トピック

参加者も技術者も満足度120%のヴェゼル Modulo X体感試乗会レポート

標準車とModulo Xを一般道&サーキットで乗り比べることで見えたものは?

ヴェゼル ツーリング Modulo Xとヴェゼル ハイブリッド Modulo Xの両方に一般道とサーキットで試乗できるイベント。用意されたModulo X試乗車は1.5リッターターボを積むツーリング Modulo XのFF車、そしてハイブリッド Modulo XのFFと4WDの計3タイプ

 パーツ単体の性能を高めていくのではなく、上質な走りからデザインまで“クルマ1台分としての価値を高める”ことを目的として開発しているコンプリートカーが、本田技研工業が発売する「Modulo Xシリーズ」だ。2013年に「N-BOX Modulo X」を発売して以来、クルマ好きなユーザーのハートに響くクルマを次々とデビューさせ、2019年11月にシリーズ初となるSUVモデル「ヴェゼル ツーリング Modulo X」と「ヴェゼル ハイブリッド Modulo X」がラインアップに追加された。人気車の「ヴェゼル」がベースであることに加えてModulo Xとして初めて4WDモデルも追加されたことで、降雪エリアのオーナーやSUVオーナーから注目を集めている1台だ。

 そんな中、Modulo Xの開発を担うホンダアクセスが、標準車のヴェゼルとヴェゼル Modulo Xを一般道とサーキットと合わせてトータル2時間近く、たっぷりと比較試乗ができる「ヴェゼル Modulo X体感試乗会」を開催した。この試乗会はヴェゼル Modulo Xスペシャルサイトと、1月に開催された東京オートサロン2020のホンダブース内で応募を受け付けていて、募集人数が16組限定というプレミアムなイベント。また、比較試乗の合間にはヴェゼルModulo Xの開発におけるキーマンとなるエンジニアやデザイナーのトークショーがあったり、ゲストとして来ていたModulo X開発アドバイザー土屋圭市氏のS660 Modulo X同乗走行もあるという充実の内容。それでいて参加費は「無料」というから驚き。
「え~、それは行きたかった」と呟いた方も多いと思われるが、残念ながら今のところ次回の開催予定は未定なので、Car Watchが興味津々の試乗会の模様を詳しくお伝えするので、次回の開催に備えてぜひ目を通しておいていただきたい。

特徴的なフロントまわり。標準車と同じなのはヘッドライトのみで、あとはすべてModulo Xのために新たにデザインされる
走行時に当たる風をきれいに流すことを考えた形状になっている。特に車体中央部をリアまで真っ直ぐに通るように2本のフィンが造形されている
アルミホイールはFFが18インチ、4WDが17インチの設定となる。それぞれ剛性にもこだわって作ったオリジナルホイールとなる
ルーフスポイラーは純正アクセサリーと同形状。ルーフスポイラーとルーフレールは内装色に合わせてブラック塗装される
リアバンパーも新たに造形。ロアのセンター部分には床下面を流れてくる風を整流するフィンが設けてある
整流イメージイラスト。赤い部分がフィン(前に2個、後に1個)で、車体の中央部に1本の風の流れを生み出すことで、センター軸をしっかりさせて安定性を高めている
表現としての「ワンランク上」ではなく、実際に体感できる「ワンランク上の走り」を実現するサスペンションを開発。専用アルミホイールもホイール剛性からクルマに合わせているので走りの質の向上に貢献する設計になっている
Modulo Xシリーズ初となる専用フロントスポーツシートも開発。表皮だけでなく骨格やクッション、形状からすべてが専用設計。ロングツアラーにふさわしい「スポーティで疲れないシート」だ
リアシートの形状は標準車と同じだが、表皮をフロントシートと同じ滑りにくい素材に交換。フロアカーペットマットもModulo Xエンブレム付きの専用品となる

まずは一般道で自分のクルマ、標準車、そしてModulo Xと乗り比べ

 ヴェゼルModulo X体感試乗会の開催地は千葉県茂原市にある茂原ツインサーキットとその周辺道路。クローズドコースに加えて一般公道を使うため、参加者が安全に試乗できること、そしてしっかりとModulo Xの走りを体感できることを重視した結果、このエリアになったとのことだ。

専用駐車スペースが用意されている。本来は3台駐められるだけのスペースに2台のみ駐車する設定なのでドアをいっぱいに開けても余裕がある
参加者以外のピットは、試乗車にメンテナンスが必要になったときに備えて作業スペースや工具、スペアパーツなども用意されていた
レストランスペースも休憩&待機所になっているが、サーキット内試乗のスタート位置側にも特設の待機所が用意され、至れり尽くせりの会場内
トークショーのステージや参加者の休憩所の入るレストラン。もちろん参加者にはランチも振る舞われた
レストラン内にはヴェゼルModulo X専用エアロパーツやアルミホイールが展示され間近で見ることが可能に
注目を集めていたのが実際にテストコースでの開発時に使用していたフロントエアロバンパー。現場で削ったり盛ったりしながら作りあげていたことがわかる状態だった
サスペンションはダンパー内部の構成部品まで展示。展示物のそばには説明員がいるので詳細を聞くこともできた。普段見ることのできない部品に参加者も興味津々だった
レストラン内にもヴェゼルModulo Xが展示され、参加者はインテリアやラゲッジスペースなどを細かくチェックしていた
レストランのテーブルも参加者ごとに用意され、かなり高級感があり、参加者は最高のおもてなしで迎えられた
こちらは参加者が自由に作ることができるModulo Xオリジナル缶バッジ。3種のデザインが用意されていた

 受け付けを済ませるとブリーフィングがスタート。当日のスケジュールや注意点の説明が行なわれたあと、ゲストであるModulo X開発アドバイザー土屋圭市氏と、カーライフジャーナリストのまるも亜希子氏が紹介された。

レストラン入口が参加者の受付。オリジナルのネームホルダーが用意されていた
受け付け後はブリーフィングとなる。ホンダアクセスの担当者からこの日のスケジュールなどが説明される
Modulo X開発アドバイザーの土屋圭市氏と東京オートサロンのホンダブース内で開催したModulo Xトークショーにも登壇したカーライフジャーナリストのまるも亜希子氏が登場

 土屋氏とまるも氏はいったん降壇し、続いて登場したのは、ホンダアクセスのModulo X統括の福田正剛氏、ヴェゼル Modulo X開発責任者の苗代圭一郎氏、デザイン担当の渡邊岳洋氏、営業部の小澤直也氏の4名。それぞれが参加者の前で自己紹介をしたあと、福田氏から試乗の前に改めてヴェゼル Modulo Xの解説があった。

写真左から福田氏、苗代氏、渡邊氏、小澤氏の4名。会場内での解説のほか、一般道試乗の際に参加者の車に同乗して、Modulo Xの走りについての解説も行なった

 さらに福田氏はスライドを使いながら「Modulo Xは北海道にある鷹栖プルービンググラウンドというホンダのテストコースで“鍛える”という表現があうような走行を繰り返して作っています。そうしたハードな開発を走りきったクルマは一般道ではどこを走っても扱いやすくすごく楽しめるクルマになるのです」とModulo Xの特徴を説明をした。

ホンダ車を350台売った元ディーラーマンが試乗

 ブリーフィングを終えるといよいよ試乗会がスタート。Car Watchはアコードワゴンに乗る「オダピーさん」に密着して試乗の感想などを伺うことになった。そこで試乗の話に入る前にオダピーさんのことを少し紹介させていただこう。この方は以前、ホンダ車ディーラーでセールススタッフをしていた経歴の持ち主。そのため数多くのホンダ車に乗っているし、クルマの知識、そして見る目も持っている方だった。いろいろとお話が聞けそうで楽しみである。

午前の部ではオダピーさんへの取材を担当させていただいた。ホンダディーラーにお勤めの経験があり、クルマを見る目が肥えている方だった

 このヴェゼル Modulo X体感試乗会では、標準車のヴェゼルとModulo Xとの乗り比べのほか、ふだん乗っているクルマとも比較ができるよう、一般道試乗の際はまず、自分のクルマで試乗コースをひと回りする時間を設けていた。

同じコースを続けて走るのでクルマごとの違いを見つけやすい
こちらは標準車のヴェゼル ツーリング
ヴェゼル ツーリング Modulo Xに乗り換えて同じコースを試乗

 一般道試乗を終えたオダピーさんに感想を聞いてみた。車歴はCR-X、VTECエンジンのプレリュード、インテグラタイプR、S2000、そしてBMWの328などとスポーツ路線でサーキット走行の経験もある。さらに趣味でレーシングカートにも乗るということで、運転に関してはかなりの上級者で走るのが好きな方である。

 そのオダピーさんからは「SUVはアウトドアの雰囲気を楽しむのにいいクルマという印象を持っていました。ボクがクルマを売っているときにはCR-Vがありまして、当時のお客さまにはお子さまの成長期をSUVで過ごしていただくことで行動範囲が広がり、思いで作りに貢献できたという記憶もあります」と冒頭からさすがのコメントをいただいた。

 そしてヴェゼルの印象だが「標準車から乗せてもらいましたが、いいクルマでした。売れていると言うのがよく分かります。乗り心地がよかったです。でも、足まわりが柔らかいので路面が荒れたカーブでは乗り心地がよくても車体の揺れが目立つ感じでした。いいクルマには違いないのですが、言い換えれば無難なクルマで面白みがないという印象もあります。とはいえ、セールス的な目線では多くの方に安心して勧められるクルマと感じました」とコメント。

 そしてModulo Xに関しては「Modulo Xに乗るのはこれが初めてです。“どれくらい違うのかな~”と楽しみにしていましたが、ハンドルを切れば素直に動くし、ハンドルの落ち着きがいいので、運転する側が余計な事をしなくていいと思いました。この感覚は以前乗っていたBMWに似ている気がしました。荒れた路面では標準車と比べてクルマの動きが少ないので乗り心地がいいです。それに試乗中、強めにブレーキを掛ける機会があったのですが、ふつうはこのような運転をすると助手席にいる人の身体がグンと前につんのめると思うのですが、Modulo Xではそれがなかったんです。これは“どういうこと?”と思いました。このことについて説明員の方に質問したところ、サスペンションの設定と空力が機能しているという答えでした。変な言い方ですがModulo Xに乗ると運転が上手くなったと勘違いしちゃいそうです(笑)」と語っていただいた。

「挙動が安定しているので運転が上手くなったと思ってしまう」と語っていただいたヴェゼル Modulo X。また「同じコースを乗り比べたので差がよく分かった」とのこと

サーキット試乗でも走りの違いがハッキリ出た

 続いてはサーキット内での試乗になる。サーキット試乗も標準車との乗り比べだが、今度はともにハイブリッド車となる。先ほどと同じように標準車、Modulo Xと乗り継いで戻ってきたオダピーさんに話を伺うと「サーキットでも標準車の優等生ぶりを感じることができましたが、コーナーでは多少ハンドルの修正が必要でした。曲線が異なる2つのコーナーを蛇角一定で走り抜けようとしてもやはりふらつきが出るので修正が必要でした。でも、これもよくないという意味でなく“こんなものだろう”という印象。ところが同じ区間をModulo Xで走ってみると最初に切り込んだステアリングの蛇角で走り抜けられたのです。ロールがないわけではないのですが、傾く動きがゆっくりで、ロールが戻って欲しくないところではちゃんとガマンしていてくれる感じでした」と語ってくれた。

茂原ツインサーキットの東コースを使ったサーキット試乗
手前がホームストレートで奥が最終コーナー
ステアリング蛇角の修正が不要な特性を感じてもらうため、最終コーナー(第1コーナー)にコース幅を狭めた走行ラインを設けていた

 さらに「Modulo Xは思ったとおりのラインをトレースできました。対して標準車はやはり修正舵が必要になりました。あと、標準車で少しペースを上げてコーナーに入るとアンダーステアが出るかな、と言う気持ちからアクセルがなかなか開けられませんでしたが、Modulo Xでは安定感があるのでコーナー区間や立ち上がりでアクセルを踏める部分が多かったですね」とサーキットでの走りについても詳しい分析をしていただいた。

サーキット試乗ではなんと土屋氏が助手席に乗ってくれる(Modulo Xのみ)。オダピーさんに伺ったところ「自分が運転するクルマに土屋さんが乗っていることなんてあり得ないのでとても緊張しました」とのことだった
コース上にはタイヤが交互に踏んで行くような障害物が置かれていたが、そこもスムーズに通過したとのこと
コーンで幅を狭くした区間。ロール量からスピードが想像できる
Modulo Xの走行シーン。どのコーナーでも安定感があるのでアクセルを踏めるポイントが多かったという
試乗後にパドック内の待機所でも土屋氏と話す機会があった。こういったところも特別なエクスペリエンスを大事にするModulo X体感試乗会ならでは

 以上でオダピーさんの試乗は終了となった。Modulo Xは4WD車だったが走りのフィーリングは一般道で乗ったFFとかわりないとのこと。ただ、サーキットでタイヤが滑ったときに後輪に駆動が掛かって安定させてくれたのは体感できたという。オダピーさんは最後に「Modulo Xは時間とお金と作り手の根性をたくさん使っているクルマですね」と評価してくれた。

モータージャーナリスト並みの分析をしてくれたオダピーさん。乗り終えてからは「まずいな~ホントに欲しいな~」と繰り返していた

クルマ好きな24歳の目線が Modulo Xを評価する

 午後の部にCar Watchが担当させていただいたのはスズキのスイフトスポーツに乗る「りんりんさん」だ。まずは、ご自身のクルマ選びについて聞いてみたところ、スポーティなクルマが好きなのでとにかく格好がいいことが1つ。そしてもう1つ挙げたのが、家族がムリなく乗れて、乗り心地がいいこと。また、今年はアウトドアレジャーを始めたいと考えていて、SUVに興味が出てきたとのことだった。なお、クルマはレジャー以外に通勤にも使うので、年間走行距離は1万Km弱と東京住まいとのことで、若くても運転経験は十分な方である。

りんりんさんは、スイフトスポーツのローンが終わるので、次のクルマとしてヴェゼル Modulo Xを検討中とのこと

 まずは自分のクルマで一般道試乗コースを完熟走行し、そのあと標準車、Modulo Xと乗り継ぐ。その感想を聞いてみると「舗装がよくない区間では標準車とModulo Xでは乗り心地が全然違いました。Modulo Xは柔らかいという感じです。それにクルマの揺れも小さくてその収まりも早い感じでした」と答えてくれた。

 試乗コースにはコーナー区間もあるが、そこでの印象は「スイフトスポーツはロール感が少なくカーブが走りやすいクルマですが、ヴェゼル Modulo Xはそれ以上でしたし、曲がっている最中のハンドルの落ち着きがいいのでクルマが勝手に曲がっていくという感覚でした」とのこと。そして「いま乗っているスイフトスポーツもそうですけど、ボクは一体感が感じられるクルマが好きなので、その点についてもヴェゼルModulo Xはいい感じです。想像していた以上に走りがいいと感じました」ということだった。

標準車の乗り心地もわるいと感じなかったとのことだが、このあとModulo Xに乗ってビックリ
Modulo Xの乗り心地はさらによく、大きなギャップ越えではクルマの揺れの収まりもよかったという
24歳と若い方だがすでに2台を乗り継いでいたりんりんさん。Car Watchが担当させていただいた方は二人ともこだわりがあって話の聞き甲斐のある方でした

ヴェゼルModulo XはSUVというよりスポーツカー

 サーキット試乗を済ませたりんりんさんに声を掛けると第一声が「全然違いました」だった。「標準車と比べるとModulo Xは全然ロールがなくて、でも乗り心地が硬いとは感じずに“ふんわり”曲がっていくという感覚です。コースを狭くしてある区間では、横に乗っていた土屋さんの言うとおりにハンドルの切る量を一定にしてみましたが、そのままきれいにふんわりとい走り抜けてくれたのは驚きでした。標準車ではハンドル修正が必要だったのでコースの狭さが気になりましたが、Modulo Xでは狭さを意識しないで走れた気がします」とのコメントが聞けた。「アクセルを踏めば加速もよかったのでこれはスポーツカーですね」という開発陣が聞いたら喜ぶであろうひと言も出た。

 試乗を終えたりんりんさんに“買いたい気持ちはどれくらいあるの?”と訪ねてみると「他にも興味があるクルマもあるので決めかねてます」との返答。ちなみに他の候補を伺ったところ「シビックタイプR(FD2型)」こと。一体感が得られて4ドアというところがポイントだが、乗り心地の面で家族向けとは言えないところがネックだと言う。試乗後は展示されているヴェゼル Modulo Xのリアシートに座ったり、ラゲッジの広さを確認したりと、走り以外のポイントも熱心に観察していたのが印象的だった。

サーキット試乗ではFFのヴェゼル ツーリング Modulo Xに試乗
そして助手席に土屋氏が乗り込む。たくさん聞きたいことがあったけど「緊張して全然聞けませんでした」とのこと。そのかわり土屋氏からいろいろ話しかけてもらえたという
りんりんさんの表現では「ふんわり」と曲がるというModulo X。試乗レポートではあまり使わない言葉だが、なるほどイメージにあうという印象
標準車の走りもよかったということだったが、Modulo Xはさらに安定感がありふんわりな走り。家族を乗せてのドライブするという条件にはピッタリとのこと
ストレート区間ではきっちりアクセルを踏んでいた。「加速感も十分」とりんりんさん

試乗だけじゃない。内容盛りだくさんのヴェゼルModulo X体感試乗会

 ヴェゼル Modulo X試乗会は午前と午後に参加者を分けて開催されたが、ちょうどお昼に参加者全員が揃う時間帯を設けてあり、そこで行なわれたのが土屋圭市氏、Modulo X開発者の福田正剛氏、苗代圭一郎氏、渡邊岳洋氏の4名による「Modulo Xトークショー」。

 参加者から事前にもらった質問に登壇者が回答するスタイル。とくに熱く語ってくれたのが「Modulo Xを開発するときの情熱や想いを教えて欲しい」という質問。

 福田氏は「自分たちは数値だけでなく開発中に自分たちが感じたことを大事にしています。ただし、感じるには物事に集中していることが必要です」

 苗代氏も「1度設計の不備が発覚して現場の雰囲気が重苦しいものになったのですが、夕食時に討論して方向性を見いだし、翌日には作業に反映してあったのを見たときは感動しました」と言した。

トークショーのMCはまるも亜希子氏が担当。質問の多くは開発時における「こだわりや情熱」についてのことだった

 次はデザインに関する質問。デザイナー渡邊氏は「技術者が求めるデザインは、デザイナーが思い浮かべる“美しいカタチ”ではないです。それをどうまとめていくかが難しい部分でしたので、開発中は技術者とたくさん会話をし、そのなかで大事だったことが“感性”です。自分の頭の中で風の流れをしっかり意識することに注意していくと、いままでにないアイデアが浮かぶようになりました」とコメントをした。

 なお、Modulo Xの開発ではデザイナーもハンドルを握ってテストコースを走るという独自の開発スタイルがあり、渡邊氏は「数値などのデータをもらってデザインするのでなく、データに加えて自分が走った感覚も取り込めるので勉強になる。デザインに大きな変化はなくても微妙な部分にそれが生きて、効果を出すのだと思います」と話した。

福田氏は「我々はすでに答えが出ているものであっても鵜呑みにせず、自分たちで検証をします。そして乗ります。これを繰り返していくとクルマはどんどん高まっていくのです」と語ってくれた
土屋氏はホンダアクセスの役員に対してトレーニングも買って出ているという。こうして「乗れる人」を増やすことはModulo Xのようなクルマを造り続けるには大切なことだとModulo X開発陣は考えているという
試乗会の最後には土屋氏がドライブするS660 Modulo Xへの同乗走行が参加者全員に用意されていた
幅を狭くしてある区間もハイペースで姿勢安定のままきれいに走り抜ける土屋氏。かなり攻め込んだ走りをしてくれた
土屋氏の極限の走りは「もはやジェットコースター以上!」
トークショーの最後にはプレゼント抽選会も行なわれた。さらに土屋氏のサイン会など盛りだくさんの内容だった

 こうしてヴェゼル Modulo X体感試乗会は無事終了。参加された方の笑顔が印象的だった。「この試乗会で印象に残ったことは?」と言う質問に対して「今日はカップルで来られた方がいました。ふだんは運転しないといいう女性に標準車と乗り比べていただいたところ“安定して、安心して走れる”と言ってもらえました。これがとても印象に残っています」とデザイナーの渡邊氏が返答。それを聞いていた他の開発陣もそれぞれに思い浮かべることがあったようで柔らかい表情をみせていた。

 このように参加した方も開催した側も気持ちよく過ごせたヴェゼル Modulo X体感試乗会、こうした試乗会はぜひまた開催してほしい、そう感じた内容だった。

これだけの内容の試乗会はほかにはないと思うので、今後、Modulo X体感試乗会が開催されるときはぜひ応募していただきたい