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ケンウッド、設立70周年記念モデルのカーナビ「TYPE M」シリーズなど新製品発表会
「業界標準となる新しい時代に向けたマスターモデル」と開発責任者の渋谷英治氏
2017年10月5日 16:48
- 2017年10月4日 開催
ケンウッド(JVCケンウッド)は10月4日、横浜市内のホテルにおいて「彩速ナビゲーション」の新シリーズおよび自動車関連の新製品発表会を開催した。
新製品のメインとなるのは、ケンウッド設立70周年記念モデルとなるカーナビゲーション「TYPE M」シリーズ。標準的な2DINサイズの「MDV-M705」、ワイド2DINサイズとなる「MDV-M705W」、8V型ディスプレイを搭載する「MDV-M805L」の3モデルをラインアップする。価格はオープンプライスとなっており、店頭予想価格はMDV-M705とMDV-M705Wが9万円前後(税別)、MDV-M805Lが11万円前後(税別)。
機能面では情報量を増やした「新INFOウィンドウモード」を新たに搭載したほか、ハイレゾ音源の転送が可能なBluetoothコーデック「LDAC」、フロント&リア映像の記録が可能なカーナビ連携ドライブレコーダー、音楽配信アプリ「SMART USEN」などに対応する。既存のフラグシップモデル「Zシリーズ」は併売となっており、同機が対応する「Android Auto」「Apple CarPlay」、車室内の特性に合わせたセッティングが可能な「プロモードWQ」には非対応となるなど、差別化が図られている。ベーシックモデルに位置づけられる「Lシリーズ」も併売される。
このほかカーナビ連携ETC車載器「ETC-N7000」「ETC-N3000」、カーナビ連携ドライブレコーダー「DRV-N530」、リア用の「DRV-R530」、スタンドアローンタイプのドライブレコーダー「DRV-830」「DRV-W630」「DRV-630」が発表された。
詳しいスペックおよび同時に発表となったドライブレコーダーなどの詳細は関連記事を参照していただきたい。
カーナビは市場の成熟化に伴い低価格化が進行
発表会では、JVCケンウッド 常務執行役員 オートモーティブ分野 市販事業部長 新井卓也氏が挨拶したほか、同 市販事業部 商品企画部 渋谷英治氏が新製品の紹介を行なった。
まず壇上に立った新井氏はカーナビゲーションの国内市場動向に触れ、2016年度は518万台と自動車登録台数の回復に伴いカーナビ出荷台数も回復基調にあると前置き。市販は微減傾向にあるものの、AVN一体型はほぼ前年をキープしており、実売で10万円台を切るモデルが2012年度比で1.7倍と市場の成熟化に伴い低価格化が進行していると分析し、「単価アップが図れる魅力ある商品の開発が使命だと思っている」と述べた。
続いてドライブレコーダー国内市場動向について、「昨今のニュース報道などでドライブレコーダーが記録した映像を見る機会が増えている」としたうえで、2016年度の出荷台数は前年比約140%、約140万台に上り、認知率も87%と上昇していると説明。フルハイビジョンを超える高画質、運転支援機能、カーナビとの連携などが可能な高付加価値型が伸びている一方で、低価格モデルも販売増となるなど二極化が進行しているとした。
カーナビやドラレコなどを含めたカーエレクトロニクス市場は、ドライブレコーダーやETC車載器などの伸長により2016年度は2013年度並みに復調しており、「新たな市場に新たな商品を提案していきたい」とコメントした。
こうした市場動向を踏まえてリリースされるのが、今回の新商品となる。まず、ナビゲーションについては「TYPE MはTYPE Zの血統を引き継いだ高付加価値モデルと位置づけ、70周年記念モデルにふさわしい内容に仕上げた」と説明。同時にカーナビ連携ドライブレコーダー、ETC、ハイレゾ対応スピーカー、フロント/リアカメラなどを「スマート連携」と名付け、システム提案をしていくとした。
単独型ドライブレコーダー3機種については高画質ニーズに対応したと言い、「WQHD対応でケンウッドドライブレコーダー史上最高画質のラインアップとなっている」と述べた。
最後に「ケンウッドは設立70周年を迎えてございます。今の私たちがあるのは多くのお客様のご支援のたまものと思っています」と感謝を述べるとともに、「設立70周年を記念に長い年月をかけて育んでご愛顧いただいたブランドを未来へつないでいくことが、私たちの使命だと改めて感じています。ケンウッドのブランドの定義は“限界を超越する鋭敏さ”。これをキーワードに次の未来へと邁進してまいります」と挨拶を締めくくった。
TYPE Mシリーズは業界標準となる新しい時代に向けたマスターモデル
続いて渋谷氏が登壇し、新商品についての説明を行なった。
渋谷氏はまず、彩速ナビを2011年2月に発売した際、「彩り鮮やかに、最高のレスポンススピードで多くの方々から驚きの声をいただいた」と振り返り、その後も「めまぐるしく変わる時代の変化を先読みして新たな驚き、発見を感じていただける商品を目指して進化を続けています」とコメント。その結果、「カーナビ市場は頭打ちとなっていますが、ケンウッドのシェアは右肩上がりを続けている」として、「ご支持いただいた1つの証ではないか」と自信を見せた。今回の新商品群はそうした一連の進化に加え、現在の大画面化および低価格化というカーナビ市場の変化に対する回答であるとした。
新シリーズのコンセプトは「運転状況に合った最適な案内および情報の提供、AV車室内空間を実現」すること。これを踏まえて「真の意味でドライバーをアシスト、ナビゲートしてくれる」「TYPE ZでもTYPE Lでもない、業界標準となる新しい時代に向けたマスターモデル」として開発・誕生したのが、今回発表されたTYPE Mシリーズとなる。
このTYPE Mシリーズはこれまでのミドルクラスにはない圧倒的な商品力を持っているとして、3モデルのラインアップを発表。その特長として、ナビゲーション面では「価格帯唯一の静電タッチパネル」「高評価を得ている各種案内」「トップレベルの案内表示や操作性」といった点を挙げるとともに、新たに3Dジャイロ+加速度センサー3軸による6軸ジャイロを搭載することで「これまでにない圧倒的な自車位置精度を実現しています」と説明。また、「表示と音声による逆走警告」「リフレッシュ通知」「スマートフォン置き忘れ警告」など、新機能をふんだんに搭載していると述べた。
AV機能については、「TYPE Zから受け継いだ高音質DNAをベースに、価格唯一のフルスペックハイレゾ再生を可能にしている」「すべての音源を192kHz、32bitまでアップコンバートして完全なハイレゾ内部処理を行なっている」と、充実したハイレゾ音源への対応を紹介。そのほかにも、原音再生をサポートするケンウッドオリジナル技術「K2テクノロジー」、ハイレゾウォークマンなどと高音質でワイヤレス接続可能な「LDAC」に対応するなど、“クラス最高音質”を実現しているとアピールした。その一方で、手軽にさまざまな音楽を楽しむことが可能な有料音楽ストリーミングサービス「SMART USEN」にも対応。ユーザーの年齢層がマッチしており、これからは電車の中や家の中だけでなくドライブでも楽しめると説明した。
インフォメーション面では従来から搭載しているスマートフォンアプリ「KENWOOD Drive Info.」を利用することで、ドライブに必要なリアルタイム情報を入手可能としたほか、新たにBluetoothテザリングによるインターネット接続に対応。付加価値面ではドライバーに必要な情報を常に確認できる「INFOウィンドウ」をさらに進化させた全画面の「マルチINFOウィンドウ」機能などを紹介。オプションとしてはETC車載器として高度化光ビーコン対応「ETC-N7000」、前後同時ダブル録画が可能なナビ連携型ドライブレコーダーといったアイテムに触れ、前者は信号情報活用運転支援システム(TSPS)に対応、後者は後方確認が可能な「バーチャルルームミラー」機能を備えるなど、付加価値領域の魅力をさらに加速させるラインアップであるとした。
TYPE Mシリーズ紹介の締めくくりとして、「昨年のTYPE Zに搭載した機能の大半はTYPE Mに搭載しています。全身まさに隙のない商品、これが新たなTYPE Mの魅力であり、圧倒的なパフォーマンスが必ずやユーザーを魅了できるものと考えています」と、商品力の高さに自信を見せた。
最後にスタンドアローン型ドライブレコーダー3機種も紹介。業界トップの高精細WQHD(2560×1440)での記録を可能とするほか、フラグシップの「DRV-830」は4種類の記録モードに対応するとともに、トンネルや立体駐車場での白飛びを低減する業界トップのHDRを搭載。一般的なドライブレコーダーとの比較映像を流しつつ、「高精細で美しく視認性の高いDRV-830は最高レベルの性能と機能を備えたモデル」だと、そのメリットに言及した。
実機に触れてみた
発表会終了後は実機を展示しての内覧会が実施された。カーナビ機能そのものは従来機と同様とのことだったが、改めて操作してみると彩速ナビらしいストレスフリーな操作感はやはり抜群。液晶がTNなのも従来同様で、マニアには少し残念かもしれないが、発色、コントラストともに満足できるレベルだ。新たに採用となったマルチINFOウィンドウも操作感はとてもよく、実際に道路上での表示を見てみたいと感じられた。
一番心を惹かれたのが前後同時録画のドライブレコーダー。スタンドアローンタイプと違ってフルHD録画となるものの、ケンウッドモデルらしい美しい映像と使い勝手のよさ、バーチャルルームミラー機能など、物欲を刺激される仕上がりだった。