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トヨタの新予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を体感してきた

最新の安全技術説明会で「Toyota Safety Sense」などの体験会を開催

新予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」(写真はミディアム・上級車向けの「Toyota Safety Sense P」)の体験会の様子

衝突被害軽減ブレーキの性能はメーカーによってさまざま

 今やエコであることは当たり前。使い勝手も走りも、各社横並びといっても過言でない状況である現在、残されたクルマ選びの判断基準は、やはり安全に対する答えがどうあるかというところに行き着くのではないだろうか? 事実、「ぶつからないクルマ?」と謳って宣伝したメーカーはユーザーに大きなインパクトを与え、飛躍的に販売を伸ばしたという。もちろん、衝突被害軽減ブレーキは交通事故死傷者ゼロを目指したシステムではあるが、現在はクルマの魅力の1つとして確実にそのポジションを得ている。

 こうして衝突被害軽減ブレーキを搭載するクルマが増えつつある現状ではあるが、実のところその性能はまだ各社横並びには至っていない。NASVA(自動車事故対策機構)と国土交通省が2014年度から新たに実施している、衝突防止・被害軽減のための「自動制動装置(AEBS)」や「車線逸脱警報装置(LDWS)」などに関する試験を盛り込んだ「予防安全性能アセスメント」(http://www.nasva.go.jp/mamoru/active_safety_search/)の結果を見ると、衝突被害軽減ブレーキの性能はメーカーによっても車種によってもさまざまであることが読み取れる。状況認識に赤外線レーザーを使っているのか、ミリ波レーダーを使っているのか。それともカメラを使っているのか、はたまたそれらを組み合わせて使っているのか? また、それらで得た情報をどう解析しているかでも性能に差が表れるという。

 そんな予防安全性能アセスメントで満点を獲得し、参加したクルマの中で満点の成績を収めたクルマの1つが、トヨタ自動車のプレミアムブランドであるレクサスで販売される「LS」だ。ミリ波レーダー・ステレオカメラフュージョン方式を採用する、高価なシステムの勝利だった。ちなみに、レーンキーピングアシスト(LKA)やナイトビューなども含めたそのシステムのメーカーオプション価格は161万4600円(LS460向け)。まだまだ現実的に手が届くようなものではなかった。

普及を目指した価格設定で市場導入するトヨタの新予防安全パッケージ

 この現状を打破しようと動き出したのが、11月26日に発表されたトヨタの新予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」だ。これは衝突被害軽減ブレーキだけでなく、「レーンディパーチャーアラート(LDA)」や「オートマチックハイビーム(AHB)」など複数の機能をパッケージ化し、2015年に普及を目指した価格設定で市場導入することを目指したもの。2017年末までに日本、北米、欧州のほぼすべての乗用車への設定を予定しているという。

 注目はその衝突被害軽減ブレーキが1種類ではないこと。レーザーレーダーと単眼カメラを組み合わせたコンパクトカー向けの「Toyota Safety Sense C」と、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせたミディアム・上級車向けの「Toyota Safety Sense P」という2種類を用意している。

トヨタ、新予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を2015年から導入
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20141126_677697.html

新予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」では、レーザーレーダーと単眼カメラを組み合わせたコンパクトカー向けの「Toyota Safety Sense C」、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせたミディアム・上級車向けの「Toyota Safety Sense P」の2種類を設定
レーザーレーダー、ミリ波レーダー、単眼カメラ、ステレオカメラそれぞれに長所、短所がある
「Toyota Safety Sense」は2015年から設定を開始し、2017年末までに日本、北米、欧州のほぼすべての乗用車への設定を予定している
コンパクトカー向けの「Toyota Safety Sense C」では、レーザーレーダーと単眼カメラを一体化したコンパクトなユニットをルームミラー裏に設置
自動ブレーキの作動速度域は約10km/h〜80km/h
「Toyota Safety Sense C」はクラストップの安全性能を確保すると自信を覗かせる
「Toyota Safety Sense C」では「衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ(PCS)」、車線を逸脱した場合にブザーとディスプレイ表示でドライバーに警告を行う「レーンディパーチャ―アラート(LDA)」、カメラで対向車のヘッドランプまたは先行車のテールランプを検知してハイビームとロービームを自動的に切り替える「オートマチックハイビーム(AHB)」というそれぞれの機能をパッケージ化した
ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせたミディアム・上級車向けの「Toyota Safety Sense P」。ミリ波レーダーはフロントグリル部に、単眼カメラはルームミラー裏にそれぞれ設置される
「Toyota Safety Sense P」では衝突回避支援型PCS、LDA、AHBに加え、PCSに歩行者検知機能が付加される

 実際に「Toyota Safety Sense C」の構成部品を見てみると、明らかにセンサーをコンパクトに作り、コンパクトクラスのクルマのフロントガラス内側に配置しても違和感なく装着できることが見て取れる。構成パーツの少なさから見ても、コストをかなり下げて多くのクルマに展開しやすそうだ。それを数多く売るトヨタのコンパクトカーが付けるのであれば、将来的にかなりリーズナブルになりそうな予感さえしてくる。簡素なシステムでも、前述した予防安全性能アセスメントの試験で高得点が得られそうだというから期待が高まる。

 実際にそのテスト車両に試乗したが、試乗当日はかなりの悪天候でありながらも、しっかりと対象物の手前で確実に止まることを可能にしていた。

「Toyota Safety Sense C」のユニット
「Toyota Safety Sense C」の体験では、30km/h程度で全ぽ車両に見立てたバルーンに向かって走っていき、自動ブレーキがかかるタイミングや強さを実際に感じることができた

 一方の「Toyota Safety Sense P」は、フロントガラス内側に配置する単眼カメラと、フロントエンブレム内に配置されるミリ波レーダーによって成立している。このシステムが「Toyota Safety Sense C」よりも優位なところは、対応速度域が拡大していること、そして歩行者検知機能が含まれている点だ。死亡事故の7割を占めると言われている横断歩行者事故に対応しようとしたことが、「Toyota Safety Sense P」の最大のメリットといっていい。

 また、レーダークルーズコントロールが備わり疲労軽減をしてくれるところも興味深い。今回は歩行者検知機能の体験を行ったが、駐車車両の死角から飛び出してくる人形を検知してきちんと停止する制御はみごと。もしも自分の運転だけで操作していたら……。自らのドライブでは確実に止まる自信さえ持てない状況を、クルマがきちんとサポートしてくれることはかなりありがたいと感じた。これなら確実に横断歩行者絡みの死亡事故は減るだろう。

 トヨタの新予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」が、1日でも早くすべてのトヨタ車に装着されることを願うばかりである。

「Toyota Safety Sense P」のユニット。ミリ波レーダーと単眼カメラはそれぞれ別の場所に設置される
「Toyota Safety Sense P」のテスト車両はプリウス。ミニバンの陰に隠れる人形が飛び出してきて、衝突回避支援型PCSに含まれる歩行者検知機能がきちんと作動するかのデモ体験
単眼カメラはルームミラー裏、ミリ波レーダーはフロントグリル部に設置
飛び出しを担当した人形に名前はなかった
飛び出してきた人形をしっかり検知して自動ブレーキが作動

そのほか最新安全技術説明会で発表された技術

「Toyota Safety Sense」装着車に標準装備される次世代照明技術「LEDアレイAHS(アダプティブ ハイビーム システム)」のデモが行われた。「LEDアレイAHS」は、ヘッドランプ内に一列に配置した複数のLED、ルームミラー裏側の単眼カメラおよびECUからなり、それぞれのLEDを独立制御することで先行車や対向車を眩惑することなく広範囲の照射を可能にしている
「LEDアレイAHS」装着車が壁を照射しているところ。人がいるあたりを中心に照射していることがお分かりいただけるだろうか
人がライトを光らせたところ、「LEDアレイAHS」がそれを認識して人がいる以外のところを照射
人が動くとそれに従って照射範囲が変わった
車体周囲の安全確認をサポートする「パノラミックビューモニター」に、障害物の確認をより容易にした新画面モード「シースルービュー」機能を追加。車両の外側から見下ろしたような映像を表示する従来のムービングビューに加え、ドライバーの視線で車両を透かしたような映像を表示するシースルービューを新たに設定している。同機能は2015年に発売される新型車に採用予定となっている

(橋本洋平)