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奥川浩彦のキヤノン「EOS 7D」レビュー
7Dをモータースポーツ撮影に投入


 キヤノンからデジタル一眼レフカメラ「EOS 7D」が発売された。AF(オートフォーカス)センサーは19点すべてがクロスセンサー、8コマ/秒の連写が可能とモータースポーツの撮影にはうってつけのスペックを持っている。本記事ではモータースポーツ撮影という部分にこだわりつつ、このEOS 7Dのレビューをお届けする。

APS-Cサイズのデジタル一眼レフ「EOS 7D」。モータースポーツ撮影に用いるカメラとして魅力的なスペックを持つ

 筆者はモータースポーツが好きで、どうせ見に行くなら写真が撮りたいと思い、30年ほど前に一眼レフを購入した。銀塩、MF(マニュアルフォーカス)からAFへ、そしてデジタル一眼レフへと移行してきた。最初のデジタル一眼レフは「EOS 20D」、その後「EOS 40D」を追加、今回3台目のデジタル一眼レフとして購入したのがEOS 7Dだ。

 EOS 7Dの発売日は10月2日、F1日本グランプリの初日だ。10月2日と聞いた瞬間「もう1日早ければよいのに」と思った。名古屋在住の筆者だが、お店で購入するにせよ、通販で購入するにせよ、受け取ってから鈴鹿に向かったのではフリー走行1回目には間に合わない。決勝を観戦モードと考えると、使えるのは土曜日だけ、そこを我慢して少し待って買えば値段も下がる……と悩んだが、結局買ってしまった。

 筆者が最も一眼レフに求めるものはAFの性能だ。特に動く被写体にどれだけピントが合うか、この1点につきる。連写性能も高いほうが望ましいが、画素数などはEOS 20Dの有効820万画素でもさして不満を感じてはいなかった。

 デジカメWatchの長期レビューでEOS 40Dを書いたときも、初回の記事では「AFポイントが9点で変更がないと聞いて少々ガッカリ、詳しく聞くと、9点すべてがクロスセンサーになり大デフォーカス(大ボケ)対策もされたとのことで、これに期待して購入することにした」と書き、最終回では「AFに関しては、これまで使っていたEOS 20Dと比較すると、確かに性能は向上している。だが、購入前に期待していたほどではなく、動く被写体では微妙にピントを外すことも多い。次機種ではAF精度の向上に加え、AFポイントを増やしたり、AFポイントのエリア選択等の機能追加を期待したい」と書いている。

 2年前に期待したいと書いたことがEOS 7Dで実現したのである。AFポイントが9点から19点に増え、AFポイントのエリア選択ができるようになった。筆者のストライクゾーンの真ん中にEOS 7Dが来た、これを見逃すわけにはいかないと、自分に言い訳をして購入することにした。

 まずはEOS 7Dのスペックをひととおり見てみよう。

AFポイントは19点、選択できるパターンも豊富

 AFポイントは19点。すべてのAFセンサーにクロスセンサーを採用。中央には、斜め十字にF2.8光束対応、縦横十字にF5.6光束対応のデュアルクロスセンサーを搭載している。測距エリア選択モードとして、19点から任意の1点を選ぶ「1点AF」、指定したゾーン内で被写体を自動検出する「ゾーンAF」、カメラが19点から自動的に選ぶ「自動選択」の3つから選べるようになった。ゾーンAFモードは、上、下、左、右、センターの5つのゾーンから任意のゾーンを選択できる。

 EOS-1D/1Ds系と同様な「AFフレーム領域拡大」を搭載。選択した測距点を被写体が外れても、上下左右のAFポイントが自動的にアシストする。さらに「AF制御切替登録」では、絞り込みボタンおよびレンズボタンに、測距エリア(スポット、任意、領域拡大、ゾーン、19点全自動)、AIサーボ時の追従敏感度、AIサーボ時の測距点選択特性、AIサーボ1コマ目/2コマ目以降動作のいずれかを割当てられる。動く被写体の性質にあわせて、シーンごとの使い分けが可能だ。

 連写性能は約8コマ/秒の撮影が可能となった。撮像素子にはAPS-Cサイズ、有効1800万画素CMOSセンサーを搭載。JPEGでの最大記録画素数は5184×3456ピクセル、RAWの記録画素数は5184×3456ピクセル、M-RAWでは3888×2592ピクセル、S-RAWでは2592×1728ピクセルとなっている。動画の撮影も可能で、1920×1080ピクセル(フルHD)、1280×720ピクセル(HD)、640×480ピクセル(SD)に対応している。CFスロットはUDMAに対応。JPEGラージ/ファインでの連続記録枚数は、最大約126コマとなっている。常用感度はISO 100〜6400。感度拡張で最高ISO 12800での撮影も行える。

 ファインダー視野率は、100%を実現した。透過型液晶デバイスを用いた「インテリジェントビューファインダー」を採用。「AFフレーム表示」、「視野内表示」、「グリッドライン表示」、「スポット測光表示」、「ファインダー内水準器表示」の切り替えも可能となった。

 本体サイズは148.2×73.5×110.7mm(幅×奥行×高さ)。重さは約820g。電池室、メモリーカードスロットカバー開閉部、各種操作ボタンまわりなどにシーリング部品を採用。外装カバーの高精度段差合わせ構造や、グリップラバーの密着構造などにより、防塵防滴性能を実現した。

 バッテリーには、EOS 5D Mark IIと同じLP-E6を採用。撮影可能枚数は、ファインダー撮影時で約800枚(常温)、約750枚(低温)、ライブビュー撮影時で約220枚(常温)、約210枚コマ(低温)となっている。

 筆者が重要視するAF性能、連写性能以外で気になったのは視野率100%のファインダー、1800万画素の撮像素子、バッテリーが変更になったことと、重さだろうか。

 視野率が100%になり、ファインダーをのぞいた瞬間に広いと感じた。逆にAFポイントの配置エリアが小さくなった感じもした。実際には40Dと上下左右は同じなのだが、ファインダー全体が広くなったのでそう感じた。

 1800万画素の撮像素子の採用は、解像度は上がるが、高感度ノイズも増えるのではないかという不安、画素ピッチが狭くなり、絞り込んだときの回折による影響も気になった。

 バッテリーは20D、40Dが共通だったので、互換性がなくなった。新たに予備バッテリーを用意するしかない。とはいえ、実際に使用するとストロボなしで2000枚以上の撮影が可能だった。重さに関しても40Dより100g重くなったが、実際のフィールドではその差は気にならなかった。

EOS 7D到着
 10月2日、6時30分に家を出て鈴鹿サーキットへ。3年ぶりの鈴鹿サーキットは豪雨だった。帰宅したのが17時30分、7Dはすでに自宅に届いていた。開封してまずはバッテリーの充電。発表会で実機は触っていたので、AFまわりの設定だけ取扱説明書を見ながら確認をした。

 AFポイントのエリア選択モードは、デジタルカメラマガジンの「EOS 7Dのすべて」などを読んですでに理解していたが、設定の中にAIサーボ時の被写体追従敏感度、AIサーボ1コマ目/2コマ目以降動作、AIサーボ時の測距点選択特性といった細かな設定項目があった。

カスタムファンクションメニュー内にある、AIサーボ時の被写体追従敏感度設定。適切な値が分からないので、とりあえずデフォルト設定のままとした

 AIサーボ時の被写体追従敏感度は、AIサーボで連続撮影する場合にAFフレームを横切る障害物が入ったときの敏感度の設定だ。従来機はメーカーが適切と思った値になっていたのだと思うが、EOS 7Dではユーザーが設定することが可能となった。どれくらいが適切なのかが分からないのでデフォルトのままとした。


AIサーボ1コマ目/2コマ目以降動作設定。組み合わせによって4つの中から選ぶことができる

 AIサーボ1コマ目/2コマ目以降動作はピント優先かレリーズ優先か、撮影速度優先か被写体追従優先かの選択で、4つの設定から選ぶこととなる。内容はシャッターを切ったときにピントがあってからレリーズするか、それともとにかくレリーズを優先するかの選択。例えば報道写真などで、多少ピントが甘くてもその瞬間を撮ることが重要な場合はレリーズ優先となる。2コマ目以降も連写速度を優先するか、被写体への追従ができなければレリーズと遅くするかが選択できる。これもデフォルトのピント優先/被写体追従優先とした。


AIサーボ時の測距点選択特性設定。デフォルトは測距中心優先

 AIサーボ時の測距点選択特性は「AIサーボ時の被写体捕捉中、測距中心に、より撮影距離の近い被写体が入ったときに、その被写体にピントをあわせるか、障害物として無視するかを設定できる」と書かれている。選択肢は測距中心優先と測距連続性優先の2つ。内容的にはAIサーボ時の被写体追従敏感度と似ているのだが、これも取りあえずデフォルトの測距中心優先のままにした。


 F1日本グランプリ終了後に、これらの設定に関して調べてみた。分かりやすかったのは「EOS-1D Mark III AIサーボAF カスタム機能解説書」というキヤノンが配布している冊子で、PDFもキヤノンのサイトに掲載されていた。

「EOS-1D Mark III AIサーボAF カスタム機能解説書」
http://cweb.canon.jp/e-support/guide/pdf/e1dm3-cfg2.pdf

 この冊子を読むと、AIサーボ時の被写体追従敏感度を-1、AIサーボ1コマ目/2コマ目以降動作はレリーズ優先/撮影速度優先、AIサーボ時の測距点選択特性は測距連続性優先が筆者にはフィットしそうな感じだ。

 これ以外にも細かな設定項目は多い。カスタマイズして自分好みにできるのはよいことだと思うが、理解するのが大変だとも感じた。

 AF以外では、記録画質はラージ/ノーマル、ピクチャースタイルはユーザー設定にし、忠実をベースに、シャープネスを7段階の6、色の濃さをプラス1として翌日のデビュー戦に望むこととした。

サンディスク「Extreme Pro」。EOS 7Dの性能を活かすため、600倍速のCFカードを使うことにした

 普段デジカメのレビュー用に撮影する場合は、最高画質のラージ/ファインにしているが、レースの撮影ではノーマルを使用している。絵的に大きな差はないにもかかわらず、ファイルサイズが半分になるのがその理由で、実使用を考えたときにCFカードへの記録枚数が倍になるのは大きい。ちなみにCFカードは、サンディスクから発売されたばかりの「Extreme Pro」を用意した。最高転送速度90MB/秒(600倍速)、UDMA6に対応した製品だ。

いよいよ実戦デビュー
 10月3日、予選開催日、快晴。EOS 20Dは自宅に置いて、7Dと40Dを持って鈴鹿サーキットに向かった。フリー走行3回目はヘアピンでの撮影だ。クリッピングポイントを正面から撮る場合、焦点距離300mm(480mm相当)のレンズでは少々短い。正面だけ撮るなら1.4倍のコンバーターを付けたほうがよいが、進入、立ち上がりも撮るので300mmを選択した。EOS 40Dには200mm(320mm)のレンズを装着、これで準備完了だ。

 以前は画面いっぱいに撮ることを意識したが、Car Watchの仕事をするようになり、編集部から要求される最大の出力サイズが1920×1280(又は1080)ピクセルとなったので、比較的焦点距離の短いレンズで撮るようにしている。被写体を左右に寄せて撮りたい場合も、最もフォーカス性能の高いセンターのAFポイントを使い、トリミングで調整している。

 筆者は動く被写体に対するAFの性能は、撮る人の腕も大きく影響すると考えている。被写体がカメラに向かって真っ直ぐ近付いてくるならカメラの性能で決まるのだが、レーシングマシンでも電車でも飛行機でも運動会でも、ほとんどの場合レンズを振って被写体を追っかけているはずだ。

 筆者の腕では狙った1点に完全にAFポイントを追従させることは難しい。カメラ側から見ればファインダーの中で被写体が上下左右に動く状態でピントをあわせていることになる。その被写体のブレの大小が腕の差となる。加えてレンズの差もあるだろう。MF時代は明るいレンズを買うと、ピントのあわせやすさが格段に向上したものだ。カメラも同様にF5.6のレンズよりはF4.0、F4.0よりはF2.8のレンズのほうがよりピントがあわせやすいはずだ。なので、撮った画像だけを見てAF性能がよい悪いとは言い切れないと考えている。

ゾーンAFの真ん中9点を使用したが、筆者の撮影スタイルではしっくり来なかった

 最初はゾーンAFを選択し、センターのエリアを選択した。19点のAFポイントの真ん中9点でフォーカスすることとなる。使い始めてすぐ、筆者にはしっくり来ない感じがした。まず9点のエリアが思ったより広い。加えて、カメラ側が9点の中から数点を選ぶのだが、右に行ったり、左に行ったり、撮る度に自動選択されるAFポイントが変わるのが気になってしまった。これまでは撮るときにセンターのAFポイントに集中していたのだが、それがあっちこっちへ動くので、気が散って筆者にはあわなかった。

 結局、領域拡大AFにして撮ることにした。これならセンターのAFポイントは固定で、その回りをアシストしてAFが行われる。このほうが筆者にはフィットしているようで、撮りやすかった。

 連写性能の8コマ/秒は凄い。EOS 20Dの5コマ/秒からEOS40Dの6.5コマ/秒になったときも凄いと思ったが、同じ様な感覚だ。だが、さすがに8コマになるとファインダーの消失時間も気になった。筆者の動体視力が衰えているのかもしれないが、マシンを追従し辛い感じがした。実際に1コマ1コマの消失時間が短くなっているのだが、連続するとパラパラ漫画を見ているような感じとなる。

 連続して撮った画像を見てみよう。シャッター速度は1/500秒。実際にはこのシャッター速度では正面付近のカットしか使わないが、進入から立ち上がりまでを連写してみた。最初の9枚はレッドブルのマシン、その後の10枚はウィリアムズだ。

 まず最初の9枚のExifのデータから撮影時刻の秒の値だけ見ると、最初の1枚が29秒、2枚目から8枚目までが30秒、最後の1枚が31秒となってる。同じ30秒の中に7枚となっていた。連写性能はレンズの絞りやシャッター速度の影響があるし、Exifのデータが秒単位までしか表示されないので8コマに近い7コマなのか否かは分からない。加えて設定がピント優先/被写体追従優先となっているので、レリーズ優先/撮影速度優先にすればさらに速くなったかもしれない。

 以降のEOS 7Dによる撮影サンプル写真は、最大記録画素数である5184×3456ピクセルで記録したものがほとんどだ。拡大画像を見る際に時間がかかる場合もあるので注意してほしい。

Canon EOS 7D / EF300mm f/4L USM(480mm相当) / 5184×3456 / シャッター速度優先AE / 1/500秒 / AI サーボ AF / ISO 100

 普段はうまく撮れた写真だけを見せているので、連続した写真をすべてノートリミングで見せるのは恥ずかしいのだが、AF性能も見てみよう。ターゲットはヘルメットの「Red BULL」やバイザーの「GIVES YOU WINGS」の文字。1〜3枚目はまぁまぁOK、4枚目はブレ気味、5枚目で持ち直し、6枚目はかなりブレて、7枚目はOK、8枚目は追従の芯がノーズにズレ、9枚目もNGといった感じだ。筆者の腕ではこれが平均的なところだろう。最終的には全部ボツかなと思うが、使うとしたら縁石が近い5枚目をレタッチするだろう。

Canon EOS 7D / EF300mm f/4L USM(480mm相当) / 5184×3456 / シャッター速度優先AE / 1/500秒 / AI サーボ AF / ISO 100

 次はウィリアムズの10枚。こちらはExifのデータの撮影時刻を見ると7枚目までが48秒、残りの3枚が49秒となっている。その前のカットがないので、48秒台に8コマ目が撮れたかは不明だ。AF性能も見てみよう。こちらもターゲットはヘルメット。「TOMSON REUTERS」やバイザーの「Green Flag」が読めるかを見てみると、1〜3枚目まではOK、4枚目はブレて5、6枚目はOK、7枚目はNG、8枚目はOK、9枚目NG、最後の10枚目はOKといった感じだ。

 筆者的にはよく撮れているほうで、先ほどのレッドブルよりは被写体に追従していることが分かる。おそらく完全に追従すれば全部のコマがピントOK、ブレOKとなるのだろう。

 筆者の腕では、同じカメラでこの様に差があるので、40Dより明らかにAF性能が向上したとは言い切れないのだが、印象としてはよい感じだ。筆者は今回のF1で、今年14戦目のレース撮影となる。スポーツランドSUGO、ツインリンクもてぎ、富士スピードウェイ、鈴鹿サーキットと撮ってきた。毎戦、数千枚の写真を撮るのだが、もし1割でも2割でもピンボケが減れば、撮影効率は大幅に向上する。そんな期待を感じさせてくれる結果だった。

 ヘアピンで撮った画像を何点か掲載しておこう。元画像とレタッチしてフォトギャラリーに掲載した画像だ。最初からトリミングを前提にレンズ選択やシャッター速度を設定して撮っているので、元画像を見るとアレって思う絵も多いだろう。

 購入段階でそれほど気にしていなかった1800万画素、最大記録画素数5184×3456ピクセルは、意外と恩恵がありそうだ。トリミングの自由度が上がったので、焦点距離の長い望遠レンズで撮ったのと同じ様な絵を掲載可能となった。実際には、あまり豆粒の様に小さく撮ると、ピント精度の問題はあるが、写真の加工を始めると恩恵が感じられた。

元画像:Canon EOS 7D / EF300mm f/4L USM(480mm相当) / 5184×3456 / シャッター速度優先AE / 1/500秒 / F8.0 / AI サーボ AF / ISO 100 トリミングしてフォトギャラリーに掲載:1920×1080
元画像:Canon EOS 7D / EF300mm f/4L USM(480mm相当) / 5184×3456 / シャッター速度優先AE / 1/160秒 / F14.0 / AI サーボ AF / ISO 100 トリミングしてフォトギャラリーに掲載:1920×1080
元画像:Canon EOS 7D / EF300mm f/4L USM(480mm相当) / 5184×3456 / シャッター速度優先AE / 1/100秒 / F14.0 / AI サーボ AF / ISO 100 トリミングしてフォトギャラリーに掲載:1920×1080
元画像:Canon EOS 7D / EF300mm f/4L USM(480mm相当) / 5184×3456 / シャッター速度優先AE / 1/250秒 / F9.0 / AI サーボ AF / ISO 100 トリミングしてフォトギャラリーに掲載:1920×1080
元画像:Canon EOS 7D / EF200mm f/2.8L USM(320mm相当) / 5184×3456 / シャッター速度優先AE / 1/125秒 / F16.0 / AI サーボ AF / ISO 100 トリミングした画像。これはフォトギャラリーには掲載しなかった

決勝開催日も撮影モード
 10月4日、決勝開催日。この日も快晴だ。決勝はS字から逆バンクを臨むD席での観戦だ。本来、F1の決勝は身動きできないほど混雑するので、撮影は諦めレース観戦のはずだった。ところが、今年の鈴鹿は全席指定、元々自由席だった逆バンクは3万7000円の価格設定の影響か空席が非常に目立つ状態。ということで、レーススタートから数周は観戦モードだったが、途中から撮影モードに切り替えることとした。

2重の金網を通して撮影すれば、低い角度からマシンを撮影できる。ただし、晴れると手前の金網が反射してしまう

 逆バンクで筆者のお気に入りの撮影ポイントは、最下段から金網越しに撮る位置だ。そこにある2重金網に開いたカメラホールを通して、S字から逆バンクに向かってくるマシンを正面から撮影する。鈴鹿の観客席では一番低い角度でマシンを撮れる場所だと思っている。レンズは300mmに1.4倍のコンバーターを付けて420mm(672mm相当)。

 この時刻、太陽は右斜め後ろから当たるので、緑色の金網がうっすらと画像に被ってしまう。マシンまでは遠く、ここもトリミングを前提とした撮影だ。マシン速度は速め、通過にかかる時間は1秒程度、左右に動きながら近付いてくる。それにあわせてレンズを小刻みに振るのだが、おそらくレンズ先端を動かす量は数mmだろう。これがなかなか筆者の腕では難しい。

 ここも恥ずかしながら連続して撮った画像をお見せしよう。最初の7枚はルノー、全体に緑色が被っていることと、コントラストが落ちていることが分かるだろうか。コンバーターを付けているし、おそらくカメラ的にもフォーカスがあわせにくい撮影ポイントだ。

 7枚のExifデータを見ると撮影時刻の秒の値はすべて46秒。1秒の中に7枚が収まっている。フォーカスの精度は3枚目までがチョイと甘め、4枚目が最もよく、5枚目で落ちて6枚目で持ち直し、7枚目もチョイと甘めといった感じだろう。

Canon EOS 7D / EF300mm f/4L USM +1.4X(672mm相当) / 5184×3456 / シャッター速度優先AE / 1/500秒 / AI サーボ AF / ISO 100

 次の5枚はウィリアムズ。1枚目は完全NG、2枚目はチョイ甘め、3枚目がNGで、4、5枚目は持ち直している。チョイ甘め程度ならレタッチソフトでシャープネスを上げたり、リサイズしたりすればなんとか使えるといった感じだ。このルノーとウィリアムズは全体の中では比較的よいほうで、撮った中には5〜6枚連写して全部NGもあるし、1枚だけピシっとピントがあっている場合もある。

Canon EOS 7D / EF300mm f/4L USM +1.4X(672mm相当) / 5184×3456 / シャッター速度優先AE / 1/500秒 / AI サーボ AF / ISO 100

 ここでは少し時間があったので、同じ条件で40Dでも撮ってみたところ、7Dの方が確率は高かった。筆者としてはそれなりに満足できる結果となった。加えて画素数が増えたことの利点を、最も実感したのがこの位置での撮影だ。

 ほぼ同じ位置にマシンが写っている画像を見てみよう。ウィリアムズの5枚連写でNGだった3枚目と40Dと撮った1枚だ。サムネイルなどで全体を見れば同じだが、マシンの部分だけトリミングすると7Dは横方向に1700ピクセル、40Dは1260ピクセルとなる。1800万画素のおかげで最終的に加工するときの自由度は大幅に高くなっている。

EOS40Dで撮影。マシンだけ切り抜くと1260ピクセル、7Dは1700ピクセル。Canon EOS 40D / EF300mm f/4L USM +1.4X(672mm相当) / 3888×2592 / シャッター速度優先AE / 1/500秒 / F7.1 / AI サーボ AF / ISO 100 トリミングしてフォトギャラリーに掲載:Canon EOS 7D / 1920×1080 トリミングしてフォトギャラリーに掲載:Canon EOS 7D / 1920×1080

 同じ逆バンクで上段の席に移動して縦位置でも撮ってみた。後ろに写るストレートエンドの満員の観客を背景に入れたかったからだ。この撮影だけAFポイントを移動している。大半の写真を横位置で撮っているので、縦位置にすると自分自身がなかなかマシンに追従できなくて苦労した。

AF点をセンターから移動して縦位置で撮影:Canon EOS 7D / EF300mm f/4L USM +1.4X(672mm相当) / 5184×3456 / シャッター速度優先AE / 1/500秒 / F8.0 / AI サーボ AF / ISO 100 トリミングしてフォトギャラリーに掲載:1920×1080

 最後はセーフティーカー導入でマシン速度が落ちたときの画像だ。マシン速度は激減、金網越しではないので画像もクリア、見下ろす位置からの撮影となりAF精度は格段に向上した。トリミングを前提に真ん中のAFポイントを使用しているので、元画像とレタッチしてフォトギャラリーで使用した画像を掲載しよう。

元画像:Canon EOS 7D / EF300mm f/4L USM +1.4X(672mm相当) / 5184×3456 / シャッター速度優先AE / 1/500秒 / F6.3 / AI サーボ AF / ISO 100 トリミングしてフォトギャラリーに掲載:1920×1080
元画像:Canon EOS 7D / EF300mm f/4L USM +1.4X(672mm相当) / 5184×3456 / シャッター速度優先AE / 1/500秒 / F5.6 / AI サーボ AF / ISO 100 トリミングしてフォトギャラリーに掲載:1920×1080

 EOS 7Dを入手してすぐの撮影。設定なども手探り状態だが、最初の感触としては悪くなさそうだ。これからいろいろな撮影をしていくと、わるい面も出てくるかもしれない。機会があればもう少し使い込んでから報告したいと思っている。

高感度ノイズは少なめ
 後半は、EOS 7Dの高感度性能を見てみよう。ここからの撮影は、記録画質をラージ/ファインに変更している。まずは筆者が高感度ノイズのチェック用に定点観測している、オアシス21の画像を掲載しよう。

 ピクチャースタイルはレース撮影で使いそうな、スタンダード、風景、ニュートラル、忠実の4つ。あまり話題になることはないが、ピクチャースタイルによってノイズに差が出るので、それぞれの感度ごとの画像を用意してみた。高感度撮影時のノイズ低減はオフにしてある。また、プログラムAEとしたため、高感度側でやや絞り込まれてしまっているので、その点には留意してほしい。

 高画素化で高感度ノイズの増加が懸念されたが、予想以上に高感度ノイズは少なく、屋内競技などでもかなり使えそうだ。ピクチャースタイルでは、比べるISO感度と位置にもよるが、風景が最もノイズが多く、忠実が少なめな感じだ。

 問題があるとすれば、筆者が使用している標準ズームEF-S17-85mm F4-5.6IS USMの絞り開放での解像度が、写真を見る限り足りないことだろうか。新発売されたEF-S 15-85mm F3.5-5.6 IS USMが気になる結果となった。なお、ピクチャースタイルによってシャープネスの設定が異なるので、最もシャープに見えるのは風景となる。

・ピクチャースタイル:スタンダード
共通項目:Canon EOS 7D / EF-S17-85mm f/4-5.6 IS USM(20mmで撮影、32mm相当) / 5184×3456 / プログラムAE / ワンショット AF

1秒 / F4.0 / ISO 100 1/2秒 / F4.0 / ISO 200 1/4秒 / F4.0 / ISO 400
1/8秒 / F4.0 / ISO 800 1/15秒 / F4.0 / ISO 1600 1/30秒 / F4.0 / ISO 3200
1/40秒 / F4.5 / ISO 6400 1/60秒 / F5.6 / ISO 12800

・ピクチャースタイル:風景

1秒 / F4.0 / ISO 100 1/2秒 / F4.0 / ISO 200 1/4秒 / F4.0 / ISO 400
1/8秒 / F4.0 / ISO 800 1/15秒 / F4.0 / ISO 1600 1/30秒 / F4.0 / ISO 3200
1/50秒 / F5.0 / ISO6400 1/60秒 / F5.6 / ISO 12800

・ピクチャースタイル:ニュートラル

1秒 / F4.0 / ISO 100 1/2秒 / F4.0 / ISO 200 1/4秒 / F4.0 / ISO 400
1/8秒 / F4.0 / ISO 800 1/15秒 / F4.0 / ISO 1600 1/30秒 / F4.0 / ISO 3200
1/50秒 / F4.5 / ISO 6400 1/60秒 / F5.6 / ISO 12800

・ピクチャースタイル:忠実設定

1秒 / F4.0 / ISO 100 1/2秒 / F4.0 / ISO 200 1/4秒 / F4.0 / ISO 400
1/8秒 / F4.0 / ISO 800 1/15秒 / F4.0 / ISO 1600 1/30秒 / F4.0 / ISO 3200
1/40秒 / F4.5 / ISO 6400 1/60秒 / F5.6 / ISO 12800

 次に高感度撮影時のノイズ低減を標準と強めに設定して撮影してみた。ピクチャースタイルは忠実設定。高感度では確かにノイズ低減効果はあるが、解像感が落ちるのもハッキリ分かる。当たり前だが、ユーザーの好みで選択すればよいだろう。

・高感度撮影時のノイズ低減を標準に設定

1秒 / F4.0 / ISO 100 1/2秒 / F4.0 / ISO 200 1/4秒 / F4.0 / ISO 400
1/8秒 / F4.0 / ISO 800 1/15秒 / F4.0 / ISO 1600 1/30秒 / F4.0 / ISO 3200
1/50秒 / F4.5 / ISO 6400 1/60秒 / F5.6 / ISO 12800

・高感度撮影時のノイズ低減を強めに設定

1秒 / F4.0 / ISO 100 1/2秒 / F4.0 / ISO 200 1/4秒 / F4.0 / ISO 400
1/8秒 / F4.0 / ISO 800 1/15秒 / F4.0 / ISO 1600 1/30秒 / F4.0 / ISO 3200
1/40秒 / F4.5 / ISO 6400 1/60秒 / F5.6 / ISO 12800

AF性能/連写性能
 EOS 7Dのサーキットでの感触は40DよりAF性能がアップした様に感じられた。そこで、もう少し一般的な電車での比較撮影も行ってみた。撮影条件はEF200mm F2.8L USM(320mm相当)を絞り開放で撮った場合と、ISO感度を200に上げ、絞りF5.6で撮影した場合。40Dでも同条件で撮ってみた。AFモードはすべてAI サーボ AFだ。

 サーキットではマシンによってピントのあいやすいマシンとそうでないマシンがある。電車も同様で、妙にピントがあわない車両が存在する。今回は計25車両を条件を変えながら撮影を行った。撮影時間が1時間半を超えたので、多少太陽の方向などに変化はある。三脚を使用、横方向にパンして、フレーミングは考えず先頭車両の顔の中心を追う形で撮影した。もちろん筆者の腕によるバラつきも考えられる。

 掲載した写真は、車速の遅い普通列車を除き、急行列車の中から同じ系統の車両で、EOS 7Dでは、絞りF2.8を2車両、F5.6を1車両。EOS 40DのF2.8を1車両とした。連写枚数は7DのF2.8が47枚、F5.6が38枚、40Dが36枚、その中から連続して撮った最初の3枚、中間の3枚、最後の3枚を選択した。

 結果としてサーキットほどはEOS 7Dと40Dの差はほとんど感じられなかった。連写性能は、7Dでは絞り開放の場合、9コマ/秒に達することもあった。実際に絞りを変えながら試し撮りすると絞りによって連写速度は大きく変化する。

 全般的に車両が遠くにいる場合(被写体が小さい)はなかなか正確にピントをあわせられないが、近付くにしたがってそのピントのあう確度は向上した。また、絞りをF5.6にすると確実にピントのあう写真が増えた。

・EOS 7D:絞り開放F2.8で撮影1 / 5184×3456 / ISO 100

・EOS 7D:絞り開放F2.8で撮影2 / 5184×3456 / ISO 100

・EOS 7D:絞りF5.6で撮影 / 5184×3456 / ISO 200

・EOS 40D:絞り開放F2.8 / 3888×2592 / ISO 100

まとめ
 キヤノンはEOS 7Dの発表会で、プロ機をEOS-1D/1Ds、エントリーをEOS Kissとし、中級機をEOS 5D Mark II、EOS 50D、EOS 7Dの3ラインアップという構成にすることを発表した。その中でも、EOS 7Dは筆者のようなスポーツ系の撮影をする人にはうってつけのカメラだ。まだわずかな時間しか使用していないので、EOS 7Dの特徴を完全に把握できてはいないが、目的が決まっている方にはお勧めできるカメラだと思っている。

デジカメ Watch長期リアルタイムレポート
キヤノン EOS 20D
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/longterm_backnumber/2004-12.html
http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2005.htm#20d

キヤノン EOS 40D
http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2007.htm#eos_40d

(奥川浩彦)
2009年 10月 13日


 



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