トピック
横浜ゴムのキャンピングカー専用タイヤ「ブルーアース・キャンパー」 キャンピングカーに最適な性能とは?
欧州で採用の専用CP規格についても聞いてみた
- 提供:
- 横浜ゴム株式会社
2023年4月26日 00:00
人気のキャンピングカー専用タイヤ横浜ゴム「BluEarth-Camper(ブルーアース・キャンパー)」
一般社団法人日本RV協会が2023年2月に発表したデータでは、国内のキャンピングカー保有台数が約14万5000台と過去最高になったという。そしてキャンピングカー販売の売り上げ額も(新車/中古車あわせて)762億円という大きな市場に成長している。
高い人気になっているキャンピングカーだが、このジャンルのクルマが選ばれるのは、自由度の高い旅ができるところである。ペットと暮らす人にとっては、一緒に行きたいところへ出かけられることもキャンピングカーに乗る主な理由になっているようだ。
各地でキャンピングカーの展示イベントも開催されているので、キャンピングカーの詳細を、見て聞いて検討できる環境になったのも台数を伸ばす要因の1つだろう。
時代の後押しもあってユーザーが増え続けているキャンピングカーだが、クルマという枠組のなかでもキャンピングカーという存在は少々特別なものでもある。
クルマは「人を運ぶ」「荷物を運ぶ」という2点が主な役目であるが、キャンピングカーは「車内で暮らす」という項目が追加されている。ただし、これは車中泊のような簡易的なものでなく、快適さを求める「暮らし」そのものなので、装備品などの架装は当然増える。
しかもそれらの装備は人が立って作業しやすい位置にセットされるし、天井部分に居住スペースを広げるポップアップルーフが付いていたりすることも少なくない。さらに内装のレイアウトに自由度があるFRP製シェルを使った「キャブコン」タイプの人気も高まっているなど年々豪華になっている。
こうした作りはキャンピングカーユーザーから必要とされるものだが、装備重量が増えることと、高い位置に重いものを装備することは、クルマの走行安定性にネガティブな影響を与える面もあり、実際に走行安定性について不満や不安を持つキャンピングカーオーナーも少なくないようだ。
そこで求められているのが「高荷重」「高重心」といったキャンピングカーの特徴に対応するタイヤである。
「ブルーアース・キャンパー」に採り入れられた技術
そんなキャンピングカーに向けた新しいタイヤが登場した。それが横浜ゴムが2023年3月に発売したキャンピングカー専用タイヤ「BluEarth-Camper(ブルーアース・キャンパー)」だ。
このブルーアース・キャンパーは、高い評価を受けているバン、小型トラック用タイヤの「BluEarth-Van RY55(ブルーアース・バン・アールワイ・ゴーゴー)」をベースに、タイヤ内部の構造をキャンピングカーの高荷重、高重心に対応する作りにしている製品。
とくに高荷重になりがちな一部車種向けサイズを、欧州の「ETRTO(欧州タイヤおよびリム技術機構)」が定めるキャンピングカー向け「CP規格」に適合(CP規格は215/70R15CP 109/107Rのみ)させているところが大きなポイントになる。
さらにブルーアースシリーズの特徴の1つ「ウエット性能」が優れているのも特筆する点である。広いエリアを移動するキャンピングカーは天候変化の影響を受けやすいので、ウエット性能はとても重要な要素の1つ。雨の日の走行でも安定感が損なわれず、ブレーキを掛けたときもしっかりと止まることのできるタイヤを履くことで得られる安心感はとても大きいものだ。
このようにキャンピングカーが必要とするタイヤの性能、特性を持つのがキャンピングカー専用の「ブルーアース・キャンパー」なのである。
モータースポーツツーリズムという新たなプレイフィールド
2023年4月最初の週末、静岡県にある富士スピードウェイでは国内最高峰の自動車レース「全日本スーパーフォーミュラ選手権」の開幕戦となる第1戦および第2戦が開催されていた。
開催地の富士スピードウェイは、レース期間中に場内でのキャンプ泊(オートキャンプを含む)が可能なエリアも用意されていて、スーパーフォーミュラやSUPER GT、スーパー耐久シリーズ(24時間耐久レース)、WEC(世界耐久選手権)といった人気レースでは、コースサイドに多くのテントやキャンピングカーが並ぶ光景が見られる。
欧州ではこうしたレースの楽しみ方が一般的であるだけに、富士スピードウェイでのモータースポーツツーリズムというスタイルは、オートキャンプに新たな魅力を追加するものとなりそうだ。
横浜ゴムは「ADVAN(アドバン)」ブランドでモータースポーツに積極的に参画していて、この日開催されていたスーパーフォーミュラはアドバンレーシングタイヤのワンメイク。さらに2023年シーズンからは天然素材配合で環境への対応も図った先進的な技術開発を行なっている。
モータースポーツツーリズムを実践するべく、富士スピードウェイにおいてブルーアース・キャンパーの企画を手掛けた横浜ゴム タイヤ消費財製品企画部 製品企画1グループ 印南夏子氏と、販売促進担当の横浜ゴム タイヤ国内リプレイス営業企画部 マーケティング グループ 山﨑大介氏の2人に、ブルーアース・キャンパーが作られた経緯やその特徴をうかがった。
キャンピングカーは趣味性の高いクルマではあるが、例えばスポーツカーのように「クルマに乗ること」が第1の目的ではないケースが多い。キャンピングカーユーザーにとって「クルマの部分」とは移動のための存在である。そのためどちらかといえばクルマの走りへの興味は薄い傾向のようで、現在はタイヤ交換の需要がとくに多いわけではないとのこと。
しかしながら長距離移動が多いので、走行中にふらつきやすいなど走行安定性に関しての不安や不満の声が出ているのも事実。こうした現状に対し、横浜ゴムとしては、キャンピングカーに対して安全性と快適さをもたらすためキャンピングカー専用タイヤの必要性を感じ、ブルーアース・キャンパーを開発。キャンピングカーユーザーが安心して走ることができるよう、タイヤをキャンピングカー向けに仕上げたという。
では、そのブルーアース・キャンパーは、いったいどのような特性なのだろうか?
一番の特徴として挙げたいのがタイヤの作り。装備品の多いキャンピングカーはベース車に対して車重が重くなる傾向なので、タイヤには高荷重に耐えるだけの耐久性が求められる。そこでブルーアース・キャンパーでは、高重心、高荷重となりがちなキャンピングカーをしっかりと支えるため、ベルトカバーをフルカバー構造として走行時の高負荷に耐える構造としている。
クルマの重さがタイヤの変形を引き起こすという視点は筆者はまるで持っていなかったが、そんなことが起きる可能性があるのがキャンピングカー。ここはキャンピングカーオーナーであれば意識するべき「かなり重要」なところといえるだろう。
CP規格とは? 普通のタイヤとは何が異なるのか?
以上の点だけでもキャンピングカーユーザーがブルーアース・キャンパーを選ぶ理由としては十分だと思うが、タイヤの変形を防ぐにはもう1つ重要なポイントがあった。それが空気圧の設定だ。
タイヤの空気圧に関する話では、燃費にまつわるの内容が多いけれど、空気圧不足とは「クルマを支えられていない」ということなので、燃費の悪化よりもずっと深刻な状態だ。止まっている時間が長くなりがちな、車重の重いキャンピングカーこそ小まめな空気圧チェックをして適正値に保つことは必須条件。
高耐久な設計を施したブルーアース・キャンパーといえどもそこは同様。タイヤが持つ優れた特徴を活かすには、設定されている「適正な空気圧」に保っておくこと。これは安全に乗るための基本である。
さて、空気圧の話が出たところでブルーアース・キャンパーのラインアップのうち「215/70R15」サイズのみが取得しているCP規格について。
このCP規格とは欧州のタイヤ・リムの標準規格(ETRTO)で設定しているキャンピングカー専用規格のこと。そしてこの規格で定めているのは空気圧設定に関することである。
CP規格のタイヤとは、一般的な商用車用タイヤに採用されているLT規格やC規格より高い空気圧での使用が可能な設計が求められるタイヤのことで、重さを受け止める後輪(単輪)に使用する際には、最大空気圧の表示よりさらに0.75kPa高めることが推奨されているというもの。
ちなみにブルーアース・キャンパーでCP規格を採用している215/70R15CP 109/107Rは、大型のキャンピングカーであるハイエースやキャラバンベース車にも装着できるし、最近増えているカムロード(トヨタのダイナをベースにキャンピングカー専用に仕上げた特装のトラック)にFRPの居室シェルを載せたキャブコンタイプにもベストマッチなので、このワンサイズで車重が重くなる主要なキャンピングカーはほぼカバーできているという具合だ。
CP規格は欧州のタイヤ規格(ETRTO)で定められている規格のため、国内で使用が想定されるサイズが215/70R15のみとなっており、その他のサイズは規格上存在しないためだ。しかしながら、CP規格サイズと同様の内部構造として、CP規格ではないが、キャンピングカーへの装着を想定した仕様としている。
デザインにもこだわりサイドウォールにキャンパーテイストを盛り込む
最後に紹介するのはサイドウォールのデザインについてだ。商用車であればタイヤのルックスをそこまで気にすることもないだろうが、趣味で乗るクルマとなればそこは大切な部分。とくにキャンピングカーのように「サイド面が厚い」タイヤではサイドウォールのデザインがよく見えるので、ここのデザインはクルマの印象に大きな影響を与えるのだ。
ブルーアース・キャンパーでは、サイドウォールデザインは通常商品にはない、遊び心を取り入れた特別なデザインエッセンスを加え、キャンパーイメージを強く印象づけるデザインとした。
具体的は山が連なる「山岳」をイメージしたデザインを取り入れ、さらに「ブルーアース・キャンパー」のブランドロゴは新たにデザインし直している。取り入れた項目は絞られているが、そのぶんスッキリにキレイに見えるサイドウォールになっている。
キャンピングカーは純正ホイールをそのまま履くことも多いが、その際でもタイヤが主張しすぎることもなく、それでいて純正タイヤよりデザイン面ではっきりと「華」があり、キャンパーに乗るならこだわりたいところだ。
ブルーアース・キャンパーはドライ路面もウエット路面も強い
続いて走行時におけるブルーアース・キャンパーの特徴を紹介する。
タイヤには路面と接するトレッドと、ブランドロゴなどが入るサイドウォール、そしてホイールと接するビードがあり、走行中にタイヤが受ける荷重はトレッド→サイドウォール→ビード部に伝わるようになっているのだが、重量のあるキャンピングカーではビード部が受ける荷重も高いので、ホイールのリムとの結合している部分につぶれや摩擦が発生する影響で発熱も起こるという。
そこでブルーアース・キャンパーでは、ビード部に低発熱性の種類の違う2種類のコンパウンドを使った部材を使用。こうした対策を施すことで高荷重の状態に強くなり、負荷が掛かった際の発熱を抑制。荷重耐久性を向上しているのだ。
続いてはウエット性能について。ブルーアース・キャンパーはトレッドパターンを操縦安定性とウエット性能の高さに定評あるBluEarth-Van RY55から引き継いでいる。
ブルーアース・キャンパーのトレッドパターンは大きく分けて3つのパートに分けられる。トレッド面の縦方向に大きく入る太めの溝はウエット時の排水のためのものだけど、この溝は多くの水を後ろに飛ばすことができても、トレッド面と路面のあいだにある水膜は残るので、縦溝のみだとハイドロプレーニング現象が起こってしまう。
そこでショルダー、センターのブロックに横方向の深溝と細めの溝を設けることで、タイヤが回転した際、路面上の「水の膜を切る」働きをさせることでハイドロプレーニング現象が起こりくくしているという。
そしてこれらの溝の深さも最適な数値で設計されているので、車重があるクルマに装着した際、ブロックのよじれがなく、ドライ、ウエット路面ともに高い走行安定性を維持することができている。
トレッドパターンについてもう1つ書いておこう。タイヤが回転するときは接地面にある空気を押しつぶす状況も起きていて、そのときの音がタイヤノイズとなる。そこでブルーアース・キャンパーやBluEarth-Van RY55では、パターンの形状に押しつぶす空気の逃げ道となるような考えも盛り込んでいるので、静粛性も考慮した作りになっているのも特徴だ。
横浜ゴムでは以前からGEOLANDAR(ジオランダー)シリーズやバン、小型トラック用タイヤのBluEarth-Van RY55、それにバン用ドレスアップタイヤ「PARADA PA03(パラダ・ピーエーゼロサン)」など、キャンピングカーに使用できるタイヤを多くラインアップしているので、タイヤ選びの選択肢は多いが、キャンピングカーであればその用途や特性に対して最適化された「ブルーアース・キャンパー」を選択肢のトップにいれておくことを勧めたい。
Photo:安田剛
協力:タイヤガーデン駒岡/富士スピードウェイ