トピック
参加者も技術者も満足度120%のヴェゼル Modulo X体感試乗会レポート
標準車とModulo Xを一般道&サーキットで乗り比べることで見えたものは?
- 提供:
- 株式会社ホンダアクセス
2020年2月13日 00:00
パーツ単体の性能を高めていくのではなく、上質な走りからデザインまで“クルマ1台分としての価値を高める”ことを目的として開発しているコンプリートカーが、本田技研工業が発売する「Modulo Xシリーズ」だ。2013年に「N-BOX Modulo X」を発売して以来、クルマ好きなユーザーのハートに響くクルマを次々とデビューさせ、2019年11月にシリーズ初となるSUVモデル「ヴェゼル ツーリング Modulo X」と「ヴェゼル ハイブリッド Modulo X」がラインアップに追加された。人気車の「ヴェゼル」がベースであることに加えてModulo Xとして初めて4WDモデルも追加されたことで、降雪エリアのオーナーやSUVオーナーから注目を集めている1台だ。
そんな中、Modulo Xの開発を担うホンダアクセスが、標準車のヴェゼルとヴェゼル Modulo Xを一般道とサーキットと合わせてトータル2時間近く、たっぷりと比較試乗ができる「ヴェゼル Modulo X体感試乗会」を開催した。この試乗会はヴェゼル Modulo Xスペシャルサイトと、1月に開催された東京オートサロン2020のホンダブース内で応募を受け付けていて、募集人数が16組限定というプレミアムなイベント。また、比較試乗の合間にはヴェゼルModulo Xの開発におけるキーマンとなるエンジニアやデザイナーのトークショーがあったり、ゲストとして来ていたModulo X開発アドバイザー土屋圭市氏のS660 Modulo X同乗走行もあるという充実の内容。それでいて参加費は「無料」というから驚き。
「え~、それは行きたかった」と呟いた方も多いと思われるが、残念ながら今のところ次回の開催予定は未定なので、Car Watchが興味津々の試乗会の模様を詳しくお伝えするので、次回の開催に備えてぜひ目を通しておいていただきたい。
まずは一般道で自分のクルマ、標準車、そしてModulo Xと乗り比べ
ヴェゼルModulo X体感試乗会の開催地は千葉県茂原市にある茂原ツインサーキットとその周辺道路。クローズドコースに加えて一般公道を使うため、参加者が安全に試乗できること、そしてしっかりとModulo Xの走りを体感できることを重視した結果、このエリアになったとのことだ。
受け付けを済ませるとブリーフィングがスタート。当日のスケジュールや注意点の説明が行なわれたあと、ゲストであるModulo X開発アドバイザー土屋圭市氏と、カーライフジャーナリストのまるも亜希子氏が紹介された。
土屋氏とまるも氏はいったん降壇し、続いて登場したのは、ホンダアクセスのModulo X統括の福田正剛氏、ヴェゼル Modulo X開発責任者の苗代圭一郎氏、デザイン担当の渡邊岳洋氏、営業部の小澤直也氏の4名。それぞれが参加者の前で自己紹介をしたあと、福田氏から試乗の前に改めてヴェゼル Modulo Xの解説があった。
さらに福田氏はスライドを使いながら「Modulo Xは北海道にある鷹栖プルービンググラウンドというホンダのテストコースで“鍛える”という表現があうような走行を繰り返して作っています。そうしたハードな開発を走りきったクルマは一般道ではどこを走っても扱いやすくすごく楽しめるクルマになるのです」とModulo Xの特徴を説明をした。
ホンダ車を350台売った元ディーラーマンが試乗
ブリーフィングを終えるといよいよ試乗会がスタート。Car Watchはアコードワゴンに乗る「オダピーさん」に密着して試乗の感想などを伺うことになった。そこで試乗の話に入る前にオダピーさんのことを少し紹介させていただこう。この方は以前、ホンダ車ディーラーでセールススタッフをしていた経歴の持ち主。そのため数多くのホンダ車に乗っているし、クルマの知識、そして見る目も持っている方だった。いろいろとお話が聞けそうで楽しみである。
このヴェゼル Modulo X体感試乗会では、標準車のヴェゼルとModulo Xとの乗り比べのほか、ふだん乗っているクルマとも比較ができるよう、一般道試乗の際はまず、自分のクルマで試乗コースをひと回りする時間を設けていた。
一般道試乗を終えたオダピーさんに感想を聞いてみた。車歴はCR-X、VTECエンジンのプレリュード、インテグラタイプR、S2000、そしてBMWの328などとスポーツ路線でサーキット走行の経験もある。さらに趣味でレーシングカートにも乗るということで、運転に関してはかなりの上級者で走るのが好きな方である。
そのオダピーさんからは「SUVはアウトドアの雰囲気を楽しむのにいいクルマという印象を持っていました。ボクがクルマを売っているときにはCR-Vがありまして、当時のお客さまにはお子さまの成長期をSUVで過ごしていただくことで行動範囲が広がり、思いで作りに貢献できたという記憶もあります」と冒頭からさすがのコメントをいただいた。
そしてヴェゼルの印象だが「標準車から乗せてもらいましたが、いいクルマでした。売れていると言うのがよく分かります。乗り心地がよかったです。でも、足まわりが柔らかいので路面が荒れたカーブでは乗り心地がよくても車体の揺れが目立つ感じでした。いいクルマには違いないのですが、言い換えれば無難なクルマで面白みがないという印象もあります。とはいえ、セールス的な目線では多くの方に安心して勧められるクルマと感じました」とコメント。
そしてModulo Xに関しては「Modulo Xに乗るのはこれが初めてです。“どれくらい違うのかな~”と楽しみにしていましたが、ハンドルを切れば素直に動くし、ハンドルの落ち着きがいいので、運転する側が余計な事をしなくていいと思いました。この感覚は以前乗っていたBMWに似ている気がしました。荒れた路面では標準車と比べてクルマの動きが少ないので乗り心地がいいです。それに試乗中、強めにブレーキを掛ける機会があったのですが、ふつうはこのような運転をすると助手席にいる人の身体がグンと前につんのめると思うのですが、Modulo Xではそれがなかったんです。これは“どういうこと?”と思いました。このことについて説明員の方に質問したところ、サスペンションの設定と空力が機能しているという答えでした。変な言い方ですがModulo Xに乗ると運転が上手くなったと勘違いしちゃいそうです(笑)」と語っていただいた。
サーキット試乗でも走りの違いがハッキリ出た
続いてはサーキット内での試乗になる。サーキット試乗も標準車との乗り比べだが、今度はともにハイブリッド車となる。先ほどと同じように標準車、Modulo Xと乗り継いで戻ってきたオダピーさんに話を伺うと「サーキットでも標準車の優等生ぶりを感じることができましたが、コーナーでは多少ハンドルの修正が必要でした。曲線が異なる2つのコーナーを蛇角一定で走り抜けようとしてもやはりふらつきが出るので修正が必要でした。でも、これもよくないという意味でなく“こんなものだろう”という印象。ところが同じ区間をModulo Xで走ってみると最初に切り込んだステアリングの蛇角で走り抜けられたのです。ロールがないわけではないのですが、傾く動きがゆっくりで、ロールが戻って欲しくないところではちゃんとガマンしていてくれる感じでした」と語ってくれた。
さらに「Modulo Xは思ったとおりのラインをトレースできました。対して標準車はやはり修正舵が必要になりました。あと、標準車で少しペースを上げてコーナーに入るとアンダーステアが出るかな、と言う気持ちからアクセルがなかなか開けられませんでしたが、Modulo Xでは安定感があるのでコーナー区間や立ち上がりでアクセルを踏める部分が多かったですね」とサーキットでの走りについても詳しい分析をしていただいた。
以上でオダピーさんの試乗は終了となった。Modulo Xは4WD車だったが走りのフィーリングは一般道で乗ったFFとかわりないとのこと。ただ、サーキットでタイヤが滑ったときに後輪に駆動が掛かって安定させてくれたのは体感できたという。オダピーさんは最後に「Modulo Xは時間とお金と作り手の根性をたくさん使っているクルマですね」と評価してくれた。
クルマ好きな24歳の目線が Modulo Xを評価する
午後の部にCar Watchが担当させていただいたのはスズキのスイフトスポーツに乗る「りんりんさん」だ。まずは、ご自身のクルマ選びについて聞いてみたところ、スポーティなクルマが好きなのでとにかく格好がいいことが1つ。そしてもう1つ挙げたのが、家族がムリなく乗れて、乗り心地がいいこと。また、今年はアウトドアレジャーを始めたいと考えていて、SUVに興味が出てきたとのことだった。なお、クルマはレジャー以外に通勤にも使うので、年間走行距離は1万Km弱と東京住まいとのことで、若くても運転経験は十分な方である。
まずは自分のクルマで一般道試乗コースを完熟走行し、そのあと標準車、Modulo Xと乗り継ぐ。その感想を聞いてみると「舗装がよくない区間では標準車とModulo Xでは乗り心地が全然違いました。Modulo Xは柔らかいという感じです。それにクルマの揺れも小さくてその収まりも早い感じでした」と答えてくれた。
試乗コースにはコーナー区間もあるが、そこでの印象は「スイフトスポーツはロール感が少なくカーブが走りやすいクルマですが、ヴェゼル Modulo Xはそれ以上でしたし、曲がっている最中のハンドルの落ち着きがいいのでクルマが勝手に曲がっていくという感覚でした」とのこと。そして「いま乗っているスイフトスポーツもそうですけど、ボクは一体感が感じられるクルマが好きなので、その点についてもヴェゼルModulo Xはいい感じです。想像していた以上に走りがいいと感じました」ということだった。
ヴェゼルModulo XはSUVというよりスポーツカー
サーキット試乗を済ませたりんりんさんに声を掛けると第一声が「全然違いました」だった。「標準車と比べるとModulo Xは全然ロールがなくて、でも乗り心地が硬いとは感じずに“ふんわり”曲がっていくという感覚です。コースを狭くしてある区間では、横に乗っていた土屋さんの言うとおりにハンドルの切る量を一定にしてみましたが、そのままきれいにふんわりとい走り抜けてくれたのは驚きでした。標準車ではハンドル修正が必要だったのでコースの狭さが気になりましたが、Modulo Xでは狭さを意識しないで走れた気がします」とのコメントが聞けた。「アクセルを踏めば加速もよかったのでこれはスポーツカーですね」という開発陣が聞いたら喜ぶであろうひと言も出た。
試乗を終えたりんりんさんに“買いたい気持ちはどれくらいあるの?”と訪ねてみると「他にも興味があるクルマもあるので決めかねてます」との返答。ちなみに他の候補を伺ったところ「シビックタイプR(FD2型)」こと。一体感が得られて4ドアというところがポイントだが、乗り心地の面で家族向けとは言えないところがネックだと言う。試乗後は展示されているヴェゼル Modulo Xのリアシートに座ったり、ラゲッジの広さを確認したりと、走り以外のポイントも熱心に観察していたのが印象的だった。
試乗だけじゃない。内容盛りだくさんのヴェゼルModulo X体感試乗会
ヴェゼル Modulo X試乗会は午前と午後に参加者を分けて開催されたが、ちょうどお昼に参加者全員が揃う時間帯を設けてあり、そこで行なわれたのが土屋圭市氏、Modulo X開発者の福田正剛氏、苗代圭一郎氏、渡邊岳洋氏の4名による「Modulo Xトークショー」。
参加者から事前にもらった質問に登壇者が回答するスタイル。とくに熱く語ってくれたのが「Modulo Xを開発するときの情熱や想いを教えて欲しい」という質問。
福田氏は「自分たちは数値だけでなく開発中に自分たちが感じたことを大事にしています。ただし、感じるには物事に集中していることが必要です」
苗代氏も「1度設計の不備が発覚して現場の雰囲気が重苦しいものになったのですが、夕食時に討論して方向性を見いだし、翌日には作業に反映してあったのを見たときは感動しました」と言した。
次はデザインに関する質問。デザイナー渡邊氏は「技術者が求めるデザインは、デザイナーが思い浮かべる“美しいカタチ”ではないです。それをどうまとめていくかが難しい部分でしたので、開発中は技術者とたくさん会話をし、そのなかで大事だったことが“感性”です。自分の頭の中で風の流れをしっかり意識することに注意していくと、いままでにないアイデアが浮かぶようになりました」とコメントをした。
なお、Modulo Xの開発ではデザイナーもハンドルを握ってテストコースを走るという独自の開発スタイルがあり、渡邊氏は「数値などのデータをもらってデザインするのでなく、データに加えて自分が走った感覚も取り込めるので勉強になる。デザインに大きな変化はなくても微妙な部分にそれが生きて、効果を出すのだと思います」と話した。
こうしてヴェゼル Modulo X体感試乗会は無事終了。参加された方の笑顔が印象的だった。「この試乗会で印象に残ったことは?」と言う質問に対して「今日はカップルで来られた方がいました。ふだんは運転しないといいう女性に標準車と乗り比べていただいたところ“安定して、安心して走れる”と言ってもらえました。これがとても印象に残っています」とデザイナーの渡邊氏が返答。それを聞いていた他の開発陣もそれぞれに思い浮かべることがあったようで柔らかい表情をみせていた。
このように参加した方も開催した側も気持ちよく過ごせたヴェゼル Modulo X体感試乗会、こうした試乗会はぜひまた開催してほしい、そう感じた内容だった。