特別企画
【特別企画】箱根町でエヴァンゲリオン充電器を見学してきた
環境先進観光地を目指す箱根町
(2014/2/27 00:00)
神奈川県の箱根町といえば、日本有数の温泉地として説明不要なほど著名な観光地。自動車好きには、芦ノ湖スカイラインや箱根スカイライン、TOYO TIRES ターンパイクなど快適なドライブウェイを擁し、関東や中京地区からは1泊2日や日帰りドライブの目的地として最適なエリアの1つになっている。
その箱根町が近年取り組んでいるのが、環境先進観光地としてのEV(電気自動車)を活用した取り組みと、アニメ「エヴァンゲリオン」とのコラボレーションプロジェクト。エヴァンゲリオンとのコラボレーションは、箱根町がエヴァンゲリオンの第3新東京市のモデルとなっていることから始まったもので、2009年には箱根町観光協会が「ヱヴァンゲリヲン 箱根補完マップ」を無料配布、震災後の2011年には旧仙石原中学校をベースに「ヱヴァンゲリヲン×箱根町×TOYOTA 電力補完計画 節電推進Ver.in 第3新東京私立第壱中学校」という節電啓蒙イベントが行われた。
●ヱヴァンゲリヲン 箱根補完ツアーに行ってみた
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20090608_213546.html
●箱根でヱヴァンゲリヲン電力補完計画開催
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20110708_459303.html
今回紹介するのは、箱根町観光協会が新たに設置したエヴァンゲリオンデザインの充電器。この充電器はパナソニック製のAC200V 20A普通充電器「ELSEEV(エルシーヴ)パブリックエリア向け(Mode3)」をベースにスペシャルデザインを施したもので、道の駅「箱根峠」に初号機デザインが、箱根湿生花園に2号機デザインが設置されている。箱根町&箱根町観光協会にこれらの取り組みについてうかがうとともに、充電器を設置した2個所を、パナソニック製の充電池を搭載し、普通充電に対応するトヨタ「プリウスPHV」で訪ねてみた。
より特色のある観光地として箱根を発展させていく
今回お話をうかがったのは、箱根町 企画観光部 企画課 ジオパーク推進室の畑貴季氏と、箱根町観光協会 事務局長 譲原清彦氏の2人。エヴァンゲリオンデザインの充電器の設置は、箱根町と箱根町観光協会でプランニングを行い、管理などは箱根町観光協会のほうで担当しているという。
畑氏によると、箱根町は“環境先進観光地”を掲げており、とくにEVの積極的な利用拡大に取り組んでいるという。その一環として、箱根町役場に2基の急速充電器を導入しているほか、役場の公用車に日産自動車「リーフ」などを導入。公用車として活用している。
このリーフにも、箱根町らしく浴衣姿の綾波レイのプリントがなされているが、エヴァンゲリオンとコラボレーションしたのは、若い世代の観光客の誘致を図るため。畑氏によると、箱根町の年間の観光客数は約1943万人。但し、近年の悩みとしては日帰り客が多く、いかに宿泊に結びつけるかということと、中京圏の観光客は伊豆方面で宿泊することが多く、箱根側の宿泊とならないこと。エヴァンゲリオンとコラボレーションすることで、「コアな方に来ていただいて、温泉を味わっていただき、リピーターになってほしい」(畑氏)という。
このエヴァンゲリオン充電器を管理する箱根町観光協会の譲原清彦氏は「エヴァンゲリオン充電器は、初号機を道の駅『箱根峠』の駐車場内に、2号機を箱根湿生花園の駐車場内に設置しました。2号機を湿生花園に設置したのは、湿生花園駐車場からエヴァに関連する風景が見られるためです」と語り、いずれも箱根の風景を楽しめるところに設置してある。
すでに2013年12月から使えるようになっており、エヴァンゲリオン充電器の写真を撮りに来る人もいるという。譲原事務局長に充電器の設置場所を案内していただいた。
箱根とエヴァを目的に、箱根に宿泊旅行を
譲原事務局長に最初に案内されたのは箱根湿生花園の駐車場。ここには前述のように、エヴァンゲリオン2号機の充電器「エルシーヴ」が置かれている。この駐車場からは、金時山などを望むことができ、エヴァ好きの方であればミサトさんとシンジくんのエピソードに思いをはせることができるだろう。
残念なのは、箱根湿生花園が冬期休園中で、ここの駐車場に立ち寄る合理的な理由がエヴァンゲリオン充電器以外に思い浮かばないこと。箱根湿生花園は3月20日にオープンするので、オープン日以降に訪れるのがお勧めだ。
その後、仙石原を抜け、県道75号を元箱根方面へ。途中国道1号に合流し、箱根の関所横を通り、箱根新道との分かれ道の手前に道の駅「箱根峠」はある。写真を見れば、「ああ、あそこか~」と思い当たる人もいるだろう。
この箱根峠の駐車場にあるのがエヴァンゲリオン初号機の充電器「エルシーヴ」。カラーリング以外は2号機と異なる部分はないが、実際に見ると感慨深いものがある。こちらの充電器は、道の駅のスタッフに声をかけることで利用でき、プリウスPHVに充電ケーブルを接続してみた(ほかの利用者の迷惑にならないよう撮影のための接続)。利用客について聞いてみると「まだ、数名」(箱根峠スタッフ)とのこと。普通充電器がこの場所に設置されていることは、あまり知られていないようだ。
譲原事務局長によると、「EVやPHVに搭載するナビに充電スポットとして地図表示されるようになれば、充電器利用者が増えるだろう」とのこと。そのための申請は行っており、設置場所もよいことから、エヴァンゲリオン充電器としても通常の普通充電器としても有名スポットになるのを期待しているようだった。
これらエヴァンゲリオン充電器の設置には、箱根地区専用モデルとしてパナソニックが協力。今後、充電器設置の費用には、政府が国の施策として行っている次世代自動車充電インフラ整備促進事業補助金(http://www.cev-pc.or.jp/hojo/hosei_index.html)が活用される予定だ。この補助金は、次世代自動車振興センターが運用しているもので、エコカー補助金などもこの振興センターを通じて運用されていた。充電器設置を促進する補助金は2014年2月27日までの申請期限だったが、1年延長され、2015年2月27日まで申請を受け付けることになった。
今後の充電器増設予定について聞いてみたところ、「現在箱根町には、急速充電器が役場に2基、レイクアリーナに1基、恩賜箱根公園に1基の4基ある。普通充電器は、このエヴァンゲリオン充電器が2基、そのほかホテルなどにも設置されているところがある。町としては充電器をさらに増やしたいと思っている」といい、補助金などもうまく活用しながら充電器の拡充を図っていくようだ。
エヴァに詳しいAV Watchの山崎記者によると、「エヴァンゲリオンの舞台となった第3新東京市は、エヴァを柔軟に運用するために、あちこちにエヴァに電力を供給するアンビリカルケーブルが用意されている場所である」とのこと。箱根町もそんな第3新東京市のように、EVやPHVを活用しやすいよう、多くの充電器を設置していくことになるのだろう。
なお、道の駅「箱根峠」や、関東側の入口となる箱根湯本の駅前にある「えう゛ぁ屋」にはさまざまなエヴァンゲリオン関連グッズが売っている。箱根町&箱根町観光協会としては、「日帰りでの来訪も大歓迎ですが、ぜひ宿泊して箱根を楽しんでいってほしい」とのことなので、箱根観光情報ポータルサイト「箱根全山」(http://www.hakone.or.jp/)を参考に自分にあう温泉旅館を見つけ、エヴァにちなんだ場所をゆっくり巡るのもよいだろう。