事故の確率を0.1%減らせるかもしれないリレーコラム

第13回:車内の置き場所、2つの約束

ダッシュボード上に置いたスマートフォンが凶器に!?

 クルマの運転をしていれば必ずついて回る事故の可能性。でもそんな可能性は少しでもゼロに近づけたい!! そこでいろいろな人に、普段運転で気をつけていることを紹介してもらおうというのがこの「事故の確率を0.1%減らせるかもしれないリレーコラム」です。今回はモータージャーナリストのまるも亜希子氏執筆でテーマは「車内の置き場所、2つの約束」。同乗者も注意です。


 みなさんこんにちは。気がつくとついつい車内に上着が3着くらい溜まってしまう、まるも亜希子です。

 梅雨の時期はその日によって寒かったり蒸し暑かったり、洋服の選び方が難しいですよね。「念のため、持ってくか」とカーディガンや薄手のコートを用意するんですが、結局着なかったり。逆に娘はドライブ中に眠ってしまうと「寒い」と言うし、着せてしばらくすると今度は「暑い」と言って脱いじゃうし、どんどん車内に溜まってしまうので困っています。

 そんな車内ですが、みなさんの愛車はスッキリと片付いているでしょうか。私はこのとおり、あんまりきれいに片付いているとは言えないのですが(笑)、2点だけ、絶対にやらないように気をつけていることがあるんです。

 それは、ダッシュボードの上に物を置かないこと。そして、転がりやすい物をフロアに置かないことです。

 近年のクルマはたくさんのエアバッグが搭載されていて、日本ではまだ義務化されてはいないものの、運転席と助手席のエアバッグ装着率は90%以上とかなり高くなっています。ただ、私を含め、多くの人はエアバッグが展開するような事態には遭遇しておらず、もちろん、この先もずっとエアバッグの姿を見ることなんてないのがいちばん。

 ですが、万が一というのがいつ起こるかは誰にも分からないものです。ならば、そうなった時のことを想定しておくことがとても大切だなと思います。運転席のエアバッグはハンドルの中央から飛び出し、助手席はダッシュボードの上部から飛び出してくるものがほとんどですね。その飛び出すスピードたるや、時間にするとわずか0.03秒、速度にすると100~300km/hに相当するというから、一瞬で爆発的に開くのだと想像できます。

 私がダッシュボードの上に物を置かないようにしているのは、助手席のエアバッグが万が一開いた時のことを案じているからです。エアバッグが飛び出す時に、ダッシュボード上部が蓋のように開くのですが、蓋そのものは飛び散らないように丈夫なヒモのようなもので繋がれているものの、もしその上に何か物が置いてあれば、瞬時に飛び散ってしまうだろうと想像できます。ガラスに跳ね返って助手席の人にぶつかるかもしれないし、硬い物ならガラスを割ってしまう可能性も出てくると思います。何しろエアバッグ展開の衝撃はかなり強く、そのままでもガラスが割れたりインパネが変形したり、エアコン吹き出し口やオーディオなどまで飛び出してくることもあるそうです。

 近ごろはフロントガラスにドライブレコーダーを付ける人も多いですが、こうしたことを考慮すると、なるべく中央寄りか運転席側につける方がいいのではと思います。

飲み終えたペットボトルが事故を招くことも

 そしてもう1つは、転がりやすいものをフロアに置かないということ。これは、ドライバーが知らないうちにそうした物がブレーキペダルに挟まってしまい、いざという時にブレーキを踏むことができずに事故を起こしてしまった、という報告が想像以上に多いからなのです。

 まさかそんなことが。普通ならそう思いますよね。でも実際に、空き缶やペットボトル、子どもの小さなボール、中には女性のバッグが挟まって事故を起こしたという事例もあるほど。いつ、どんな拍子でフロアに置いた物が移動するのか、本当に不思議なことが起こりかねないのが車内なんですね。

写真のクルマは違いますが、ウォークスルータイプのクルマだと、助手席や後席のものが転がってくる可能性も

 事故の確率を0.1%でも減らすためには、何も置かないのがいちばん。私自身、これからもこの2点は絶対に守りつつ、なるべくスッキリと片付いた車内全体を目指してがんばりたいと思います。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z(現在も所有)など。