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「MX-5 RF」に乗り込みルーフ開閉を試せる「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2016」のマツダブース
10月14日~23日開催、「ルーチェ ロータリークーペ」も展示
2016年10月15日 11:00
- 2016年10月14日~23日 開催
マツダは、10月14日~23日に東京都港区の東京ミッドタウンで開催される「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2016」に出展しており、プラザ1階 キャノピー・スクエアにブースを展開。日本国内で年内の発売開始を予定する「ロードスター RF」の北米仕様モデル「MX-5 RF」と、マツダ車として初めて前輪駆動のFFレイアウトを採用した「ルーチェ ロータリークーペ」を展示している。
展示された2台のうち、ルーチェ ロータリークーペは展示のみとなっているが、MX-5 RFはドアを開けて車内に乗り込んだり、ボンネットを開けてエンジンルームを見ることも可能。電装品も動く状態で、RFの車名の由来ともなっている電動ハードトップ「リトラクタブル・ファストバック」を開閉させることもできるようになっており、この状態での一般公開は国内で初めてとなる。
イベント開催初日には、4代目の現行型ロードスターのデザインを担当し、7月からロードスターの開発主査を務めているマツダ 商品本部 主査 兼 デザイン本部チーフデザイナーの中山雅氏が会場に姿を見せ、取材に集まった報道関係者に対して展示されたMX-5 RFについて解説を実施した。
このほかにマツダブースでは、「視覚だけでなく、感性に訴えかけるブランド体験を提供する」ことを目的に、マツダのデザインテーマ“魂動”の世界観を香りで表現するために資生堂と共同開発したフレグランス「SOUL of MOTION」も用意され、ステンレスキャップを持つ専用ボトルを展示するほか、フレグランスを染みこませたムエット(試香紙)の配布も実施されている。
「エンジニアとデザイナーがいっしょにいいものを作ろうという姿勢がマツダらしさ」
開催初日の10月14日には、ブースと隣接するレストランを会場に、マツダのデザイン担当者によって報道関係者に向けた「マツダデザインの歴史」と題する説明会も実施された。
マツダでは2020年に迎える創業100周年に向けてブランド価値を向上させる取り組みを進めており、この一環として「自分たちは何者であるのか」をしっかりと見直すため自社の歴史を再確認する作業を行なっているという。デザインの歴史についても同様で、それぞれの時代ごとにテーマがあることが見いだされたが、これが現在のデザインテーマ「魂動-Soul of Motion」につながっていると解説された。
マツダの創業以来のデザインについて説明したマツダ デザイン本部 ブランドスタイル統括部 主幹の田中秀昭氏は、マツダの原点は原爆投下によって破壊された広島の復興をモチベーションに、「人々を幸せにするための道具を作りたい」という思いから始まったと紹介。当時の社内誌の表紙に登場する3輪トラックの赤いボディを、現代の「ソウルレッド」の始まりではないかとしつつ、3輪トラックのような商用車でもインダストリアルデザインを採り入れていることをマツダらしさとした。
1960年代にモータリゼーションの時代が到来したことでマツダも軽自動車、小型車などの開発に乗り出すことになるが、これにあたって社内にデザイン部門が必要であると考えられ、1959年12月に「機構造型課」の内部にデザインを担当する「造型係」が発足。これについて田中氏は、「設計課のなかにデザイン部門ができているだけに、エンジニアとデザイナーがいっしょになっていいものを作ろうという姿勢があり、今のマツダデザイン、魂動デザインでも同じような考えがあります」と語った。
1960年代には「流麗でシンプルなデザイン」が重視されていたが、1970年代になると国内需要がひとまわりしたこと、米国で排出ガスを厳しく規制する「マスキー法」が施行され、他社が尻込みするなかマツダが持つ「ロータリーエンジン」はサーマルリアクターを活用することで規制をクリアできると見込まれたことなどから北米輸出の台数が増え、デザインについても従来のエレガントな水平基調から、グラマラスな面構成、力強さを表現する「プラウドフェイス」と呼ばれるフロントマスクが採用されるようになった。
しかし、「オイルショック」の発生により、すぐに時代は「エコノミーで合理的なもの」を求めるようになり、マツダでも「赤いファミリア」と呼ばれた5代目ファミリアを発売。直線基調のクリーンな面構成は若々しさも表現していた。また、この当時はフォードとの資本関係があり、ファミリアはフォード「レーザー」の兄弟車として開発されていたことから、マツダの社内にもフォードのデザイナーが多数やってきて、お互いに開発内容をやりとりするなかで外国人の感性がマツダに取り込まれたと田中氏は語る。
バブル経済とコンパクトカーの伸長で会社の業績も好調となったが、のちにデザイン部門のトップとなる人物が米国出向を経験するなかで、ハイウェイを埋めるコンパクトカーの姿から「クルマはもっと心ときめくものでなければだめだ」と考え、1990年代に入るころに「ときめきのデザイン」という方向性を提唱。3代目「RX-7」などの曲面造型を持つモデルが登場することになった。
バブル経済の崩壊後にはフォードの持ち株比率が増え、また、フォード傘下の「PAG」と呼ばれる世界の自動車メーカーのなかで「マツダらしさ」のアピールが求められたことから、現代につながる「Zoom-Zoom」というブランドメッセージがブランドのDNAとして定義されることになったという。また、デザインでも初代「アテンザ」で新しい「アスレチックデザイン」が生み出され、これが魂動デザインのベースになったと解説された。
こういった時代の変遷の上に成り立っている魂動デザインは、初の4輪乗用車として登場した「R360 クーペ」で骨格としてのボディラインで表現された水平基調の「エレガンス」、米国進出で個性を強調した「プラウドフェイス」、ときめきのデザインを表現した「光と影」といった要素が融合され、現代の「新世代商品群」に生かされていると総括された。