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写真で見る スズキ「SX4 S-CROSS」

 2012年9月のパリモーターショーに出展されたコンセプトモデル「S-Cross」を元に開発し、2013年8月より生産を開始。欧州を中心とする世界市場で販売を行っている「SX4 S-CROSS」が、いよいよ日本でも発売されることになった。

 このSX4 S-CROSSの生産は、ハンガリーのマジャールスズキと中国の重慶長安鈴木汽車有限公司で行われているが、日本向けの車両はマジャールスズキで生産されたもので、日本では自社ブランドの輸入車という位置づけになる。

 SX4 S-CROSSは乗用車の使い勝手のよさと、頼れる4WD性能を組み合わせたクロスオーバースタイルのクルマ。ボディーサイズもコンパクトカークラスだった先代「SX4」と比べてひと回り大きくなった印象。実際、全長で150mm、ホイールベースで100mm延長されていて、それによって室内長も広くなり、とくに後席がゆったり座れるようになっている。また前後の長さだけでなく、室内高も15mmのサイズアップとなっている。

 こうしたSUV系のモデルはシート位置が適度に高く、乗り降りがしやすいというメリットがあるが、SX4 S-CROSSではドア開口部の下面を先代比でフロント17mm、リア22mm拡大。さらにリアドアでは腰部と頭部の開口部も広げられ、乗り降りがよりスムーズに行えるようになっている。

 室内はデザインを含め上質感のある仕上がり。とくにダッシュボードにはソフトパッドを使用して、視覚的にSUVらしいダイナミックな動きを表現している。機能面も充実していて、メーターは視認性重視のデザインを採用し、パネル中央には平均燃費や平均車速などを表示するマルチインフォメーションディスプレイを配置。エアコンは運転席と助手席ごとにそれぞれ温度設定が可能な左右独立温度調整機能付きフルオートエアコンを装備している。4WD車には運転席、助手席にシートヒーターも装備する。

 そしてステアリングにはオーディオ、ラジオのコントローラーやクルーズコントロールの操作スイッチが付く。運転姿勢を決めるための調整機構も充実していて、ステアリング位置を上下に調整するチルト機構だけでなく、前後の位置調整が可能なテレスコピック機能も備える。運転席のシートも前後スライドは当然として、シート高が調整できるシートリフターも装備しているので、ステアリングの調整機構に加え、シート位置の細かい調整を行うことでさまざまな体型のドライバーごとに運転しやすいポジションに合わせ込むことが可能だ。

 リアシートは6:4分割可倒式で、ほぼフラットな床面を作り上げることができるようになっている。また、小物類の収納スペースが11個所設けてあり、ラゲッジスペースにはランプやアクセサリーソケット、ラゲッジフックなども装備されている。

エンジンは直列4気筒DOHC 1.6リッターのVVT付き「M16A」型を搭載し、最高出力は86kW(117PS)/6000rpm、最大トルクは151Nm(15.4kgm)/4400rpmを発生

 続いて走行性能に関して。エンジンは直列4気筒DOHC 1.6リッターのVVT付き「M16A」型を搭載。燃費は2WD(FF)車が18.2km/L、4WD車が17.2km/Lで、4WD車はエコカー減税対象モデルとなり、取得税が60%、重量税が50%の減税される。

 この「M16A」エンジンの搭載方法についても新しい技術が盛り込まれた。それがペンデュラムシステムと呼ばれる方法で、従来、エンジンはエンジンメンバー+エンジンマウントで保持していたが、ペンデュラムシステムではエンジンメンバーの代わりに樹脂製のトルクロッドを使用し、これにマウントを組み合わせた。それによってエンジン振動が車体に伝わりにくくなるとともに、マウントに関するパーツ重量を40%軽量化することに成功したという。トランスミッションは2WD、4WDとも副変速機付きのCVTのみ。パドルレバーでシフト操作する7速マニュアルモードも備えている。

 SX4 S-CROSSのメイングレードと目される4WDモデルでは、独自の4WDシステム「ALLGRIP」を採用。このシステムは「電子制御4WD」と「4モード走行切り替え機能」、そして「車両運動協調制御システム」という3つの機能の集合体。

 機能別に特徴を紹介するとまず電子制御4WD。これはアクセルセンサー、操舵角センサー、車速センサーなどからの情報をもとに、車両の挙動変化に対する対応を自動的に行うものだが、「挙動変化が起きてから」機能するだけでなく、操作状況から車体が不安定になることを事前予測して対処する「フィードフォワード制御」機能も備わる。

 4モード走行切り替え機能は燃費重視の「オートモード」、ワインディングなどに適した「スポーツモード」、雪道用の「スノーモード」、本格4WDらしい緊急脱出用の「ロックモード」という設定がモードスイッチ操作で選択可能となっている。

 そして車両運動協調制御システムは、操舵角センサーやヨーレイトセンサーなどによって走行状態をトータルに管理し、横滑り等の傾向を感知すると操舵トルクアシストや電子制御4WDで前後のトルク配分を最適な設定にして車体の安定化を図るものだ。

 これら3つの機能を組み合わせることで、優れた走行性能を実現するという。

 サスペンションに関してはフレームの強度アップや取り付け方法の見直し、軽量化などにより乗り心地と走行性能を向上。室内の快適さについても吸音材を増やすことや2重シールによる密閉性向上、防音部材の肉厚アップ、吸音効果の高いカーペットの採用などにより静粛性が高められている。

SX4 S-CROSSの生産はハンガリーのマジャールスズキと、中国の重慶長安鈴木汽車有限公司で行われているが、日本向けの車両はマジャールスズキで生産される。従来のSX4と比べて全長は150mm延長された4300mmなので、ひとクラス上の車格になっている。室内高も15mm高いので乗り込むと全長が伸びた以上の広さを感じる。ボディーサイズは4300×1765×1575mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2600mm。車重は2WD(FF)車が1140kg、4WD車が1210kg
ヘッドライトはディスチャージ式でLEDポジションランプ付き。オートレベライザーも装備する。ヘッドライトウォッシャーも標準装備。アルミホイールは17インチ(タイヤサイズは205/50 R17)となっている
4WD車は車名を表すバッヂとともに「ALLGRIP」のバッヂがリアゲートに付く
シンプルな造形のダッシュボードだが、異なる材質を組み合わせることで単調にならない効果を生み出している。シートはホールド性も考えたスポーツ形状。4WDには運転席、助手席ともにシートヒーターが付く。全長が伸びたぶん、後席の足下は広くなっていて、さらに前席のシートバック形状を見直すことで膝の部分のスペースも広がった
革巻きステアリング。スポークは3本で左右のスポーク部にスイッチが付く。左側がオーディオ系やメーター表示のコントローラーで、右側がクルーズコントロール系。各スイッチは大型で操作しやすい形状。CVTはパドルシフトでも操作できる
左のワイパーレバーにはフロント、リヤのワイパー操作が設定される。フロントワイパーに関しては雨を感知して自動的にワイパーON/OFFを行うオートモードもある。右のレバーはライト系。ライトも外の明るさを感知してヘッドライトを自動でON/OFFするオートモードが用意される。ハザードランプスイッチは操作しやすいインパネ上部に付いている
撮影車にはオーディオ一体式のカーナビが付いていたが、これはオプション扱い。エアコンは左右独立温度調整機能が標準で装備される。4WD車にはシートヒーターが付き、座面と背中面にヒーターが入るタイプだ
トランスミッションは副変速機付きのCVT。7速マニュアルモードに切り替えることもでき、このモード時はステアリングのパドルでシフト操作が行える。センターコンソールにはALL GRIPの操作ダイヤルも装備される。その後ろにはドリンクホルダーを用意
ルームランプは大型なものを採用し、十分な明るさを確保。ここにはサングラス等を入れる収納もある。サンバイザーはチケットホルダー付きで、照明付きのバニティミラーも用意される
眩しさを防ぐ自動防眩式ルームミラーを装備。横滑り防止機能はカットすることも可能
シンプルで見やすいメーターデザイン。中央のマルチインフォメーションディスプレイでは瞬間燃費、平均燃費、航続可能距離などの各種情報を確認できる
ラゲッジスペースのアレンジ。分割可倒式のリアシートを倒すことで、広大でフラットなスペースを作り上げることができる。ラゲッジルームの容量は、先代SX4比で167L拡大の420L(5名乗車時)
ラゲッジスペースのボード下の収納スペース。車載工具などはここに収まっている。トランク右面には照明とアクセサリーソケットがあり、左面にはフックが用意される

(深田昌之)