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JVCケンウッド、ハイレゾ音源への対応強化などフルモデルチェンジした彩速ナビ「タイプZシリーズ」発表会
最上位モデル「MDV-Z904W」は高音質ハイレゾ音源DSDに対応
2016年9月8日 14:05
- 2016年9月7日 開催
JVCケンウッドは9月7日、AVナビゲーションシステムの新商品発表会を横浜市内のホテルで開催した。
10月中旬発売予定となっている新商品は「彩速ナビ」の上位モデルとなるZシリーズ(タイプZ)で、DSDに対応する「MDV-Z904」と同ワイド2DIN仕様の「MDV-Z904W」、DSD非対応の「MDV-Z704」と同ワイド2DIN仕様の「MDV-Z704W」の計4機種が用意される。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は「MDV-Z904」「MDV-Z904W」が14万円前後(税別)、「MDV-Z704」「MDV-Z704W」が12万円前後(税別)。
詳しいスペックなどは別記事を参照していただきたい。
発表会ではまず、JVCケンウッド 執行役員 常務 オートモーティブ分野 市販事業部長 新井卓也氏が登壇。市販カーナビを取り巻くマーケット概要を説明した。
新井氏は国内のカーナビ市場について、2013年をピークに自動車の登録台数が前年割れしていることもあり、カーナビの出荷台数も減少傾向にあると説明。
その中でも自動車メーカーやディーラーが取り扱うMOP(メーカーオプション)やDOP(ディーラーオプション)ナビは増加傾向にあり、その一方で市販ナビは減少傾向であるとした。加えて彩速ナビが登場した2010年には、市販ナビの価格帯は10万円以上を占めていたが、2012年以降には10万円未満の商品が主流となり、直近では約6割をこうした商品が占めるようになった。
こうした状況について、新井氏は「市場の成熟化に伴って製品がコモディティ化して単価が下がるのが世の中の流れ」であり、「これらを打破していくためには魅力ある商品開発、お客さまにカーナビの利便性、楽しさを提供していくこと」が重要であるとした。
そんな厳しい状況の中で2011年に発売された彩速ナビは「圧倒的なレスポンスとスマホを扱っているような使い勝手で高評価をいただいている」(新井氏)ことに加え、2015年モデルでは“初のハイレゾ音源対応”に進化している。
こうした流れを受けて発売する第3世代の彩速ナビについては「GUIに至るまでフルモデルチェンジ。新たにお客様にナビの新しい使い方や楽しみ方をご提案します」(新井氏)と、新商品に対する自信のほどを伺わせた。
最後に2020年に向けた中期経営計画について触れ、新井氏は「長年培ってきた映像、音響、通信などの優れた技術、ノウハウを生かして車載関連、今後有望かつ社会的意義のある分野へ応用していく」「彩速ナビは一層の商品力の強化、カスタマーバリューの強化を図るとともに、一方では新たな市場、ドライブレコーダー、車載カメラを含む新規事業の拡大をもって成長戦略を大胆に推し進めて今後の飛躍に向けて取り組んでいく」と締めくくった。
2017年モデルのタイプZは、5つの「ハイ(Hi)」がポイント
続いてJVCケンウッド オートモーティブ分野 市販事業部 商品企画統括部 スペシャリスト 渋谷英治氏が新商品についての説明を行なった。
2017年モデルの特長について渋谷氏は「彩り鮮やかで業界トップクラスの高速レスポンス、これを実現している“彩速コンセプト”を踏襲。それ以外にも新たな機能を搭載する」とコメント。カーナビの平均単価が8万円前後まで落ちてきている現在、10万円を超える商品を購入していただくためには価格差を埋めるだけの付加価値を提供することが必要であるとした。
一方、送り手側としてはいかに価格を維持できるかが重要であり、そのためにはそれに見合った「新しさ」「驚き」「感動」といったものが必要であると説明。「我々が目指すのは運転による緊張を余裕に変えて、より安全安心快適な車室内空間を実現するのが目標。2017年モデルのタイプZはそれをお約束できる仕上がりになっている」(渋谷氏)として、新たなモデルである「Z704」、そしてZのプレミアム感を最高レベルまで引き上げたモデルとして「Z904」を紹介。
そして、2017年モデルのタイプZは、5つの「ハイ(Hi)」がポイントであるという。
1つ目は「ハイセンスデザイン」。ワイド2DINモデルについてはハードキーを廃止してすべて静電タッチ式ボタンを採用したことに加え、ユーザーインターフェイスについても新たに「アクティブーバーレイGUI」を採用するなど、大胆な変更を行なったことを紹介。画面横から引き出す独特のメニューにも、新たに「インフォ画面」を追加することで、ドライバーが必要な情報をカンタンに得ることができると説明した。
2つ目は「ハイレゾオーディオ」。先代モデル「Z702」をさらに進化させ、すべての音源を192kHz/32bitまでアップコンバートするとともに内部処理もハイレゾ化しており、「全身ハイレゾ」というような商品であると表現。さらにZ904ではFLAC、WAVなどのほかDSDファイルに対応するとともに、最高音質となる最大11.2MHzまでのDSD再生に対応するとしており、「ナチュラルで滑らかなハイレゾサウンドをお楽しみいただける」とした。そのほか、SD、USB、内蔵メモリを横断的にブラウズして好きな楽曲が楽しめる「マルチAVブラウザー」、CDを内部メモリに高音質で録音できる「高音質ロスレス録音モード(Z904)」、車室内の音場補正をキメ細かく行なうことができる「プロモードEQ(Z904)」など、新機能についても説明を行なった。
3つ目となるのがカーナビ本来の部分とも言える「ハイスペックナビゲーション」。新たに「高精度測位 環境補正プログラム」を採用したことにより、業界トップクラスの自車位置精度を実現。羽田空港駐車場での例を挙げ、GPSの信号が遮断された状況でも「(自車位置を)ほぼトレースしている」と自信を見せた。そのほかにもルート探索のカスタマイズが可能な「マイルートアジャスター」、自車位置周辺をワンタッチで拡大できる「ワンタッチルーペ機能」、新たにオンルートスクロール機能を追加して完成度を高めた「案内先読みガイド」などの新機能を紹介した。
4つ目の「ハイパフォーマンス」では、スマホとの連携を紹介。従来からのスマホアプリによる機能を踏襲するとともに、新たにApple CarPlayとAndroid Autoへの対応。スマホをUSBで接続することで地図や音楽、電話、SMSの読み上げ、などが簡単に行なえるとした。
最後の5つ目「ハイクオリティ」として、ハイレゾサウンドを余すことなく再現できるスピーカーや、ナビ本体と連携可能なドライブレコーダーなどを紹介。また、地図更新サービスとして最大5年間定期的に更新用SDカードが届けられる「ナビ地図定期便」と、オトクに地図更新が可能な「KENWOOD MapFan Club」が用意されていることをアピール。セッションを締めくくった。
積極的なハイレゾ対応
機能面の紹介に続いて音楽制作の最先端現場から見た彩速ナビということで、JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント ビクタースタジオ長 秋元秀之氏が登壇。
秋元氏は今回発表された彩速ナビは「他社をリードした積極的なハイレゾ対応」がポイントと考えると前置き。その理由は「ハイレゾの市場規模が年々倍のペースで市場が伸びていくと予想される」ことが1つ。
2つ目として当初は旧譜の発売が中心だったが、最近では「トップラインのアーチストの新譜が増えている」「今までは何十年もCDをメインとした制作環境だったが、ハイレゾ標準対応にシステムアップ。現場では全くハイレゾを意識せずハイレゾづくりをしている」といった点を挙げた。
こうした状況から「ハイレゾは一時の流行でなく間違いなく定着していく」とした上で、今後は「再生機器にもハイレゾ対応が必須」であり、同時に「ハイレゾが持っているさまざまなフォーマットにも対応していないといけない」と解説。「これを具現化しているのが彩速ナビ」であるとした。
また、現状、ハイレゾに共通した定義や基準はなく、同社では「作った音そのまま」がハイレゾであると認識していると説明。ソフト側とハード側が一体となって録音されたオリジナルマスターをそのままお届けできるのがJVCケンウッドグループの強みであり、「音楽制作現場から一丸となったJVCケンウッドグループのハイレゾーワールドを存分にお楽しみいただきたい」と締めくくった。
10月7日~8日にユーザー向けイベント開催
JVCケンウッド オートモーティブ分野 市販事業部 国内営業統括部 統括部長 関谷直樹氏はプロモーション概要を案内。Z702を2015年3月に発売して1年半が経過して、本日ようやく満を持して発表することができたとコメント。「大きく進化したタイプZの新しさ、カーナビを使う楽しさ、システム提案による楽しみの広がりを数多くのお客様にご提案していく」と、プロモーションの方向性を示した。
彩速ナビでは初めてとなるアーティストとのコラボレーションのほか、スピーカーやサウンドチューニングキットを組み合わせてシステム提案などを用意。そのほか10月7日~8日にはベルサール秋葉原(東京都千代田区)においてデモカー展示やハイレゾライブ、来場特典などを用意したユーザー向けイベントが開催されることも発表された。
最後にJVCケンウッド 企業コミュニケーション統括部 広報・IR・SR部長 遠藤勇氏からラインアップとともに想定価格が示された