レビュー
【スタッドレスタイヤレビュー】SUV向けブリヂストン「BLIZZAK DM-V2」をCX-8で試す
圧雪路やアイスバーンでの性能はどうか?
2018年10月1日 00:00
近年、SUVモデルは国内外のメーカーがラインアップを進めたこともあり、ファミリーユースをはじめとして人気と集めている。SUVモデルといってもボディサイズはさまざまで、Bセグメントをベースにしたコンパクトから、ミドルサイズ、フルサイズなど多種多様。また、SUVはモデルによって装着しているタイヤサイズが汎用的ではない場合もある。幅広い用途が想像できるSUVは、冬場にスタッドレスタイヤを装着していることも多いはず。そこで頭を悩ませるのが、どんな銘柄を選べばよいのか、ということだろう。
各タイヤメーカーはSUV専用のスタッドレスタイヤを用意していて、販売のシェアを高めている。SUV専用モデルは、高荷重のSUV用に開発されたものだったり、専用サイズをラインアップしていることもある。ここでは、マツダ「CX-8」に装着したSUV&4×4専用スタッドレスタイヤ「BLIZZAK DM-V2(ディーエム ブイツー)」を紹介したい。
ドライ路面での静粛性に長ける
走行シーンの前に、まず取り付けについて触れよう。タイヤとホイールの組み付けと装着をお願いしたのは、ブリヂストンのタイヤ専門店となる「タイヤ館 川口」。
ブリヂストンのタイヤ専門店となるタイヤ館では、すべての作業において専門店らしい配慮と丁寧な作業を行なっている。とくにタイヤを車両に取り付ける際には、センターフィットにこだわりを持って作業を実施。ホイールのボルト穴とハブボルトの径は、クリアランスがないと装着が困難なので、作業性を高めるためにボルト穴の方が大きく作られている。そのため、単に装着してナットを締め込むとセンターがずれる可能性があるという。
そのため、タイヤ館ではブリヂストンが特許技術を持つ「B-SYSTEMセンタリングマシン」をタイヤに取り付けてナットを締め込んでいる。この独自の機器を取り付けることでタイヤに振動を与え、ホイールがしっかりとセンターに合わさった状態でナットを締め込むことが可能になる。スタッドレスタイヤを装着したのちにステアリングを握ったら、バイブレーションがなく快適に走ることができた。
まず、ドライ路面の街中を走った印象だが、トレッド面のデザインを見るとドライコンディションでのロードノイズが高そうに思えるかもしれない。回転方向に対してのロードノイズが皆無かというとそうではないが、それでも長距離や高速道路を走っていて不快に感じることはない。その印象はBLIZZAK DM-V2を装着して2000kmほど走行した現在も変わりなく、ロードノイズに対して不満を持ったことはない。
気になるドライコンディションでの燃費性能だが、夏タイヤを装着していたときより約5%のダウン。夏タイヤのときの平均燃費が13km/L後半から14km/Lだったのに対して、BLIZZAK DM-V2では13km/L程度になった。走行条件をそろえた訳ではないので、参考程度と思ってほしい。
制動力に不安なし
続いて、圧雪路やアイスバーンでの性能を試すために雪が残る志賀高原へ足を伸ばしたときの印象について触れてみよう。
2014年9月から発売されているBLIZZAK DM-V2は、BLIZZAKの最新モデルとなる「VRX2」に比べると旧モデルになる。だが、DM-V2のみの専用サイズラインアップもあり、CX-8の場合は同モデルがマッチする。
使用しているコンパウンドは、VRX2の「アクティブ発泡ゴム2」に対してDM-V2は「アクティブ発砲ゴム」になる。アクティブ発泡ゴムは、氷の表面にできた水膜を積極的に除去する性能を備え、アイスバーンでの制動力に長ける。そのため、進化したアクティブ発泡ゴム2の方が高性能を誇るのだが、DM-V2でアイスバーン状になっている路面を走行しても、制動力に不安は感じない。テストコースなどで比較してみれば差が出るのだろうが、一般的な使用環境では不足ないと言える。
また、圧雪路での走破性については、縦横方向ともに十分なグリップ力を発揮する。ワインディングを走っていると想像以上にコーナーの奥の曲率が高く、ステアリングを切り足すこともある。そのようなシーンではグリップ力を失うこともあるが、一般的な速度で走っていれば確実に想定したラインをトレースしてくれる。DM-V2は「マルチグルーブ」と呼ばれる専用のトレッドパターンを配していて、タイヤが空転しやすい新雪路の上り坂などでも高い走破性をみせた。1回転ごとにしっかりと雪を潰しながら掴んでいる印象で、SUVのキャラクターに見合った性能となっている。
先日は、春分の日にも関わらず関東一円で積雪を記録したところもあった。今シーズンは、そろそろ積雪を警戒することもないと思うが、今冬シーズン以降のSUVモデルに対するスタッドレスタイヤ選択の一考にしてもらいたい。