フランクフルトショー 2017
【フランクフルトショー 2017】ソニー、車載向け新型CMOSイメージセンサー「IMX390CQV」をライブデモ
LEDフリッカー抑制と高画質HDR撮影を同時に実現
2017年9月28日 12:58
- 2017年9月14日(現地時間)開催
ソニーとソニーセミコンダクタソリューションズは、2017年フランクフルトモーターショー(プレスデー:9月12日~13日、一般公開日:9月16日~24日)の併催イベントとして行なわれていたNew Mobility Worldにブースを出展し、同社が自動車メーカーなどに提供しているCMOSイメージセンサーの展示、デモを行なった。
アウディがレベル3の自動運転を実現したA8を2017年に発表するなど、自動運転時代が現実になりつあることもあり、車載用のカメラソリューションの重要性は上がる一方で、コンシューマ向け(デジタルカメラやスマートフォン向け)のCMOSセンサーで市場をリードするソニーも、近年は車載向けのソリューションに力を入れている。同社は2017年4月に新しい車載向けCMOSイメージセンサーとして「IMX390CQV」を発表しており、5月よりサンプル出荷を開始しているが、今回のフランクフルトモーターショーではそのデモを行なった。
LEDフリッカー抑制とHDR機能を同時に実現することができるソニーのIMX390CQV
ソニーが4月12日に発表したIMX390CQVは自動車のカメラ用途を意識したCMOSイメージセンサーとなる。約245万画素、対角6.67mm(1/2.7型)のイメージサイズ、動画の場合はFHD(1920x1080ドット)で60fps(AD10ビット)、40fps(AD12ビット)の撮影が可能になる。ヘッドユニットなどとの接続インターフェースはMIPI CSI-2 シリアル出力(4レーン/2レーン)で、10×10mmのBGAパッケージで提供される。
IMX390CQVの特徴は、LED標識や信号機などの撮影時に起こるLEDのちらつき(LEDフリッカー)を抑える機能と、120dBという広いダイナミックレンジで撮影することが可能になるHDR機能の両方を実現していることだ。LEDフリッカーとは、最近増えつつあるLEDの信号などを撮影した時に発生するちらつきのことで、人間の目にはちらついて見えなくても、カメラを通してみるとちらつき、信号の色などがカメラで捉えにくくなったりする。そこでCMOSイメージセンサーにちらつきを抑制する仕組みが入っており、LED信号機などでもきちんと色を判別することが可能になる。
IMX390CQVではそのLEDフリッカー抑制機能と同時に、HDR機能も利用することができるのが特徴。例えば、普通に運転しているとよくあると思うが、トンネルの出口などで暗いところから急に日の光があたるところに出ると、目が慣れるまで見にくいということがあるだろう。カメラも同様で、明暗の差が大きいときには、処理できるダイナミックレンジ(輝度)が狭いCMOSイメージセンサーを利用している場合には処理が追いつかないので、白飛びや黒つぶれなどが発生してしまう。そこで、IMX390CQVでは120dB(LEDフリッカーと同時に利用する場合には110dB)というHDR(ハイダイナミックレンジ)をサポートし、そうした白飛びや黒つぶれなどを防止する。
今回のNew Mobility WorldのソニーブースではIMX390CQVと旧モデルとなるIMX290の比較が行なわれており、トンネルの出口をイメージした明暗がはっきりしたところで、IMX290では白飛びしてしまっていたが、IMX390CQVではきちんとトンネルの出口の先が見えている様子がよく分かった。
今後、AIを利用した自動運転では、カメラのクオリティが他社との差別化になると考えられるため、自動車メーカーはカメラのソリューションに力を入れていくと考えられている。このソニーのIMX390CQVはそうした自動車メーカーにとっては注目のコンポーネントと言えるだろう。