事故の確率を0.1%減らせるかもしれないリレーコラム
第14回:早め早めの意思表示
2020年6月30日 12:25
クルマの運転をしていれば必ずついて回る事故の可能性。でもそんな可能性は少しでもゼロに近づけたい!! そこでいろいろな人に、普段運転で気をつけていることを紹介してもらおうというのがこの「事故の確率を0.1%減らせるかもしれないリレーコラム」です。今回はモータージャーナリストの斎藤慎輔氏執筆でテーマは「早め早めの意思表示」。同乗者も注意です。
先日、自宅から近い住宅街の信号のない交差点で、痛ましい事故がありました。4歳の男の子が、スケートボードに腹這いで乗った状態で交差点先に出てきてしまい、通過中のクルマの下敷きになり死亡したというものです。
その場を見ていたわけではないので、報道によって知り得た情報からだけですが、これがもしも自分だったとして、住宅街ですから速度は抑えていたとしても(そのドライバーは交差点で一時停止をしたと目撃していた人が語っています)、おそらく予見は難しく、突発的で避けられなかったのではなかったかと考えてしまいました。亡くなられた男の子は何よりお気の毒ですし、親御さんはさぞお辛いでしょうが、この事故に限っては、ドライバーの心情を察するに複雑な思いを抱きました。
運転は楽しみや便利さを与えてくれる一方で、事故リスクが隣り合わせであることを、あらためて思います。このような、おそらく完全には避けることが難しいだろう事故もありますが、心がけているのは、まず加害者になってしまうリスクを下げるとともに、被害者にもなりにくい、さらに周囲の事故リスクも下げられれば、という3つの思いです。
その第1は、まず自車の存在を、相手が歩行者であれ、自転車であれ、2輪車であれ、そして周囲から遠方までのクルマに、できるだけ早いタイミングで知ってもらうことです。
そのため、時間帯や天候にかかわらずヘッドライト(状況によってはスモールライトの時もあります)を積極的に点灯しています。最近ではデイタイムランニングライトを標準装備しているクルマも増えてきましたし、2020年4月以降の新型車では、周囲の明るさに応じてロービームを自動点灯するオートライトの標準装着義務化(継続生産車は2021年10月から)がなされ、まだ肉眼には明るく感じるような薄暮でも点灯するようになったことで、そこには気を使うことが少なくて済むようになりました。
その上でなにより肝心だと思っているのは、自分の車両がどう動こうとしているのかを、周りに、早めのタイミングで知ってもらうようにすることです。
減速や制動を後方に知らせるブレーキランプを除くと、ドライバーの意志、クルマの進路をどうしようとしているかを周囲に伝えられる手段は、ウインカー(時にハザードランプもですが)に尽きると考えています。
ですから、路肩から発進する、あるいは路肩への停止をする、この先で右折する、左折する、車線を変える、といったことを、そのための運転操作を開始する前から、前方、後方、周囲に位置する車両や歩行者に、ウインカーで示す、伝える、知ってもらうという目的意識を強く持って、適切な早めのタイミングでウインカーを使うことを心がけています。
本来、その使い方は法規で定められてはいますが、長年の運転経験による慣れで、ここなら省いても大丈夫そうといった勝手な思いや、面倒だからとか、煩わしいからといった思いでいい加減な使い方になるようなことのないよう、そこは強く意識をしています。
右折でも、左折でも、周りの状況を見極めながら早めのタイミングでウインカーを作動させること、これによって、後続車の減速や回避行動をスムーズに行なってもらうことができますし、左折においては路肩側から横をすり抜けようとする自転車や2輪車に対しても早いタイミングで、減速や回避を促すことができます。
車線変更の際も、突発的な回避といった状況でない限り、どんな場合でもウインカーは確実に作動させるとともに、ウインカーによる意思表示が必ず先行で、その上ではじめて操舵を開始するものとしています。
また、意外と事故が多いとされるスーパーの駐車場などでも、駐車列に向けて向きを変える、駐車列から発進する、という際の合図としてのウインカーは必ず作動させ一呼吸おいて動き出すようにしています。
どれも当たり前のことじゃないか、わざわざ書くなというくらいに思っていただければ嬉しいのですが、「○○走り」といった言葉が生まれたりするほどに、ウインカーの役割が軽視される風潮も見られる中で、ちょっと不安に感じているところもあったので、あえてくどく述べさせていただきました。