事故の確率を0.1%減らせるかもしれないリレーコラム
第4回:助手席の位置が安全運転につながる!?
2020年5月4日 09:04
クルマの運転をしていれば、必ずついて回る事故の可能性。でもそんな可能性はゼロに近づけたい!! そこでいろいろな人に、普段運転で気をつけていることを紹介してもらおうというのがこのリレーコラム。第4回はレーシングドライバーでモータージャーナリストの松田秀士氏。テーマは「助手席の位置が安全運転につながる」です。医療現場が切迫している今だからこそ、いつも以上に事故を起こさないよう安全運転を心がけましょう。
認知・判断・操作が運転の3要素といわれている。どれも重要だが、ボクがこの中で最重要視しているのが認知だ。クルマの運転での認知は見ることと聞くことと感じること。その中でも見ることに注目している。
というのも近年のクルマは昔のクルマに比べて視界がわるくなっているからだ。理由は安全対策。クルマそのものの衝突安全と、対人への歩行者障害保護という観点から、Aピラーは太くなりフロントバルクヘッドは高さを増し、ボンネットの厚みが増し、結果ダッシュボードが高くせり上がる。
さらに燃費をよくするべく空気抵抗を減らすためにフロントウィンドウは傾斜を強める。ドライバーの視界を妨げる要素が山盛りなのだ。
前方視界がよくないとドライバーは前方注視にとらわれがちになる。その結果、ルームミラーやドアミラーへの確認回数が減り、後方や後側方への注意を怠りがちになる。車線変更の時などにクラクションを鳴らされてドキッとしたことはないだろうか?
ドアミラーには必ず死角がある。常に目視で後方を確認していれば、そのようなクルマの動きも認知していて存在を確認できるが、このように最近のクルマの構造的視界のわるさは危険を引き起こす。
そこで1人でクルマに乗るとき、ボクは運転席から見たときに、助手席の背もたれがBピラーに被る状態に助手席の位置をセットして運転している。おそらく助手席をかなり前にスライドさせる形になると思うが、こうすることで左後ろ窓の視界を広くとることができるし、瞬間的に注視した時によく見えるのだ。パッと振り返ってみて、斜め後方の安全確認が行ないやすい。こうすることで、逆に多人数乗車の時はより注意深くなるもの。
この新型コロナウイルスまん延のご時世、“密”を避ける意味からもボクはクルマでの移動は社会的意義を持っていると考えている。できるだけ1人での移動が望ましい。また複数人乗車であれば後席に座ってもらったり、外気導入や窓を開けるなど、クルマは対策が取りやすい。こうした時期だからこそ、どうか安全運転のためにも、助手席位置のセットアップを試してみてはどうかな。