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写真で見る トヨタ「GRカローラ RZ」「GRカローラ モリゾウエディション」

GRカローラ モリゾウエディション

 トヨタ自動車の礎を築いたモデルといえば「カローラ」を外すことはできない。販売台数の面はもちろんモータースポーツシーンであるサーキットやラリーにおいても同社にタイトルをもたらしたモデルでもある。だが、近年ではそうした栄光も遠くなり、それに伴って若年層の購入者も減少するなど、手詰まり感が拭えなくなっていた。

 こうした現状を打破するべく、起死回生のモデルとして投入されるのが新型「GRカローラ RZ」であり、同社の社長でありマスタードライバーでもあるモリゾウ選手こと豊田章男氏が作り込んだ「GRカローラ モリゾウエディション」だ。前者は2022年の秋ごろから、後者は同冬ごろから台数限定での販売が予定されている。

ベールを被った状態
スタッフの手によりアンベール
会場にはGRカローラ モリゾウエディションなど4台が並んだ

GRカローラ RZ

 現行カローラのホットモデルとなる「カローラ スポーツ」をベースに、同時期に開発がスタートした「GRヤリス」とパワーユニットや駆動システムを共通化。その上で、車両重量が1280kgから1440kgへと大幅に増加していることに加え、ホイールベースが80mm長い2640mmに、そしてトレッドもフロント&リアともに55mmワイド化されていることから、それに合わせたパワーアップなどが行なわれている。

 開発にあたっては、2021年から「水素カローラ」で参戦するスーパー耐久シリーズを活用。パワーユニットは異なるもののボディや足まわり、空力など「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を実践し、徹底的に鍛えてきたという。

 エンジンは直列3気筒1.6リッターインタークーラーターボ「G16E-GTS」型エンジンを搭載。ブースト圧アップとともにピストン材質を変更するなどのチューニングにより、スペックは最高出力が224kW(304PS)/6500rpm、最大トルクは370Nm(37.7kgm)/3000-5550rpmと、GRヤリスより大幅なパワーアップを果たしている。なお、同車を組み上げるトヨタ元町工場(愛知県豊田市)にはTOYOTA GAZOO Racing専用ライン「GR Factory」を設定。ピストンやコンロッドなどの重量を計測し、同等の質量を持つパーツを組み合わせることで工業製品では避けられない公差を極限まで排除。さらに匠と呼ばれる職人の手で組み上げられている。

 駆動システムはGRヤリスと同じスポーツ4WDシステム「GR-FOUR」を最適化して搭載。3モードから切り替え可能な前後駆動配分機能も継承する。トランスミッションはカローラ スポーツにも採用されている6速iMTのみが用意される。

GRカローラ RZ
ボディサイズは4410×1850×1480mm(全長×全幅×全高)。カローラ スポーツは4375×1790×1460mm
ルーフはCFRP製
エンジンはGRヤリスと同じ直列3気筒1.6リッターインタークーラーターボユニット。スペックは最高出力が224kW(304PS)/6500rpm、最大トルクは370Nm(37.7kgm)/3000-5550rpm
公差を考慮して高精度に組み上げられたエンジンの右側面には「匠」バッジが付く
ボンネットにはエアアウトレットを配置。開口部は富士スピードウェイでの実走によりチューニングされた形状を採用。雨水の侵入を防ぐカバーも付属する
タイヤは横浜ゴム「ADVAN APEX V601」(サイズは235/40R18)で、ホイールはBBS製鍛造アルミホールを採用。ブレーキキャリパーはフロントが18インチアルミ対向4ピストン、リアは16インチアルミ対向2ピストン
マフラーは3本出し。中央パイプは負荷によって開閉する機構を採用している
インテリアはブラックをベースにレッドステッチの組み合わせ
質感が高いシフトまわり。シフト後方は駆動力のモード切り替えダイヤル。手引きのサイドブレーキは今や貴重な装備
シフト前方にはドライブモード選択スイッチ
ペダルはスポーティなアルミパッドタイプ
シートはボリュームのあるスポーツタイプ
運転席ドアトリム。こちらにもレッドステッチを配置
リアシート。中央に収納式アームレストが備わる

GRカローラ モリゾウエディション

GRカローラ モリゾウエディション。ボディカラーは専用設定となるマットスティール

 モリゾウ氏が掲げる「お客さまを魅了する野性味」を実現するべく、GRカローラ RZをチューニング。さらなるブースト圧アップにより最大トルクを400Nm(40.8kgm)/3250-4600rpmへと向上(最高出力は共通)したほか、1~3速のクロスレシオ化&デフのローギヤード化、リアシートの撤去による約30kgの軽量化などにより加速性能を向上。

 さらに補強ブレースや構造用接着剤の追加によるボディ剛性アップ、よりワイドなタイヤやモノチューブショックアブソーバーの採用などによるコーナーリング性能の向上も実現している。

ボディサイズは4410×1850×1475mm(全長×全幅×全高)。全高がGRカローラ RZより5mm低い設定となる
精悍なフロントマスク。バンパーサイドにはスリット状の開口部が設けられる
フェンダーにも開口部を設定。こちらも空力に寄与する
ヘッドライト
サイドスカートにGR-FOURの文字が入る
ルーフスポイラーを装備
タイヤはミシュラン「PILOT SPORT CUP 2」でサイズは245/40R18。ホイールはGRカローラ RZと同様だがTOYOTA GAZOO Racingの刻印入りになる
マフラーは同じく3本出し
中央パイプにはアクチュエーターによる開閉機構を装備
インパネまわり。ステアリングやシフトブーツなどに起毛素材の東レ「ウルトラスエード」を採用
ウルトラスエードを採用した3本スポークステアリング
シフトまわり
メーターパネルはフル液晶タイプで、プロドライバーの意見が反映されたデザイン。ドライブモードにより表示も変わるという
フロントにはセミバケットタイプのシートを採用
軽量化のためにリアシートを撤去し2名乗車仕様に。剛性アップのためにブレースも追加
ブレース後方にはタイヤ4本の積載が可能
ラゲッジスペース。リアサスペンション上部にタワーバーが装着される
開発車両
4代目カローラ 1600GT(1979~1983年)。モリゾウ氏が初めて自分で購入したのがこのモデルだという