飯田裕子のCar Life Diary

ジュネーブ雑感

 ジュネーブショーに行ってきました。注目車種の情報はすでにあちこちに出まわっているでしょうから、ここでは沢山撮ってきた写真を整理し“独断と偏見だらけ”の「ジュネーブショー&その周辺」についてご紹介したいと思います。

 今回は、ホテルから会場まで電車で通い、それはそれで新鮮な旅にもなりました。またショー開催前日にはジュネーブの街までプチドライブが実現。私にとって何度目かのレマン湖周遊ドライブゆえ、少々おすすめのスポットなどをご紹介させていただきます。

広い写真では伝えきれないほど大勢の報道関係者が訪れていたプレスデー
プレスデー開幕前日、ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーの発表が会場で行われました。手前にあるのがトロフィー
フォード「B-MAX」、ヒュンダイ「I30」、メルセデス・ベンツ「Aクラス」、プジョー「208」、ルノー「クリオ」、スバル「BRZ」/トヨタ「GT86」、フォルクスワーゲン「ゴルフ」、ボルボ「V40」が最終選考に残り、イヤーカーに選ばれたのはゴルフでした。ちなみに2位はBRZ/GT86(こちらではGT86と呼ばれているのですね)。順位の詳細が気になる方は写真右の後方スクリーンの結果をご覧ください
プレスの受付を終えショーの準備に大忙しの会場をちょっと覗いてしまったのですが、こちらのフォルクスワーゲンのブースの男性の足元に注目。皆さん「鑑識か?」というクツカバーをして準備されていました。こうやって眩しいばかりの白いフロアを守りながら設営が行われるのですねぇ、と感心
フォルクスワーゲンはDr.ピエヒの“ペットカー”と言われていた「XL1」の販売を発表。1リッターのガソリンで100kmの走行が可能というPHV。今のところ250台の限定生産と聞いたけれど、日本では買えるのかしら?
アルファロメオ「4C」の発表にももの凄い人が集まり、クルマは見えない、どこで誰がスピーチしているのかも分からないほど……しかしデザインは素晴らしいと思いました。カンファレンス中、近くにいたイタリア語をしゃべる男性が何度も「ケッ・ヴェーラッ!(とても美しい)」を連呼。「そりゃそうだろうけど、私には何も見えてないんですけどぉ」と余計に4Cの姿が気になるわけです。後に対面した4Cを見てせっかくだから私も「ケッ・ヴェーラ!」と呟いてしまいました
4Cのドアを開けウインドウのラインに注目してみると……まるで翼を広げたように見える! そのうち自らの手でこの翼を広げて(ドアを開けて)みたいものです。発表された600ユーロという価格。日本ではいかほどになるのでしょうか
フェラーリ・ブースは、ステージに近づくことすらできません
フェラーリがエンツォの後継モデルと言われる「La Ferrari」を発表したのはすでにご存知かと。ハイブリッドである点でも注目を集めています。ところでイタリア語で女性名詞の前に付く(クルマは女性名詞なんですよね)“La”は英語に例えるなら“The”(定冠詞)。つまり「The Ferrari」となるわけで、このようなベタなネーミングをしてしまってこの先大丈夫なのかと余計な心配をしたり……
15分刻みで行われた各メーカーのプレゼンテーション。その前のプレゼン後にちょっと立ち話をして出遅れたらこのアリサマです。スタンドまでの距離遠すぎ。目の前ではココで出会ったイタリア語をしゃべる方たちが、左右の頬を合わせ「チュッ、チュッ」と頻繁に挨拶を交わしています。クルマが見えないからそればっかり見ていたような……また、会場で通路に見物台(本当は撮影台)が存在したのもフェラーリだけ。やりたい放題とも言えますが、それもこれも色んな意味で「The Ferrari」。クローズ時間直前でも人だかりは絶えないのはさすがです。私もお立ち台から撮影させていただきました
真っ白なオープンボディの前に立つのはインテリアカラーのコーディネイトを手がけたカリーネさん。ジュネーブにはミラノのデザインスタジオからやって来ていました。「カーペットのオレンジが印象的です」と話すと「ドアを開けたときのインパクトを大事にしました」とカリーネさん。「コンセプトはクラシック&エレガンスです。例えばオシャレなミラノ人にとってシューズはとても重要なアイテム。クルマのインテリアデザインをファッションに例えるならシートの下にあるカーペットはシューズのような存在ととらえることができます」。外装はホワイト、内装&ホイールはネイビーブルー。鮮やかなホワイトレザーのシートのステッチやフロアマットにはオレンジではなく“ゴールデン・イエロー”を採用。大人っぽい雰囲気が質感の高さとともに伝わるコンセプトカーでした
ワールドプレミアされたプジョー「2008」。ですが実は、前日会場の入口でごく普通に自走してきた“ちょっと汚れた”2008に遭遇(写真右)。ちょっと汚れている感じがむしろ翌日に発表されるモデルらしいオーラを消していたのかもしれません(笑)
DSのエリアは絨毯の毛足からして違った。手前は白い床からダークグレーの絨毯に一歩踏み込むと、そこはDSの世界
アクセサリーの展示とともに革製品の実演も。ハンドメイドのこだわりが伝わってきました
シトロエン「C3 Hybrid Air」。ボッシュとともに独自開発した新たなハイブリッドシステムの発表に注目が集まっていました
シトロエン「TECHNOSPACE」=次期C4ピカソ
このスリー・ホイーラーはモーガンの象徴的な1台、だと今回知りました。ロータスのケータハムなども同様に、古めかしいのに最新モデルというスタンスを貫いているところは素晴らしい。このモデルは海外でのニーズも少なく1953年に1度、製造を中止しています。が、2011年に再び登場したのがこのカタチ。つまり最新のスリー・ホイーラー! ちなみにシャシーは相変わらずの木製だそうです。思わず「これは新しいのですか?」と質問してしまった1台です
会場を歩いていると、ベントレーのブースでは沢山の中国人プレスに向けてプレゼンテーションを行っていました。ベントレーがこれだけのプレスにプレゼンを行うとは、やはり中国マーケットに大注目している証拠!?
ジュネーブでお披露目されたルノー「キャプチャー」(写真左)。でも「クリオ」(ルーテシア、写真右)もデザインはかなりいい。走りも楽しみです。クリオの写真、無理やりドアを閉めてもらったものの、カバンが外に……
別フロアには工具やホイールはもちろんタイヤチェンジャーや洗車機などさまざまなクルマにまつわる冶具のブースもありました。モーターショーに出展するなんて日本ではあまり考えられず、タイヤチェンジャーやリフト、洗車機、洗車場にある掃除機などどれだけ売れる(出展効果)があるのかわからず。しかし他所(外国)から来た者にとってはよい見物材料になります
ヨーロッパではミニカーコレクションが大人の趣味として受け入れられていて羨ましい。街中のショップも充実しています。と言ってもパリやジュネーブでしか行ったことはありませんが……ジュネーブショーの会場では、実車だけでなくミニカーショップのブースも楽しみにしていました。久しぶりに来てみると、少し出展が少ないように感じました。とは言え、2日目の朝一にしっかりとロケハンし、最後のお楽しみと思って立ち寄ると、「TAMIYAの模型は最高!」という方に出会いました。余談ですが私は1/87派なもので欧州メーカーのものがコレクションのメインです
働くクルマもこっちで見ると何だかオシャレ
実用車は大概のクルマが洗車されず汚い。このゴルフはその中でもかなりキテました
まるでマジック!? 右奥に停まっているプリウスαの中から、ご覧のサイズの大きなマットレスが! 結局クルマは、使う人の気持ち次第で大概はどうにでもなるものなんですよね。しかし日本人はここまでしない!?
最近は日本の空港でもクルマの展示が見られます。経由地チューリッヒ空港で飛行機を降りると、3台のアストンマーティンが展示されていました。レベルが違う? 日本でもこういうスーパーでスペシャルなクルマを普段から目にすることができれば、クルマへの夢や興味も抱けるというものでは? 買わないにしたって、ねえ?
パンダ4WDの展示にしてはオーバーな? @ジュネーブ駅
思ったよりも写真が撮れていなかったので、それ以外で印象に残ったことを少し……10年くらい前はレマン湖周辺の街中でスバル「レガシィ」を見ることが多かったのですが、今やスバルは「インプレッサ WRX」が人気なのだそうです。確かに見ました。ちなみにスバルを頻繁に見かけた理由は、欧州の4WD車に比べ手頃で信頼性も高かったから。しかし今回はアウディをよく見ました。クワトロの支持率も高いようです。本当は、個性的かつ色とりどり粒ぞろいのコンパクトカーたちを紹介したかったのです。「スマート」やフィアット「500」は日本でもお馴染みですがシトロエン「C1」、フォード「Ka」などは、表情豊かである意味フェラーリよりも街中を走る姿はエネルギッシュ。日本には軽自動車があるしMTじゃ売れないし、欧州価格では販売できないから眺めて「いいなぁ」と思うだけ……
モントルーからジュネーブまでプチドライブ
@ヴェヴェイ。レマン湖のほとりにはチャップリンの銅像があります。ヴェヴェイはチャップリンが家族と暮らした家があり、かつて私はそこを取材したことがありました。素晴らしい広さとロケーションであったことは言うまでもありません。そんなチャップリン家の最新情報! 近々その家がチャップリンの博物館になるのだとか。素敵な家はもちろん、広い庭やガレージも観れたら素晴らしいと思います。何てったってチャップリンですから
ユネスコ世界遺産にも登録されているラヴォー地区です。修道士によって造られたブドウ畑が広がるラヴォー地区を走る道路、実はこれまで私が訪れたドライブルートの中でも記憶に残る1本! 以前訪れたときはあたり一面が緑色のブドウの葉で埋めつくされ、眼下にはレマン湖が見下ろせる素晴らしいロケーションの中、試乗した記憶があります。チャンスがあればモントルーやヴェヴェイそしてこのラヴォー地区のドライブもおすすめです
モントルーの街
「クイーン」のフレディ・マーキュリーの像がモントルーにあるなんて知りませんでした。モントルーはジャズフェスティバル開催地として世界的に有名です。クイーンは1978年からこの地にレコーディングスタジオを構え、フレディ・マーキュリーは亡くなるまでモントルーの街を愛していたそうです
レマン湖の夕暮れ
会場には電車で通っていたおかげで、さまざまなモデルを見る機会がありました。何だかとても雰囲気があって可愛らしく見えました。そこで“鉄子”ではないのについついシャッターを押してしまった次第です
新型ゴルフ7と同じMQBプラットフォームを採用するセアト「レオン SC」
マクラーレン「P1」
ランボルギーニ「LP750-4 ヴェネノ」
パガーニ「ウアイラ」
ロールスロイス「レイス」
スバル「ヴィジヴ・コンセプト」
【お詫びと訂正】記事初出時、パガーニ「ウアイラ」のキャプションを誤っておりました。お詫びして訂正させていただきます。

飯田裕子