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「ヴェゼル Modulo X」は乗る人がカッコよく見えるクルマ!? 仲よし夫婦とModulo X開発エンジニアの「Modulo Xトークショー」

橋本洋平氏・まるも亜希子氏・湯沢峰司氏・ピエール北川氏編

2020年1月12日 開催

モータージャーナリストの橋本洋平氏(左)、カーライフジャーナリストのまるも亜希子氏(右)が夫婦で参加した「Modulo Xトークショー」

 東京オートサロン 2020の本田技研工業ブースでは、特設ステージにてホンダのモータースポーツからクルマ造りまで、テーマを分けたトークショーを連日開催した。Car Watchではその中から、2019年11月に発売されたばかりの「ヴェゼル Modulo X」の話題を軸とした「Modulo Xトークショー」を取り上げていく。

 さて、Modulo Xトークショーは開催日、時間によって登壇者を変えていたが、Car Watchでは最終日のプログラムであったModulo開発アドバイザーの土屋圭市氏とModulo X開発エンジニアの湯沢峰司氏が登場する回と、モータージャーナリストの橋本洋平氏、カーライフジャーナリストのまるも亜希子氏によるステージを紹介する。このうち土屋氏のステージはすでに別記事で紹介しているので、本稿では橋本洋平氏とまるも亜希子氏が登場したトークショーの模様を紹介していこう。

東京オートサロン 2020の本田技研工業ブースで行なわれた「Modulo Xトークショー」。左から、MCを務めたモータースポーツを中心に活動するフリーアナウンサーのピエール北川氏、モータージャーナリストの橋本洋平氏、カーライフジャーナリストのまるも亜希子氏、Modulo X開発エンジニアの湯沢峰司氏

 トークショーのMCはモータースポーツMCでおなじみのピエール北川氏が担当。ゲストの橋本洋平氏とまるも亜希子氏に加えて、Modulo X開発エンジニアの湯沢峰司氏が登壇した。

Modulo Xとは何か?

 ピエール北川氏もプライベートでホンダのクルマに乗っているとのことから、ヴェゼル Modulo Xには興味があるとのこと。そこでまず、開発エンジニアの湯沢氏に「Modulo Xとは何か」を尋ねた。

 開始早々話を振られた湯沢氏だったが、東京オートサロンでは連日トークショーをこなしてきただけに落ち着いた感じで返答した。

株式会社ホンダアクセスでModulo Xの開発を担当する湯沢峰司氏

 湯沢氏は「私は今回紹介させていただくModulo Xシリーズの開発で、現場のまとめや運動性能の検証を担当しています」と自身の役割を説明した後、ステージ後方の大型スクリーンを使いながら「1994年にアルミホイールのブランドとしてModuloが生まれました。そこからクルマのカスタマイズに関わる規制緩和が行なわれると、ホンダ純正のエアロパーツやサスペンション、ブレーキといったものの開発や販売を始めましたが、ブランドが追求する“こだわりのもの造り”を進めていくうちに、パーツ単体だけではなくModuloのこだわりを1台にまとめたコンプリートカーを造っていくことになりました。それがModulo Xというクルマです」とModulo、およびModulo Xを紹介した。

Modulo Xのコンセプトと歴史の紹介。単なるコンプリートカーではなく、ホンダの熟練エンジニアの技術とノウハウをたっぷり使って造られた特別なクルマなのだ

 2013年に「N-BOX Modulo X」がデビューしてから最新のヴェゼル Modulo Xまで6車種のModulo Xが登場しているわけだが、ラインアップを改めて見てみると軽ワゴンにミニバン、スポーツカー、SUVとタイプがバラバラなので、ステージ前に集まった人の中にはModulo Xというクルマがどんなものなのか掴めていない人もいるだろう。

 そこでピエール北川氏は「Modulo Xブランドが大事にしていることを教えてください」と再び湯沢氏に話を振ると「Modulo Xはホンダの経験豊富なエンジニアが開発するコンプリートカーのシリーズです。そのテーマは“意のままに操れる操縦性”“所有感を満たすデザイン”“視角、触覚、乗り味にまで追求した上質感”というところに注力をしています」と答えた。1つのブランドというとベース車のジャンルが固定されるようなイメージもあるが、Modulo Xがコンセプトとして掲げる3つは“クルマをよりいいモノ”にしていくことを目的にしているので、ジャンルは問わないということなのだ。

 さて、今回のModulo Xトークショーは開発陣が主役ではなく、ユーザーの立場であるモータージャーナリストが主役だ。さらに女性目線でのクルマのインプレッションや使い勝手の評価ができるまるも氏もいて、他の回とは違った話が聞けそうだ。

カーライフジャーナリストのまるも亜希子氏。「ヴェゼル Modulo Xは助手席も心地いいんです。長い時間乗っていても疲れないんです」とのコメントも聞けた

 では、さっそくまるも氏のコメントから紹介しよう。まるも氏は「自動車メーカーが造るクルマはどんな方が乗っても扱いやすいものですが、その中でも乗り比べてみるとそれぞれの特徴があるものです。とくに女性だと運転のしやすさや安心感、そういったところに敏感なのですが、私がヴェゼル Modulo Xに試乗した時は、湯沢さんがおっしゃるような操縦性のよさや乗り味の上質さを感じました。ベースになっているヴェゼルは街中でも取りまわしのしやすいサイズです。それにSUVは運転中の視点が高いのも乗りやすさを感じる点ですよね。でも、Modulo Xになるとそんなサイズ的な乗りやすさに加えて、走りそのものの素直さ、安定感や安心感が追加されているなと感じました」と語った。

 この発言に続けて橋本氏からは「ボクは走り屋(笑)なので当然走りの面が気になります。試乗会ではその点を期待してヴェゼル Modulo Xに乗り込んだのですが、乗ってすぐビックリしたのがシートのフィーリングでした。試乗会ではまず標準車に乗ってからModulo Xという順番でしたが標準車からModulo Xに乗り換えた時に“これはなんだ”と感じたくらい座り心地に違いを感じたのです。そこで現場の説明担当者さんに聞いてみると、なんとヴェゼル Modulo Xではシリーズで初めて専用シートを導入したんです。特別仕様車でシートが違うのはよくありますが、表皮の張り変えやクッション材の変更などのレベルではなくて、シートの骨組みから新たに行なっているとのことでした」とヴェゼル Modulo Xとのファーストインプレッションを語った。続けて「骨組みから造り替えているということは新規のシートになるので、ヴェゼル Modulo Xでは安全性を証明するための衝突試験もやり直していると言うんですよ」と付け加えた。

 すると湯沢氏も「そうなんです。Modulo Xはベース車に対してカスタマイズされたクルマではありますが、普通にホンダカーズで購入できるクルマなので、ほかのグレードと同じ試験をすべて行なっています」と説明をする。造った後に標準車と同じ各種試験まで行なうという部分もコンプリートカーとしてのModulo Xならではの特徴なのだ。

ヴェゼル Modulo X開発の舞台裏

ホンダのテストコースで行なった開発時の映像。開発車両が付けているバンパーは試乗会の現場にも展示されたが、それを見た橋本氏は試行錯誤の痕跡に興味を持ったという。湯沢氏は「大事なのはテストコースでの成績ではなくて、ユーザーさんがいつも走る道を快適に安全に走れること」と語った

 続いてスクリーンには、ホンダが北海道の旭川に持つ鷹栖テストコースで行なわれた開発風景の映像が流された。ピエール北川氏から「完成までどれくらいの時間が掛かったのですか?」という質問に対して湯沢氏は「丸2年くらいですね」とサラッと答えていたが、それだけ長い時間を掛けて造るコンプリートカーは世界でどれくらいあるのだろうか。

 こうした開発を終えて晴れて市販化となったヴェゼル Modulo Xは、橋本氏も参加したメディア向けの試乗会が行なわれた。その現場には映像にも写っていた車両が付けていた開発段階のバンパーが展示されていたのだが、現地でそれを見た橋本氏は「削ったり付け足したりしたことがハッキリ分かる試行錯誤の痕に改めて感動した」と語った。これについて湯沢氏は「開発用のバンパーはテストコースにあるガレージ内で削ったり盛ったりしています。これはそれぞれの効果を試すためでもありますが、多くのことを行なっている開発時において方向性を見失うこともまれにあります。そんな時には思い切り削ってしまってどうなるのかを見て、方向性を再確認するということもやっています」と解説した。

 その話を聞いていた橋本氏は「バンパー形状などはコンピュータで計算すればよい形が分かる時代ですし、それでOKとするじゃないですか。だけどクルマはいろいろな道、条件の中を走るものだし、そこにドライブフィーリングというものもあるので、そんな部分までカバーしていくには人の手による細かい作業がいるということですか」と問うと、「お客さんが走るのは一般道です。だからテストコースでの成績がベストではないのです。皆さんが日常走る道でちゃんと効果があることが重要なので、そこは人の手で詰めていくしかないのです」と湯沢氏。

モータージャーナリストの橋本洋平氏。試乗会ではヴェゼル Modulo X専用シートの座り心地のよさにビックリしたという。これを「心地よい」という言葉で表現した

ヴェゼル Modulo Xの走りや乗り心地は?

 クルマ造りに関する話が続いた後は、ゲストの2人の本業(?)である試乗についての話題となった。橋本氏は試乗について「一般的にSUVとなれば、走りの面でスポーツカーに当然及びません。車高も高いのでドライバーはふらつきを感じやすいですよね。だけど、ヴェゼル Modulo Xはさっきのシートの話になりますが、まず体がしっかりサポートされます。そして余計な揺れがありません。それに高速道を真っ直ぐ走っている時も直進性がとてもいい。レーンチェンジの時もふらつきはないし、ステアリング越しにタイヤの手応えがちゃんと伝わって来ます。ドライブフィーリングの面は非常に優れているという印象で、運転していて心地いいんですよ」と語った。

 続いてまるも氏は「私はステアリングの感覚に特徴があると思いました。ステアリングを切っていった時に手のひらに感じる“タイヤの接地感”が標準車よりはっきりと分かるんです。路面の状態までがつかめるくらいです。こういった感覚は速く走るためのスポーツカーを語る時に取り上げられますが、実は一般道においても安全性を高めるのに有効です。運転は不慣れだという初心者の方や女性にとって、このフィーリングは安心感を得ることにつながると思います。これは私からみるとドライバーに寄り添ったもので、上質な仕上げと表現するのが合うと思います」とヴェゼル Modulo Xを評価した。

まるも氏はヴェゼル Modulo Xの走りの安定感やステアリングフィールのよさは「運転が不慣れな初心者の方や女性にも向いている」と表現した

 MCのピエール北川氏も愛車の「ステップワゴン」で家族を乗せてドライブするということから「クルマって、買い物の足だったり子供の送り迎えで活躍したりと日常の道具でもありますよね。その時には雨の日もあれば道が荒れている工事現場を通ることもあって、そこで不安を感じることはあるんです。だけどそんな時でも安心感を得られるクルマなら運転が楽しくなりそうですね」と語った。

湯沢氏が解説するヴェゼル Modulo Xの走りへのこだわり

 このような話が出そろったところで新たなタネ明かし(?)として、湯沢氏はヴェゼル Modulo Xの特徴を解説した。湯沢氏は「皆さんが評価していただいたハンドリングの話になると、サスペンションがいいのだろうと思うところでしょう。もちろんそこもしっかり造っていますが、ヴェゼル Modulo Xではそれに加えてアルミホイールの剛性にもこだわっています。これはS660 Modulo Xを開発した時から着目していることで、ホイールの剛性を装着するクルマに対して最適化していくとタイヤの接地圧を高めることができ、それが走りにいい影響を与えるのです」と解説した。

 すると橋本氏は「ボクは以前、その乗り比べをさせてもらったことがありますが、サーキットでのライン取りを行なう時に、同一車種でもホイールの剛性を最適化したものだと走行ラインのトレース性がまるで違いました。安定性もあるし狙ったところへクルマを持っていけるほどの差がありました」と語った。

 ここでピエール北川氏は「ジャーナリストの方は比較ができるのでいろいろつかむことができますが、われわれ一般ユーザーがそれを感じることはできるでしょうか?」と疑問を投げかけた。その問いに答えたのは湯沢氏だ。「確かにジャーナリストの方と同じ条件で乗り比べができる機会はあまりないと思います。だけど、Modulo Xの走りを感じるには別にヴェゼル同士の乗り比べをしなくても、皆さんがいつも走っている道で試乗していただければ違いは分かるはずです。いつも走るということはその道の状態を熟知しているので、いつもどおりに走ってその時に感じたことがModulo Xの走りということなのです」と語ったが、この時の湯沢氏の表情は自信に満ちているように見えた。

トークの中で湯沢氏は「ステップワゴン Modulo X」を購入したユーザーから届いたコメントに触れた。それは“2列目に乗る子供がこのクルマが来たことにすごく喜んでいる”という内容。それを読んだ湯沢氏は、そんな部分にも貢献できたことに歓びを感じたという

 ユーザー目線のコメントが多かったModulo Xトークショーも終了の時刻がきた。後半はヴェゼル Modulo Xの走りや乗り心地についての話題が中心になったが、その中でまるも氏は「私は子供と一緒に後席に乗っての試乗もさせてもらいましたが、ヴェゼル Modulo Xはどんな道でも走りがしなやかなので、運転しているパパ(橋本氏とまるも氏は本当のご夫婦)がカッコよく見えるんですよ」と発言。これには橋本氏も「お前、視力検査した方がいいよ」と照れていたが、そこにピエール北川氏から「人って感覚とか数字では出ないところで、いいものに触れた時に心がリッチになるような気がします。ボクはそういうのはとても大事だと思うので、まるもさんのパパがカッコよく見えるというのは、いいものに触れたということですよね」とフォローが入り、最後はほんわかとした雰囲気の中でトークショーは終了となった。

まるも氏からの予想外の褒め言葉に対応しきれず、ステージ上で照れが出る橋本氏。仲のいいおふたりのステージらしく終始、いい雰囲気でトークは進んだ

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