東京オートサロン 2017

【東京オートサロン 2017】2017年新作ホイール、一気レポート

「TE37」最新モデルや“サンドイッチ組み”3ピースホイールなどを紹介

2017年1月13日~15日 開催

 1月13日~15日の日程で幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)で開催された「東京オートサロン 2017」。会場で展示されていた主要メーカーの新作ホイールをまとめてご紹介する。

レイズ~TE37系の新モデルに加え、左右非対称デザインまで!

 2017年のレイズブースのイチオシは、レイズの代名詞的名作ホイール「TE37」の伝統を受け継いだ最新モデル「TE37 SAGA」と、伝統に革新を盛り込んだ新作「TE037 DURA」。

 TE37といえば、1996年にデビューした軽量・高剛性をアピールするモータースポーツ対応も視野を入れた高性能ホイール。脈々と進化しつつ、多様化する車種に合わせてバリエーションを増やしている。その2017年の新作モデルとなるTE37 SAGAは、日産 フェアレディZ、スバル WRX STIなどの国産スポーツから、BMW M3&M4、アウディ TT&A4などの輸入スポーツカーなどに対応した正統派進化モデルとなる。

 見映えがあまりにも「従来然」としているが、「これはわざとです」とは担当者の弁。スリックタイヤを履いた状態での大入力も受け付けるほどの高剛性が担保されているそうで、前出の担当者は「ぜひともTE37の見た目が好きで、なおかつとにかく性能重視の人に使ってほしい」と述べていた。

TE37系伝統のルックスに超高性能を融合。価格は約7万5000円から。登場当初に設定されるのは18インチのみ

 TE037 DURAは、TE37の名前に敢えて「ゼロ」を入れているそうで、「オー」と間違えられないために「φ」的なゼロにしているという。

 このTE037は、TE37系量産モデルとしては初めて構成素材に超々ジュラルミンを用いた製品になる。「DURA」はジュラルミン(Duralumin)のジュラから来ているわけである。

 さて、ジュラルミンとはなにかといえば、アルミニウムに亜鉛とマグネシウムを含有させたアルミ合金のことで、非常に高い強度を持っているのが特徴だ。ここにさらに銅を混ぜたものが、A7075アルミ合金の超々ジュラルミンである。アルミ合金の中では最高の強度があると言われており、航空機、鉄道車両、レーシングカー用の部材として利用されることが多い。

 TE037 DURAはこの超々ジュラルミンの高剛性を最大限に活かすために、CAEベースの構造解析を行なって肉抜きを敢行し、軽量さと高入力に対する耐久性を両立させている。サイズは20インチのみ。想定車種は国産車系ではレクサス RC-F、日産 GT-R、BMW M4、アウディ RS5などとなる。

TE037 DURAのデモカーは日産 GT-R
TE37系としては細身な印象だが、逆に大径ブレーキローターとビッグキャリパーが映えるのも魅力
スポークの内側にも肉抜きが。価格は1本あたり約25万円から

 そして、レイズブースで特に来場者からの問い合わせが殺到しているというのが左右非対称デザインが特徴的な「WALTZ FORGED A&N15RL」。このモデル、なんと右用と左用でスポークの切り込み方を変えたデザインになっているのだ。鍛造でどうしてこんなことができるのかといえば、実は製造したあとに加工しているため。そう、この製品は手間ひまをかけたこだわりの逸品なのである。

 サイズは21インチのみ。なので想定車種は、国産車はアルファード&ヴェルファイアなどの大型ミニバンやレクサス LS&GSなどの大型セダン、輸入車ではアウディ Q5、ポルシェ マカンといった大型SUVなどの車種が中心。

中心部のスポークが切り込まれる方向の違いに注目。これで前方回転方向へのアグレッシブな動的デザインを実現しているのだ。価格は約10万7000円から

 鋳造ホイールで注目を集めていたのは「VARIANCE VERSUS V.V.5.2S」だ。鋳造ホイールながらスポーク部の前方、側方から大胆に肉抜きが行なわれているのだ。型ベースの鋳造では不可能とも思えるデザイン性だが、これは鋳造で基本形状を製造したあとに加工することでこのデザインを実現しているという。こちらはこちらで、鋳造ホイールなのに手間ひまをかけたモデルなのである。

 サイズは20インチのみ。想定車種は国産車系ではトヨタ クラウン&マークX、レクサス GS、IS、RC。輸入車系ではアウディ A4&A5、BMW M3&M4、メルセデス・ベンツ Eクラス&Cクラスなどとなる。

カラーは写真のブラック以外にシルバーもラインアップされる
アウディ S4を装着デモカーとして展示

BBS~アルミホイールの新作「FI-R」を発表

 BBSブースで2017年の完全新作は、アルミ鍛造1ピースホイールの「FI-R」というモデルのみになる。

 デザイン的には、SUPER GTで使われているBBSレーシングホイールと同一のデザインとなるY字形5本スポーク形状を採用した「RI」を踏襲。FI-Rならではの特徴は、この人気の定番デザインに対して徹底的な肉抜きを行なって、さらに軽量性を追求したところにある。

 サイズは20インチを中心に展開する予定で、想定車種はポルシェ 911、BMW M3、アウディ RS6&RS7など。

「FI-R」は2017年発売予定。写真はポルシェ 911用でセンターロック版となる
スポーク部に対して大胆に肉抜きを敢行

 前回のオートサロン 2016で発表されたものの、結局発売されなかった超々ジュラルミン鍛造1ピースホイールの「FR-D」は今年も展示されていた。2017年発売予定ということで、基本色のシルバーに加えてネイビーブルーとレッドのカラーバリエーションを展示している。

超々ジュラルミン鍛造1ピースホイールの「FR-D」は今年も展示。本来は2016年発売の予定だったが、果たして今年発売されるのだろうか

 また、新製品ではないが、ベントレー ベンテイガの純正ホイールも展示していた。これはBBSのホイールが純正採用されたことをアピールするものになる。22インチのサイズは大迫力。なお、中央の「B」のエンブレムはBBSの「B」ではなく、ベントレーの「B」だ。

BBS製ホイールがついにベントレーに純正採用ホイールとして採用された
ブースでは純正ホイールを装着したベントレー ベンテイガを展示

 最後に期間限定モデルについても触れておこう。2017年4月までの期限付きで、アルミ鍛造2ピースモデルの「LM」に対し、ホワイト、ネイビーブルーの新色が設定される。価格は従来モデルと同じだそうだ。欲しい人は急いだほうがいい。

写真は「LM」の2017年限定モデルのネイビーブルー。カラーリングされるのはディスク部のみで、リム部はシルバーのままだ

ADVAN~2017年は人気シリーズの対応サイズ拡充に注力

 2017年のADVANの新作は新サイズ設定が中心だ。まず、スポーツカー向けアルミ鍛造ホイールの人気シリーズ「ADVAN RACING GT」に21インチが設定された。きっかけはどうも、新型のポルシェ 911 GT3 RSの純正リアタイヤが21インチとなったことのようだ。当然、5穴仕様だけではなく、GT3 RS向けのセンターロック版が設定される。

 ポルシェ 911以外のユーザーとしては、国産車で日産 GT-R、輸入車でアウディ、BMWのスポーツ系で19~20インチあたりを純正採用している車種のインチアップ希望層に向けての製品としてラインアップされる。21インチのスポーツカー向けタイヤというものはなかなかないのだが、この点について担当者に聞いてみたところ「ご指摘のとおり、ヨコハマタイヤではこのホイールに入るタイヤが設定されていません(笑)。なので、コンチネンタル様のスポーツコンタクト 6あたりを履いていただくことになるかと思います」とのこと。発売は2017年4月。価格は未定。

ついに21インチが設定された「ADVAN RACING GT」。こちらは5穴版
こちらはポルシェ 911用のセンターロック版
実際にポルシェ 911にセンターロック版を履かせたデモカーを展示

「RS-DF PROGRESSIVE」は、2017年は19インチモデルを新設。2016年に18インチからスタートしたRS-DF PROGRESSIVEだが、純正で17~18インチを履くスポーツ車種のインチアップ層に向けて19インチを設定した格好だ。

 このクラスになるとブレーキローターやブレーキキャリパーに大型サイズを採用している車両が多くなるため、リムやスポークの形状に「逃げ」を設けているのも特徴だ。想定車種は国産車では日産 フェアレディZクラス、輸入車ではBMW M4クラスを想定しているとのこと。

アルミ鍛造ホイールの「RS-DF PROGRESSIVE」に19インチが新設された。発売は2017年4月で価格未定
デモカーは往年の名スポーツ、マツダ RX-7。純正では17インチホイールを採用するこの車種に対し、2インチアップの19インチを履かせたデモカーだ

 コストパフォーマンス重視のアルミ鋳造ホイールの「RG-D2」は、2017年は小径方向にサイズバリエーションを新展開していく。

 もともと18インチで発売が開始されたRG-D2だったが、15インチ、16インチ、17インチがラインアップされる。これらは主に、最近にわかに熱くなりつつある軽自動車スポーツのため。具体的にはダイハツ コペン、ホンダ S660、スズキ アルトワークスなどだ。もちろん、86&BRZ専用モデルも設定される。

小径サイズが設定されたアルミ鋳造ホイールの「RG-D2」
デモカーはフィアット 500のホットバージョンとなるアバルト 500
サソリマークのホイールオーナメントは流用キットを活用して移植
ホイールオーナメント取付キットはADVAN純正オプションとして設定されている

プロドライブ~「GC-0100」が量販店でも購入可能に。18インチのサイズも追加

 オートサロン 2017でのプロドライブは、完全新作の発表はなし。ただ、2017年のホットトピックがないわけではない。担当者によると、これまでブリヂストン系タイヤショップ専売商品だったアルミ鍛造1ピースホイールの人気シリーズ「プロドライブ GC-0100」が、2017年から専売制限が解除されるという。行き慣れた量販店や、お世話になっているチューニングショップなどでも、今年からはGC-0100が注文できるようになるということだ。

 また、2017年からGC-0100に18インチが追加されるとのこと。これまで19インチと20インチしか設定されていなかったため、ハイクラス車種でしか装着できなかったが、18インチが設定されることによって、インプレッサなどのミドルクラス車種にも適合するようになる。

「プロドライブ GC-0100」のブリヂストン系タイヤショップ専売制限が2017年より解禁される
ブース内には20インチモデルの展示のみで、新サイズの18インチモデルは見当たらず。なお、18インチモデルの価格は約9万3000円から

ワーク~40周年記念モデル発売へ。「サンドイッチ組み」で3ピースホイールに新潮流

 ワークは2017年で創立40周年を迎えるということで、2017年の目玉商品は40周年記念モデルの「EQUIP 40」(アルミ鋳造2ピース)になる。

 ワークの歴史は1977年に発売された4本スポークデザインの「EQUIP」から始まったわけだが、今回発売される40周年記念モデルは、このEQUIPのデザインを踏襲した製品だ。マルチスポークデザインが流行の現代において、4本スポークのシンプルなデザインは逆に斬新に見える。

ワークの40周年記念モデル「EQUIP 40」。写真は基本色の1つとなるゴールド

 設定サイズは15インチのみで、想定車種はずばり国産旧車になるという。具体的には日産のハコスカ系や30系フェアレディZなど。カラーはリム部がシルバーで、ディスク部はシルバーかゴールドを選択できる。まだ、こだわりのユーザーのためにカスタムペイントも可能で、ディスク部のみにはなるが、ブロンズとブラックをつや消しあり/なしで選択可能だそうだ。2017年順次発売予定で価格は約3万8000円より。

基本色の2つめになるシルバー
オーダーメイドカラーの1つであるブロンズ
ブース内には「EQUIP 40」を履いた英国クラシックオープンスポーツの名車「トライアンフ TR3A」がお目見え

 2017年、大型SUV向けの新作として設定されるのは「LS CHAREZZA SUV」(アルミ鋳造2ピース)だ。サイズはなんと20インチ、22インチ、24インチと超大型。価格は20インチモデルで約8万円から。ディスク面の開口部を敢えて塞いだようなデザインは大迫力で、ブラックモデルは足下を引き締め、シルバー鏡面モデルは足下をきらびやかに演出する。

 製品名に「SUV」と付いていることもあって、想定車種は輸入車の大型SUV。担当者によれば、トヨタ アルファードのような大型ミニバンでも履けるとのこと。穴の位置などはカスタムメイドもできるので、興味のある人はワークに気軽に相談してほしいとのことだった。

2017年新作の「LS CHAREZZA SUV」は大型SUV向けホイール

 2017年のスポーツカー向けモデルでは、「MEISTER L1」(アルミ鋳造3ピース)が発売される。シンプルな6本スポークがスポーツカー定番という感じで、やる気を覗わせる。想定車種は国産車系でスバル WRX STIや日産 フェアレディZ、輸入車系ではBMW M3、M4など。価格は18インチが約7万6000円から。発売は今春。

「MEISTER L1」は配色が豊かな点も特徴。これはディスク面がつや消しの青みがかったメタリック色、リム部がブロンズ色という配色
こちらはディスク面がつや消しの青みがかったメタリック色、リム部は金属光沢の美しいシルバー

 そして、ワークの2017年モデルで最大の自信作が「ワーク ZISTANCE W5S」(アルミ鋳造3ピース)だ。

 ワーク ZISTANCE W5Sでは、3ピース組ならではの構造を応用した2バリエーションデザインを提供するのだ。外側からディスク、アウターリム、インナーリムと組んだ「オーバーヘッド組み」モデルでは、ディスク面カラーが外側から一番主張した見た目になる。

 これに対し、外側からアウターリム、ディスク、インナーリムという順番で、ディスク面をリムで挟み込んでしまうとてもユニークな組み方「サンドイッチ組み」がこのモデルには設定される。この組み方だと、アウターリムの色が一番主張して、ディスク部にあるスポーク部は内側だけが差し色のような見え方になる。

 このサンドイッチ組みは昔のレーシングカーのホイールっぽい見た目になるとのことで、現代の車両に履かせると「ネオクラシック風な履きこなし」が楽しめるという。2017年に順次発売予定で、価格は19インチで約8万7000円から。サイズは19インチ、20インチ、21インチが設定される。想定車種はレクサス LS&GSに代表される大型セダンなど。

ワーク ZISTANCE W5Sのオーバーヘッド組みモデル。カラーはゴールド。金色のディスク面が外側からよく見えるのがオーバーヘッド組みの特徴
こちらもオーバーヘッド組みでディスクカラーがブラックのモデル
これはサンドイッチ組みモデル。ディスク外縁はアウターリムにサンドイッチされるため、ディスクパーツとしてはメタリックグレーのスポークだけが外から見える構造

トライゼット西川善司

テクニカルジャーナリスト。元電機メーカー系ソフトウェアエンジニア。最近ではグラフィックスプロセッサやゲームグラフィックス、映像機器などに関連した記事を執筆。スポーツクーペ好きで運転免許取得後、ドアが3枚以上の車を所有したことがない。以前の愛車は10年間乗った最終6型RX-7(GF-FD3S)。AV Watchでは「西川善司の大画面☆マニア」を連載中、CarWatchの連載では西川善司の「NISSAN GT-R」ライフがある。ブログはこちら(http://www.z-z-z.jp/BLOG/)。