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国交省、「現在販売されている『自動運転』は完全な自動運転ではない」と注意喚起

「機能を過信せず、責任を持って安全運転を」と呼びかけ

2016年7月6日 発表

 国土交通省は7月6日、米国で5月に発生した米テスラモーターズの車両における「オートパイロット」機能を使用した走行中に、運転者が死亡する事故が発生したことを受け、「現在実用化されている『自動運転』機能は、完全な自動運転ではありません!」とのニュースリリースを公表。自動車ユーザーに対して注意喚起している。

 5月に発生した事故については、現在、詳細について米国当局が調査中とのことだが、このテスラ「オートパイロット」機能を含め、現在実用化されている「自動運転」機能は、運転者が責任を持って安全運転することを前提とした「運転支援技術」であり、運転者に代わって自動車が責任を持って安全運転する「完全な自動運転」ではないとしている。

 日本政府は「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)の1領域として「自動走行システム(SIP-adus)」を国家戦略として推進しているが、このロードマップにおいて、自動運転の技術を4段階のレベルに定義。2030年までにレベル4となる「完全自動走行」の実用化を目指しているが、このレベル4でクルマの走行に関連する操作を自動的に行ない、ドライバーがまったく関与しない状態が実現されるまでは、原則として運転者が事故などの発生時に責任を負うことになっている。

安全運転支援システム・自動走行システムの定義

 5月の事故に関連するテスラの「オートパイロット」機能や、現時点で市場導入されている技術については「高度運転支援」(加速、操舵、制動を同時に自動車がドライバーのアシストをする)に該当するレベル2で、これは自動走行システムのなかで「準自動走行システム」となり、法的責任については運転者が追うことになる。

 また、法律面以外でも、「天候や周囲の交通の状況等によっては、これら機能が適切に作動しなくなることや、作動を突然停止することがあります」とも注意喚起を行なっている。

 国土交通省と警察庁では5月の事故を踏まえ、ユーザーに対する注意喚起を改めて徹底することとして、国土交通省は日本自動車工業会、日本自動車輸入組合に対し、自動車の販売時などにユーザーに対して十分に説明するよう周知。また、ユーザーに対しては「お手持ちの車について不明点がある場合や、車を購入される際には、ディーラー等において、その運転支援技術の機能や注意点について、ご確認ください」と説明し、「運転者は、その機能の限界や注意点を正しく理解し、機能を過信せず、責任を持って安全運転を行う必要があります」と呼びかけている。