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【短期連載】テインのサスペンション減衰力コントローラー「EDFC5」をストリート&サーキットで試す!!
第1回:第5世代のポイントであるジャーク制御、AI機能とは?
- 提供:
- 株式会社テイン
2026年1月19日 00:00
EDFC5によって乗り心地も走りも両立する仕様が完成
運転することの歓びが感じられる製品づくりを心がけているサスペンションメーカーのテインは、新旧問わず多くの車種に対応すると同時に、街乗りから競技向けまで幅広いラインアップを展開。だが、それだけで終わらず他にはない電子パーツの拡大が特徴の1つ。減衰力調整ショックに加えることが可能な「EDFC5(Electronic Damping Force Controller)」がそれだ。
平たく言ってしまえばこのEDFC5、近年の市販車でも一部で使われているアクティブダンパーなのだが、それをアフターパーツメーカーのテインが仕上げてしまったところが興味深い。その原理や構造などなかなか理解しにくいところもあるため、今回は特別に短期集中連載でお伝えしていくことにする。
そもそもEDFCは室内のコントローラーで減衰力を調整できるだけのものだった。ボンネットやトランクを開けたり、製品によってはハンドルを切って寝そべってダンパーの先端にあるダイヤルを手でまわす必要があったものを、その部分にモーターを取り付けてまわせるようにしたわけだ。その後、EDFCは次々に進化し、モーターとコントローラーを繋ぐ配線をやめて無線接続にしたり、GPSやGセンサーを取り入れて速度が高まったりGが大きくなった時には減衰力を引き締めたり、なんていうことをやってきた。
それが5世代目となる今回のEDFC5になってさらに進化。細かなポイントは後述するが、主なポイントはジャーク(躍度、加加速度とも表されるもの。加速度の時間微分値、加速度の時間に対する変化の割合)制御の追加、モーター音の静音化、そしてドライバーの運転の癖を学習して減衰力を調整するAI(学習機能)の追加である。
「EDFC5で投入したジャーク制御は、芝浦工業大学の渡邉大教授との産学連携によって開発したものです。これを入れると例えば曲がる瞬間に減衰力を調整することが可能になります。Gの前にジャークで反応するわけです。フロント外輪のダンパーが引き締まりタイヤを潰しにかかり、対してリアの外輪は逆にダンパーを緩めるようになります。ステアリングを切ってスリップアングルがついて曲がり出し、遅れてリアのスリップアングルがついて追従していくという普通のクルマの状態とは違い、それらが同時にクッと曲がっていきます。ステアリング操舵角は少なくなり、ロールも少なくなります。並行して曲がるような感覚です。サーキットやラリーの現場で使うと、タイヤが温まりにくくなったという話もあるくらいです」と、テイン開発課の渡邊宏尚氏は語る。
このジャーク制御を使うと減衰力を緩めた状態で走りながらも、コーナーリングはきちんと行なえるような設定も可能。つまりは乗り心地も走りも両立する仕様が完成するという。また、前後左右のジャークを制御していることから、加減速に対しても有効。街中でアクセルやブレーキをしたとしても、瞬時に減衰力を調整してくれるためピッチ挙動も出にくくなりフラットライドが可能となり、クルマ酔いが軽減されたという報告もあったという。つまりはスポーツドライビングだけに効くわけではないというのがおもしろい。
「AIもまたジャーク値を監視しています。いま乗るドライバーはどんな操作をしているのか? アクセル、ブレーキ、ステアリングの操作はどうなのかをジャークで判断し、それに合わせた減衰力を発生させるようにしています。これにより街乗りでは快適に、サーキットでは即座に引き締めるようなことも可能です」と渡邊氏。このようにEDFC5はジャーク制御を取り入れたことでかなり発展したことは間違いない。
さらに興味深いのはモーター音の静音化である。かつてのEDFCはモーターが減衰力を調整するたびに、「ウイーン」というモーター音がボディに伝わっていた。ジャークまで取り入れてよりモーターを動かそうと聞くとそこが気になるところだ。
「EDFC5ではモーターの制御方法を変更しました。以前はフルステップ駆動という一段動かす時に一気に電気を流していましたが、今回はマイクロステップ駆動という細かく電気を伝えていく制御に変更しました」。渡邊氏からそのような話を聞き、その状況を体感させていただいたが、モーターの存在を感じるようなことは全くなかった。「モーターも変えましたか?」と質問したが答えはノー。制御だけでここまで進化するとはおどろきだ。
このEDFC5をストリート仕様の全長調整式サスペンション「FLEX Z」と、サーキットを見据えた全長調整式サスペンション「MONO RACING」というキャラクターの全く違う2つの製品を、筆者のフェアレディZに取り付けてこれからテストをしていく。
FLEX Zは複筒式ショックアブソーバーを採用し、スプリングレートは前後12kgf/mm。MONO RACINGは単筒式ショックアブソーバーを採用し、スプリングレートは前後18kgf/mmまたは前後20kgf/mmとなる。ノーマルのスプリングレートはフロント8.7kgf/mm、リア7.7kgf/mm(テイン計測値)というから、いずれも引き締められているスポーツサスペンションであることに変わりはないが、果たしてどんな乗り味を実現してくれるのか? 街乗りからサーキットまで徹底的に走り、EDFC5と共にその効果をお伝えする予定だ。
Photo:安田 剛






