DIYでクルマいじり
NAOさんのDIYでクルマいじり
第29回:揺れるG-CUP!! ND型ロードスターでプロスペック「初級ドライビングスクール」を体験
(2015/11/26 16:24)
すっかり連載執筆をご無沙汰してしまったが、読者のみなさんはお変わりないだろうか。今回は特別編として、筆者が「YOKOHAMA & PROSPEC Summer Driving Park 2015」に参加した模様をお届けしたい。
「YOKOHAMA & PROSPEC Summer Driving Park 2015」はプロスペックが毎年開催しているドライビングスクールイベントで、全国から多数の応募が集まり毎回抽選となる人気ぶり。
サーキットでのスポーツ走行ではなく「クルマを楽しく安全にスムーズに走らせるテクニック」をテーマにしたスクールなので、参加車種はもちろん自由。クーペ、オープン、セダン、コンパクト、ミニバンなど様々な車種が集まり、駆動方式もFF、FR、MR、4WDのすべてが揃っていた。
そして今回筆者は、愛車FF/AT「ヴェルファイア」ではなく、カミさんのFF/AT「ヴィッツ」でもなく、まさかのFR/6速MT、新型「ロードスター S」を借りての参加。長年AT車でのクルコン走行に慣れきり、ナマリまくった左足でそもそも坂道発進できるのかといった根本的な問題はあるが、久々に軽いクルマをクローズドコースで運転できるかと思うと興奮で眠れない!(笑)
初心者オッサン代表として、レクチャーを受けつつオンボード走行動画を多数収録してきたのでご覧あれ。
各インストラクターによる手厚いレクチャー
参加者受付とステッカー貼り付けなど事前準備が完了し、開会式と走行説明が行われる。
今回のイベントの主催者であり、自動車ジャーナリストである日下部保雄先生から各インストラクターの紹介とドライビングスクールの趣旨説明が軽くあり、その後休憩室の屋上に全員移動してコース説明とデモ走行を見学。実際の走行シーンを見ながら説明を受けることで、自分が運転する際のイメージも想像しやすかった。
いよいよ乗車、そしてコースイン!
なにしろ久々のマニュアル車、しかも新型ロードスター、そして有名講師に囲まれて、他の参加者さんは上手そうだし、筆者が舞い上がらない理由は1つもない。落ち着け、落ち着け、まずはクラッチを踏んで、ギアを1速に入れて……、さすがにこれは冗談だが(笑)、気持ちを落ち着けつつ「加減速」と「スラローム・ハンドリング」の基礎練習に入る。
加減速・スラローム・ハンドリングの基礎練習で、早速感動
加減速練習は「パイロン位置で一旦停車し、発進の合図を受けたら全開加速し、次のパイロンピッタリで停車する」というもの。某ドライビングシュミレーターゲームなら、国内B級ライセンス取得で一番最初にチャレンジする項目だ。
少々手前味噌だが、こちらは一発で満点クリアすることができた。普段2tを超えるミニバンに乗っている筆者なのだが、前日に借りたばかりでも思い通りに加速して減速して狙った場所に停車できる、これがNDロードスターの人馬一体感なのか。
「まあ、20年以上毎日運転しているし、俺もマンザラじゃないな、へへへ……」と調子に乗りつつ、続いてスラロームコースに入ると「大アンダーステア大会」のはじまりはじまり(笑)。はい、スミマセンでした。
頭では分かっているつもりなのだが、進入でフロントタイヤに加重をしっかり掛けず、ダラダラとコーナーに飛び込んでしまうと、あれだけ「意のまま」だと思っていたロードスターですら言うことを聞いてくれないのだ。
あえてクルマの挙動がハッキリ出るようにVSC(車両安定制御システム)はカットし(ABSはカットできないので有効なまま/スタビライザーは非装着車)、そこそこのスピードでコーナーに飛び込むという“公道では決してできない”体験をすることで、「こう運転すれば、クルマはこう動く」ということを改めて実感。普段の安全運転にも、確実に役立てられる貴重な機会だった。
日下部先生との同乗走行で、一気にコツをつかむ(つかんだつもり)
初参加の筆者はもちろん、何度かドライビングスクールに参加したことがあるという方でも、ある程度練習走行を続けると自分の「壁」が見えてくる。もうちょっと速く走れそうだけどコースアウトしてしまう、スピンしてしまう、強引な操作になってしまう、など。ここでインストラクターに同乗走行してもらうことで、走りながら的確なアドバイスを受けることができる。
筆者の場合、普段乗っているクルマの特性に合わせた運転操作の「クセ」がついているようで、つい「がっつり踏み込んでキックダウン」など、コンピューター制御に合わせてアクセルペダルをON/OFFスイッチのように操作するクセがついているのではないか、という指摘をまず受けた。
車重は約半分、マニュアルミッション、アクセルレスポンスも鋭くセッティングされているロードスターでこのような操作行うと、当然ながらお尻の挙動はバタバタするし、つられてスムーズなステアリング操作もできなくなってしまう。
アウト・イン・アウト、丁寧なペダル操作、Gを感じつつ加重コントロール。文字にすると「そんなの基本だろ」と言われてしまいそうだが、慣れというのは恐ろしいものだ。
先生の指導を受ける前と後では、オンボード映像を見てもスムーズさが劇的に変化しているのには自分でも驚いた。
びしゃびしゃウエット路面でクルクル8の字回転
続いて「定常円旋回」練習用のウエット路面コースへ移動。「定常円旋回って、そんなのステアリングを切ってアクセル踏んでりゃグルグル回るでしょ」という読者はさすがにいないだろうが、FF、FR、4WD、MR、それぞれクルマの駆動方式によって、また重量バランスによって、まったく挙動が異なるのが面白い。
筆者が駆るND型ロードスターは、言うまでもなく極めてバランスのよいFRレイアウト車。普段FFミニバンを乗っている筆者には比べるベースがないので「面白いなぁ、クルクル曲がるなぁ」としか言いようがないのだが、インストラクターの皆さんに運転してもらっても、NDロードスターは「オン・ザ・レールと言ってもよいぐらいよく曲がる」という印象だそうだ(スタビライザー非装着の「S」仕様のため、その挙動がより顕著だったのではないかと思われる)。
ブレーキで加重をフロントに移動させることをせず、漫然とステアリングを切ったままで加速すると……。思いのままに曲がりやすいロードスターを持ってしても、フロントがズルズルと外側に逃げ出してしまう。その状態でいくらステアリングを切り足しても、アンダーステア状態のまま外へ外へと膨らんでしまう。
逆に、コーナーからコーナーへとつながるタイミングで「ブレーキを長めに残す」という作業をすると、クルマはぐんぐん内側に巻き込みはじめる。「曲がる」と言うよりも「巻き込む」と感じるほど、フロントが思いっきり内側へ入り込む。
より速度を上げ、よりブレーキを残す(フロントに加重を掛ける)ようにすると、いよいよテールが外側に滑り始め、いわゆるカウンターステアを当てる必要が出てくる。パワースライドと言うほどパワーを掛けてはおらず、ドリフトと言うほどコントロールできてもいないので、まあ、「オーバーステア気味でズルズル滑っている」だけの状態なのだが、これが実に面白い(笑)。ウエット路面なのでスピードをさほど上げる必要もなく、クローズドコースなので安全にクルマの挙動変化を楽しむことができた。
いよいよ「G-CUP」登場!練習の成果はいかに
加減速、スラローム、ハンドリング、そして荷重移動。3つの特設コースで思いっきり練習した成果を試すべく、いよいよ「G-CUP」を早着。
「G-CUP」とは、プロスペックが独自開発した秘密アイテムだ。その構造は謎に包まれているのだが、簡単に言うと吸盤を取り付けた透明なボールカップ。豆腐屋さんの86に紙コップを乗せているシーンはあまりにも有名だが、アレの巨大版だと思ってもらえば間違いない。
筆者の結果はトップから4秒遅れ(2回ともペナルティはなし)
まずは練習走行。G-CUPの計量を受け、スタート位置に付き、片岡インストラクターの同乗指導を受けながら順調に走行。
どのぐらいの加減速まで大丈夫なのか、どのぐらいのステアリング操作と横Gまで大丈夫なのか、コースを見つつ、G-CUPが気になりつつ、おっかなびっくりの練習1本目を終了……するゴール直前。初チャレンジの初回アタックにしてはまずまずのタイムにホッと安心し、思わずブレーキをカツン!と踏んでしまい水がバシャッ!!(笑)。
詳しくはオンボード映像を見てもらいたいが、自分が思っている加速度 横Gと、実際の水の動きには結構ズレがあった。もっと踏めるのに躊躇していたり、実は限界ギリギリまで横Gが発生していたり。
この練習を繰り返すことにより、よりスムーズで、同乗者にとっても快適かつ安全なドライビングができることは間違いないだろう。
参加者全員の笑顔がまぶしかった表彰式
「YOKOHAMA & PROSPEC Summer Driving Park 2015」“G-CUPタイムトライアル”結果発表!!
アカツカさんとコジマさんは以前にも参加したことがあり、コジマさんは昨年1位の実力者。クボさんは筆者と同じく初参加で、公道では試すことができない体験ができ大変勉強になったとのこと。入賞者には横浜ゴムのノベルティグッズ詰め合わせが贈られた。
筆者は本番TRY1回目で57秒60(ペナルティタイム 0)で中の上といったところ。本当に久々にマニュアルミッションのFR車、それもロードスターを運転し、いつの間にか「クルマに頼った運転」が身についていたことも理解し改善でき、とても有意義な体験だった。
横浜ゴムのグッズが当たる「じゃんけん大会」
参加者一同興奮冷めやらぬ中、フロントガラスのステッカーを取り外して帰宅準備。再会する日を楽しみにしつつ、「YOKOHAMA & PROSPEC Summer Driving Park 2015」は無事閉幕した。
なお、2016年1月23日(土)には、長野県女神湖の氷上特設コースで「2016 iceGUARD 5 PLUS & PROSPEC Winter Driving Park」(http://www.prospec.gr.jp/event.html)が行われるので、こちらも要チェックだ!