ニュース
JALのビジネスクラスシート「JAL SKY SUITE」でル・マン24時間レースに行ってきた(前編)
ボーイング 787型機、6月登場の新機内食も試食
2017年7月14日 12:45
例年6月の半ばにフランスのル・マン市で行なわれている伝統のレースがル・マン24時間レースだ。世界三大レースの1つに数えられるル・マン24時間レースだが、24時間ひたすらサーキットを走り続けるという通常のレースにはないフォーマット、そして1周が13km強という超ロングコースであることにより、コースの途中で問題が発生するとピットに戻るのもひと苦労というその特殊性、さらには常設サーキットと市街地コースが合体したユニークなコースレイアウトなどが相まって“世界一過酷なレース”と言っても過言ではない。
特に2017年のル・マン24時間レースは、2016年にラスト3分で発生したまさかのトラブルにより初優勝を逃したトヨタの雪辱がなるかに大きな注目が集まったが、その結果に関しては別途記事でお伝えしたとおり。LMP1全車にトラブルが発生する異常事態の中で、比較的傷が浅く済んだ2号車 ポルシェ 919 Hybrid(ティモ・ベルンハルト/アール・バンバー/ブレンダン・ハートレー組)が優勝。ポルシェは3連覇を果たし、トヨタの夢はまたしても未完のまま終わってしまった。
今年、筆者はル・マン24時間レースを初めて取材することになり、フランス ル・マン市まで行ってきたので、その模様をお届けする。本記事ではその前半として、フランスへ行くまでのフライト、成田からパリのシャルル・ド・ゴール空港まで利用したボーイング 787型機 JAL415便の搭乗記をお届けしていきたい。今回は、JAL415便のビジネスクラスを利用してのフライトだったが、ちょうど6月から機内食に新メニューが導入されたこともあるので、その新メニューに関しても詳しくレポートしていきたい。
ビジネスクラスの顧客は青色が目印のビジネスクラスカウンターを利用できる
ビジネスクラスへの搭乗の特別さは、空港に到着したときから始まっている。言うまでもなく、飛行機に搭乗するときには航空会社の搭乗カウンターで手続きをするのが最初のミッションだが、ビジネスクラスに搭乗する場合には、それも特別な手続きとなる。どこの航空会社でもそうだが、ビジネスクラスやファーストクラスはエコノミークラスとカウンターが別になっており、だいたい大行列になっているエコノミークラスのカウンターを横目にすっと手続きが済むのは、少しでも時間を節約したいビジネストラベラーには嬉しいところだ。
成田空港国際線の場合、上級クラス、上級会員用のカウンターは以下のようなカウンターが用意されている。
成田空港国際線のJALカウンター
会員種別 | JGCカウンター | ビジネスクラスカウンター | ファーストクラスカウンター | |
---|---|---|---|---|
JMB以外の乗客 | エコノミークラス | ー | ー | ー |
プレミアムエコノミークラス | ー | ー | ー | |
ビジネスクラス | ー | ○ | ー | |
ファーストクラス | ー | ー | ○ | |
JMB会員 | 一般会員 | ー | ー | ー |
一般会員(JGC) | ○ | ○ | ー | |
クリスタル | ー | ○ | ー | |
クリスタル(JGC) | ○ | ○ | ー | |
サファイア | ○ | ○ | ー | |
サファイア(JGC) | ○ | ○ | ー | |
JGCプレミア | ○ | ○ | ○ | |
ダイヤモンド | ー | ○ | ○ | |
ダイヤモンド(JGC) | ○ | ○ | ○ | |
一部のJALカード会員 | ー | ○ | ー | |
ワンワールド会員 | ルビー | ー | ○ | ー |
サファイア | ー | ○ | ー | |
エメラルド | ー | ○ | ○ |
どのカウンターが利用できるかは、搭乗するクラス、およびJALのマイレージプログラムであるJMB(JAL MILEAGE BANK)の会員ステータスなどに依存している。エコノミークラスに搭乗するとしても、JMBの上級会員であれば上級クラス用のカウンターを利用することができるのだが、今回のように最初からビジネスクラスに搭乗する場合には、無条件でビジネスクラスのカウンターが利用できる。なお、ビジネスクラスに搭乗するJGC(JAL GLOBAL CLUB)プレミア、ダイヤモンド会員の場合はファーストクラスカウンターが利用できる。
成田空港第2ターミナルのJカウンターおよびKカウンターがビジネスクラスカウンターとなり、目印は写真のように青い表示になる。JALのビジネスクラスのカウンターはこの青で統一されており、カウンターのフロアマットも青になっていた。受付では、預け入れする手荷物とeチケットお客様控、パスポートなどを出すと、受付の空港スタッフが手続きを行なってくれる。ビジネスクラスの場合は、預け入れの手荷物にプライオリティ(優先取り扱い)のタグを貼ってくれる。
このタグは、別にビジネスクラスに乗ってるよとアピールする意味があるのではなく、手荷物のハンドリングを行なう係の人に、この手荷物はビジネスクラスの顧客であると認識してもらうためのもので、JALのフライトの場合はファーストクラスの乗客につけられるファーストクラス用のタグ、JGC会員用のタグに次いで3番目の優先度の扱いをしてもらえる。具体的に言えば、荷室のコンテナへ収納する時に、現地に着いてから早めに開けられるコンテナに入れてもらえたりするのだ。
それにより、現地で手荷物を他の乗客よりも素早く受け取ることが可能になる。現地に着いてすぐに次の行動をしたいと思うビジネストラベラーにとってこうした扱いは嬉しいサービスと言えるだろう。
成田第2ターミナルには3つあるサクララウンジ。リラクゼーションルームやシャワールームなどの施設に注目
手続きが終わり搭乗券を受け取ったら、JALのラウンジへ行き、出発までの間ゆっくりと待つことができる。ビジネストラベラーの中には、ラウンジだと食事や飲み物が出るため、早めに空港に行ってラウンジで仕事をしながら出発を待つという人も少なくない。つまり、それぐらい居心地のよい場所だということだ。
成田空港の第2ターミナルに、JALは2種類のラウンジを持っている。それがファーストクラスラウンジとサクララウンジだ。分け方はシンプルで、ファーストクラスの乗客はファーストクラスラウンジ、ビジネスクラスの乗客はサクララウンジとなる。ビジネスクラスの乗客であっても、ダイヤモンド、JGCプレミアなどのJMBの一部上級会員はファーストクラスラウンジを利用することができる。今回はビジネスクラスに搭乗するのでサクララウンジを利用することになる。
成田空港のサクララウンジは実は3つある。本館側の3階と4階に1つずつ、そしてサテライト側に1つとなる。今回はゲートが本館側だったので、本館3階のサクララウンジを利用することになった。なお、本館4階にあるサクララウンジは、混雑時だけオープンする(7時30分~12時30分と15時30分~19時30分)ようになっており、本館3階が混雑している時にはこちらを利用してみるのもいいだろう。ただし、施設そのものは本館3階のサクララウンジが一番広く充実しているので、まずはこちらを覗いてみることをお勧めする。
本館3階にあるサクララウンジは、入るとまず2階へ降りるエスカレータがあり、待合のための椅子やワーキングスペースは基本的に2階に用意されている形になっている。2階の待合部分には、広々としたスペースに多数の椅子が置かれている。
様々な施設が用意されており、例えば子供が遊ぶためのキッズルーム、PCを使って仕事をしたいビジネスユーザーのためのワーキングスペースなどが用意されている。ユニークな所では簡易的な仮眠室も用意されており、係員に断ると利用することができる。仮眠室と言ってもしっかりしたベッドが用意されており、そのままずっと寝ていて飛行機の出発に遅れないのかと心配になるぐらいだ(だから係員に断っておけということなのかもしれないが……)。
ユニークな施設としてはリラクゼーションルームの存在がある。何かと言えば、ボディ・スカルプ・足つぼといったいわゆるもみほぐしを無料でやってもらえるサービス。サービスが行なわれる時間にも限りがあるし、いつも予約でいっぱいというぐらい人気のサービスで、本格的な設備が用意されていた(筆者が訪れた時には営業時間外だったので試せなかったが)。予約は当日ラウンジでだけ受け付けてもらえるので、早めにラウンジに行く機会があれば試したいところだ。
リラクゼーションが終わった後には、シャワールームで汗を流しておくと快適なフライトを楽しむことができるだろう。こちらも当日ラウンジでだけ予約できるので、やはりラウンジに着いたら予約するといいだろう。午前中のフライトだとあまりニーズはないかもしれないが、夕方とか夜便の場合には昼間仕事をしてそのまま空港に向かうというビジネストラベラーも少なくないと思う。そうした時には、着替えを機内持ち込みの手荷物の方に入れておけば、心も体も、そして服もリフレッシュしてフライトに臨むことができるので、このシャワールームの利用はお勧めだ。
ラウンジのダイニングには名物ビーフカレーをはじめとするおいしい食事が
ラウンジの楽しみは、何もリラクゼーションやシャワールームの利用だけではない。やはり食事を楽しむことは外せない。本館3階のサクララウンジの場合、ダイニングスペースは螺旋階段(ないしはエレベータ)を利用して上がった3階にある。ダイニングスペースには食事が取りやすいように、机と椅子が多数用意されており、スポットに駐機している飛行機が見える絶好のビューを楽しみながら贅沢な食事が可能だ。
そのメニューは実に多岐にわたっており、ここではイチイチ説明できないほどのメニューがあるので、興味がある方はJALのWebサイトで公開されているメニューを参照していただくとして、ここでは筆者のお勧めを紹介していきたい。筆者のお勧めの1つ目はサラダバーだ。日本ではいつでも新鮮な野菜を割と低コストで食べることができるが、1歩国外に出ると新鮮な野菜は高価な場合が多く、野菜は炒め物で取るしかないということが多いし、鮮度が足りないということは少なくない。従ってしばらく野菜を取れないという環境に行くことが多い人は、ここで思うだけ野菜を取っておきたいところ。サクララウンジのサラダバーには新鮮なレタスやミニトマトなどが用意されているほか、むき枝豆が用意されており、このむき枝豆がとても美味だ。ぜひサラダバーで野菜のおいしさを楽しんでおきたい。
もう1つは、JALの国際線ラウンジの目玉とされているJAL特製オリジナルビーフカレーだ。このビーフカレーは、JALのラウンジでも成田と羽田の国際線ラウンジでしか楽しめないというスペシャルな一品だ。ビーフカレーそのものも非常においしいのだが、カレーライスにするとおいしいのはお米にある。筆者が利用した時は山形県産のブランド米である"はえぬき”が利用されており、それがほどよく甘い味であるためビーフカレーの味が引き立っている。
また、ダイニングでは各種ドリンクを楽しむことができる。ビールは特別なサーバーが用意されており、冷蔵庫の中で冷えているグラスを置くと、自動でグラスを傾けてビールを注いでくれるという優れモノ。特に夏の暑い日にはこれで1杯、2杯とやると飛行機に乗る前に酔っ払ってしまうので、くれぐれも飲み過ぎには注意したい。このほかにも、シャンパンや各種ワインなども用意されており、お酒が好きな人にはまさに天国のような環境だ。
もちろん、お酒が飲めない人でも心配御無用。ソフトドリンクや水などのノンアルコール飲料も用意されているので、食事と一緒にそれらを楽しむといいだろう。
JALのエコノミークラスのシートは広いと評判だけど、それはなぜ?
そんなラウンジで食事などを楽しんでいると、搭乗時刻があっという間に迫ってくる。ラウンジではJAL便の搭乗時刻に関してはアナウンスがあるが、自分でも時刻に注意して乗り遅れるなんてことがないようにしたい。
今回搭乗するJAL415便の機材は、ボーイング 787-8(SS8)型機と呼ばれる機材で、ビジネスクラス、プレミアムエコノミークラス、エコノミークラスの3クラス制となっている。今回搭乗したのは“JAL SKY SUITE”と呼ばれるビジネスクラスになるが、その前にプレミアムエコノミークラス、エコノミークラスを見学する機会を得たので、合わせて紹介しておきたい。
JALのエコノミークラスである“JAL SKY WIDER”は、ほかの航空会社のエコノミークラスに比べて快適性が高いシートであることが最大の特徴だ。その秘密はシート幅が広くなっていることにある。今回のフライトに使われていたボーイング787-8(SS8)型機の場合はシート幅(アームレストの間)が約48cmとかなりゆとりをもったシートになっている。他の航空会社のボーイング787-8型機におけるエコノミークラスのシート幅は一般的に44~45cm程度であるため、横幅に余裕があることが数字でも裏付けられている。
なぜほかの航空会社に比べて余裕があるのかと言えば、それはシートの配置を見ればすぐに分かる。一般的なボーイング787-8型機の場合、3-3-3と1列につき合計9席の配列が一般的なのだが、JALの場合は2-4-2の構成で1列につき8席の配列となっている。つまり他の航空会社よりも1席少ないために、横幅が広く取れているのだ。このため、JALのエコノミークラスは会社の規定でエコノミークラス利用が必須のビジネストラベラーの間でも話題になっており、実際に乗ってみるとビジネスユーザーが多いのが特徴だ。
プレミアムエコノミークラスは“JAL SKY PREMIUM”というブランドがつけられている。ボーイング787-8(SS8)型機のJAL SKY PREMIUMは2-3-2の配列になっており、シート幅は約49cmとさらに広くなっている。さらに前後間隔(ピッチ)は107cmで、エコノミークラスの約84cmと比べて大幅に広くなっている。かつ、独特のシェル構造でリクライニングしても前方へシートがせり出す形でリクライニングするので、後ろの乗客には影響を与えないようになっているのも見逃せない。これにより、リクライニングするときに後ろを気にする必要もないし、何よりPCなどを使っていても前の人がリクライニングしてきて使えなくなるという問題からも解放される。
フルフラットにできるだけでなく、エアウィーヴのマットレスと枕でまるでホンモノのベッドに変身
本題のビジネスクラスのシートだが、JAL415便に採用されているのはJAL SKY SUITEというフルフラットシートで、個室感のあるシートだ。全席が通路にアクセスできるようになっており、どの席に座っても隣の人に断ってトイレに立つなどの必要がなく快適性が高いと言える。かつ、隣席との間に電動のパーテーションが用意されており、離陸後にはそれを上げて、より個室感を演出することができる。隣席が同行者であればもちろん下げたままにしておくことも可能だ。
また、意外と便利なのが収納スペースなどが多く用意されていること。例えば、荷物はディスプレイ下にあるオットマンの下に収納できる。筆者のPCバックなどはかなり余裕で収納できたし、機内持ち込みができるサイズのスーツケースであればやはり楽々収納できる。離着陸時にはPCなどの大型の電気製品などは、頭上の荷物入れか座席下に収納する必要があり、頭上の荷物入れに入れてしまうと出すのが結構億劫になってしまうが、このオットマン下にカバンを収納しておけば、巡航高度に達してシートベルトのサインが消えたらすぐにPCを取り出して仕事をするということも可能だ。
なお、通路側のシートの場合には、ベッドにした時にちょっとした小物を入れておける収納スペースが用意されている。例えば眠くなってPCをしまいたい時などに、カバンに戻して収納だとちょっと面倒だが、こうしたスペースにさっとしまっておけるので使い勝手がよい。
JAL SKY SUITEはもちろんフルフラットシートにできるのだが、ヨーロッパ線のような長距離線の場合、それに加えてエアウィーヴのマットレスと枕が用意されている。欧米の航空会社でもフルフラットシートにできるビジネスクラスは近年増えているが、それでも専用のマットレスまで備えられているところはまだまだ少ない。シートをフラットにするだけでなく、こうした専用のマットが用意されていることで、就寝時の快適性は格段に向上する。今回も実際にこのマットレスと枕にお世話になったが、もちろんスペースの問題もあるので高級ホテルのような寝心地などと言うつもりはないが、エコノミークラスでリクライニングした状態で寝るのに比べれば、言うまでもなく段違いの快適性だ。
今回は、仕事をする必要があったためと、西行きのフライトでずっと昼間が続くので時差を調節するためにあまり寝ていることはできなかったのだが、それでも2時間は文字どおり熟睡することができた。例えば太平洋線のように、夕方発で米国に朝着くようなフライトでこれに乗っていけば、きっとフライト中ずっと熟睡できて、時差ぼけとは無縁に現地でフルに活動できるだろうなと感じた。そうした、時間を争ってビジネスをしているビジネスパーソンやエグゼクティブであれば、こうした快適なフルフラットシートでエコノミークラスとの価格差を取り返すぐらいの仕事が現地でできれば、十分におつりが来るのではないだろうか。
一流シェフ2人が監修した6月の新メニュー。和食のメインは舌もとろける和牛牛タンシチュー
そして、ビジネスクラスを利用したときの最大の楽しみは、やはり機内食だろう。JALは6月から食事のメニューを切り換えて新メニューになっており、今回はそれを楽しむことができた。メニューは和食と洋食から選ぶことができ、和食は東京芝大門「くろぎ」黒木純シェフ監修、洋食は東京 麻布十番「山田チカラ」山田チカラシェフ監修という、いずれも一流シェフが監修した食事になっている。
もちろん、通常のフライトではどちらか1つを選んで楽しむのだが、今回は取材ということもあって特別に和食、洋食の両方を試食する機会を用意していただいた(より正確に言うと、通常の機内食として和食を食し、その後に洋食の一部を試食した)。
和食はまず“胡麻豆腐 山葵のせ”と“鮪のコンフィ”が登場する。実はこれは和食、洋食の共通メニューになっており、前者を和食を担当する黒木シェフが、後者を洋食を担当する山田シェフが監修している。どちらもおいしかったのだが、個人的には前者の胡麻豆腐がしっかりと胡麻の味がしてとてもおいしくいだたけた。
続いて出てくるのは、薫風(くんぷう)と呼ばれるいわゆる前菜で、複数の和風の前菜がセットになって出てくる。そのパッケージも秀逸で、折り箱に詰められている“折り詰め”になっており、中はパーテーションで5つに分けられている。左上から“夏野菜と若布のポン酢ジュレ掛け、セロリの土佐酢漬け”、中央上が“そば真砂和え”、右上が“蛸旨煮、南瓜、茄子揚げ出し、うどと人参のきんぴら、きぬさや”、左下が“うざく、辛子酢味噌”、右下が“真鯛の昆布〆、田舎風出汁巻き玉子、京風出汁巻き玉子、丸十蜜煮、あんず蜜煮”となっており、色鮮やかで“インスタ映え”しそうな料理だとも言える。筆者個人としておいしいと感じたのは、中央上の“そば真砂和え”で、たらことそばのコンビネーションが絶妙だった。
前菜が終わるとメイン料理だ。今回のメインは“和風牛タンシチュー、銀鱈味噌漬け”だ。特においしかったのは和風牛タンシチューで、牛タンが柔らかくてジューシーで”舌がとろけそうとはこういうことか!”と思うぐらいおいしかった。銀鱈味噌漬けも味がしみていておいしかったが、それと同時に感心したのがご飯のおいしさだ。機内で炊いているだけあってふっくら仕上がっており、非常においしかった。
デザートは“水羊羮”で、付属してくる甘夏のジャムをかけて食するのだが、甘夏ジャムの酸味によって水羊羹の甘さが中和されてちょうどよい味になる。正直筆者は水羊羹のような甘いだけのデザートはあまり得意ではないのだが、この甘夏ジャムのおかげで完食してしまったほどだった。欧米のエアラインのビジネスクラスだと、デザートにはアイスクリーム、チーズ、フルーツ…と"ダイエットってなんですか"というぐらいの量のデザートが出てきて「もう許してください……」となるのだが、JALのビジネスクラスではすっきりした日本らしいデザートで、日本らしい感じが出ているデザートと言えるだろう。
洋食のメインは和牛サーロインステーキ。レアの部分が残ったままサーブされる
その後、洋食の試食を行なった。洋食でも“胡麻豆腐 山葵のせ”と“鮪のコンフィ”がまず登場するのはすでに述べたとおりだが、前菜からは異なっており、“槍烏賊グリルとクスクスの冷製”となる。イカとキヌマから構成されるサラダで、オリーブオイルがかかっており、さっぱりしていておいしいサラダだ。同時にメゾンカイザー特製パンが出てきており、ハーブないしはコンプレのプチパンがサーブされる。
メインは2つ用意されており、“和牛サーロインステーキとキャビアオーベルジーヌ シャンピニオンのソース”ないしは“太刀魚と夏野菜 タップナードのソース”から選択することができる。今回は前者を試食してみたが、ステーキを切ってみると中にまだレアの部分が残っている状態で出されて来たことが分かった。実際に赤い部分を食べてみたが、肉の味がしっかり出ておりおいしかった。飛行機の中でステーキが出されることは少なくないのだが、大抵の場合はウェルダンになるまでしっかり火を通していることが多いだけに、赤身が残ったまま出てくるというのは正直驚きだった。これならウェルダンはあまり得意ではないという人でも十分に楽しむことができるだろう。
もう1つの魚の方は125kcalとカロリーが控えめなのが特徴。機内でのカロリー過多を心配する人や女性などに最適だろう。
デザートは”三重県産夏蜜柑のプリン”で、こちらも甘さ控えめだが、しっかりと酸味がきいていて、やはり日本人好みのデザートの味だと感じた。
JALは機内食のメニューをWebで公開しているので、チェックしてみていただきたい。
快適な機内Wi-Fiは18.80ドルでフライトのあいだデータ量制限なく使い放題
今回は出張続きだったため、機内で調べ物をしながら記事を執筆する必要があり、巡航高度に達するとすぐにPCを取り出し、機内Wi-Fiに接続して仕事を開始した。JALの機内Wi-Fiは1時間10.15ドル、3時間14.40ドル、フライトプラン(24時間)が18.80ドルとなっており、JALカードで決済すると1ドル~2ドル程度お安くなる。JALの機内Wi-Fiシステムは、パナソニックアビオニクスがインフラを提供し、インターネットプロバイダーとしてT-Mobileが提供する形となっている。
JALの機内Wi-Fiは時間で制限されるだけでデータ容量に制限はなく、使い勝手がよい。仕事に必要な資料のダウンロードなどをデータ量を気にせず使えるのは勝手がよく、機内でもきっちり仕事をしたいビジネストラベラーであればフライトプランを購入するのがお勧めだ。
なお、余談になるが、JALのマイレージプログラム“JMB”の上級会員(ダイヤモンドないしはJGCプレミア)になると、この国際線Wi-Fiの無料チケットを40回分プレゼントするキャンペーンが行なわれている。このキャンペーンは2016年も、そして2017年も行なわれている。何回国際線に乗るか次第だが、これは事実上上級会員は機内Wi-Fi無料ということに等しいので、よく国際線に乗り、かつ機内Wi-Fiは必須と考えるなら、JMBのダイヤモンドかJGCプレミアを目指してみるのも1つの手だろう。
お腹が空いたら軽食を注文することもできる。軽食にはサラダ、ビーフカレー、ラーメン、うどん、サンドイッチ、チーズ取り合わせなどが用意されており、キャビンアテンダントにオーダーすると作って持ってきてくれる。今回はその中からカレーライスと醤油ラーメンを注文してみた。飛行機に乗ると食事の時間が決まっていて、なんだか追い立てられるように食事をするというイメージなのだが、この方式だと自分のペースで好きなものだけを注文できるので快適だ(到着の1時間半前まで注文が可能)。
なお、ギャレーにはスナックなども用意されており、ちょっと小腹が空いたぐらいならこれを食するのもいいだろう。筆者個人的にはドライなっとう(納豆をドライにしたスナック。JALUXが製造・販売)がお勧めで、JALの国際線ラウンジなどにも用意されているので、もしJALのラウンジやビジネスクラスに乗る機会があればぜひ試してみてほしい(なお、通販でも販売されているので、興味がある方はネットで検索してみるといいだろう)。
そんなこんなで機内で仕事をしているうちに、JAL415便はパリのシャルル・ド・ゴール国際空港に向かって着陸態勢に入り、到着予定時刻より早くシャルル・ド・ゴール国際空港に無事着陸した。後編ではシャルル・ド・ゴール空港からル・マンへの移動や、ル・マンでのレースの楽しみ方などを紹介していきたい。