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トヨタ、新型「GRカローラ」限定モデル「サーキットエディション」 モリゾウサイン入りシフトノブなど特別装備

2022年3月31日(現地時間)発表

新型「GRカローラ」のワールドプレミアが行なわれた

新型GRカローラは標準モデルとサーキットエディションの2グレードを設定

 TOYOTA GAZOO Racing(トヨタ自動車)は3月31日(現地時間)、米国カリフォルニア州ロングビーチにて、新型スポーツカー「GRカローラ」のワールドプレミアを実施。同時にオンライン中継も行なわれた。

 ワールドプレミアに登壇したのは、TMNA(Toyota Motor North America)マーケティング&コミュニケーション部門Vice Presidentのマイケル・トリップ氏と、トヨタ自動車GR車両開発部 チーフエンジニアの坂本尚之氏。

TMNAマーケティング&コミュニケーション部門Vice President マイケル・トリップ氏

 トリップ氏はGRカローラの仕様について「直列3気筒 1.6リッターターボエンジン(G16-E)を搭載し、300PS/370Nmを発揮します。ドライブトレーンはGRヤリス用に開発され、WRCでも使用されたGR-Four All Wheel Driveシステムを採用。また、GR-Fourは4WDオープンデフを標準装備とし、さらにパフォーマンスパッケージでは前後デュアルトルセンLSDが設定されます。どちらのデフも、ドライバーはフロントからリアまで複数の駆動力設定を選ぶことができ、さまざまなドライビングスタイルや天候に応じたコントロールと安定性を実現しました」と紹介。

搭載される直列3気筒1.6リッターインタークーラーターボ「G16-E」型エンジンは最高出力224kW(304PS)/6500rpm、最大トルク370Nm(37.7kgfm)/3000-5550rpmを発生。トランスミッションは6速MTのみの設定となる

 また、シャシーについては、「GRカローラ専用の高剛性・高強度ユニボディを採用し、幅広のハッチ形状に、ワイドフェンダーがアクセントとなり、アグレッシブなスタンスを実現しています。リアリップスポイラーや機能的なベンチレーションにより、空力特性を向上させ、ハンドリングも改善している」と説明した。

 さらにトリップ氏は「おお、そうでした、もう1つ楽しいことをご紹介しましょう」と切り出し、GRカローラは2つのグレードが発売されることを発表。「標準モデル」と特別にホットな2023年モデルのみの限定車「サーキットエディション」が設定され、サーキットエディションは「カーボンファイバー製ルーフ」「リアスポイラー」「アルミ製ボンネット」「デュアルLSD GR FOURシステム」が標準装備となり、GRロゴ入りレッドペイント・ブレーキキャリパーも装着される。なお、キャリパーは標準モデルのパフォーマンスパッケージにも装着されるとのこと。

2023年限定モデルの「サーキットエディション」(北米仕様、プロトタイプ)、ボディカラーは専用色の「ヘビーメタル」
カーボンファイバー製ルーフ
リアスポイラー
アルミ製ボンネット
GRロゴ入りブレーキキャリパー

 ボディカラーは「ホワイト」「スーパーソニックレッド」、そしてサーキットエディション専用色の「ヘビーメタル」の3色が設定される。また内装は、赤を基調としたスエード調スポーツシートや「モリゾウサイン入りシフトノブ」など、特別な仕様になる。また、GRカローラは日本の元町工場内のGRファクトリーで生産されることも最後に付け加えた。

2007年にモリゾウ氏の手により非公式に立ち上がったGRブランド

 ワールドプレミアの中継でトリップ氏は、トヨタにとってGRは単なるバッヂではなく、最高レベルのパフォーマンスを実現するためのマインドセットであり、精神であり、それはトヨタがモータースポーツに参入した60年以上前から続く考え方であると紹介。

 モータースポーツ活動は、当時から市販車の品質、技術、性能を向上させるための実験室と位置づけられていて、TOYOTA GAZOO Racingは現在も同じ考え方で車両開発に活かしているとした。

GRはモータースポーツの現場から生まれたことを紹介するトリップ氏

 さらにトリップ氏はGRブランドの歴史について、「GRは2007年にグローバルCEOの豊田章男氏が、サーキットの枠を超えたビジョンを共有したことからスタートしました。彼はトヨタが培ってきたモータースポーツの伝統を土台に、全社的に走ることへの情熱に火をつけようと考えました。そして彼は、GRを非公式に始めました。チーム名に『トヨタ』を使うことすらなく、自身の名も『モリゾウ』と隠してレースをしていました」。

「そしてトヨタの社員やレースチームのメンバー、プロやアマチュアのドライバーたちからなるチームを結成したのです。彼らはレースカーを開発し、世界的に有名なニュルブルクリンクや富士スピードウェイなどのサーキットでテストを行ないました。チームはレースを通してクルマの限界に挑戦し、挫折を乗り越えながら、エンジニアリングにおいてブレイクスルーを果たし、よりよいパフォーマンスを実現しました」とGRの活動内容を説明した。

実走で登場した新型スポーツカー「GRカローラ」

エンジンパーツの強化やサスペンションチューンが施されたGRカローラ

司会者の質問に回答するトヨタ自動車株式会社 GR車両開発部 チーフエンジニア 坂本尚之氏

 続いて開発坂本氏が登場。司会者から3気筒ターボでどうやって300PSを出したのかと問われると、「モリゾウとエンジニアの情熱ですね。実は、多くの部品に改良を加えています。例えば、大きな改善点としては、排圧を下げることです。3本出しの排気系にして、排圧を下げました。もう1つは、ピストンなどのエンジンパーツを強化したことです。これらの改良により、エンジンをパワーアップさせました」と回答。

 また、ドライビングフィールについては、「GR FOURとカローラハッチバックのサスペンションジオメトリーの強化を含むサスペンションチューニングで、抜群のコントロール性を実現しました。だから、サーキットだけでなく、ダートや雪道など、タフな道も楽しめると思います」とコントロール性能の高さをアピール。

 最後に、開発車両が「GRのクルマ」として承認されるまでのプロセスを聞かれると「トヨタの哲学の1つに『カイゼン』というものがあります。レーストラックでテストして、GRの性能レベルに達するまで改良する。そして、モリゾウがそれを承認する。そのようなプロセスで開発しました」と回答した。

パフォーマンスパッケージを装備した標準モデル(北米仕様、プロトタイプ)