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写真で見る 日産「スカイライン」

 「フェアレディZ」と並び、日産自動車の歴史とともに成長を遂げてきたクルマ、それが「スカイライン」だ。1957年の発売以来、セダンだけでなくクーペ、ワゴン、クロスオーバーと多彩なバリエーションを生み出し、そして数多くの“名車”を世に送り出してきたモデルでもある。

 新型となるV37型は歴代の中で「もっともプレミアムでダイナミック」なモデルと位置づけられ、海外では「インフィニティ Q50」として販売されている。一方、日本国内では日産ブランドからの発売となるものの、フロントグリルに「インフィニティ」バッヂが装着され、一般的なモデルとは明確な差別化が図られているのがポイントだ。

 ダイナミックという観点から見ると、ハイブリッド専用モデルとなったことが最大の特長として挙げられる。その心臓部となるのは日産独自の1モーター2クラッチハイブリッドシステム「インテリジェントデュアルクラッチコントロール」だ。3.5リッターV6エンジン「VQ35HR」ユニットを核に、走行と充電を行う「HM34」モーター、それにリチウムイオン電池が組み合わされる。それぞれのスペックはエンジンが最高出力225kW(306PS)/6800rpm、最大トルク350Nm(35.7kgm)/5000rpm、モーターが最高出力50kW(68PS)、最大トルク290Nm(29.6kgm)で、システム合計出力は最大で268kW(364PS)となる。

 トランスミッションは全車マニュアルモード付電子制御7速ハイブリッドトランスミッションで、2WD(FR)のほか日産車としては初のハイブリッド×4WDの組み合わせも用意。4WDシステムは電子制御トルクスプリット4WD「アテーサE-TS」で、雪国ユーザー向けの実用的な面だけではなく、時にはスポーツ走行を楽しむこともできそうだ。

 気になる燃費はJC08モードで18.4km/L(2WD/350GT HYBRID)と、先代370GTの9.4km/Lからほぼ2倍を実現。ハイブリッド車ならではの省燃費性能を誇り、一桁が当たり前のオーバー3リッターセダンとしては驚くほどの数値となっている。

 装備面で特筆したいのが世界初採用となる「ダイレクトアダプティブステアリング」だ。これは一般的なクルマがステアリングの動きをシャフトで直接タイヤに伝えるのに対し、ステアリングの動きを電気信号に変えアクチュエーターでタイヤを操舵するシステム。いわゆるステア・バイ・ワイヤと呼ばれる機構で、路面からの振動をステアリングに伝えないことで快適性を高めるほか、ステアリング特性を自在に調節できる自由度の高さがメリットとなる。ただ、ステアリングシャフトそのものは残されており、通常時はクラッチにより切り離されている。万が一トラブルが起こった際はクラッチをつなぐことで、通常のクルマと同じように操作が可能になる。

 プレミアムな部分と言えば、インテリアの質感や快適性といった部分に目が奪われがちだが、日産初の「全方位運転支援システム」による高い安全性も新型スカイラインの魅力といえる。

 例えば世界初の装備となる「PFCW(前方衝突予測警報)」。これはミリ波レーダーによって前方の2台前を走るクルマの車間距離や相対速度をモニターし、減速が必要になると警報によりドライバーに注意を促すもの。目視では確認できない前方の状況をいち早く知らせることで、早めの危険回避が可能になるワケだ。また、前方車両に対する「エマージェンシーブレーキ」、車間維持のアシストを行ってくれる「インテリジェントペダル(ディスタンスコントロールアシスト)」などを装着するとともに、高速走行時に車線に沿った走行をサポートする「アクティブレーンコントロール」も世界初採用。

 側方には車両後部のセンサーを使って死角になりやすい後側方のクルマを検知し、警告とともにレーンチェンジをしようとした際には元のレーンに戻す方向に力を発生させ、回避のサポートまでしてくれる「BSI(後側方衝突防止支援システム)」や「BSW(後側方車両検知警報)」を日産車で初めて装備。最近では多くのクルマに装着されるようになった「LDP(車線逸脱防止支援システム)」「LDW(車線逸脱警報)」も用意する。加えて後方には、駐車場などで後退時に接近する車両を検知し、警報とともにアクセルペダルへの反力や自動ブレーキにより接近車両との接触を回避する「BCI(後退時衝突防止支援システム)」を装備するなど、まさに“全方位”と呼ぶにふさわしい充実した内容となっている。

 グレードはベースモデルとなる「350GT HYBRID」のほか、快適性能を高め各種安全装備を標準装備する「350GT HYBRID Type P」、19インチアルミホイールやスポーツチューンドブレーキ、パドルシフトなどでスポーティな指向を強めた「350GT HYBRID Type SP」の3タイプを用意。全グレードとも2WDと4WDが選択可能となっている。

350GT HYBRID Type SP

ボディーサイズは4800×1820×1440mm(全長×全幅×全高)と堂々たるサイズ。バンパー形状が異なるため、350GT HYBRID Type SPだけ10mm全長が長い。撮影車両のボディーカラーはラディアントレッド
Type SPはリップ部分の張り出しが大きいスポーツフロントバンパーを装着
グリル中央にインフィニティのロゴが入る
フロントグリル上部にアラウンドビューモニター用のカメラを装着
サイドターンランプ内蔵のドアミラー。ヒーター機能やカメラも内蔵
トランクリッドに付くバッヂは「350GT」のみでグレードを示すものは付かない
排出ガスは4つ星レベル。平成27年度燃費基準は+20%達成
マフラーは全車デュアルタイプ
Type SPは19インチアルミと245/40 R19タイヤを標準装備。ほかのグレードにもオプション設定する
撮影車両の内装色はブラック。本アルミ仕様のインパネ加飾&アルミペダルが標準装備になる
Type SPのみマグネシウム製のパドルシフトを装着
Type SPとType Pは本革シートが標準で装備される。フロントにはシートヒーターも付く

350GT HYBRID Type P

撮影車のボディーカラーは特別色となる新色のプレミアムブラウン
ヘッドライトは全車LED。順にポジション、ロー、ハイの点灯パターン
ウインカーはバンパー中央に付く
さらに下にフォグランプ。こちらもLED
リアコンビランプの点灯パターン
トランクリッドに付くバッヂはType SPと同じ
美しいデザインが施されたエンジンカバー。こちらにもインフィニティマークが付く
アルミホイールは17インチ。タイヤサイズは225/55 R17になる
撮影車は内装色がベージュ、加飾がオプションの本木目の組み合わせ。先に紹介したType SPとはだいぶ趣が異なる
ステアリングはType SPと同じだがパドルシフトは付かない
スタートスイッチはステアリングの左側奥
本革巻シフトノブを装着。ゲート部分にはカバーが付き、見た目にも高級感のある仕上がり。Dレンジでは横に倒すことでマニュアル操作が可能になる
シフトレバー後方には設定などの操作に利用するダイヤル形状のマルチファンクションスイッチ。その手前にあるのは好みのセッティングを可能にするドライブモードセレクターのスイッチ
ペダルまわりはオルガン式アクセルペダルと足踏み式パーキングブレーキの組み合わせ
インパネ右側にVDC(横滑り防止装置)などのスイッチ。その下に見えるETCユニットは全車標準装備
視認性に優れるファインビジョンメーターを採用。中央にはカラー液晶を用いたアドバンスドドライブアシストディスプレイを配置し、SPORTモード選択時は下部が赤くなる仕組み
STANDARDモード時の表示
ECOモード時の表示
SNOWモード。このほかPERSONALモードもある
アドバンスドドライブアシストディスプレイの表示。トリップやオドメーターのほかタイヤ空気圧やシャシー制御状態などが表示できる
上部に8インチワイド、下部に7インチワイドモニターを配置するツインディスプレイを採用
下画面の下部にはオーディオや画面切り替えなどのハードスイッチを配置
上画面に地図を表示しながら下画面で目的地検索が行えるなど使い勝手がよい
車両周囲の状況を上方からの視点で分かりやすく表示できるアラウンドビューモニター。カメラの切り替えもできる
全車標準装備となる「NissanConnectナビゲーションシステム」はBluetoothやiPodなど対応ソースが豊富
エアコンの操作は下画面で行う
ホームメニュー。各種操作はスマホのようなアプリを使って行う
取材時に用意されていたアプリ
ドライブモードセレクターのパーソナル設定はここから行う。PERSONAL設定ではエンジン&トランスミッション4通り、ステアリング4通り、アクティブレーンコントロール3通り、コーナリングスタビリティアシスト2通りと、計96パターンから好みの特性が選択できる
運転支援などの設定もここから
アプリの管理を行うApp Garage
時計アプリの表示
コンパスアプリ
燃費やGセンサー表示も行える
シフトレバー前方にはシガーライターと灰皿を標準装備
センターコンソールにはカップホルダーも
センターコンソールの収納内部にはNissan Connectナビゲーション用の各種端子が備わる
運転席&助手席用サンバイザーの裏には照明付のバニティミラーを装備
ルーフ前方中央部にはマップランプとサングラスホルダー
ルームミラーは自動防眩式
ベージュカラーの内装色は明るく落ち着いた印象
後席中央にはカップホルダー付のアームレストを装備
センターコンソール後方にはエアコン吹き出し口と灰皿を装備
ハイブリッド車らしくリアシートサイドにバッテリー用の吸気スリットを装備
トランクはバッテリースペースを確保しつつ400Lもの容量を実現。9インチのゴルフバッグを4個積み込める
トランク内にはゴルフバッグの積み方を示すシールも
トランクのフロア下にはツール類と収納スペース

(安田 剛)