イベントレポート 東京オートサロン 2020

なるか“20年目のマイナーチェンジ”。「S2000 20th Anniversary Prototype」を筆頭に注目のコンセプトモデルが並ぶホンダアクセスブース

「今の若者がかっこいいと感じるデザイン」を施したEK9 シビックも

2020年1月10日~12日 開催

入場料:特別入場券3500円、大人一般入場券2500円、中・高校生一般入場券1800円(全日とも保護者同伴に限り小学生以下無料)

2019年に20周年を迎えた「S2000」を祝う「S2000 20th Anniversary Prototype」

 幕張メッセ(千葉県美浜区)で開幕した「東京オートサロン2020」(1月10日~12日)。本稿ではホンダアクセスブースを紹介していこう。

 ホンダアクセスはオートサロンへの出展は常連で、毎回開催ごとにブースのコンセプトを決めていていて、2020年は「乗り物で人と人とがつながる」をメインコンセプトにしている。

 そこで展示車は家族3世代、4世代で楽しめることを目指したものとし、ブースも世代を超えた人(家族)が「乗り物を通じて楽しむ」ことを表現するために、遊園地にあるメリーゴーランドをイメージしたデザインとした。ホンダアクセスブースを訪れた際は、目線を少し上に上げてメリーゴーランド風の造作もチェックしてほしい。

メリーゴーランド風のホンダアクセスブース

「S2000 20th Anniversary Prototype」

 ホンダファンに今でも強く支持されている「S2000」は、2019年にデビューから20周年を迎えた。その記念として、ホンダアクセスは新たに純正アクセサリーの生産を検討。そのパーツを組み込んだコンセプトモデルが「S2000 20th Anniversary Prototype」だ。

 S2000 20th Anniversary Prototypeのパーツラインアップにおいての大きなポイントは、新たにデザインされた大開口のエアロバンパー。ホンダアクセスは「Modulo X」という空力アイテムなどを生かして走りのよさを追求するコンプリートカーの開発を行なっていて、S2000 20th Anniversary Prototype用エアロバンパーにも現代の空力理論を投入。さらにModulo X開発チームとも連携し、テストコースでの試走を繰り返すことで当時のS2000をしのぐ直進安定性と走安性をもたらすことに成功してしている。

 ホンダアクセスが「20年目のマイナーチェンジ」と呼ぶこの新アイテム、気になる発売時期や価格などの詳細情報は2月20日に発表される予定になっている。

フロントノーズは従来から延長。開口部は今どきのスポーツカーと同等の大開口となった。また、バンパーサイドには走行中に受ける風の整流用造形を追加。これを設けたことで、タイヤハウスへの風の巻き込みが減少
フロントバンパー下面には通称「トビバコ」と呼ぶ整流用キーが付く。これは最新のModulo Xシリーズにも採用されるノウハウ
リアタイヤの前に付くリアストレーキ。これは当時のModuloパーツの復刻品
リアダックテールスポイラーも当時の純正アクセサリー品で、これも復刻される
S2000 20th Anniversary Prototypeではインテリアにも手が加えられた。シート表皮を張り替えているが、これはショー用のものでアクセサリーとしては用意されない
アニバーサリーエディションのフロアマットは市販予定。フロアマットが欠品、もしくは傷んでいるS2000オーナーにはうれしいものだろう
20th Anniversaryロゴが入ったオーディオリッドやディフレクターはショー用に用意したもので、市販予定はない
現在のノウハウでセットアップされたサスペンションキットも発売予定。空力効果と合わせて走りを体験してみたいところだ
ソフトトップの保護にもなるボディカバーハーフタイプを含むアイテムは、4月に詳細が発表される

CIVIC CYBER NIGHT JAPAN CRUISER 2020

夜の街を気持ちよくカッコよく走るためのCIVIC CYBER NIGHT JAPAN CRUISER 2020

 ホンダアクセスに所属する25歳のデザイナーがリーダーとなって作り上げたEK9 シビック タイプR。今回のブースのテーマは「つながる」とのことだが、EK9が選ばれたのは「世代をつなぐ」という意味もあった。発案者とEK9 シビックはほぼ同年代ということで、当然「よく知らないクルマ」ではあるが、そんな世代が社会人になって改めてEK9 シビックというクルマのデザインを見たときに「かっこいい」と思い、ボディサイズについても「シビックらしい」と感じたという。

 そんなことから、今回は古めのクルマを素材に当時を知らない世代のデザイナーによる「今の若者がかっこいいと感じるデザイン」を施したEK9 シビックを作って展示することになったのだ。

フロントバンパーは新たにデザインしたもの。こちらは展示用として作られているので、S2000 20th Anniversary Prototypeのような実走テストはまだ行なっていない
現代のクルマではヘッドライトはボディの一部というくらいデザイン的に同化している。そこでCIVIC CYBER NIGHT JAPAN CRUISER 2020ではライトをLED化して、なおかつボディ同色部分を追加。なお、ボンネットの先端はライトのカラー面と合うように延長されている
ホイールは新型インサイト用を流用
サイドモールとは機能パーツである。ということから、きちんと独立した見え方になるようにボディ同色ではなく黒くしている。全体のイメージを引き締める効果もある
リアコンビネーションランプの造形はかなり変わっている
マフラーエンドは右バンパー端に
内装はトリム生地の張り替えや塗装で質感を高めた
メーターはS660用を流用する

N-WGN ROAD SIDE concept

N-WGN ROAD SIDE concept。ボディカラーは今回のために調色したもので名前がない。イメージしたのはユーカリの色とのこと

 日本のおいてのアウトドア趣味はテント泊や車中泊はもちろん、日帰りでキャンプ場に行き、アウトドア料理やレジャーを楽しむデイキャンプというものがある。デイキャンプは宿泊するキャンプに比べて手軽なところから、このスタイルを楽しむ人が増えている。そんな志向を持つアクティブなユーザーに向けて作ったのが「N-WGN ROAD SIDE concept」で、これは「気持ちのいい場所でおいしいご飯を食べてほしい」を形にしたものだ。

 さてそのスタイル、一見するとリフトアップカスタムをしているように見えるが、実は車高は変わっていない。バンパーなどにSUV的なデザインを処理することにより、足下を軽快に見せているためそう見えるのだ。また、ただSUV的にしただけでなく、走行安定性を高める造形も盛り込むところはホンダアクセスらしい部分だ。

 インテリアのコンセプトは「アウトドアダイナー」というもの。写真にあるアイテムはすべて車内に収まるようになっていて(2シーター仕様)、キャンプ地に到着したら展開することでアウトドアでの食事をおしゃれに快適に行なうことができるというもの。

 なお、展開しているアイテムを搭載した状態はフルフラットなので、その他の用具なども楽に搭載することができる。2019年に展示されたN-VANベースの「TRIP-VAN」に続く、クルマ遊びの提案となる面白い1台だ。

外に出ているシートと室内のシートを重ねることでフラットな荷室になる
食器棚やクーラーボックス、ゴミ箱は備え付け
前席の表皮もリア席と同じもので張り替えている
インパネまわりはノーマルだが、ステアリングとシフトノブをシートと同じ生地にしている
アウトドアイメージをプラスするためルーフレールを追加

KACHATTO-WAGON

ステップワゴンの車いす仕様車をベースにした多目的スロープ車「KACHATTO-WAGON」

 ステップワゴンの車いす仕様車をベースにしたカスタムカー。フロアを完全にフラットにした上で、そのフロアにはワンタッチで着脱できる金具を多数埋め込んでいるところがポイント。これをホンダアクセスでは多目的スロープ車と名付けている。

 展示車には車いすと小型バイクが積み込まれていたが、これは車いす利用の祖父と父親、息子の3人での乗車をイメージしたもので、ストーリーは孫のバイクレースを祖父と父で応援しに行くというもの。ただ、この展示車で使用している車いすは実際の法規ではNGになるので、今回はあくまでもシート位置が選べることの面白さや便利をユーザーに見てもらうものとしている。

 フロアに埋め込まれているのは、工業用の治具などを工具なしでつけ外しするためのワンタッチ式ロックなので、シート位置の移動も容易だ。

フロントバンパーに付くフォグランプは純正アクセサリー
スチールホイールは純正品。白色に塗装している。ハブキャップも純正品
シートはスポーティさを出すためにすべてBRIDE製に変更
セカンドシートはベースをオリジナルで製作。フロアへの固定は専用のフックを使用
フロアの改造と運転席シート以外はほぼ市販の車いす仕様車のまま
フロアの表面はN-VAN純正アクセサリーにも使われているTPOマットを使用。フロアにポツポツある丸いところがワンタッチ式ロックを装着するためのもの
スペアのロックを付けてある。下段はシート固定用

AIBOU

AIBOU(相棒)とは子供の人生において初めて手にする「自分のホンダ」。初めて自分のクルマを手にした子供が、お気に入りのシールなどを車体に貼ることなども想定しているという。シンプルなスタイルにしたのは、そんな遊びがしやすいようにするという意味もある

 AIBOUは子供向けのコンセプトカーであり、言うなれば「人生において初めてのホンダ」となることを目指して製作されている。対象年齢は小学校低学年くらいまでを想定していて、動力のモーターと足まわりは市販の電動カーのものを流用しているが、そのほかはすべて製作している。車体全体のイメージとしては安全性や優しいカタチということ追求していて、その結果シンプルなものになっている。

 車体はシャシー部分とボディ部分で分けていて、下はしっかりしたものにしたいということからFRP製とした。そして上側は柔らかいもので包み込むというイメージにするために、PVCのビニール素材を使用している。全方位が透明素材なので、乗り込んだときにも圧迫感がまるでないとのことだった。とはいえプライベート感もあるので、子供にとっては「秘密基地」のような居心地のいい場所となるだろう。

 子供向けのクルマというとおもちゃっぽく感じるが、こうした素材や形状は今あるクルマではできないことなので、クルマを製造する側からするとクルマ作りにおける新しいチャレンジでもある。また、そうした姿勢を子供に見せることで、一般的に持つ「クルマへの固定概念」を取り払いながら、「クルマの自由さ」を見せたいという思いも入っているのだ。小学校低学年以下の子供であればAIBOUに乗り込むこともできるので、子供連れで東京オートサロンへ行く際にはホンダアクセスブースへ立ち寄ってみることをおすすめする。

シートはアウトドア用チェアやハンモックのようなスタイル。フックの位置でリクライニング角度を変えられる
ステアリングはゲームのコントローラーをイメージしたデザイン
ステアリングには家の形をした矢印がある。今は機能していないが、GPSと連動して常に自宅の方角を指すために付けたものだ
どうやって動いているかという部分にも興味を持ってもらうため、モーターが付く部分のフロアはスケルトン仕様にしている
内部は送風機で空気を送っているのでビニールボディは常に張りがある。ロールバーは安全第一を考えてスチール製だが、バーのまわりにはパッド状のエアクッションが巻かれていて、頭などをぶつけた際でもダメージがないようにしている

深田昌之