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8月19日の“バイクの日”に開催された2輪4社合同記者会見レポート

2輪車の販売状況や今後の発展について報告

2017年8月19日 開催

「バイクの日スマイル・オン2017」の開会式前に行なわれた2輪4社合同記者会見

 8月19日の“バイクの日”に「サナギ新宿」(東京都新宿区)で開催された「バイクの日スマイル・オン2017」では、開会式前に「2輪4社合同記者会見」が行なわれた。

 記者会見には日本自動車工業会 二輪特別委員会 委員長の柳弘之氏(ヤマハ発動機 代表取締役社長)、同副委員長の安倍典明氏(本田技研工業 執行役員 二輪車事業本部長)、同副委員長の浅野剛氏(川崎重工業 執行役員 モーターサイクル&エンジンカンパニー バイスプレジデント)、同副委員長の西河雅宏氏(スズキ 二輪事業本部 技術統括部長)、同副委員長の渡部克明氏(ヤマハ発動機 取締役 常務執行役員 MC事業本部長)、そして日本自動車工業会の常務理事である和迩健二氏が出席した。

一般社団法人日本自動車工業会 二輪特別委員会 委員長の柳弘之氏(ヤマハ発動機株式会社 代表取締役社長)
副委員長の安倍典明氏(本田技研工業株式会社 執行役員 二輪車事業本部長)
副委員長の浅野剛氏(川崎重工業株式会社 執行役員 モーターサイクル&エンジンカンパニー バイスプレジデント)
副委員長の西河雅宏氏(スズキ株式会社 二輪事業本部 技術統括部長)
副委員長の渡部克明氏(ヤマハ発動機株式会社 取締役 常務執行役員 MC事業本部長)
一般社団法人日本自動車工業会 常務理事の和迩健二氏
原付の市場が厳しいが、国内4メーカーと関係団体が協力して市場の活性化に取り組んでいると柳委員長は挨拶のなかで語った

 記者会見は柳委員長の挨拶から始まり、「ここ数年、こちらの記者会見はバイクの日とセットで行なうのが恒例となっています。さて、昨今の2輪車市場ですが、いろいろな国や地域で経済情勢の変化、市場の変化、ニーズの多様化が起きています。そういったなかで私ども国内4メーカーは着実にビジネスを進めていて、国内4メーカーを合わせた世界の2輪車シェアはだいたい45%くらいという状況です。日本国内市場ですが、現在は原付市場がとても厳しい状況です。しかし大型、中型クラスは堅調な推移をしています。国内4メーカーはいろいろな関係団体から協力をいただきまして市場の活性化に取り組んでおり、いくつかは結果に結びつけることができていると思いますので、本日はそのへんのことを皆さま方に紹介したいと思います」と語った。

渡部副委員長から二輪車の販売状況などが報告された

 続いては渡部副委員長から販売状況などが説明された。最初に取り上げたのは、国内の2輪車状況についてで、「今年の春に行なった大阪と東京でのモーターサイクルショーはともに大盛況でした。どちらの開催も入場者数が過去最大となりました。なお、今回の開催だけでなく、近年は右肩上がりに入場者数が伸びていますので、そういった面からもバイク人気が高まっていると感じております」と堅調さをアピールした。

 次にモータースポーツについても触れ、「近年はモーターサイクルスポーツの人気も高まっています。先日開催された40周年の鈴鹿8耐では12万8000人の方がサーキットに来られました。鈴鹿8耐では5年連続で観客数が増加し、MotoGP日本グランプリも当初6万人の観客数だったのが約9万人に伸びていることが、過去5年間のデータに表われています。とくに注目したいのは10代、20代の若い観客が増えているところです。これは2輪車の若者人気が拡大していることを表わすものでもあります。また、全日本選手権では女性ライダーの活躍が目立ってきているのも明るい話題となっています」とのことだった。

渡部副委員長から発表された資料。2輪車人気の盛り上がりについて

 また、国内の販売状況についての説明も行なわれ、「2016年は全体で21万台を堅持しており、自動2輪車の販売はまずまず堅調と見ています。上半期のみの販売状況データを見ても前年並みの結果です。なかでも軽2輪(125cc~250cc以下)のカテゴリーは前年比150%となっており、大変好調な動きを見せています。好調の要因としてはスーパースポーツ、あるいはフルカウルスポーツと呼ばれるロードモデルに人気が出ていること。とくにこの排気量帯は20代のエントリー層の購入が増えていて、ここは今後も伸びるであろうと期待しているところです。もう1つ、このクラスを盛り上げているのがアドベンチャータイプというカテゴリーのバイクが出てきたことです。このタイプはホンダ、スズキ、カワサキから発売されていて、多くのお客様に受け入れられています」というように、ここ数年はバイクの販売状況はよいとの報告がされた。

 しかし苦戦しているクラスもあった。「原付一種ですが、これは大変苦戦をしています。原付一種というのは通学や買い物など、生活を支える交通手段として普及していますが、少子化、あるいはモビリティの多様化の影響を受けて縮小傾向になっています。今年の上半期の販売状況は前年を越える見通しですが、それでも厳しい状況が続いています」。

「しかし、我々として原付一種は日本では必要なカテゴリーと認識しております。そこでメーカー間で生産面での業務提携を行なったり、さいたま市のプロジェクトに参画して9月からはEVバイクの普及拡大に向けた実証実験を行なったりという行動を起こしています。さらにホンダと日本郵便による電動バイクのインフラ対策など、新しい取り組みも始まります。そして個社ベースでのプロモーション活動や、高校生に対する原付の安全普及活動などを進めています。このようにさまざまなアプローチで需要再生に取り組んでいます」と、原付一種クラスの人気回復へ力を入れていくことが語られた。

クラス別の販売台数について。とくに好調なのが魅力的な新型が多く発売されている軽2輪で、原付一種は苦戦している

 議題は切り替わり、業界の取り組みについて語られた。2輪車業界は2014年に「2輪車産業政策ロードマップ」を策定して以降、さまざまな活動を進めてきた。この記者会見ではそうした取り組みのなかから日本自動車工業会 二輪特別委員会として“とくに注目してほしい”という8項目が紹介された。これらについてはスライドと合わせて紹介していく。

2輪車業界のさまざまな取り組みについて
クルマの免許があると法令上は最短3日で免許取得ができるが、業界では週末の2日間で取得できるようにしてほしいと要望を出している。これに対しては自動車安全運転センターの調査研究が行なわれ、その結果を踏まえて警察庁の検討が待たれるところという
2つ目はETC割引を利用した首都圏ツーリングプラン。ETCを搭載した2輪車ならば、定額プランに設定された対象範囲の高速道路であれば一律2500円で何度でも利用可能というもの(最大2日間)。ライダーには好評とのことで、11月30日までこのプランが続けられる。これに関係して自工会は2輪車料金区分の設定、それと料金比率の適正化を働きかけているとのこと
全国都道府県の教育委員会を対象に“高校生の二輪車利用に関する全国調査”を行なった。その結果から、現在は原付の禁止方針を明確にしている教育委員会は少数派ということが判明した。この結果を踏まえ、原付通学者に対する交通安全教育の支援を行なうことを積極的に進めていくとのこと
ここからはスズキの西河副委員長が説明を担当した。国際的な取り組みについての紹介で、自工会は国際二輪車工業会への参画を通じて海外の2輪車業界との交流を図っているとのこと。そこで2輪車に関する国際的な問題の克服や、交通安全の普及に取り組んでいるという
今年の4月には国際二輪車工業会と欧州二輪車工業会が二輪産業コンファレンスを開催。今後はこうした国際会議の重要性が高まると考えているとのことだ
次は2輪車技術の国際調和について。各国が独自に設けている車両基準を世界統一の基準へと調整していく取り組みだ。現在は新技術の国際基準化、アジア諸国との連携、国際基準調和の拡大という3本を柱として日本の2輪車産業の競争力が高まるように取り組んでいる
2輪車の魅力を訴求するための取り組みとして、2輪車業界団体と2輪車を応援する自治体、経済産業省が取り組む第5回「BIKE LOVE FORUM in 群馬・前橋」が群馬県前橋市で9月16日に開催される。今回は初めての試みとして、一般来場者向けの「BIKE LOVE FESTA in 群馬・前橋」が翌日に開催される
自工会は、10月27日~11月5日の期間に東京ビッグサイトで「第45回東京モーターショー2017」を開催する。モーターショーの会場では2輪車、4輪車産業の明日が見える製品展示やプレゼンテーションを行なうという
そして最後は「バイクの日スマイル・オン2017」が記者会見のあとに開催されることに触れ、西河副委員長の説明は終了した。バイクの日スマイル・オン2017についてはすでに記事が公開済みなのでそちらを確認いただきたい