SUPER GT最終戦 MOTEGI GT 250kmリポート
ARTA NSXが有終の美 PETRONAS TOM'S SC430が逆転チャンピオン獲得

2位に入りシリーズチャンピオンを獲得した36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)

2009年11月8日決勝開催



 2009 AUTOBACS SUPER GT最終戦「SUPER GT MOTEGI GT 250km」の決勝レースが、11月8日、ツインリンクもてぎ(栃木県)で行われた。GT500クラスは、NSX最終レースを8号車 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン/伊沢拓也)が優勝して有終の美を飾った。シリーズチャンピオンは2位に入った36号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)が逆転でタイトル獲得、3年ぶりにタイトルを奪還した。GT300クラスは81号車 ダイシン アドバン Ferrari(青木孝行/藤井誠暢)が終始安定した走りで今期2勝目。シリーズチャンピオンは3位に入った19号車 ウェッズスポーツIS350(織戸学/片岡龍也)が接戦を制し獲得した。

 全9戦で行われる2009 SUPER GTシリーズの最終戦。GT500クラスもGT300クラスもチャンピオン争いは最終戦まで持ち込まれた。第8戦までのGT500クラスドライバーズポイント上位チームは以下のとおり。

Car No.マシンドライバーポイント
1MOTUL AUTECH GT-R本山哲78
36PETRONAS TOM'S SC430脇阪寿一
アンドレ・ロッテラー
73
8ARTA NSXラルフ・ファーマン
伊沢拓也
61
3HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rロニー・クインタレッリ
安田裕信
49
18ROCKSTAR 童夢 NSX道上龍
小暮卓史
49
24HIS ADVAN KONDO GT-RJ.P・デ・オリベイラ
荒聖治
48
35KRAFT SC430石浦宏明
大嶋和也
42
38ZENT CERUMO SC430立川祐路
リチャード・ライアン
41
17KEIHIN NSX金石年弘
塚越広大
40

 チャンピオン争いのチャンスを残しているのは上位3チーム。事実上は1号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲)と36号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)の一騎打ちだ。8号車 ARTA NSXは優勝して、1号車 MOTUL AUTECH GT-Rが9位以下、36号車 PETRONAS TOM'S SC430が4位以下でないとチャンピオンを獲ることはできない。

 GT300クラスの上位チームは以下のとおり。

Car No.マシンドライバーポイント
19ウェッズスポーツIS350織戸学
片岡龍也
74
43ARTA Garaiya新田守男
高木真一
71
11JIMGAINER ADVAN F430田中哲也
平中克幸
71
7M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7谷口信輝
折目遼
67
2アップル・K-one・紫電加藤寛規63
46エスロード MOLA Z星野一樹
柳田真孝
58
81ダイシン アドバン Ferrari青木孝行
藤井誠暢
51
33ハンコックポルシェ木下みつひろ
影山正美
45
74COROLLA Axio apr GT井口卓人
国本雄資
26

 チャンピオン争いのチャンスを残しているのは上位6チーム、上位4チームは7ポイント差で一つの順位が明暗を分けそうな展開となっている。

GT500クラス
 天候は薄曇り、53周で行われる決勝レースは14時にスタートが切られた。最初の1コーナーでポールポジションの8号車 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)に、36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)がアウト側から並びかけ、2コーナー出口でトップに立った。前戦でも好スタート決め順位を上げたアンドレ・ロッテラーのロケットスタートが成功し、逆転チャンピオンに向け一歩前進した。

ポールポジションからスタートする8号車 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)予選2位からスタートする36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)
予選5位からスタートする1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)スタート直前に盛り上がる日産応援席
スタートで先行する8号車 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)にアウトから並びかける36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)2コーナーでトップに立ち、S字を抜ける36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)4位の38号車 ZENT CERUMO SC430(リチャード・ライアン)を攻める1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)

 2位には8号車 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)、3位には6号車 ENEOS SC430(ビヨン・ビルドハイム)、4位38号車 ZENT CERUMO SC430(リチャード・ライアン)、チャンピオンを争う1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)は5位となった。

 1周目の90度ヘアピン、1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)が38号車 ZENT CERUMO SC430(リチャード・ライアン)のインに飛び込む。ブレーキングで右側のタイヤを激しくロックさせるが、抜くことはできない。続く2周目もヘアピンの立ち上がり加速でアウト側に並びかけ、サイド・バイ・サイドで90度コーナーに進入するが、インをキープした38号車 ZENT CERUMO SC430(リチャード・ライアン)に押し出される格好となり、左側のタイヤをダートに落としてしまう。立ち上がり加速が鈍ったところを6位の18号車 ROCKSTAR 童夢 NSX(道上龍)に抜かれ順位をさらに落としてしまった。

 だが、1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)の攻めは止まらない。続く3周目のV字コーナーで18号車 ROCKSTAR 童夢 NSX(道上龍)のインに飛び込み順位奪回。更に4周目の90度コーナーで38号車 ZENT CERUMO SC430(リチャード・ライアン)のインに並びかける。2台は接触しながらギリギリのブレーキング。インを取った1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)が4位に浮上した。

18号車 ROCKSTAR 童夢 NSXに抜かれ6位に落ちた1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)は18号車 ROCKSTAR 童夢 NSXを抜き5位へ38号車 ZENT CERUMO SC430(リチャード・ライアン)を抜き4位に上がった1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)

 このままの順位だとトップを走る36号車 PETRONAS TOM'S SC430が93ポイント、8号車 ARTA NSXが76ポイント、1号車 MOTUL AUTECH GT-Rは89ポイントとなり、36号車 PETRONAS TOM'S SC430がシリーズチャンピオンとなる。1号車 MOTUL AUTECH GT-Rが勝つためには、更に順位を上げる必要がある。

 トップ2台はGT300のマシンを交わしながら1秒以下の差で走行を続けた。少し離れて6号車 ENEOS SC430(ビヨン・ビルドハイム)。追い上げたい1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)は序盤の攻防でタイヤを酷使したためか、ペースが上がらず、1周1秒ずつトップとの差が広がってしまった。

 1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)のタイヤは限界に来ていた。SUPER GTのルールではレースの1/3以上走らないとドライバー交代ができない。53周の決勝では18周を終了しないとワンストップのピット作戦はとれない。ピットインまで後1周となる17周目の最終コーナー。ブレーキングで姿勢を乱し、ストレートの立ち上がりで38号車 ZENT CERUMO SC430(リチャード・ライアン)に抜かれ5位に落ちてしまった。

 ピットはタイヤ交換の準備をして待っている。なんとか1周我慢して、本山選手の追い上げに期待するしかない状況だ。だが130Rでタイヤは悲鳴を上げてしまった。左フロントタイヤがバースト、S字からスロー走行となってしまった。ペースは落ちたが、少しでも早くピットに戻りたいトレルイエ選手はバーストしたタイヤでフェンダーを壊してしまう。大きく順位を落としてピットイン、ダメージは大きく、ガレージに車を入れて修復することになってしまった。これでチャンピオンの可能性はほぼ消滅となった。

130Rで右前輪がバースト。S字のブレーキングでタイヤロックスローダウンしてS字を抜ける1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)。左サイドに38号車 ZENT CERUMO SC430との接触痕が見える
90度コーナーに到達したときにはフェンダーまで破損してしまった修復してコースに戻るが最後尾。チャンピオン争いから脱落した

 チャンピオン争いはトップを走る36号車 PETRONAS TOM'S SC430と2位の8号車 ARTA NSXの一騎打ちとなった。2台のポイント差は12点。8号車 ARTA NSXが逆転するには、自らの優勝と、36号車 PETRONAS TOM'S SC430が4位以下になることが必要だ。

ピットインまでトップをキープした36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)

 23周終了時に36号車 PETRONAS TOM'S SC430がピットイン。タイヤ交換、燃料補給をしてドライバーが脇阪寿一に交代した。トップに立った8号車 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)はここからペースを上げて36号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一)との差を広げていく。

 8号車 ARTA NSXは32周終了まで引っ張ってピットイン。トップをキープできるマージンを稼ぎ出して、残り21周を伊沢選手がステアリングを握ることとなった。タイヤ交換、燃料補給を済ませコースに戻ると36号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一)の5秒前となった。36号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一)はこのままの順位ならシリーズチャンピオン獲得なので無理に抜きには出ず2位キープだ。

セーフティーカー導入

 36周目、GT300クラスの55号車 J-TRUST F-PRO おうとキット ポルシェが5コーナーでオイルを噴き出して炎上。コースにオイルを撒き散らしたためセーフティカーが導入された。これで各車の差はなくなり再スタートとなるが、36号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一)の後ろはENEOS SC430、38号車 ZENT CERUMO SC430と同じレクサス勢なので順位落とすことはないだろう。

 40周目にレース再開。順位をキープしたままだ。再開時に5位にいた17号車 KEIHIN NSX(塚越広大)が3位まで順位を上げ、最終ラップには36号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一)の背後まで迫るが、そのままの順位でチェッカーを受けた。

 優勝した8号車 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン/伊沢拓也)は今期2勝目。シリーズランキングも2位に入った。今回で最後の参戦となるNSXの有終の美を飾ることができた。シリーズチャンピオンは2位に入った36号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)が逆転でタイトル獲得、2006年以来、3年ぶりにタイトルを奪還した。

今期2勝目を挙げた8号車 ARTA NSX
2位に入りシリーズチャンピオンを獲得した36号車 PETRONAS TOM'S SC430
後半の追い上げで3位に入った17号車 KEIHIN NSX

 最終順位は以下のとおり。

順位Car No.マシンドライバー
1位8ARTA NSXラルフ・ファーマン
伊沢拓也
2位36PETRONAS TOM'S SC430脇阪寿一
アンドレ・ロッテラー
3位17KEIHIN NSX金石年弘
塚越広大
4位6ENEOS SC430伊藤大輔
ビヨン・ビルドハイム
5位39DUNLOP SARD SC430アンドレ・クート
平手晃平
6位32EPSON NSXロイック・デュバル
中山友貴
7位12IMPUL カルソニック GT-R松田次生
セバスチャン・フィリップ
8位100RAYBRIG NSX井出有治
松浦 孝亮
9位35KRAFT SC430石浦宏明
大嶋 和也
10位18ROCKSTAR 童夢 NSX道上龍
小暮 卓史

 最終ドライバーズランキングは以下のとおり。

Car No.マシンドライバーポイント
36PETRONAS TOM'S SC430脇阪寿一
アンドレ・ロッテラー
88
8ARTA NSXラルフ・ファーマン
伊沢拓也
81
1MOTUL AUTECH GT-R本山哲78
1MOTUL AUTECH GT-Rブノワ・トレルイエ73
17KEIHIN NSX金石年弘
塚越広大
51
18ROCKSTAR 童夢 NSX道上龍
小暮卓史
50
3HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rロニー・クインタレッリ
安田裕信
49
24HIS ADVAN KONDO GT-RJ.P・デ・オリベイラ
荒聖治
48
35KRAFT SC430石浦宏明
大嶋和也
44
38ZENT CERUMO SC430立川祐路
リチャード・ライアン
41

GT300クラス
 混戦のGT300クラスは公式練習走行から全セッションで1位を取った81号車 ダイシン アドバン Ferrari(青木孝行/藤井誠暢)がポールポジションを獲得した。ポイントランキング2位の43号車 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一)が予選2位、ポイントランキング1位の19号車 ウェッズスポーツIS350(織戸学/片岡龍也)が3位、ポイントランキング4位の7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(谷口信輝/折目遼)が予選4位と上位に並んだ。

 ポイントランキング3位の11号車 JIMGAINER ADVAN F430(田中哲也/平中克幸)は予選8位、ポイントランキング5位の2号車 アップル・K-one・紫電(加藤寛規)は予選11位、ポイントランキング6位のエスロード MOLA Z(星野一樹/柳田真孝)は予選7位と後方から追い上げを狙う形だ。

 スタートは81号車 ダイシン アドバン Ferrari(藤井誠暢)がトップをキープ。2位に43号車 ARTA Garaiya(新田守男)、3位に7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(谷口信輝)。19号車 ウェッズスポーツIS350(織戸学)は4位に順位を落とした。11号車 JIMGAINER ADVAN F430(田中哲也)は2つポジションを上げ6位となった。

 3周目の5コーナーで7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(谷口信輝)が43号車 ARTA Garaiya(新田守男)を抜き2位に浮上した。このままの順位だと、2位に上がった7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7が82ポイント、3位を走行する43号車 ARTA Garaiyaも82ポイント、4位の19号車 ウェッズスポーツIS350も82ポイントとチャンピオン争いは目が離せない展開となった。

GT300のスタートシーン。81号車 ダイシン アドバン Ferrari(藤井誠暢)がトップをキープ2位に43号車 ARTA Garaiya、3位に7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7、4位に19号車 ウェッズスポーツIS3507号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7が43号車 ARTA Garaiyaを抜いて2位浮上

 7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7は朝のフリー走行でエンジンを壊し、決勝までにエンジン交換をする早業でグリッドにマシンを並べた。2位に上がってからもペースは速く、81号車 ダイシン アドバン Ferrariの背後に迫ってきた。

7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7はレース直前にエンジンを交換した序盤、6位の11号車 JIMGAINER ADVAN F430。ランボルギーニ2台を挟んで、46号車 エスロード MOLA Z、2号車 アップル・K-one・紫電が続くトップ81号車 ダイシン アドバン Ferrari(藤井誠暢)に迫る7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(谷口信輝)

 5位を走っていた74号車 COROLLA Axio apr GTもペースが速く、ペースの上がらない19号車 ウェッズスポーツIS350(織戸学)をパス。19周目、19号車 ウェッズスポーツIS350(織戸学)は後方から追い上げてきた2号車 アップル・K-one・紫電(加藤寛規)が背後に迫ったところで早めのピットインを行った。19号車 ウェッズスポーツIS350はタイヤ無交換作戦、給油しドライバーを片岡選手に交代してコースに戻った。

 翌周には43号車 ARTA Garaiyaもピットイン。こちらはタイヤ交換をしてピットアウトした。19号車 ウェッズスポーツIS350(片岡龍也)の前でコースに出たが、アウトラップでペースが上がらないうちに、4コーナーで抜かれてしまった。

 更に翌周には2号車 アップル・K-one・紫電もピットイン。タイヤ交換なしで19号車 ウェッズスポーツIS350(片岡龍也)の後ろでコースに戻った。すぐ後ろには43号車 ARTA Garaiya(高木真一)、その後ろには11号車 JIMGAINER ADVAN F430(平中克幸)が続き、チャンピオン争いは混沌としてきた。

43号車 ARTA Garaiyaと競り合う2号車 アップル・K-one・紫電11号車 JIMGAINER ADVAN F430を抑えて走る43号車 ARTA Garaiya

 28周目の1コーナー、11号車 JIMGAINER ADVAN F430(平中克幸)がGT500クラスにインを譲った43号車 ARTA Garaiya(高木真一)のインに飛び込んだ。2台は併走し2コーナーへ。11号車 JIMGAINER ADVAN F430(平中克幸)がやや前に出た状態で軽く接触、2コーナーの立ち上がりで43号車 ARTA Garaiya(高木真一)がコースアウト。グラベルにつかまり大きく後退、チャンピオン争いから脱落してしまった。

ピットインで遅れ、11号車 JIMGAINER ADVAN F430に迫られる7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7

 次の周には7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7がピットイン。タイヤ交換をしてピットアウトしようとするがエンジン始動に手間取り大幅にタイムロスしてコースに復帰した。コースインすると19号車 ウェッズスポーツIS350(片岡龍也)の後ろ、更に4コーナーで2号車 アップル・K-one・紫電(吉本大樹)にも抜かれてしまった。11号車 JIMGAINER ADVAN F430(平中克幸)も背後に迫るが、なんとか順位をキープした。

 ピットインを終えた段階での順位は、1位 81号車 ダイシン アドバン Ferrari、2位 19号車 ウェッズスポーツIS350、3位 2号車 アップル・K-one・紫電、4位 7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7、5位 11号車 JIMGAINER ADVAN F430。このままの順位だと19号車 ウェッズスポーツIS350が89ポイント、11号車 JIMGAINER ADVAN F430が77ポイント、7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7が75ポイント、2号車 アップル・K-one・紫電が74ポイントとなる。

 後方から追い上げてきた2号車 アップル・K-one・紫電(吉本大樹)だがペースが上がらない。33周目の1コーナーで7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(折目遼)、90度コーナーで11号車 JIMGAINER ADVAN F430(平中克幸)に立て続けに抜かれてしまった。7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(折目遼)は更に19号車 ウェッズスポーツIS350(片岡龍也)も抜き2位浮上。独走態勢の81号車 ダイシン アドバン Ferrari(青木孝行)を追い上げにかかった。ここでセーフティカーが導入、各車の差がなくなってレースは再開となる。

 レース再開時の順位は1位 81号車 ダイシン アドバン Ferrari、2位 7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7、3位 19号車 ウェッズスポーツIS350、4位 11号車 JIMGAINER ADVAN F430、5位 2号車 アップル・K-one・紫電。ポイントは19号車 ウェッズスポーツIS350が85ポイント、7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7が82ポイント、11号車 JIMGAINER ADVAN F430が79ポイントと差が縮まった。

 7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7が1位に上がれば逆転でチャンピオン獲得、11号車 JIMGAINER ADVAN F430も19号車 ウェッズスポーツIS350を抜けば逆転でチャンピオン獲得が可能だ。残り14周、一つの順位で年間チャンピオンが変わる争いが始まった。

 残り10周、11号車 JIMGAINER ADVAN F430(平中克幸)が19号車 ウェッズスポーツIS350(片岡龍也)に肉薄する。各コーナーではノーズが接触しそうな距離まで迫るが抜くまでにはいたらない。攻めきれない状況が続く中、背後から迫ってきた74号車 COROLLA Axio apr GT(井口卓人)に残り4周の1コーナーで抜かれて5位に落ちてしまった。トップ争いも徐々にその差が縮まってきた。残り10周で3秒あった差は、残り5周で1.6秒まで縮まった。残り3周、74号車 COROLLA Axio apr GT(井口卓人)が1コーナーでスピン、11号車 JIMGAINER ADVAN F430(平中克幸)が再び4位に上がった。

 いよいよファイナルラップ。1位と2位の差は1.1秒。3位と4位の差0.8秒。どちらも順位が変わればチャンピオンが変わる争いだ。トップ争いも3位争いもテール・トゥ・ノーズの争いとなるがそのままの順位でチェッカーとなった。81号車 ダイシン アドバン Ferrari(青木孝行/藤井誠暢)が今期2勝目。シリーズチャンピオンは3位に入った19号車 ウェッズスポーツIS350(織戸学/片岡龍也)が接戦を制し獲得した。

今期2勝目を挙げた81号車 ダイシン アドバン Ferrari(青木孝行/藤井誠暢)
2位に入った7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(谷口信輝/折目遼)
3位に入りシリーズチャンピオンを獲得した19号車 ウェッズスポーツIS350
人気チーム、808号車 初音ミク Studie GLAD BMW Z4は最後尾スタートまずは62号車 R&D SPORT LEGACY B4をパス続いて666号車 FieLDS BOMEX 320Rをパスするが直後に駆動系トラブルでリタイヤした

 最終順位は以下のとおり。

順位Car No.マシンドライバー
1位81ダイシン アドバン Ferrari青木孝行
藤井誠暢
2位7M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7谷口信輝
折目遼
3位19ウェッズスポーツIS350織戸学
片岡龍也
4位11JIMGAINER ADVAN F430田中哲也
平中克幸
5位74COROLLA Axio apr GT井口卓人
国本雄資
6位31avex apr COROLLA Axio坂本雄也
峰尾恭輔
7位46エスロード MOLA Z星野一樹
柳田真孝
8位66triple a ムルシェ RG-1山西康司
余郷敦
9位26UP START タイサンポルシェ阿部翼
黒澤治樹
10位52KUMHO TIRE SHIFT IS350佐々木孝太
関口雄飛

 ドライバーズランキングは以下のとおり。

Car No.マシンドライバーポイント
19ウェッズスポーツIS350織戸学
片岡龍也
85
7M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7谷口信輝
折目遼
82
11JIMGAINER ADVAN F430田中哲也
平中克幸
79
81ダイシン アドバン Ferrari青木孝行
藤井誠暢
71
43ARTA Garaiya新田守男
高木真一
71
2アップル・K-one・紫電加藤寛規63
46エスロード MOLA Z星野一樹
柳田真孝
62
2アップル・K-one・紫電吉本大樹58
33ハンコックポルシェ木下みつひろ
影山正美
45
74COROLLA Axio apr GT井口卓人
国本雄資
26
GT500の表彰式GT500クラス、シリーズチャンピオンの表彰式GT500クラス、チームチャンピオンはトムス、ARTA、ニスモの順となった
GT300の表彰式GT300クラス、シリーズチャンピオンの表彰式GT300クラス、チームチャンピオンシップの表彰式
シリーズ最終戦のグランドフィナーレ。全選手がファンの前で声援に応えた

 2009年のシーズンも白熱したレースを見せてくれたSUPER GTシリーズ。来年はNSXに代わる新しいマシンも登場する。自動車業界を取り巻く環境は厳しいものがあるが、更に面白いレースを期待したい。2010年のSUPER GTは3月20日、21日に鈴鹿サーキットで開幕する。

【お詫びと訂正】記事初出時、6号車 ENEOS SC430のスタートドライバーが「伊藤大輔/ビヨン・ビルドハイム」となっておりましたが、正しくは「ビヨン・ビルドハイム」でした。また、43号車 ARTA Garaiyaのピット後のドライバーが「新田守男」となっておりましたが、正しくは「高木真一」でした。ご迷惑をおかけした皆様にお詫びを申し上げるとともに、訂正させていただきます。

(奥川浩彦)
2009年 11月 10日