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Honda R&D Asia Pacificで、中嶋悟、土屋圭市、松浦孝亮のSUPER GTメンバーがトークショー
タイでも人気の3人のトークに、熱狂、騒然、爆笑の1時間
2017年11月28日 00:00
- 2017年10月9日(現地時間)開催
SUPER GT唯一の海外戦、タイでの「2017 AUTOBACS SUPER GT Round7 Chang SUPER GT RACE」を終えた翌日の10月9日(現地時間)、同シリーズにホンダ NSX-GTで参戦している中嶋悟氏、土屋圭市氏、松浦孝亮選手の3人が、タイ・バンコクにあるホンダの自動車研究開発拠点「Honda R&D Asia Pacific(HRAP)」と「Honda Access Asia&Oceania(HAC-AO)」を表敬訪問し、トークショーを開催した。
これは、自動車の開発に携わるHRAPの従業員と純正アクセサリーブランド「Modulo」をはじめとする用品の開発を手がけるHAC-AOのみなさんとの交流を目的としたもの。全体的には和やかに進行したものの、中嶋氏、土屋氏、松浦選手のファンでもある従業員のみなさんの、熱量の高さも感じ取ることのできるイベントとなった。
足の踏み場もなくなるほどの大勢が会場に
中嶋氏は、日本では言わずと知れた日本初の元フルタイムF1ドライバー。現在はGT500の64号車「Epson Modulo NSX-GT」のチーム総監督を務めており、松浦選手はそのドライバーの1人だ。土屋氏はGT500 8号車「ARTA NSX-GT」とGT300 55号車「ARTA BMW M6 GT3」に、エグゼクティブアドバイザーとして関わっている。
3人ともホンダの車両でSUPER GTに参戦しているだけに、ホンダグループであるHRAPや、HAC-AO内での知名度は高い。なかでも土屋氏はレーシングドライバーであるとともに、同氏が出演する映画がタイ国内で人気になったためか一般の人にも「ムービー・スター」として知られ、熱狂的なファンも多いようだ。
そんなこともあって、トークショー会場の広いセミナールームには、足の踏み場もなくなるほど大勢の従業員、目算で200名ほどが詰めかけた。
司会進行はホンダアクセスの純正アクセサリーブランド「Modulo」から、Moduloスマイルの水村リアさんが担当。まずは中嶋氏の経歴について、日本の元F1ドライバーであり、現在は64号車Epson Modulo NSX-GTのチーム総監督であること、さらにかつてCDデビューしていたことから「歌手でもある」と紹介し、会場を騒然とさせた。
松浦選手については、レースキャリアの始まりが「1993年、14歳のとき」であること、中嶋総監督のもとで64号車のドライバーを務め、前戦の鈴鹿1000kmでSUPER GT通算2回目の優勝を果たしたことを紹介しつつ、司会の水村さんは「別の職業はプロゴルファー」と付け加えた。ゴルフの腕前が玄人はだしであることからそう言われているようだが、会場は再び騒然……。
土屋氏は、ツーリングカー選手権やドリフト走行で日本のみならずアジア全域で名を知られており、ドイツのF3やインディカーに参戦したドライバーであると紹介。タイにはドリフトイベントで訪れることがあるとし、タイのクルマ文化について「いい改造をしてますね」と話した。
「運転が下手なので、タイのテストコースで練習してきます!」
自己紹介を終えたところで、3人は前日にタイのチャン・インターナショナル・サーキットで開催された第7戦を振り返った。
同レースでは64号車が8位に終わったが、中嶋氏は、いつもより長丁場の鈴鹿1000kmの後ということもあり「ちょっと疲れ気味だった」とコメント。「タイで初めて雨のレースを経験してびっくりしました。過去3年間1度も降らなかったから。本当は勝ちたかったけど、(雨のレースは)来年のための勉強にもなったかな」と話した。
松浦選手は、「雨の中を走ってどうだったか」と聞かれたものの、ドライバー交代があったことから「たまたま自分の(走行の)時は雨が上がっていた。チームメイトのベルトラン・バゲットの時は雨で、彼は楽しそうに走っていました。我々はダンロップタイヤをはいているんですけども、特にウェットタイヤは非常に調子がよくて、助けられた」と語った。
第7戦では64号車がポイントを獲得し、次回は11月12日、ツインリンクもてぎでの最終戦を残すのみ。中嶋氏は、「1年の最後のレース、栃木に研究所があるホンダのお膝元です。(他チームと合わせて5台参戦している)NSX-GT(のうちどれか)が勝つといいが、うちだともっといい。松浦君にかかっています」と、横に並ぶ松浦選手に発破をかけた。
これに対して松浦選手は、「自分、運転が下手なので、(HRAPが2017年7月に開設した)タイのテストコースで練習してきます! 最終戦に向けて調整してきます!」と焦った様子を見せ、会場の笑いを誘った。
土屋氏がエグゼクティブアドバイザーを務めるGT300の55号車ARTA BMW M6 GT3は、第7戦では4位。ポイントを獲得したものの、「鈴鹿ともてぎはホンダの本コース。(チーム上層部に)来年使いたいなと思われるレースをしないと、ホンダのドライバーではいられないでしょう」と土屋氏。その場にはいないARTAの2チームのドライバーに対する愛のムチとも言える発言で大いに沸かせた。
時速300kmのカーブで真っ先に思い浮かぶのは……?
トークショーがスタートする直前は、会場に詰める参加者の数に圧倒されたのか、少し緊張しているようにも見えた中嶋氏、土屋氏、松浦選手の3人。一方、参加者である従業員のみなさんも、「著名人が来る」という期待感があったのか、そわそわしている様子が見えた。
ところが、トークショーが始まると互いにそんな気配はなくなり、リラックスした雰囲気に。後半の質問タイムになると、ここぞとばかりにぐいぐい積極的に手を挙げていく姿勢と、プレゼントをもらって素直に喜びを表現する姿には、遠慮がちな日本人にはあまりない爽やかさを感じた。
その質問タイムでは、特に土屋氏に多く質問が飛んだ。「時速300kmで走って急カーブを曲がるときに、一番先に誰のことを思うか」という問いに対して、土屋氏が「カメラマンでしょう。失敗したらYouTubeに流れちゃうんだから」と話すと会場は笑いの渦に。
しかし、その一方で「心の支えは何か」という質問に土屋氏は、「過剰な自信。レーシングドライバーをやっているときもドリフトのときもそうだけど、世の中にこれ以上うまいやつはいないと思って走っています」と、全員をうならせる回答をしてみせた。