも、GRANDプレミアムGXではブラウンのステッチ入りの本革巻き仕様(シフトノブも同様の仕様)という豪華なものになっている。
つぎにシート。キャラバンでは全車の運転席、助手席に日産の乗用車で採用している長時間乗っても疲れにくい「スパイナルサポート機能付きシート」とした。このシートは座り心地がいいだけでなく、走行中の身体の揺れを抑えることでの疲れにくさもあり、さらに小型キャブオーバーバンにありがちな乗り心地の硬さを和らげる効果もある。そんなシートを、GRANDプレミアムGXでは生地や色を他のグレードより高級感のあるものに変えている。
「プロ中のプロ」をテーマにしたWebムービーも公開
なお、キャラバンの魅力を伝えるWebムービーが10月20日より公開された。タイトルは「日産キャラバン プロフェッショナルの掟」という。このムービーに出演している大工棟梁の宮内寿和さんと鉄骨鳶の多湖弘明さんが出席。マルチベッド仕様のキャラバンに、それぞれの仕事道具を積んで使い勝手のよさをアピールするという展示も行なわれた。