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首都高技術、構造物の点検技術を学ぶ訓練室を公開
東日本大震災で被災した実物の損傷見本も展示
(2014/3/31 14:06)
首都高技術は3月27日、2月1日に設立した「構造物点検技術訓練室」を報道陣に公開した。この構造物点検技術訓練室は4月1日から正式に運用が開始される。
同施設は首都高の道路や橋梁、トンネルなどの構造物を点検・保守をするにあたり、必要な知識や技能を学ぶために設立された施設。現場で作業にあたる首都高技術の社員や点検協力会社の点検員など約200名を対象に、点検の技術や実技、首都高の点検員資格認定試験の対策など8分野11コースを設定。各コースごとに年間で半日~5日の日程で講習を開催する。
講習では、点検要領として首都高速道路の基準に則った点検の基本事項から、損傷事例などの講習、各種非破壊検査技術、新技術を使った点検技術などを解説。さらに橋梁工学や構造力学、土木材料学なども学び、単なる点検ではなく「目の前で起きている事象がどういった理由で発生し、今後どうなるのか」というところまで把握できるよう指導していくという。
見学会の冒頭で挨拶した首都高技術 代表取締役社長の土橋浩氏は、本施設について「平成24年12月に発生した笹子トンネルの事故以来、点検に対する社会的な要求レベルが高まった。これに対応するため、現場技術の向上が重要になってきた」とその設立に至った経緯を説明。「いろいろな技術があるが、最終的には人が重要。本施設で学ぶことで、単に目の前の問題に対処するだけのテクニシャンではなく、その原因まで把握して対応できるエンジニアになってもらいたい」とも語り、現場レベルの向上に期待を見せた。
今回公開されたのは、屋内で座学や実技の実習などを行う施設。実習室では実際に現場で使われる工具や、損傷見本として東日本大震災などで被災し、破損した実物サンプルなどを展示している。2014年度以内に屋外にも実技訓練施設を設置予定で、綱桁橋、PC(プレストレスト・コンクリート)橋、特殊構造物(トラス橋、斜張橋など)、裏面吸音板などの道路付属物関連品など、それぞれの現場で実技を学べるような訓練施設を検討中。現在は荒川湾岸橋(トラス橋)に屋外施設を整備中とのこと。