事故の確率を0.1%減らせるかもしれないリレーコラム

第2回:裏道・抜け道はリスクを上げる

自転車も歩行者もクルマも行き交う裏道・抜け道は危険がいっぱい

 クルマの運転をしていれば、必ずついて回る事故の可能性。でも事故なんて起こしたくないし、事故の可能性はゼロに近づけたい!! そこでいろいろな人に、普段運転するときに気をつけていることを紹介してもらおうというのがこのリレーコラム。ただいまゴールデンウィーク中は特別集中連載中です。第2回はCar Watchでもおなじみのモータージャーナリスト、橋本洋平氏。テーマは「裏道・抜け道」です。お出かけできない子供が多い今、裏道・抜け道にはいつも以上に危険がいっぱいです。


 新型コロナウイルスの感染拡大により医療崩壊が懸念されているいま、外出自粛をしている方々も多いでしょう。けれども、生活維持のためにクルマやバイクに乗って出かけなければならないこともあるのは当然のこと。そこで僕らがやらなければならないのは、普段以上に安全運転に心掛け、事故の確率を少しでも減らさなければならない。人身事故が起きて救急車を要請し、病院に担ぎ込まれるような事態になれば、ただでさえひっ迫している医療に負担をかけてしまうのだから……。そこで、筆者が普段心掛けている安全対策をこのリレーコラムではご紹介したいと思う。

 普段心掛けている僕の運転はズバリ、「裏道・抜け道はできるだけ使わない」ということだ。幹線道路が渋滞していると、ついつい空いている道を探してしまいたくなるところだが、そこをグッと我慢しようと考えている。もちろん、住宅街にある我が家に入る際には裏道を使うことになるのだが、それ以外の状況では可能な限り太い道を通ることを心掛けている。そんな状況で走っていたとしても、当然事故に遭遇する確率はゼロじゃないが、相手はクルマやバイクがほとんどであり、物損で済む可能性が高い。

 だが、裏道・抜け道ではそうはいなかい。事故に遭遇した場合、相手はクルマよりも交通弱者である自転車や歩行者である確率が跳ね上がる。だから、少しでもその状況を避けたほうがよいと考えた。ワンミスで相手の命を奪いかねないリスクから少しでも遠ざかるには、そんな裏道を通らないようにするしかない。

 実は免許取得直後、自宅まであとわずかという路地裏において、駐車車両の間から飛び出してきた小学生を跳ね飛ばしそうになったことがある。ブレーキロックしてスキール音が鳴り響くなか、バンパーのすぐ前には小学生が駆け抜けようとしていたのだ。右足を力いっぱい踏み込むだけで、何ひとつ対処するころができなかったあの瞬間を、僕はいまでも忘れられない。ハッキリ言ってトラウマだ。

 以来、裏道をできるだけ避け、もしも通過する必要がある場合には、極力スピードを落とすことにしている。制限速度が30km/hならば、絶対にそれ以下でしか走らない。これは何も制限速度をきちんと守りましょうとか、そんな優等生ぶったことを言うつもりはない。僕だって、表通りに出れば周囲の流れに乗るスピードで走っているのだから。だがしかし、裏道に関しては優等生ぶっていると言われて結構! ゆっくり走ることは譲れない。とにかくスピードを抑え、万が一人身事故を起こしてしまったとしても、最小限の被害で抑える努力を続けている。スピードが低ければ低いほど、事故を起こした際の被害は少ないのだから……。

 そんな考えで裏道を走っていると、必ずといっていいほど後続車に煽られる。けれども、そこはグッと我慢。というより、後ろのクルマやバイクをせき止める心づもりで走っている。裏道を使ってどんなに急いだって数十分。それなら遅刻してしまったほうがよっぽどマシだ。

橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。走りのクルマからエコカー、そしてチューニングカーやタイヤまでを幅広くインプレッションしている。レースは速さを争うものからエコラン大会まで好成績を収める。また、ドライビングレッスンのインストラクターなども行っている。現在の愛車はトヨタ86 RacingとNAロードスター、メルセデス・ベンツ Vクラス。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。