事故の確率を0.1%減らせるかもしれないリレーコラム

第9回:走行時の気持ちの余裕を5割アップさせる方法

運転に余裕ができれば燃費向上というオマケも

 クルマの運転をしていれば必ずついて回る事故の可能性。でもそんな可能性は少しでもゼロに近づけたい!! そこでいろいろな人に、普段運転で気をつけていることを紹介してもらおうというのがこの「事故の確率を0.1%減らせるかもしれないリレーコラム」です。今回はモータージャーナリストの河村康彦氏執筆でテーマは「走行時の気持ちの余裕を5割アップさせる方法」。新しい生活様式ではクルマの価値が見直され、今までクルマに乗らなかった人が運転をはじめるかもしれません。だからこそ今まで以上に余裕のある運転が求められるのかもしれません。


「事故の確率を0.1%減らせるかもしれない」と銘打たれたこのリレーコラム。今回はどんな”秘技”を伝授してもらえるのだろう、と期待を抱いた皆さんには申し訳ないことに、これから語るのは実は”秘技”でもなんでもナシという内容だ。

 それはいわゆるドラテクでもなく、故にもちろん練習なども不要。加えれば、実行をするのに1円のコストも掛かからないばかりか燃費の向上までもが期待をできて、けれども「事故の確率を少しでも減らす」という本来の目的からすれば、恐らくはこちらもてきめんの効果があることは疑いナシという、まるで魔法のようなテクニック(?)なのである。

 それでは、それは一体どんな事なのか……と、種を明かしてしまえばコトはすこぶる簡単。「出発するタイミングを2割早めよう」と、単にそれだけの内容だ。

 要は、想定される所要時間が1時間の場所へと向かうのならば10分強。1時間30分が見込まれる場所へと出掛けるならば20分ほどは早めに出発をしようという“ただそれだけ”の事柄。これで、特別なドラテクも要らず、もちろんコストも全く掛けることなく、しかし事故に遭遇するリスクは確実に減らすことができるはず、というのがここに掲げるシナリオだ。

 何しろ、こうして時間の余裕が生まれれば、信号の変わり目で「行っちゃえ!」という気持ちにもならないし、不意の工事渋滞に遭遇しても、普段使うことのない裏道へと“突撃”する気持ちも芽生えない。さらには、車間ツメツメで流れる追い越し車線へと身を投じる必要もなくなってゆったり流れる走行車線を自分のペースで走ることができれば、結果として微妙な加減速からも解放されるので燃費も向上するというオマケ付きだ。

 こうして、出発時刻の2割前倒しは、走行時の気持ちの余裕を5割アップさせてくれること請け合い。すなわちそれは事故に遭遇するリスクも確実に下げてくれる…… と、ハナシはこのように続くのである。

 そうは言っても“朝の10分”は貴重で、なかなかコトは理屈道理には進まないという意見もあるだろう…… というか、そこのところは自分自身で痛いほど理解ができたりもして、結局は「出発がギリギリ」というタイミングになってしまうことも、正直なところ皆無とは言えない状況だ。

 それでもやはり、これまでの“経験則”からすれば、そこをひと頑張りして10分20分早起きをする価値は、十二分以上にあると言えるのがこの方法。

 時には、想定以上の早着が見込まれて最寄りより1つ手前のインターチェンジで降りてみると、「こんなお店があったっけ?」、「こんな気持ちのいい道があったんだ!」と、思わぬうれしい発見があったりもすることも。

 ともあれ、リラックスした走りのモードは、また新たなドライビングの楽しみも生み出してくれることは確実。「早め出発のリラックス・ドライブ」、単なる安全のみならず、新しい楽しさを発見するためにも、ぜひ一度、トライをしてみて欲しい。

河村康彦

自動車専門誌編集部員を“中退”後、1985年からフリーランス活動をスタート。面白そうな自動車ネタを追っ掛けて東奔西走の日々は、ブログにて(気が向いたときに)随時公開中。現在の愛車は2013年8月末納車の981型ケイマンSに、2002年式のオリジナル型が“旧車増税”に至ったのを機に入れ替えを決断した、2009年式中古スマート……。

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