事故の確率を0.1%減らせるかもしれないリレーコラム

第1回:交通安全のお守りが危険を招く!?

ルームミラーにぶら下げたお守りが事故のもとに?

 クルマの運転をしていれば、必ずついて回る事故の可能性。でも事故なんて起こしたくないし、事故の可能性はゼロに近づけたい!! そこでいろいろな人に、普段運転するときに気をつけていることを紹介してもらおうというのがこのリレーコラム。今年のゴールデンウィークは遠出はしないでしょうが、街中ではお出かけできない子供たちがクルマ通りの少ない道で遊んでいることも。近所の買い物であってもいつも以上に注意が必要です。そこでゴールデンウィーク中は集中連載をしていきます。第1回はCar Watchでもおなじみのモータージャーナリスト、岡本幸一郎氏。テーマは「交通安全のお守りが危険を招く!?」です。


 モータージャーナリストの岡本幸一郎です。ここでは、安全運転のためにはドラテクを磨け~! なんていうことではなくて、誰でもマネできることを紹介してほしいとのことなので、僕が運転するときに普段から気をつけているちょっとしたことをお伝えしたいと思います。

 で、第1回のテーマが「交通安全のお守りが危険を招く!?」って、ちょっと寺社仏閣の関係者からクレームがついちゃいそうなタイトルですが、別に交通安全のお守りがよくないという意味ではないですよ。気にしているのはその付け方です。

 時々ルームミラーにお守りをぶらさげている方を見かけますよね。もちろんご本人は交通安全の願いを込めてつけているはずですが、もしかしたらそれが事故の遠因になってしまうかもしれないというお話です。

 昔とあるレーシングドライバーの方から聞いた話なんですが、視界内に不規則に動くものを置くのはやめたほうがよいそうです。もちろんお守りだけじゃなく、アクセサリーをぶらさげたり、クルマの振動でヒョコヒョコ動くおもちゃをダッシュボードやインパネに飾ったりしている人はいることでしょうけれど、それがよろしくないのです。

 視界を妨げなければいいわけではありません。たとえ視界は妨げなくても不規則に動くこと自体が問題なんだそうです。というのも、不規則に動くものは潜在意識の中にずっと介在していて、周囲でなにか異変が起こったときに発見するのを遅らせてしまうのだとか。つまり、自車の周囲を走るクルマや自転車、歩行者などのとっさの動きに気づきにくくなるので、早く対処すれば衝突を防げたかもしれないのに、事故になってしまう可能性が高まるわけです。

 せっかく交通安全のためにと手に入れたお守りが事故の原因になってしまうなんて本末転倒ですよね。どうしても見える位置に付けたい人は、不規則に動かないように固定するのをオススメします。

 同様に、防げたはずなのに事故になる可能性が高まるという意味では、オーディオの音量も挙げられます。音量を大きくすると周囲の音が聞こえにくくなるのは当然のこと、それだけでなく、大きな音はドライバーのすべての感覚をマヒさせてしまうそうです。

 その顕著な例がスピードです。実際、僕もこの話を知る前には大きめの音量で走っていたこともありますが、そういえば知らず知らずのうちに思っているよりスピードが出過ぎていたような気がします。車速感がマヒしていた証拠ですね。それだけでなく大きな音は、アクセル、ステアリング、ブレーキなどの操作にも微妙に影響を与えて、繊細なドライビングをできなくしてしまうそうです。そうだと知ったら、正しいドライビングを追求する身にとってはなおのこと、音量をあまり大きくするわけにはいきませんよね。僕も音楽は好きですが、いまでは車内ではほどほどの音量で楽しむことにしています。

音量の上げすぎも感覚をマヒさせてしまいます

岡本幸一郎

1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスのモータージャーナリストとして独立。国籍も大小もカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもさまざまなタイプの25台の愛車を乗り継いできた。それらの経験とノウハウを活かし、またユーザー目線に立った視点を大切に、できるだけ読者の方々にとって参考になる有益な情報を提供することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。