CES 2017

自動運転技術で「10兆ドルの産業に革命を起こす」、NVIDIA ジェンスン・フアン CEO基調講演

ボッシュ、ZFと提携し、車載グレードのDRIVE AIコンピュータを提供へ

2017年1月4日(現地時間)発表

NVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏

 1月4日(現地時間)、「CES 2017」のオープニング基調講演で、NVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏が、自動運転技術を自動車に導入することにより「NVIDIAは10兆ドルの産業に革命を起こす」と述べるとともに、新たなパートナーシップを公表した。

業界の市場規模を10兆ドルと示した

 フアン氏は、道路には10億台のクルマがあり、1日に2000万台乗られているほか、1年で1.2兆マイル、3億台のトラックが運行されていることを示すとともに「人間によって操作されることによる人命、財産、生産性の損失は巨大である」と指摘した。そこで自動運転車の開発を10年前に決めたことを明かし、フアン氏は「自動運転車を導入できれば、クルマは最もパーソナルなロボットになる」と述べた。

 自動運転には、知覚、判断、運転、およびマッピングに従事するものが必要であるとし、フアン氏は「すべてを達成するために、我々はAIカースーパーコンピュータを構築した。これはXavier(エグゼビア)と呼ばれ、30Wの消費電力で30 TOPSのディープラーニング処理ができるという。512ユニットを持つVolta GPUを使用し、信頼性は車載グレード。これは私たちの自動運転車戦略の未来です」と紹介した。

Xavierを使用した自動運転車「BB8」によるデモ走行映像
Xavierの動作イメージ
ドライバーの状態を認識する新機能「AI Co-Pilot」披露

 スクリーンでは、Xavierを使用した自動運転車「BB8」によるデモ走行を披露するとともに、ドライバーの状態を認識する「AI Co-Pilot」と呼ぶ新機能を発表した。

 新機能では、ドライバーをモニターするカメラにより、横を見ているのか、眠っているのか、渋滞の怒りで苦しんでいるのかなどが分かるという。また、95%の精度でドライバーの唇の動きを認識するとしている。

地図でゼンリン。サプライヤーはZFとボッシュと提携

地図で中国のBaiduとヨーロッパのTomTom、日本のゼンリン、ドイツの自動車メーカー連合が所有するhereとの提携を示した

 フアン氏の基調講演では、続いて自動運転に関わる新たなパートナーシップが発表された。

 NVIDIA DRIVE PX用の「DriveWorks」には「MapWorks」というAPIがあり、これにより世界の地図企業と測量、マッピング、データのやり取りを行ないクラウド上のマップを更新することが示された。すでに発表されている中国のBaiduとヨーロッパのTomTomとの協力に続き、フアン氏は「今日、日本のゼンリンとの提携を発表しました。ゼンリンは地図作成のためにNVIDIA技術をデータセンターに統合しました」と述べた。

 さらに、フアン氏は「ZFがDRIVE AIコンピュータを発表します。現在サンプル出荷中で今年後半に出荷される予定です」と紹介。続けて「ボッシュがDRIVE AIコンピュータを採用予定。これにより、DRIVE AIコンピュータの最初の顧客として2つの自動車パーツメーカーが生まれました。3月により詳細な情報を提供します」とした。

自動車部品サプライヤーのZFとボッシュとの提携を示した
ZFが同日発表した「ZF Pro AI」

テスラに続き、アウディもNVIDIAの技術を採用

スクリーンにはアウディのAIカーが映し出された

 基調講演の終盤、すでに発表されているテスラとの提携に続き、アウディと次世代AIカーを構築するための提携行なったことを発表した。スクリーンにはアウディ車が映し出され「ここにアウディの美しいレンダリングがありますが、2020年までにNVIDIA AIの車載コンピュータが搭載されます」と示した。

 フアン氏は「CESは世界最大のコンシューマショーです。今のテクノロジー産業の真っ只中にいるのはとても楽しいです」「人工知能によって、私たちはこれまで長年にわたって夢見てきたものを実現することが可能となります。これから数年でサイエンスフィクションは現実になるでしょう」と締めくくった。

最後に同社の製品群をアピールした