フランクフルトショー 2017

【フランクフルトショー 2017】ランボルギーニ CEOに同社初のスーパーSUV「ウルス」の姿と4車種目の可能性を聞く

長期的には電動化ということも検討

2017年9月12日(現地時間)発表

伊アウトモビリ・ランボルギーニ CEO ステファノ・ドメニカリ氏

 伊アウトモビリ・ランボルギーニは9月12日(現地時間)、フランクフルトモーターショーの同社ブースで記者会見を開催して、同社が開発を続けてきたスーパーSUV(スーパーカーのSUV版という意味)となる「ウルス」を12月4日に同社の本社があるイタリアのサンターガタ・ボロニェーゼで世界初公開すると発表した(別記事参照)。

 その記者会見後、アウトモビリ・ランボルギーニ CEO ステファノ・ドメニカリ氏は日本の報道関係者の質疑応答に答え、ウルスのエンジンがV8であり、デザインなどは「アヴェンタドール」や「ウラカン」といった同社のスーパースポーツカーと同様の"ランボルギーニDNA"を受け継いだSUVになると説明した。

 また、アヴェンタドール、ウラカン、そして12月に発表されるウルスに次ぐ4車種目に関しても検討はしており、将来的にラインアップを拡張する可能性があることを示唆した。

スーパーSUVの「ウルス」は、ランボルギーニのDNAを受け継ぐデザインやエンジンサウンドになっている

──12月4日に発表されるウルスのコンセプトは?

ドメニカリ氏:詳しくはワールドプレミアでお話しするが、今日は2つお話したいと思う。1つ目はランボルギーニは我々のブランドバリューを重要視しており、スーパーSUVもデザインを重視した製品となっていることだ。2つ目は、ランボルギーニはスーパースポーツカーのメーカーであり、スーパーSUVでも、同じDNA、技術的特徴、例えばエンジンサウンドなどを受け継いでいる。このように、ウルスはSUVという異なるセグメント向けの製品だが、そうしたランボルギーニらしさは引き継いでいる。

 ランボルギーニはこれからもスーパースポーツカーのメーカーで、そこを最重要視していくことはこれまでどおりで、メインのボリュームはこれからもそこにある。しかし、新しいチャレンジにも取り組んでおり、ウルスはその成果だ。

フランクフルトモーターショーでは12月4日というワールドプレミアの日付とティザーが公開された、スーパーSUVとなるウルス

──スーパースポーツカーで、ランボルギーニのDNAを感じるというのはそう難しいことではないと思う。スーパーSUVでもそうしたことは可能なのか?

ドメニカリ氏:可能だ。デザイン、オフロードなどこれまでとは違ったシーンで感じていただけるのではないか。

──新聞の報道などではウルスにはV8エンジンが搭載されるとされている。なぜV12やV10ではなく、V8を選んだのか?

ドメニカリ氏:そのとおりだ。V8を採用した理由はシンプルで、スーパーSUVでは異なるユーザーが異なるニーズを持っているからだ。このエンジンはハイレベルな感覚をユーザーに与えることができるベストなエンジンだと確信している。

──そのV8エンジンはランボルギーニで開発されているのか? それともグループ企業と共同開発なのか?

ドメニカリ氏:このエンジンはランボルギーニが開発し、スペック決定も、ニーズもすべてランボルギーニが決定している。このフロア(筆者注:インタビューはフォルクスワーゲングループのブースが集中するホールで行なわれたので、グループ内他社の中ではという意味)で1番パワフルなエンジンだと思う。

──このショーでは誰もがEVについて話している。ランボルギーニにとってのEVのビジョンは?

ドメニカリ氏:現在、将来のプラットフォームのフレームワークを検討している。我々の考えは、近い将来のスーパースポーツカーはハイブリッドになり、今のところはすぐにEVになることはないということだ。

 もちろん、長期的には電動化ということも検討はしているが、スーパースポーツカーではポテンシャルやサウンドのエレメントが重要だ。しかし、スーパースポーツカーでも、どこかのタイミングでフルEV化がバリューを持つ時期は来る。

──プレミアムSUV市場として日本をどう見ているか?

ドメニカリ氏:最初に言っておきたいのは、日本市場は世界で2番目の市場だということだ。今年の10月で日本に進出して50周年という記念日を迎える。いつでも日本のお客様はランボルギーニをサポートしてくださっており、素晴らしいことだ。その中でスーパーSUVのローンチはとても特別なことで、待ちきれない。

──日本市場では競合となるようなプレミアムSUVが多いが、ウルスは受け入れられるか?

ドメニカリ氏:日本市場はすでにスーパースポーツカーで弊社のネットワークが構築されており、SUVの日本での需要は非常に強い。製品が差別化できるものであれば、十分受け入れられる余地があると信じている。

──ウルスではランボルギーニは従来の顧客がターゲットではなく、新しい顧客がターゲットになる。そうした新しい顧客を獲得することは可能か?

ドメニカリ氏:そう信じている。確かに新しいチャレンジだが、高いモチベーションで取り組んでいる。それは販売だけでなく、サービスレベルでも、システムレベルでも、新しいチャレンジ。それらをグローバルにお客様にご満足いただけるように取り組んでいきたい。

──ウルス向けに特別なプロモーション活動などを行なう計画は?

ドメニカリ氏:もちろんセールスプロモーションの計画はあるし、12月4日に発表イベントを計画している。その後、日本も含めてローカルイベントを計画している。

──なぜウルスの発表は、ここフランクフルトショーではなく、12月4日なのか?

ドメニカリ氏:シンプルな理由。ここで発表すると、そのバリューをお見せすることが難しくなるからだ。我々のファクトリーで驚きとともに見ていただきたい、そう考えたのでここでは発表しないことにした。

──ウルスにより例えば雇用を増やしたりなどはあるのか? 次のランボルギーニのステップは?

ドメニカリ氏:ランボルギーニにとっては、新たな広がりになるのは間違いない。次のステップだが、まずはビジネス、ボリューム、製品を安定させ、4つ目のモデルの可能性を将来に向けて検討していく。

──4つ目のモデルの計画はあるのか?

ドメニカリ氏:常に検討している。今日スーパーSUVについての発表を行なったが、数年前にランボルギーニがそんなことを検討しているなんて誰も思ってもいなかったと思う。

アヴェンタドール(左)とウラカン(右)に続いて3番目のモデルとなるスーパーSUVのウルス、将来4番目のモデルも登場するか?

笠原一輝