日産、東京モーターショーにEVのコンセプトモデル3台を出展 来年発売予定の「NV350キャラバン」を世界初公開 |
日産自動車は11月8日、「第42回東京モーターショー」(一般公開日:12月3日~11日)の出展概要を発表した。今回の東京モーターショーでは、都会での使い勝手に重点を置いた電気自動車(EV)「PIVO3(ピボ3)」をはじめとする3台のEVに加え、来年発売予定の「NV350キャラバン」を世界初公開する。
■PIVO3
PIVOシリーズは2005年に初代、2007年に2代目が登場し、今回で3代目となるEVのコンセプトモデル。「駐車の概念をなくす」「充電の概念をなくす」「運転の不安をなくす」「いつでもほしい情報を得られる」といった点を念頭に置いて開発したという。
その3代目PIVOでの特徴は、バレー・パーキング・サービス(駐車場の従業員にキーをわたすだけで所定の位置に車を運んでくれるサービス)を、クラウドコンピューティング、スマートシティ、スマートグリッドと連携してオートマティックに行うというもの。
具体的には「AVP(オートマチック・バレー・パーキング)」と呼ばれる駐車エリアにPIVO3で行くと、インフラの指示に従ってPIVO3が自動的に駐車スペースに移動したり、ユーザーの指示に従って駐車エリアにPIVO3が自動的に迎えにきたりする。つまり駐車場に行った際、駐車スペースを探したり、駐車した場所を覚えたりする必要がない。PIVO3を呼ぶにはスマートフォンを使う。また、自動的に移動した駐車スペース(スマートビルと呼ばれる)には非接触給電装置が置かれ、駐車するだけで必要に応じて充電が行われるほか、充電が十分な車両はその地域の電源安定化にも寄与する。
2800×1650×1520mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース1900mmとコンパクトなボディーに、前方1名、後方2名が着座できるシートレイアウトとした。さらに4輪の大舵角を可能にするインホイールモーターを採用することで内外輪差をゼロとし、4mの道路幅でもUターンを可能にしている。
■ESFOW(エスフロー)
「ESFOW(エスフロー)」はフェアレディZ、GT-Rといった同社のスポーツカーの伝統を継承しつつ、単に内燃機関をモーターやインバーターに置き換えたのではなく、EVとしてゼロから企画・設計が行われたコンセプトカー。今年のジュネーブショーでワールドプレミアされたモデルとなる。
ボディーサイズは3780×1780×1245mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2470mmで、低く伸びやかなシルエット、重心付近に収まるコンパクトなキャビンを特徴としており、ボディーにはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)が用いられる。
パワートレーンでは、リーフに使われるモーターユニットを2基、ミッドシップに搭載し、左右後輪を独立駆動制御することで優れた旋回性能とエネルギー回生性能が得られるという。内燃機関ではガソリンの残量によって車両の重心が異なるが、リチウムイオンバッテリーは電力の消費にかかわらず常に一定の重心を保てるため、最適な場所にリチウムイオンバッテリーなどを配置することでスポーツカーならではの「ドライバーの意のままに動く」を実現したという。
0-100km/h加速は5秒以下としており、一回の充電で240km以上(US LA4モード)の航続距離を実現したとしている。
■Townpod(タウンポッド)
クーペとバンを融合させたデザインを採用するTownpod(タウンポッド)は、2010年のパリ・モーターショーでワールドプレミアされたEVのコンセプトカーで、主に都市部での使い勝手を重視。
ドアとテールゲートには、約90度に開閉する観音開きドアを採用し、さらにBピラーを排除したことから開口面積を広くでき、優れた乗降性を実現した。また、リアの観音開きドアは左右に大きくスライドさせることも可能で、これにより限られたスペースでの開閉を容易にしている。
インテリアでは、リアシートをウルトラスリムデザインとし、前方にスライドさせるとフロントシートに重なるように格納できるため、ラゲッジスペースを有効的に利用できる。また、ルーフに備わるサンルーフも、そのほかのドアと同様に観音開き式としている。
そのほか、「パック」と呼ばれるスカッシュボールサイズのゴム製の球体をダッシュボードやドア、コンソールに多数備え、カップホルダー、携帯電話ホルダーなどを取り付けることが可能。
ボディーサイズは4230×1780×1640mm(全長×全幅×全高)で、プラットフォーム、モーター、バッテリーなどはリーフと共通となる。
■NV350 キャラバン
今回の東京モーターショーでは、2012年の夏に発売を予定しているNV350 キャラバンを世界初公開する。搭載エンジンの詳細は明らかになっていないが、ガソリン、ディーゼルともに用意される。
従来モデルと比べ、全長、全高は同様だが、ホイールベースは140mm延長され、全幅も5mm広がった。そしてラゲッジルームは、従来の2.8mを上回る4ナンバー小型商用車でトップクラスの3m超とした。このラゲッジルームには、オーナーが容易にアレンジできるよう、多数のユーティリティナットを装備する。リアシートは5:5分割可倒式。
エクステリアでは立体感のあるアングルドストラットグリル、LEDポジションランプを内蔵したキセノンヘッドランプなどにより個性的なフロントマスクに仕上がる。また、ボディーカラーには重厚感と上質感を高めるタイガーアイブラウンを、専用カラーとして新たに開発した。
インテリアでは、インストルメントパネルを2段構成とし、上部をブラック、下部をグレーにすることで横方向への広がり感を演出。またステアリングやシフトノブ、メーター、空調ダイヤルやベンチレーション部にシルバー色やメッキ色を配することで、上質感を高めている。そのほかワンプッシュエンジンスターターとともに、インテリジェントキーを採用している。
なお、東京モーターショーではフィッシングカヌーバージョンが展示され、ラゲッジスペースに3m超のカヌーを搭載し、その積載能力をアピールする。
(編集部:小林 隆/Photo:堤晋一)
2011年 11月 8日